BtoB企業のマーケ担当者が順守すべき法律

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ライターやデザイナーへの発注も下請法の対象となる

下請法という法律をご存知ですか?

正式名称を「下請代金支払遅延等防止法」といい、もともとは力の弱い中小製造業を守るための法律で、下請事業者の利益保護と取引の公正化をはかるためのものです。
この法律では、親事業者の義務や禁止事項を定めています。

下請代金支払遅延等防止法:中小企業庁

“下町ロケット”というドラマでは、大手企業との取引に苦労する町工場が舞台でした。そこで中小企業庁では、ドラマの主人公である佃製作所の佃社長(阿部寛)を登場させたポスターを作成し、取引の適正化をPRしています。

下請法の対象は、製造業だけではありません。下請法が2003年に改正されたことにより、製造だけでなく、プログラム等の情報成果物作成委託取引や役務(サービス)提供委託が新たな対象となりました。

例えば、プログラムやツールを作成しているITベンダーやウェブメディアの会社が、他の会社にプログラムの外注や原稿依頼をする場合、下請法の対象となります。設計図やデザインも含まれますので、販促用のポスター、チラシなどの作成をデザイナーやライターに委託する場合も下請法の対象です。

資本金が1,001万円以上なら親事業者になる

マーケティング担当者が販促用チラシを外部に発注し、自分の仕事が忙しいからと発注先との打ち合わせをおざなりにしていると、想定していたものと違うチラシが出来上がってくることもあるでしょう。この時、発注先に「やり直してこい」と言ってしまうと、それが下請法で定める受領拒否にあたるおそれが十分にあります。

わが社は大手企業ではないから下請法とは関係ないと考えていると、こちらも大間違い。情報成果物作成・役務提供委託では、1,000万円を超える資本金をもつ会社が、個人事業を含む資本金1,000万円以下の中小企業へ発注すると親事業者として扱われます。自社の資本金が1,001万円以上なら要注意です。

大手製造業で購買部門に配属されると、まず教育されるのが下請法です。
ところが法律改正に気がつかず、製造業以外の企業では教育していないケースがほとんどで、自分の行為が下請法の対象となると認識していない担当者が多いのが実態です。公正取引委員会では、個人事業主などに対して、チラシ作りや原稿作成などの契約で違反行為がないかアンケート調査が行われています。

ブランド名、サービス名を考えたらまず商標登録

商標とは文字、図形、記号、立体的計上、色彩、音など人が知覚できるものが対象です。立体や音などが新たに商標に付け加えられ、正露丸のCMで使われているラッパの音も商標になっています。

商標権には専用権と禁止権があり、商標をおさえると独占排他的に使うことができます。商標をとらず大々的な宣伝をして売り出した途端に商標違反を指摘されると、ブランド名を変更して、また一からマーケティングを始めなければなりません。新しいブランド名やサービス名を考えたなら、マーケティング担当者は、まず商標を検索して使われていなければすぐ登録しましょう。

もうひとつ、不正競争防止法もあります。有名な商品と類似の名前をつけると不正競争に該当します。北海道のお土産で有名な“白い恋人”に対して、吉本興業が“面白い恋人”を販売しましたが、商標権侵害、不正競争防止法違反で裁判となったことがありました。
(※現在では和解して、新大阪駅などで関西のお土産として売られています。)

営業秘密と認められるには条件がある

不正競争防止法では、営業秘密が侵害されると罪に問われます。実際に、リストラされた日本の技術者が韓国企業に引き抜かれて営業秘密にしていた製造技術を韓国企業に渡し裁判が起きています。

ただ、営業秘密と認められるには3つの条件が必要です。

まず「秘密として管理されていること」。例えば、マル秘マークをつけて施錠した棚に書類をしまい、デジタル情報ならパスワード設定してフォルダーにいれなければなりません。
併せて「有用な技術上または営業上の情報であること」、「公然と知られていない非公知性」が条件として必要となります。

営業秘密を管理する以前に、電車のスマホでの会話や飲み屋での会話で取引先名が出てくるシーンをよく見かけますが注意が必要です。また机の一番上の広い引き出しは空にするのがファイリングの基本です。トイレや昼食に行く時に机の上の機密書類を保管するためのもので、これが本当のクリアデスクとなります。

著作権に気を配りましょう

マーケティング担当者が気を配らないといけないのが著作権です。
東京五輪の公式エンブレムや“ゆるキャラ”のデザインなどでもよく話題となる権利です。

著作権は、登録しなくても創作した時点で権利が発生します。著作者本人がもつ権利に著作財産権があり、譲渡や相続ができます。著作財産権とは無断で“~をさせない”権利で、無断で複製させない、無断で放送、アップロードさせない、無断で譲渡させない、無断で翻訳させないといった権利となります。
自社で作るデザインやキャラクターなども著作権になりますが、デジタル社会ではコピーが簡単にできますので、他の著作物をコピーしていないかというチェックが必要です。
大学では学生のコピペした論文が多いため、コピペチェックツールが必須になっています。チラシや原稿を外部委託する場合は、第三者の著作物を使っていないという一筆を契約書に入れるようにしましょう。

キャンペーンの景品の額には制限がある

景品表示法という法律があります。よく販促のためにノベルティをつけてキャンペーンを実施したりしますが、上限額が景品表示法(不当景品類及び不当表示防止法)で規制されています。

景品表示法には不当な表示の禁止が定められており、マーケティング担当者としては、こちらにも注意しなければなりません。

例えばチラシに“この近辺で一番安い店”と表示していても、周辺のお店を価格調査しておらず、根拠がなければ、誤認を与えると判断されます。
“今なら30%引きキャンペーン中”ではダメで、キャンペーンはいつまでかを明記しなければなりません。“1時間100円”と書かれた駐車場に休日に車を止めたら、5時間で5,000円とられ、実は料金表示の下に小さく“平日のみ”と書かかれているようなケースは打ち消し表示となり、消費者が分かるように大きく書かなければなりません。

マーケティング担当者としては、キャッチコピーや文章を書く時に景品表示法も考慮する必要があります。

取引先のインボイス対策が必要

消費税法にも注意を払いましょう。

2023年から消費税の仕入税額控除の計算がインボイス方式(適格請求書等保存方式)となる予定です。インボイスとは、課税事業者が発行する請求書のことで、インボイスに記載された税額のみが控除できる方式に変わります。

例えば、チラシやデザインを外部委託している先が個人事業主や小規模企業で免税事業者が多いのなら、登録事業者(課税事業者)となり、インボイスを発行してもらわないと仕入に対する税額控除を受けられなくなります。経過措置が用意される予定で、まだ時間的猶予はありますが、個人事業主や小規模企業には、インボイスという言葉自体がほとんど知られていないので、マーケティング担当者としては折にふれて注意喚起した方がよいでしょう。

まとめ

今回は、BtoB企業のマーケティング担当者が順守しなければならない法律と注意点について記載しました。
中には知らなかった内容も含まれているかもしれません。
必要な知識の一つですので、業務を行う際の注意点として、改めてご確認いただければ幸いです。

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