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一から学ぶBtoBサイトでの「分析×継続改善」の実現 第5回:データを時間軸と分割軸で見て気付きを発見することの大切さ

データから気付きを発見するための二つの軸

データはただ眺めていても気付きを発見することができません。例えば以下はあるサイトのデータです。

この数値だけでは、サイトが良い状態なのか悪い状態なのかわかりません。そこで、今回紹介する「時間軸」「分割軸」の2つの軸を使いながら、ウェブサイトの現状を過去のデータから発見しましょう。気づきの発見がサイト改善のヒントに繋がります。

時間軸でデータを見る

先ほどのデータに1つデータを追加してみました。以下のような形になります。

さて、今回はどのような気づきがあるでしょうか?

4 月と比較して、 5月の方が数値が改善されていますよね。なぜ上がったのかという要因は考えないといけませんが、少なくとも先月と比較して数値が伸びていることは間違いありません。では、もう1つデータを追加してみましょう。

前年同月の数値を追加してみました。さて、今回はどうでしょうか?良いと思えた2016年5月の数値ですが、 1年前と比べると、減少していることが明確にわかります。中長期的には減少のトレンドなどかもしれません。

このようにデータを時系列でみる事で気付きを発見することが出来ます。データを期間で見るだけではなく、様々な「粒度(細かさ)」で見ることで気付きを発見できる場合もあります。

以下はある BtoB サイトの訪問数のデータになります。

約3年分のデータを月単位と週単位で表示しています。さて、このデータからどのような気づきが考えられるでしょうか?考えてみましょう。

まず、上の月のデータですが、全体的には伸びている傾向であることがわかります。前年同月の数値を比較していると、基本的には増加している場合がほとんどです。順調に訪問数を獲得していると言えそうです。また特定のタイミングで訪問が伸びやすい期間があることがわかります。こちらは主に11月~1月辺りが該当します。

実はこの会社はヒーター関係の製品を取り扱っている会社です。スキーや電車内にある椅子を温める装置や、宅配ピザのバイクの箱内で使われる保温ヒーターを作っています。そのため、秋から冬に向けて需要が上がる傾向があり、サイトへのアクセスも増えます。つまり、このタイミングで訪問数が増えるのはトレンドに則ったもの(=想定通り)とも言えます。

では、週単位の方も見てみましょう。データに定期的な「谷」があることがわかります。不定期に訪問回数が半分くらいになっていますね。タイミングを詳しくて見ていくと、年末やゴールデンウィーク、お盆などの大型連休に合致します。先ほど記載した通り、ヒーター関係の製品を取り扱っているので、購入するのは一般消費者ではなく企業になります。したがって企業がお休みの時には、訪問回数が減ることは自然です。これもトレンド通りの値と言えそうです。

最後に年末年始のタイミングを見てみましょう。 2011 年・2012 年・ 2013 年と3 回の年末期間があります。 2011 年と2012 年の年末では、訪問回数が一度落ち込んだ後に、元の数値より高い状態で 1 月の第2 週に訪問があります。しかし、 2013 年は訪問回数が一度落ち込んだ後に、元の数値あたりまでしか戻ってきていません。

これは過去 2 年間から考えると違った傾向と言えるのではないでしょうか。本来であれば 2013 年1 月の第 2 週は最もアクセス数が多い週になるはずです(4,000訪問くらいが期待できたはず)。この傾向は「トレンドから外れた値」になります。トレンドから外れることには必ず原因があります。その原因が特定できれば、サイト改善に活かすことが出来るのではないでしょうか?

そして、この数値の想定外の減少は意外な原因でした。毎年、この会社の社長がお取引先である企業に年賀メールを送っていたのですが、この年は送っていなかったのです。年賀メールには挨拶と、新製品やサービスの紹介をしていました。しかし、これを忘れてしまったため、サイトに訪れる訪問数(=企業数)が減ってしまったのです。

トレンドを見ることで、サイトにおける規則性や特異点(=想定から外れた値)を発見することができます。これらを発見して、分析することがサイト改善のヒントに繋がります。

もう1つ事例を見てみましょう。こちらは Google が無料で提供している「Googleトレンド」というサービスです。キーワードを入れると、その検索回数の推移を(相対的)に確認することができます。

では、早速使ってみましょう。

青=コンテンツマーケティング
赤=マーケティングオートメーション
黄=オウンドメディア
緑=キュレーションメディア
紫=バイラルメディア

横文字ばっかりで恐縮ですが、マーケティング及びメディアを含むキーワードで昨今話題になったものを追加してみました。着実に伸びているもの、横ばいになっているもの、一時的に話題になったけど減少が早かったものなど、それぞれの特徴が良く出ているのではないでしょうか。

Googleトレンドは業界のトレンド把握にも非常に便利なサービスです。検索回数が少ない場合は結果が出てこないこともありますが、ぜひ皆さんも自分の業種や業種に関連するキーワードを入れて傾向を把握してみましょう。より詳しく検索回数などをワード単位で取得したい場合はGoogle アドワーズの「キーワードプランナー」もおすすめです。

分割軸でデータを見る

時系列でのデータの見方を紹介してきましたが、今度は「分割軸」で見る方法を紹介いたします。先ほどのサイトのデータをデバイス別に分けてみました。

単体ではわからなかった気付きが発見できるのではないでしょうか。モバイルの方が訪問回数は多いものの、お問い合わせ率は低いことが分かります。このようにデータを分割し、違いを浮き立たせることで気付きを発見することが可能です。

筆者が良く利用する4つのセグメントは以下の通りです。

アクセス解析ツール Googleアナリティクスには「セグメント」というまさに名前通りの機能があり、様々なセグメントを作成することが出来ます。

先ほどの表の4番目で紹介した「特定の遷移を行った」の場合は、以下のようなセグメントを作成したりしています。

セグメントを作成することで数値の違いを発見することが出来ます。

最後に1つ例を紹介いたします。こちらは男性向けの装飾品を販売しているサイトです。サイトへの訪問を「男性」と「女性」で分けた場合のデータになります。以下からどのような気付きや仮説が考えられますか?

このデータからはたくさんの気付きを発見することが出来ます。まずわかりやすいところでいくと、訪問回数は男性の方が多いのですが、トランザクション数(購入回数)は女性の方が多く、コンバージョン率も倍近く (0.11% vs 0.21%) 違うということです。

また、新規率を見ると女性の方が高く、男性の方が訪問頻度は高いと言えそうです。また、ページ/セッションや滞在時間など、サイト内での回遊度合いを示す指標は男性の方が高いという傾向が出ています。

男性向けの装飾品を販売しているサイトがこのような傾向を示すという事はどういう内容が考えられるでしょうか?可能性としては「男性は興味を持ってサイトに定期的に訪れている。カタログ的に見ているので、購入率は必ずしも高くない」「女性は男性用装飾品などの普段はサイトに来ないが、プレゼント目的で新規にサイトに訪れ、購入する商品が決まっているため、あまりページや時間をかけずに商品を購入している。そのためコンバージョン率や新規率が高くなる」といったあたりでしょうか。

これを更に検証するのであれば、トレンドを活用してプレゼントシーズン(例:クリスマスやホワイトデーなど)に女性の訪問数やコンバージョン率が増えるかを確認してみるとよいでしょう。ちなみにこのサイトの場合は、実際にそのような傾向があります。

時間軸と分割軸を活用することで性別の行動の違いを把握することが出来ました。ここまで来れば、サイト内で行える施策も想像つきやすくなるのではないでしょうか。

最後に

今回はデータを分析する方法を紹介いたしました。データはただ眺めるのではなく、どう料理するのかが大切になります。ぜひ、時間軸と分割軸を皆さんのサイトの分析に使ってみてください。次回は分析に基づいた改善施策の考え方を紹介していきます。お楽しみに!

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