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マーケティングオートメーション(MA)とは?メリット・デメリットからおすすめツールまでを徹底解説

近年、特にBtoBにおいては、顧客の購買行動の多様化が進行しています。この理由は、新型コロナウイルスの影響により、顧客の購買行動が大きく変化したことが挙げられます。従来の情報収集手段である人づてが検索に置き換わり、セミナーがウェビナーに、展示会もオンライン化している現状です。これらの現象は、情報収集のリアルとデジタルのハイブリッド化を加速させています。

このような状況下では、マーケティング活動もデジタル化を追求せざるを得ません。しかし、デジタル化が進む一方で、顧客一人ひとりとの接点管理が煩雑化し、一層の困難を極めています。

ここで重要なのが、MAの導入です。

MAは、マーケティングのハイブリッド化をサポートし、情報収集接点の管理とマーケティング施策の実行を効率化するツールです。特にBtoBマーケティングにおいては、MAは長い購買プロセスと複数の決定者への対応を助け、マーケティング活動を最適化します。総じて、BtoBマーケティングでは、顧客行動の多様化とデジタル化の進行に対応し、マーケティングの効率化と最適化を実現するために、MAの導入が重要となっています。

マーケティングオートメーション(MA)とは

マーケティングオートメーション(MA)とは「獲得した見込み客情報を一元管理し、見込み客の獲得、育成、選別そして営業案件を生み出すまでの煩雑なマーケティング活動を補完するための仕組み、ツール」です。BtoBマーケティングの領域において重要な役割を果たすとして注目を浴びています。

具体的には、MAは獲得した見込み客情報を一元管理し、その情報を基に、見込み客の獲得、育成、選別といったプロセスを自動化します。これにより、時間と労力をかけて手動で行っていた煩雑なマーケティング活動を大幅に省力化し、更に精度を上げることが可能となります。

また、MAの活用により、見込み客とのコミュニケーションを最適化し、見込み客のニーズに応じたマーケティング施策をタイムリーに実施することが可能となります。これにより、見込み客を効率良く営業案件へと導くことができます。

マーケティングオートメーションの活用方法

それでは、実際にMAの活用方法をみていきましょう。

見込み客を集める(リードジェネレーション)

「リードジェネレーション」とは、自社の製品やサービスの顧客となりうる見込み客の情報を獲得するための活動を指します。リードジェネレーションには展示会、ウェビナー、Webフォームなどの施策が用いられます。集客と同時に、見込み客に行動を起こさせるための「CTA(call to action)」が必要となります。これは、例えばホワイトペーパーやウェビナーの内容などが該当します。

CTAとは?改善策や成功事例などわかりやすく解説

Webフォームはリードジェネレーションの重要なツールです。フォームの最適化や「プログレッシブプロファイル」機能(既に獲得した情報は聞かず、新たな情報を収集する機能)など、MAにより、効果的に情報を集めることが可能となります。

さらに、MAでは、Webフォームの内容を顧客の状況に応じて出し分ける機能、パーソナライズ機能、アカウントベースでCTAを出し分ける機能などがあります。オフラインの展示会やイベントにおける接点管理や、ウェビナーツールとのシームレスな連携も可能です。

また、DSP(Demand-Side Platform)などと連携することで、MAにより収集した顧客情報を利用して、よりターゲットに近い顧客への広告配信も可能となります。これら全ての機能は、見込み客情報の一元管理と有効活用を支え、BtoBマーケティングにおけるリードジェネレーションの成功に大きく寄与します。

見込み客を管理する(リードマネジメント)

「リードマネジメント」とは見込み客を管理する機能を指します。リードマネジメントを行う際に、重要となるのはメールアドレスです。MAでは、メールアドレスを基に顧客の属性情報を上書きし、プロファイル情報を管理します。その属性項目はカスタマイズ可能であり、具体的な顧客情報をより細かく捉えることができます。

そして、MAの最大の特徴はマーケティング接点の蓄積と活用です。具体的には、お客様との各マーケティング接点、例えばメールの送受信履歴、Webサイトの閲覧履歴、フォームの登録履歴、さらにはオフライン施策の接点情報などを、アクティビティログとして記録します。

この蓄積された情報は、顧客一人ひとりの行動傾向を深く理解することに役立ちます。そして、それらの情報を活用して、さらに効果的なマーケティング施策を計画し、実行することが可能となります。

見込み客を育てる(リードナーチャリング)

「リードナーチャリング」とは、見込み客を育てることを指します。大きく二つのスタイルに分けられます。一つは、見込み客ごとにコンテンツをだし分けて、その閲覧状況に応じて見込み度合いを選別する「ドリップ型」。もう一つは、中長期的な接点を維持し、見込み客の行動を捕捉していく「エンゲージメント型」です。

BtoBビジネスでは購買までの検討期間が長く、顧客との継続的な接点が求められます。そのため、リードナーチャリングは育成だけでなく、購買意欲の高まりや購買行動を捕捉する重要な役割を担います。商品やサービスによって、購買意欲を高める可能性があるかどうかを見極めることも必要です。

ただし、リードナーチャリングが単なるメールマガジンの配信ではないことを理解する必要があります。ナーチャリングでは、誰に、いつ、何を実施するかが重要です。具体的には、ターゲット顧客は誰なのかを明確にし、その顧客の購買プロセスを理解することから始めましょう。

その上で、顧客の購買プロセスに合わせて最適なチャネルを検討し、接点を設けることで効果的なリードナーチャリングを進めます。メールは一つの手段に過ぎず、SNSやウェビナーなど様々なチャネルを活用することが求められます。リードナーチャリングの活用により、BtoBマーケティングはより高度化し、具体的なビジネスチャンスへとつながる可能性が増えることが見込まれます。

見込み客を選別する(リードクオリフィケーション)

「リードクオリフィケーション」とは、リードの中から受注の可能性が高い見込み顧客をリスト化し、営業部門に渡すステップを指します。

リードクオリフィケーションは「保証」を意味しており、マーケティングが保証したリードをMQL(Marketing Qualified Lead)と呼び、営業が保証したリードをSQL(Sales Qualified Lead)と呼び、区分します。リードの行動とターゲットのマッチ度の掛け合わせでクオリフィケーションしていくのが一般的です。

リードクオリフィケーションは最も重要なセクションです。BtoBマーケティングにおいては、営業組織だけでは効率が低下してしまいます。特に、顧客の購買検討期間が長い場合、マーケティングと営業の分業体制が必要です。マーケティングがリードを獲得し、管理し、育成する過程で、顧客の購買行動を察知し、営業へと引き渡すタイミングがMQLです。

MQLはマーケティング組織が保証した品質の高いリードであり、営業はその保証に基づいてアプローチしていきます。つまり、リードクオリフィケーションは品質の保証を意味します。リードクオリフィケーションの手法は様々で、顧客のターゲット属性や行動属性などを組み合わせてMQLを選別します。これにより、営業チームは限られたリソースを質の高い見込み客に集中することができます。

マーケティングオートメーションで解決できる課題

MAは、BtoBマーケティングにおけるさまざまな課題解決に役立ちます。

見込み客となった後の商談、案件化が不明確

以前は、マーケティング施策によって集客した見込み客の商談や案件化の過程がブラックボックス化していました。しかし、MAを活用することで、見込み客をステージに区分し、個々のリードの状況の変化や遷移を追跡することが可能になりました。

さらに、MAとSFA(Sales Force Automation)の連携により、営業の活動情報や商談情報を紐づけることができます。これにより、営業に引き渡した後も見込み客を継続的に管理することができます。BtoBの特性上、過去に失注した見込み客でも、課題がある限り再び購買を検討する可能性があるため、永続的な接点を管理する必要があります。

営業のアプローチ状況によっては、見込み客をマーケティング側に戻し、再度育成するリサイクルプログラムも重要となります。そのため、営業活動との連携は不可欠です。MAの活用により、見込み客の商談や案件化の過程が可視化され、マーケティングと営業の連携強化による効果的な見込み客管理が実現されます。これにより、BtoBマーケティングの成果を最大化することができます。

商談や案件の数が少ない

例えば、MAのメールマーケティング機能を活用すると、既存のお客様からメールアドレスを獲得し、キャンペーンや新サービスの告知を行うことができます。さらに、メールの開封状況やクリックなど、個人の行動に合わせて配信するメールの内容を変えることで、一人ひとりに最適な情報を届けることができます。これにより、お客様のニーズを喚起しやすくなり、商談や案件化の機会が増えるでしょう。

また、MAではWebページのアクセスログやマーケティング接点、営業情報を一元管理することができます。これにより、お客様の行動データや属性情報を分析し、よりターゲットに合ったアプローチを実施することが可能となります。マーケティング精度が向上し、より効果的な商談や案件化を図ることができます。

商談や案件の質が低い

まず、質の高い案件を明確に定義する必要があります。それぞれのビジネスに合わせて、理想的な商談や案件の条件を設定しましょう。

次に、MAのスコアリング機能を活用して、定義した条件を適用します。
スコアリング機能では、ファーモグラフィック(属性)とビヘイビア(行動)の2つの軸で見込み客を評価し、スコアを付けることをおすすめします。これにより、質の高い商談や案件に重点を置くことができます。

情報を蓄積・活用するための運用体制が整っていない

従来のマーケティング活動では、マーケティング部門が施策を実施した後、営業部門がアプローチを担当するため、トータルの費用対効果を把握することが難しいという課題がありました。しかし、MAを導入することで、施策の可視化が可能となります。

MAを活用すると、営業担当者自身が追客案件の状態を把握することができます。また、動きのあった案件に対して情報の更新を行えば、ツールを介してマーケティング部門と営業部門の双方で、顧客の状況を把握することができます。

ただし、MAはマーケティング活動のアクティビティやセグメント情報の管理に特化しており、営業案件の状態を把握するためにはSFAの活用が必要です。MAとSFAが連携している場合、受注までの各施策の費用対効果を容易に評価することができます。

さらに、MAと企業データを提供しているサービスとの連携により、アカウントベースのデータ抽出も可能となります。例えば、従業員1,000名以上の製造業や年商300億円以上の情報システム業など、より詳細なターゲットを絞り込んでマーケティング活動を展開することができます。

見込み顧客の情報を有効活用できていない

具体的な課題としては、展示会やセミナーで交換された名刺の管理が追いついていないことや、ニーズの有無を個々の営業担当者が判断していること、獲得したリードに対して一律のアプローチをしていることなどが挙げられます。MAを導入することで、見込み顧客の情報を一元管理し、リードの質や興味関心に基づいたターゲティング、パーソナライズされたアプローチが可能となります。効率的な顧客育成と営業活動の強化につながるでしょう。

潜在顧客をナーチャリングできていない

顕在層へのアプローチに偏ると、常に同じ顧客にアプローチし続けることになり、成果の限界が出てしまいます。そのため、MAを活用して、潜在層に対して中長期的なナーチャリング活動を実施することが重要です。

MAを活用することで、顧客の明示行動(イベントやウェビナーへの参加など)や暗示行動(ウェブページ閲覧、メールリンクのクリックなど)を可視化できます。これにより、顧客の興味関心度を把握することができ、一人ひとりの興味関心度合いに合わせて適切な情報を提供することが可能となります。

ナーチャリングは、顧客の関心を喚起し、関係を構築していく過程です。MAを活用することで、自動化されたマーケティング施策を実施し、潜在顧客との継続的な接触や情報提供を行うことができます。それにより、関心度を高め、購買意欲を喚起することができます。

MAとSFA・CRMの違い

MAとSFA、CRM(Customer Relationship Management)はそれぞれBtoBマーケティングにおける重要なツールです。似た機能を持ったツールとして勘違いされることがありますが、それぞれ大きく異なる機能・役割と特徴を持っています。それぞれのツールについて詳しく解説します。

MAの特徴や役割

MAは、マーケティング活動を自動化するためのツールであり、見込み客への効果的なマーケティングを実現します。以下にMAの特徴と役割を解説します。

MAは、例えば以下のような情報をもとに、マーケティング活動を自動化します。

  • 見込み客の属性や要望などの情報
  • メール配信履歴
  • Webサイトやコンテンツの閲覧状況
  • セミナーやイベントなどの参加状況

自動化以外にも、MAには大きな役割があります。見込み客に関連するデータを集約し、個別の顧客の属性や行動データに基づいたマーケティング活動を実施することです。従来の活動単位の管理では、顧客に対して個別の情報やコンテンツを提供することが難しかったのですが、MAの導入により、個々の見込み顧客に合わせたパーソナライズされたマーケティングが可能となります。

MAは顧客データの集約と活用を通じて、マーケティング活動の効果的な実施や顧客関係の強化を支援します。データドリブンなアプローチにより、見込み客のニーズに合わせたマーケティングコミュニケーションを実現し、顧客エンゲージメントとビジネス成果の向上に寄与します。

顧客データ集約のイメージ図

SFAの特徴や役割

SFAとは、Sales Force Automation(セールスフォースオートメーション)の略です。営業担当を支援するためのツールであり、営業活動を効率化し、営業チームの生産性向上を図ります。

SFAでは以下のような情報をデータベース化して、営業活動を管理します。

  • 見込み客の属性情報
  • 過去の営業活動の履歴
  • 反応や進捗状況などの情報
  • 予定されているアクションやタスク

SFAは営業活動に関連した情報を網羅的に管理するため、企業情報や担当者情報との連携も行います。特に、MAとの連携では、重要な役割を果たします。

SFAでは、見込み客(リード)管理や施策管理が重要な機能となります。MAで獲得したリード情報はSFAと連携することで、見込み客データベースで管理されます。同時に、どの施策によってリードが獲得されたのかもSFA上で閲覧可能です。これにより、有効なリードやアプローチすべき対象を明確に把握することができます。

さらに、SFAではリード情報を企業マスタの配下の担当者情報と関連付けることで、特定の企業のキーマンや商談がどの担当者から上がってきたのかを明確化します。これにより、営業チームはより効果的なターゲティングとアプローチが可能となります。

SFAの情報はMAとも連携しており、精度の高いマーケティング活動を実施するためのデータを提供します。MAとSFAの連携により、マーケティングと営業の連携を強化し、顧客管理や営業、マーケティングプロセスの改善を促進します。

CRMの特徴や役割

CRMは、見込み客から顧客に至るまでの顧客接点を管理するツールを指します。CRMは顧客情報を一元化し、顧客との関係を総合的に管理します。特徴としては以下が挙げられます。

  • 顧客の属性情報、購買履歴などの情報を蓄積・管理する
  • 顧客との対話履歴や取引状況を追跡する
  • 顧客に対して個別化されたサービスやマーケティングメッセージを提供する
  • 顧客のニーズや傾向を分析し、顧客セグメントを作成する
  • カスタマーサクセスの視点から顧客とのエンゲージメントを高める

CRMは単に営業活動の支援だけではなく、顧客全体の関係を改善するためのツールです。営業活動の他に、顧客サービスやマーケティング活動など様々な領域で活用されます。

SFAのサービスベンダーなどがCRMというケースもありますが、SFAだけでは、CRMを完結することはできません。CRMには顧客とのエンゲージメントや顧客サクセスの観点からの機能が必要です。そのため、MAやその他のカスタマーサクセスプラットフォームとの連携を通じて、CRMを実現する考え方があります。

CRMとSFAの違いとは?導入前に知っておくべきポイントや機能を解説

競合ツールではなく、効果的に使い分けることが大切

MA、SFA、CRMは、それぞれ異なる特徴と得意なプロセスを持っています。企業は自社の課題に合わせて、最適なツールを選択することが重要です。これらのツールを使い分けることで、自社の利益を最大化できます。

マーケティングオートメーションを導入するメリット7選

MAの導入にはいくつものメリットが存在します。以下にその中から7つのポイントを解説します。

獲得した顧客情報が資産になる

MA上に獲得した見込み客情報を保管し、中長期的なコミュニケーションを取ることで、顧客情報は有効な資産として活用できます。特に、Cookie情報やマーケティング接点情報は重要な資産となります。これらの情報をツール上で蓄積し、適切に分析・抽出することで、見込み客の行動傾向やニーズを把握し、ターゲティングしたマーケティング施策を展開することができます。

重要な点は、ツールがどれだけ細かく情報を抽出できるかどうかです。一部のツールでは情報の蓄積や閲覧はできるものの、必要な情報の抽出が困難な場合もあります。適切なツール選択とデータの活用により、顧客情報はマーケティング活動の最適化やROI向上につながる貴重な資産となるのです。

見込み客の見逃しや取りこぼしを防げる

過去にお問い合わせをしたが契約に至らなかった見込み客や、名刺交換のみで終わってしまった見込み客、メールマガジンに登録してくれた見込み客などは、放置すれば競合他社の顧客になってしまう可能性があります。MAを活用することで、こうした見込み客を見逃さず、商談につなげることができます。

具体的には、自動的なメール配信によるアプローチを行ったり、重要なシグナルを発した見込み客の情報を、担当営業やインサイドセールスにアラート情報として提供したりすることが可能です。これにより、営業担当者は見逃しがちな見込み客に対して適切なフォローアップを行い、商談の機会を逃すことなく顧客へのアプローチを継続できます。

適切なタイミングで顧客にアプローチできる

見込み客の検討段階が不明確だと、的外れなタイミングや内容でアプローチしてしまう可能性が高くなります。しかし、MAを活用すると、見込み客の行動ログに基づいて情報を提供することができます。

例えば、特定のWebページの閲覧や特定のコンテンツをダウンロードした見込み客に対して、関連した情報をメール送信する、などが挙げられます。

このように、見込み客が興味を持っている内容やニーズに合わせた情報を適切なタイミングで提供することで、顧客の関心を高め、購買意欲を引き出すことができます。

営業活動を効率化できる

MAによって自動化されたマーケティング活動が可能になるため、営業担当者は効率的な営業活動に集中することができます。商談の可能性が低い見込み客との連絡やフォローアップを自動化されたプロセスに任せることで、時間と労力を節約することができます。営業活動の効率化により、営業担当者はより重要な商談に集中することができ、成果を最大化することができます。

営業組織の属人性が下がり、受注率が向上する

MAの導入により、インサイドセールス部門がリードナーチャリング(見込み客の育成)を行います。リードがホットになったタイミングで営業部門にパスすることで、営業力があまり高くない人でも成約へつなげやすくなります。営業組織全体での知識や経験の共有が可能になり、個人の能力に依存することなく、効果的な営業活動が展開されます。

このような取り組みにより、営業組織の属人性が下がります。もともと営業力が高い人だけではなく、営業力が低い人でも受注が取れるようになるため、受注率や案件化率が向上します。マーケティング部門のリード生成とインサイドセールスの活動履歴を営業側で共有・活用することで、より的確なアプローチが可能となり、受注に結びつく顧客へのアプローチが強化されます。

マーケティング活動を標準化できる

MAを導入する際には、施策の標準化が必要となります。これまで個々のマーケティング担当者が独自に行っていたマーケティング施策を標準化することで、MAで施策を複製し、効率的に実施することができます。

施策の標準化により、マーケティング活動が統一され、一貫性のあるメッセージやアプローチが提供されます。また、施策間の比較や分析も容易になります。MAのレポーティング機能を活用することで、各施策の効果を定量的に評価し、最適な施策を見つけることができます。

さらに、施策の標準化によってマーケティング活動の効率化が図られます。同じ施策を繰り返し実施する際には、手順や設定を再利用することができるため、時間や手間を削減することができます。また、新たな施策を迅速に展開することも可能となります。

マーケティングオートメーションを導入するデメリット3選

MAの導入にはいくつかのデメリットも存在します。特に、事前に認識しておくべき3つのデメリットについて解説します。

コンテンツが必要不可欠である

見込み客のナーチャリングを成功させるためには、各見込み客の検討段階に合わせた適切な情報を提供することが重要です。そのためには魅力的なコンテンツが必要不可欠です。

見込み客の各層に興味を持ってもらい、メリットを感じてもらえるようなコンテンツを作成するには、それ相応の労力が必要です。コンテンツの企画・制作・配信など、時間やリソースが必要となります。また、MAを活用する際には、コンテンツを効果的に活用する方法や個別の見込み客に合わせたカスタマイズも求められます。

コンテンツは見込み客とのコミュニケーションを支える重要な要素であり、魅力的なコンテンツは見込み客の関心を引き、購買意欲を高めることにつながります。しかし、コンテンツの制作には工数やリソースがかかるため、企業はMA導入の際にコンテンツ戦略を慎重に考える必要があります。

効果を実感できるまでに時間がかかる

MAの効果が現れるまでには、一定の期間が必要です。時間がかかる理由として、まずは接点情報の蓄積が挙げられます。特にCookie情報の紐づけは、メールやWebフォームの反応などによって初めて取得できます。これらの情報を蓄積し、見込み客の行動や興味を把握するためには、一定の期間がかかることがあります。

また、効果を最大化するためには、蓄積された情報を活用した有効な施策を実施する必要があります。適切なタイミングや適切な内容でのアプローチを行うためには、情報の分析やセグメント化、自動化の設定などが必要です。これらの準備や調整にも時間がかかることがあります。

顧客リストのデータ化やクレンジングが必要である

MAを導入すると、過去に名刺交換やメールマガジン登録、問い合わせのあった見込み客の情報をリードとして登録する必要があります。しかし、これまで紙ベースで管理していた顧客情報をデータ化するためには手間がかかります。一つずつ情報を入力していく必要があるため、既存のデータを移行する際にも一定の手間がかかります。

さらに、登録した見込み客情報は時間の経過とともに変化する可能性があります。担当者の異動や組織の変更、退職などにより、担当者名や連絡先が変わる場合があるため、顧客リストのクレンジング(更新)を継続的に行う必要があります。これには手間と時間がかかることを覚えておきましょう。

これらの作業を丁寧に行うことで、正確かつ最新の顧客情報を活用できるようになります。顧客データの正確性と品質を確保することは、効果的なマーケティング活動において重要な要素です。

マーケティングオートメーションを導入・運用する流れ

MAの導入・運用は、マーケティング戦略と連動しながら、顧客データの活用や自動化を進めるプロセスです。具体的な流れを解説します。

課題の洗い出し

まず、現状を把握することが必要です。自社の課題を正確に把握しなければ、効果的な改善策を立てることはできません。例えば、リードの獲得数が少ないのか、リード数は多いが案件化率が低いのかなど、自社の営業に関する課題を具体的に洗い出すことが重要です。

課題の洗い出しには、営業活動の分析やデータの検証、社内の意見交換などを行うことが有効です。課題を明確化し、それに対するMAの導入・運用が求められます。

ゴールの設定

自社の課題を把握できた後は、課題に基づいて導入目的(ゴールの設定)を明確にします。例えば、リード獲得数の増加や案件化率の向上、顧客ロイヤルティの向上など、具体的な目標を設定します。

複数の課題がある場合は、優先順位をつけて一つずつ取り組むことが重要です。ゴールを明確にし、それに向けた施策や戦略を立てることで、MAの効果を最大化することができます。

各種設計

ゴールを設定した後は、MAをどのように活用していくのかを具体的に設計します。

まずは、ペルソナの設計です。ターゲットとなる顧客像を明確にし、その属性や行動パターンを把握します。次に、ICP(Ideal Customer Profile)の設計を行います。理想的な顧客プロフィールを定義し、それに基づいてリードの選別やターゲティングを行います。また、お客様が購入に至るまでのプロセスであるバイヤージャーニーも策定します。顧客が購買までのプロセスで辿るステップやタッチポイントを把握し、それに合わせた施策を展開します。さらに、提供するコンテンツやクリエイティブの策定も重要です。顧客のニーズや関心に合わせた情報やメッセージを提供するためのコンテンツ戦略を構築します。

また、自社の売り方であるレベニューサイクルモデルの検討も必要です。お客様のバイヤージャーニーが進むと、どのステージでどのような収益モデルに遷移するのか、詳細な設計が必要です。これらの設計は、MAの効果を最大化するために不可欠です。マーケティングシナリオを作成し、的確な施策を展開することで、顧客との関係構築や成果の最大化を図ることができます。

詳細はこちらの記事をご覧ください。

セールス&マーケティングの生産性を向上させるMAの全体設計の考え方

導入ツールの選定

導入ツールを選定する際には、次のことを考慮する必要があります。

まずは予算と機能です。自社の予算に合わせながら、必要としている機能が搭載されているかどうかや、機能拡張の可能性を検討しましょう。また、ベンダーの実績や評判も重要な要素です。他社での導入事例や満足度の高いベンダーを参考にして、失敗する確率を下げましょう。

さらに、ベンダーや支援会社のサポート範囲も確認しましょう。導入だけでなく、マーケティング戦略の設計や運用までサポートしてくれるベンダーは、MAの活用を進める上で有益です。

以上の点を考慮しながら、最適なツールを選定していきましょう。ツールの選定はMAの成功に大きく影響します。予算や必要な機能だけでなく、ベンダーのサポート体制や実績を総合的に判断し、自社のニーズに最適なツールを選ぶことが重要です。

ツールの選定については、こちらの記事で詳しく解説しているので是非ご覧ください。

MA選定のコツ4選!成果を上げるツール選びのポイントを徹底解説

運用体制の構築・各種準備

MAの導入・運用の流れにおいては、運用体制の構築と各種準備が重要です。具体的な準備としては、顧客分析やメール配信、申込みフォームの設置、コンテンツ配信などの施策を開始します。これにより、MAツールを活用して効果的なマーケティング施策を展開する準備が整います。

また、運用体制には主にフィールドマーケティング組織と、マーケティングオペレーション(MOps)組織が関わります。フィールドマーケティング組織は事業側に近い立場で、マーケティング戦略の検討や施策の実施を担当します。MOps組織はMAツールの導入・運用やリードデータの管理などを担当します。このように役割分担された体制を整えることで、効果的なMAの運用が可能となります。

ツールの導入

データの連携やツールの実装を行います。データの連携では、既存の顧客データやリードデータをMAと連携させることで一元管理が可能となります。また、ツールの実装では、必要な設定やカスタマイズを行います。

その後、テスト環境を用いて運用や操作のトレーニングを行い、ツールの操作や機能を習得します。さらに、アクションの確認を行い、正しく動作するかを確認します。

他部署との連携

MAの導入・運用において、他部署との連携は重要です。特に営業部門の協力は不可欠です。マーケティング部門だけで運用しても大きな効果は得られません。お互いに役割分担を明確にし、何をどこまで実施するのかを共有しましょう。情報共有を円滑に行いながら、効果検証を続けていくことが重要です。

効果を得るためには、レベニューサイクルモデルを中心に考えていきましょう。リード獲得のフェーズでは、どの施策が最も効果的なのかを検証し、MQLの引渡しポイントを把握します。また、最終的に商談を発生させているリード獲得源(リードソース)を見極めることも重要です。

MAの導入・運用は組織全体の連携が求められます。マーケティング部門と営業部門をはじめ、関連する他の部署との円滑なコミュニケーションと協力を大切にし、共同で成果を最大化するための取り組みを行いましょう。

効果測定

導入後は、実際にMAのシナリオに沿ってフローが正しく流れているかを分析します。この分析によって、コンテンツやシナリオの改善点や課題を把握し、検証を行います。また、結果の分析や運用状況の改善、さらには計画の再構築も繰り返すことが重要です。

効果測定では、レベニューサイクルモデルが重要なポイントとなります。それぞれの施策がレベニューサイクルモデルのどのステージに影響を与えるのかを把握することが必要です。例えば、お問い合わせや展示会、Webの資料ダウンロードなどの施策がどれくらいのMQLを創出するのかを検証します。さらに、MQLからSQLやWON(成約)への転換率を評価し、ボトルネックとなる施策や改善の必要性を特定します。

効果測定を通じて得られたデータと分析結果を基に、MAの運用を改善していくことが重要です。継続的な改善と計画の再評価によって、BtoBマーケティングの成果を最大化することが可能となります。

マーケティングオートメーションにおけるカスタマージャーニー

MAでは、カスタマージャーニーを理解して、それに合わせた施策を展開することが重要です。以下詳しく解説していきます。

そもそもカスタマージャーニーマップとは?

カスタマージャーニーマップ(Customer Journey Map)とは、ターゲットとなる見込み客が自社製品やサービスを認知する段階から発注するまでの過程で、ユーザーの思考や行動を時系列に沿って可視化したものです。カスタマージャーニーマップを作成することで、顧客がどのようなフェーズを経て製品やサービスに辿り着くのかを明確にし、マーケティング戦略の改善や施策の最適化に役立ちます。また、顧客のニーズや課題を把握し、パーソナライズされた体験を提供するための基盤となります。

BtoBの場合には、バイヤージャーニーやバイイングプロセス、購買プロセスとも呼ばれます。見込み客の思考面よりは、法人がサービス・物を購入(契約)する際の一連のプロセスを棚卸しして、時系列に沿って可視化していく手法です。顧客中心のマーケティング戦略を実現し、顧客のエンゲージメントとロイヤルティの向上に繋げることができます。

バイヤージャーニーの意味は?基礎知識や活用例・メリットも紹介

カスタマージャーニーマップが必要な理由

カスタマージャーニーマップが必要な理由には、以下の3つが挙げられます。

1.ユーザーの心理・行動を把握するため
カスタマージャーニーマップは、顧客の心理状態や行動を可視化するツールです。ユーザーのニーズや課題を深く理解し、その状況に応じたマーケティング施策を打つことが重要です。それによって、マーケティング活動の効果を最大化し、顧客との関係構築を図ることができます。

2.ユーザーの検討度合いや心理に合わせた情報提供が必要
カスタマージャーニーマップは、顧客が購買プロセスのどの段階にいるのかを明確に示すものです。それに基づいて、ユーザーに適切な情報を提供し、購買の検討を促すことができます。適切な情報提供は、顧客の購買意欲を高め、信頼を築くために欠かせません。

3.売り手とユーザーの視点の統合が必要
カスタマージャーニーマップは、売り手側の視点だけでなく、ユーザーの視点も含めたマーケティング施策の展開を可能にします。顧客の視点に立ち、彼らのニーズや期待に応えることで、顧客満足度を向上させることができます。

カスタマージャーニーマップを作成する流れ

カスタマージャーニーマップを作成する流れは以下の通りです。

1.ペルソナ設計
ターゲット顧客の特性や属性を把握し、ペルソナを作成します。ペルソナは、具体的な顧客像をイメージするための架空の人物です。

2.フェーズの想定
カスタマージャーニーマップでは、顧客の購買プロセスをフェーズごとに分けて考えます。顧客が認知から購入までどのようなフェーズを経験するのかを想定します。

3.導入フローの想定
各フェーズにおける顧客の行動やタッチポイントを把握し、顧客がどのようにマーケティング施策に触れるのかを予測します。

4.行動の想定
各フェーズでの顧客の具体的な行動を予想します。例えば、情報収集やデモリクエストなどの行動を想定することで、適切な情報やコンテンツを提供することができます。

5.思考や感情の想定
カスタマージャーニーマップでは、顧客の思考や感情も考慮します。顧客がどのように考え、感じるのかを理解することで、より効果的なマーケティングメッセージを作成できます。

6.求める情報と具体的なコンテンツの想定
各フェーズでの顧客の求める情報やニーズを把握し、それに応じた具体的なコンテンツを準備します。例えば、ホワイトペーパーやケーススタディなど、顧客が役立つと感じるコンテンツを提供します。


さらにBtoBの場合には、ペルソナだけでなくICP(Ideal Customer Profile)の設計も重要です。ICPとは理想の顧客像を表し、ターゲットとする企業や組織の特徴を示します。ペルソナとICPを組み合わせることで、より具体的なカスタマージャーニーマップを作成することができます。

マーケティングオートメーションにおけるシナリオ設計のポイント

MAにおけるシナリオ設計のポイントについて解説します。

ペルソナ設計にこだわる

ペルソナとは、自社がターゲットとする「お客様像」を指します。
BtoBの場合は、企業像と人物像の両方を考慮する必要があります。企業の業種や規模、役職、業務上の課題やニーズなどを把握し、ターゲットとなる顧客の特性を具体的にイメージしましょう。

ペルソナに基づいてシナリオを設計することで、より効果的なマーケティング活動を展開することができます。

ペルソナとは?マーケティング部門であらためて知っておきたい基礎知識

カスタマージャーニーを策定する

カスタマージャーニーとは、顧客が購入に至るまでの道のりや心理的な過程を表したものです。ペルソナが購買フェーズを進む際に抱える課題や必要とする情報を考え、それに基づいてシナリオを設計します。

カスタマージャーニーを策定することで、顧客の心理や行動を理解し、適切な情報やコミュニケーションを提供することができます。これにより、顧客の購買意欲を高め、効果的なMAの展開が可能となります。

見込み客とのコミュニケーション施策を設計する

以下の点に考慮して、コミュニケーション施策を設計していきます。

1.カスタマージャーニーを基に設計
カスタマージャーニーマップを基に、見込み客にとって価値のあるコンテンツやクリエイティブを提供するタイミングを考えましょう。

2.適切な情報提供
見込み客が求める情報やニーズに合わせて、適切なコンテンツを用意しましょう。問い合わせフォーム、資料ダウンロード、デモ依頼など、アクションを促す施策も考慮しましょう。

3.複数人の購買関与者を考慮
特にBtoBの場合、購買に関わるのは1人だけではありません。異なる役割やニーズを持つ購買関与者に対しても、適切な情報やコミュニケーションを提供する設計が重要です。

PDCAサイクルを回していく

シナリオ設計は一度で終わらず、継続的な効果検証と改善が必要です。PDCA(Plan-Do-Check-Act)サイクルを回し、データの収集と分析を通じて改善点を特定しましょう。シナリオの最適化を図り、常に変化する市場と顧客ニーズに対応し続けることが重要です。

いきなり高度なシナリオを作り込む必要はない

いきなり高度なシナリオを作り込む必要はありません。特に導入が初めての場合は、シンプルなシナリオ設計から始めることをおすすめします。基本的なフローを構築し、効果を測定しながら徐々に改善していくことが重要です。導入後のデータや顧客の反応を基に進化させることで、より洗練されたシナリオを作り上げることができます。高度なシナリオは段階的に導入し、成熟度に合わせた設計を行いましょう。

マーケティングオートメーションの導入を失敗させないためのコツ

MAの導入を失敗させないためのコツについて解説します。

まずは自社のマーケティング活動を振り返る

まず自社のマーケティング活動を振り返ることが重要です。
以下の順番で振り返ります。

  1. 現状の把握:自社が行っているマーケティング施策やその成果を整理しましょう。
  2. 課題の特定:改善や効率化が必要な領域を見つけましょう。
  3. プロセスの整理:MAの導入によってどのようなプロセスを改善できるかを考えましょう。
  4. ゴールの設定:MAを活用することで達成したい目標やKPIを明確にしましょう。

自社のマーケティング活動の振り返りを通じて、MA導入の方向性や必要な改善点を把握することが重要です。詳細な解説はこちらの記事でご確認ください。

なぜMA導入が失敗するのか?5つの理由

自社の人的リソース、知識レベルを確認しておく

自社の人的リソースと知識レベルの確認が重要です。まず、導入に必要なリソースを社内で確認しましょう。どれくらいの人員が運用に参加できるのか、どの部門から協力を得られるのか、また、運用を担当する人々のWebマーケティングの知識レベルを把握しましょう。

不足しているスキルや知識がある場合は、教育やトレーニングの計画を立てます。自社の人的リソースと知識レベルを把握することで、適切なツール選定や効果的な運用が可能となります。

ツール提供会社のサポート範囲を確認しておく

ツール提供会社のサポート範囲を事前に確認することが重要です。導入するツールの提供会社によってサポート体制が異なるため、誰がサポートを担当するのか、どのような方法でサポートが提供されるのか、そしてどの範囲までサポートしてもらえるのかを把握しましょう。適切なサポートが受けられることはトラブル解決や効果的な運用につながります。

コンテンツの制作体制を整えておく

コンテンツの制作体制を整えることが重要です。運用中には必ずコンテンツ制作のニーズが生じます。内製できる場合は、コスト削減や自社の専門性の発揮につながるため、理想的です。難しい場合は、制作会社に一部外注する方法もあります。コンテンツ制作においては、戦略的な企画やクオリティの確保が重要です。

ホットリードの定義を明確にする

MAの導入で失敗しないためには、ホットリードの定義を明確にすることが重要です。多くの企業では、マーケティングと営業の分業体制が導入されています。そんな中、MAを導入して運用を始めると、マーケティングがホットリードを創出しても、営業がアプローチしないまま放置されるケースが見受けられます。

マーケティングと営業の間に溝ができている状態です。このような状態は、各部門間でのリードの定義やホットリードの定義が明確に決められていないため起こります。MAの設計はマーケティング部門だけでなく、営業部門と十分に協議し、リードの定義やホットリードの定義を決定する必要があります。

マーケティングオートメーションを比較する際のポイント

MAを比較する際のポイントについて解説します。

BtoB向けかBtoC向けか

BtoB企業とBtoC企業では、重視すべき機能が異なります。BtoB企業では、リードナーチャリングに重点を置いたツールが適しています。メール配信や有望度合いによる絞り込みなどが重要です。
一方、BtoC企業では、メールや電話だけでなく、アプリやSNSなど様々なチャネルでの接触履歴を一元管理できる機能に重点を置いたツールが適しています。

比較する際には、自社の業態や目的に合った機能を重視し、それに基づいてツールを選択することが重要です。

自社の目的を達成するために必要な機能を備えているか

ツール選定の際、機能の多さに目が行きがちですが、重要なのは自社の課題を解決できるツールを選ぶことです。必要な機能は企業ごとに異なります。

必要な機能を考える際、短期的な課題を解決する機能(LP作成やステップメール配信など)だけに焦点を当てないように注意しましょう。中長期的な戦略設計の観点から、自社で実現したい体制や仕組みを構築できる機能を備えているかどうかが最も重要です。MAは入れ替えが容易ではないため、慎重な選定が必要です。

資産情報となるCookie情報や、アクティビティログの永続性、他のツールとの連携性(特にSFAとの連携など)も考慮すべき要素です。大手グローバル企業の場合、GDPRに準拠したリード管理や多部門での利用者ガバナンスなども注目すべきポイントです。MAのリプレースは資産のリセットに相当するため、将来性を見越してツール選定を行うことが重要です。

自社のリソースに合っているか

MAを運用して成果を出すためには適切なリソースが必要です。検討中のツールを自社のリソースで使いこなせるかどうか、使えない場合には外部のリソースを確保する余裕があるかを比較することも重要です。

自社のリソースには、運用担当者の人数やスキルセット、時間的な制約などが含まれます。ツールの導入だけでなく、効果的な運用や改善を継続的に行うために必要なリソースが揃っているかを慎重に評価する必要があります。

また、外部のリソースを活用する場合には、そのコストや契約期間などを考慮する必要があります。ツールとの連携やカスタマイズに関する技術的なサポートやコンサルティングサービスなど、外部の専門家やパートナーを活用することで効果的に運用できる場合もあります。

サポート体制が充実しているか

MAの導入後、使いこなせずに投資した工数や費用が無駄になるなど、マーケティングに対するネガティブな印象を抱いてしまうことは避けたいです。そのためには、サポートが充実しており、問題や疑問が生じた場合に迅速かつ適切なサポートを受けられる体制が重要です。ツール提供会社のサポート体制やカスタマーサポートの品質を確認しましょう。

自社と似たような企業が導入しているか

自社と同様の事業内容や規模の企業がMAを導入しているかどうかは、ツール選定の良い指標となります。なぜなら、同様の事業を展開している企業は、類似した見込み顧客の管理やマーケティング、営業の課題や戦略を抱えている可能性が高いからです。

そのため、自社と似たような企業が導入しているツールは、自社のニーズに合致しやすく、効果的なマーケティング活動を実現するための機能や機能性が備わっている可能性が高いと言えます。他の企業の導入事例や成功事例を参考にすることで、自社のツール選定の基準や導入戦略を見つけることができます。

おすすめのマーケティングオートメーションツール比較3選

これらのツールはBtoBマーケティングにおいて優れた機能と使いやすさを提供しています。選定する際は、自社のニーズや目標に合わせて最適なツールを選びましょう。

Account Engagement(旧Pardot)

Account Engagement(旧Pardot)はセールスフォース社が提供しているマーケティングオートメーションツールです。同社の得意とするSFAとの連携が強みであり、営業活動にマーケティングを効果的に組み込むことができます。

Account Engagement(旧Pardot)とは?機能やメリット、使い方の手順を紹介

Adobe Marketo Engage

Adobe Marketo Engage(マルケト)は、39ヵ国・6,000社以上が導入しているマーケティングオートメーションツールです。2006年にアメリカで創業し、2014年に日本での営業を開始しました。Marketoはあらゆるマーケティング機能を集約したプラットフォームであり、圧倒的な導入実績を誇っています。

MAツール「Marketo(マルケト)」とは?特徴や事例を解説

Hubspot

HubSpotは、BtoBマーケティングにおいておすすめのマーケティングオートメーションツールです。この統合型のプラットフォームは、多彩な機能を備えており、リード管理からサイト構築、スケジュール設定などの機能に強みを持っています。特に商談型ビジネスに適しています。

HubSpot(ハブスポット)とは?特長や機能を徹底解説

マーケティングオートメーションにおけるKPI・KGI

MAを活用して効果的なマーケティング活動を行うためには、適切なKPIとKGIを設定し、定期的な評価と改善を行うことが重要です。詳細について解説します。

そもそもKPI・KGIとは?

KPI(Key Performance Indicator)は、「重要業績評価指数」という意味で、ゴールへの進捗を表す指標と言えます。一方、KGI(Key Goal Indicator)は、「重要目標達成指標」という意味で、簡単に言えば「目指すべきゴール」のことです。

KGIは組織やプロジェクトの最終的な目標を示し、KPIはその目標に向かって進捗を測定するための指標です。KGIとKPIを設定することで、目標達成の進捗状況を明確に把握し、適切な対策や改善策を打つことができます。

MAのKPI例

MAにおけるKPIの例としては、マーケティング活動が創出した商談数やステータスアップ数、ランクアップ数などが挙げられます。

まずは、マーケティング活動のKPIとKGIを設計することが重要です。設計する際には、最終的な目的である売上をKGIとして、見込み客から受注までのステージごとの遷移数や遷移率がKPIとなります。過去の受注数やリード獲得数を参考にし、リード数から受注までの数値を算出し、目標とのギャップを確認します。会社の目標を達成するためには、必要なリード数や受注数を逆算し、それを達成するための施策を検討する必要があります。

MAは、効果的なKPI設定とそれに基づく改善活動を行うことで、マーケティング活動の効果を最大化することができます。常に目標に向かって進捗を測りながら、適切な施策を展開していくことが重要です。

売上目標からの逆算の例

KPIを改善するコツ

KPI(Key Performance Indicator)を改善するためにはいくつかのコツがあります。

まず、KPIを達成するためには目標数字から逆算して必要な行動を計画することが重要です。新規獲得リード数の場合、例えば昨年出展した展示会に今年も出展するのではなく、目標のリード数を達成するためにはどの展示会に出展する必要があるのかを根拠に考えましょう。

また、マーケティングとセールスの間でボトルネックが生じている箇所を特定することも重要です。MAを活用して、ステージごとのリード数や転換率を可視化して、問題のある箇所を特定しましょう。そこから改善すべきポイントを見つけ出し、次の一手を考えていくことが必要です。

KPIの改善は継続的なプロセスであり、データに基づいた分析と改善策の実施が重要です。MAの機能を活用し、正確なデータを収集し分析することで、効果的な改善策を見つけ出すことができます。

まとめ

マーケティングオートメーション(MA)は「獲得した見込み客情報を一元管理し、見込み客の獲得、育成、選別そして営業案件を生み出すまでの煩雑なマーケティング活動を補完するための仕組み、ツール」です。しかし、これから取り組みたい方にとっては、何から始めれば良いのか迷うことが多いでしょう。そこで、具体的な始め方や最大限活用するための方法が分かるホワイトペーパーを紹介します。

ワンマーケティング株式会社は、10年以上にわたりMAの導入と推進を支援してきた企業です。提供するホワイトペーパーでは、実践的なマーケティングオートメーションの手法やノウハウが詳しく解説されています。

MAを活用することで、顧客へのターゲティングやリードの育成、セールスとの連携など、効果的なマーケティング施策を展開することが可能です。ホワイトペーパーを通じて、具体的な実践方法を学び、BtoBマーケティングの成果を最大化しましょう。

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