
リード獲得で終わらない、売上に貢献する「デマンドジェネレーション」の構築術と実践事例
目次
デマンドジェネレーションとは?
「デマンドジェネレーション」は新規案件創出などと呼ばれ、見込み客の集客から営業に引き渡して案件を生み出すまでの活動全般を指すマーケティング用語です。
広告の出稿やオフライン・オンライン展示会への出展など、リード獲得に積極的に取り組んでいるマーケターや営業担当は多いと思います。
しかし成約までに長い期間が必要なBtoB領域では、リード獲得後の育成施策や営業とマーケティングの連携が非常に重要で、集客に加えて案件創出までを行うデマンドジェネレーションが特に重視されています。
本記事では、BtoB企業の販促活動においてデマンドジェネレーションが必要とされる背景から、構築に必要な考え方まで解説をしています。
BtoB企業の購買活動の特徴と攻略のポイント
獲得したリードの75%はイマスグ客ではない
広告出稿・展示会への出展・ウェビナー・資料ダウンロードなど様々な経路で獲得したリードですが、その大多数は獲得時点ですぐに購買を検討するタイミングにはいません。
下記の図は、見込み客のタイミングを3つに分けたものです。
獲得時点では、およそ75%のリードは「ソノウチ客」「イツカハ客」に分類され、すぐに購入を検討している「イマスグ客」ではないと言われています。

※1 https://www.act-on.com/whitepaper/lead-nurturing-5-and-10/
購買活動は繰り返す
企業が何か購入を検討する際には、情報収集担当者・部内決裁者、最終決裁者など、購買に関与する関係者が多いという特徴が挙げられます。
すると、関与者の影響や社内での優先順位の変化によって、「購買検討開始→検討を一時中断→検討を再開」のような検討がよく起こります。
一度接点を持ったリードのうち、実に8割が2年以内に自社もしくは競合から製品やサービスを購入しているというデータもあり※2、企業の購買活動は何度も繰り返される傾向にある、ということが言えます。

※2 https://www.siriusdecisions.com/Blog/2012/Jun/Making-the-Case-for-Teleprospecting.aspx
購入先候補に選定されるのは3.8社のみ
従来、見込み客は営業と接点を持ちながら「興味をもって情報収集・購入候補先の選定・比較・購入」といった購買プロセスをたどっていました。
しかし、インターネットやパソコン・スマートフォンの普及により誰もが手軽に情報収集ができるようになったことで、営業と接点を持つ前から自ら情報収集を進めることが可能になりました。現在は購入先の候補がある程度決まった上で営業と接点を持ち、比較・購入するといった購買プロセスへと変化しています。
当社が調査したバイイングプロセス調査レポートによると、営業が接点を持った段階ですでに購入先の候補が決まっているという見込み客の割合は76%、平均で3.8社を候補として選定しているということが明らかになりました。

企業購買担当者600人アンケート!バイイングプロセス調査レポート
https://pages.onemarketing.jp/WF-download14_buying_process.html
BtoB企業を攻略するための2つのポイント
BtoB企業の購買活動の特徴を踏まえると、BtoB企業を攻略するためのマーケティングとセールスのポイントには、以下の2つが挙げられます。
1つ目は、中長期的にアプローチを継続することです。
獲得したリードの75%はすぐに購入を検討していませんが、その中から将来的に購入を検討する可能性があるリードは一定数存在します。
そのため、最初に接点を持ったタイミングで「今は検討していない」という未案件状態だったとしても、タイミングがくるまで継続的に接点を持ち続けることで、将来的に案件化を成功させる可能性が上がります。
また、案件化したはいいが先方事情による購買活動の一時中断によって一度失注したとしても、将来的に購入検討を再開する可能性は高いため、そのタイミングが来るまで中長期的に接点を持ち続けることが重要です。
本当の購買のタイミングを逃さないためには、中長期的なアプローチを継続することが求められます。
2つ目のポイントは、見込み客が検討を本格的に開始する前の段階から接点を持つことです。
前述した通り、営業が接点を持った段階ですでに購入先の候補が決まっているという見込み客の割合は76%、平均で3.8社を候補として選定しているということが明らかになっています。
まずは購入先の候補に選定されなくては、営業が提案すらできない不戦敗に陥ってしまいます。
検討を本格的に開始するより早い段階から接点を持ち続けることで、購買を検討したタイミングで声をかけてもらえるような見込み客との関係性を構築しておくことが重要なのです。
デマンドジェネレーションの必要性と構築に必要な要素
営業主導の限界
検討が本格化する前から接点を持ち、かつ中長期的にアプローチを継続することが重要ですが、御社のセールス・マーケティング組織はこれらを実施しているでしょうか。
集客から受注・受注後のアフターフォローまですべてを営業が担っている、もしくは集客フェーズのみをマーケティングが担当し、残りの大部分を営業が担っているという企業も少なくないのではないでしょうか。
このような状況では多くの場合営業側のリソースが足りず、管理も徹底できないため、購買がイマスグではない検討初期の見込み客と接点を持つことも、中長期的にアプローチを継続することも困難になってしまいます。
すると、下記の図のように見込み客が購買を検討しているタイミングで接点を持てず、せっかくの提案機会を損失してしまうのです。

「デマンドジェネレーション」では見込み客の集客から営業に引き渡して案件を生み出すまでのフェーズを明確化し、営業が見込み客と接点を持ち始める基準地点の設定や、フェーズ毎に最適化した施策を打ちます。
デマンドジェネレーションを構築することで、機会損失を防ぎ、営業効率を上げて、売上の最大化を目指すことができるでしょう。
デマンドジェネレーションを構成する要素と部門による役割分担
デマンドジェネレーションを実施するにあたっては、従来の集客・営業のフェーズに加え、「育成・選別・リサイクル」の3つのフェーズを加える必要があります。
そして、大部分を営業が担うのではなく、マーケティングや可能であればインサイドセールス部門も立ち上げることで、育成・選別・リサイクルのフェーズを担う体制を構築していきます。

・集客…自社の顧客になりうる見込み客を獲得するフェーズ
・育成…検討が本格化する前の初期段階から接点を持ち続け、信頼関係構築と購買意欲醸成を行うフェーズ
・選別…営業が接点を持つべき見込み客を選別するフェーズ
・営業…契約成立に向けてクロージングを行うフェーズ
・リサイクル…アプローチが成功せず未案件・失注した後でも、将来的なタイミングを逃さないために再度育成に戻すためのフェーズ
集客-リードジェネレーション-
ここからは、デマンドジェネレーションを構成する各フェーズの構築ノウハウを順に説明いたします。
集客はマーケティングとセールス活動の最初の部分で、自社の顧客になりうる見込み客を獲得するフェーズです。
主な集客手法と特徴
集客には様々な手法がありますが、主な手法と特徴は以下のように整理することができます。
1. 広告
予算に応じた展開が可能で、即効性があります。一方、費用をかけ続ける必要がある点や、出稿する広告の種類によっては自社サービスと相性が合わず、ジャンクリードが多くなってしまうデメリットもあります。
2. WEBコンテンツ
ホワイトペーパーやコラムといったWEBコンテンツは、一度制作をすれば半永久的に見込み客を獲得し続けることができます。しかし即効性は弱く、ある程度の量のWEBコンテンツが必要な点やSEO対策も必要なので、成果として目に見えるようになるにはすこし時間が掛かってしまいます。
3. オフライン・オンライン展示会
展示会は一度の出展で多数のリードを獲得できる強力な集客施策です。
しかしその分コストも膨大にかかることが多いため、どの展示会に出展するのかをいかに見極めるのかが展示会成功のポイントと言えるでしょう。
4. セミナー / ウェビナー
社内リソースのみで実施することも可能で、低コストかつ取り掛かりやすいのがセミナーやウェビナーの特徴です。しかし新規リードの獲得数は少ない傾向にあり、動きのない既存リードを活性化させるための育成施策に向いていると言えるかもしれません。セミナーやウェビナーでの新規リード獲得を強化するのであれば、いかに外部への告知を行えるかが鍵と言えるでしょう。
集客施策の重要指標
集客の各手法にはそれぞれ特徴がありますが、どの手法を用いればいいのかは気になるところかと思います。
この疑問を解消するためには、「集客施策を評価する視点」を知ることがポイントです。
集客施策における重要指標といえば真っ先に思い浮かぶのは「リード獲得数」だと思いますが、下記のように「新規リード獲得数」「新規ターゲットリード獲得数」をより重要な指標に置くと良いでしょう。

施策Aでは獲得数が10、その中の新規リード数は8、さらにその中のターゲットリードは3だとします。
それに対し施策Bでは、獲得数は8、新規リード数は6と施策Aに比べると少ない数字ですが、新規ターゲットリード数は5と施策Aよりも多い数字になっています。
「新規リード獲得数」と「新規ターゲットリード獲得数」を集客施策の評価指標に置くことで、「施策Aは新規リード獲得に向いている」「施策Bは新規ターゲットリード獲得に向いている」といった施策毎の特徴を把握することができます。
こういった視点で集客施策を評価・分析することで、どの集客施策を選択すべきなのかが明確になることでしょう。
WEBコンテンツ・ウェビナーの重要性と活用
集客施策を正しく評価・分析することで、自社に適した手法を導き出すことができます。
この中でもブログ記事のようなWEBコンテンツや自社開催するイベント・ウェビナーについては、集客を目的としてだけではなく、後項にて解説する育成(ナーチャリング)に用いることもできます。
デマンドジェネレーションでは集客の後の案件創出までの施策を実施するので、WEBコンテンツやウェビナーといった施策の活用は、集客の枠を超えて重要なポイントになります。
育成-リードナーチャリング-
ナーチャリング施策の2つの目的
集客の次は、育成(ナーチャリング)の解説に移ります。ナーチャリングは、集客後のリードに対して検討段階に応じた適切なアプローチを実施していくフェーズです。
75%のリードは獲得時点ではイマスグの購買を検討していませんが、将来的に購買を検討する可能性は十分にあります。
そしてその際、購入先候補に選定されるのは3.8社のみです。
よってナーチャリングのフェーズでは、購買を検討して頂くまでの「購買意欲の醸成」と、購入先候補として選定されるための「関係性の構築」の2つを目的とし、検討段階に応じた適切な接点を持つための施策を実施していきます。
ペルソナと購買プロセスの設計
ナーチャリング施策の設計にあたっては、まずはターゲットとなるリードのペルソナと購買プロセスを設計します。
ペルソナと購買プロセスを設計することで、リードがどのような検討や情報収集を経て購買活動が進むのかが明確になり、ナーチャリング施策の設計を行う際のロードマップになります。
ペルソナ作成は非常に奥が深く、何十もの質問項目に回答したり、営業へのインタビューを行ったり、WEBへのアクセスを解析したり・・・どこまでもきりがない作業です。
最初からすべてを網羅したペルソナを作成しようとすると膨大な時間や手間・労力が掛かってしまいますので、まずはシンプルに以下の項目を言語化するところから始めてみましょう。

次に、ペルソナの購買プロセスを作成します。
どのような検討を経て、何に興味や関心を持って購買活動が進んでいくのか、それぞれの購買フェーズ毎に言語化をしていきます。
以下に、購買プロセスを作成する際の購買フェーズと、フェーズ毎の状態と具体例を一例として載せましたので、社内で設計する際の参考にしてください。

コンテンツの設計
購買プロセスができたことで、リードがどのような検討や情報収集を経て購買活動が進むのかが明確になりました。
次は購買プロセスの各フェーズに対してどのようなコンテンツをあててナーチャリングを組み立てていくかを検討します。
ここで言う「コンテンツ」とは、いわゆるブログ記事のようなWEBコンテンツに限らず、ウェビナー、メールの文面、あるいはお電話での会話の内容等、リードに情報提供するすべてのチャネルをさして「コンテンツ」と呼んでいるとご認識ください。
コンテンツは以下の2種類に区分することができ、下図のように各購買フェーズにあてこんでいきます。
- 購買意欲を醸成するコンテンツ
リードの購買フェーズを右へ右へと遷移させることを目的としたコンテンツです。例えば、現状維持フェーズのリードに対して「現状維持に危機感を持ってもらい、情報収集フェーズに進める」といったコンテンツがこれにあたります。課題の特定やメリットの訴求等、態度変容を起こすための比較的セールス感のあるコンテンツが該当してきます。 - 関係性を維持するコンテンツ
各フェーズでリードが求めている情報を提供するためのコンテンツが、関係性を維持するコンテンツです。役に立つ情報の提供を通じ、リードとの信頼関係を構築していくために用いられます。態度変容を起こすことは目的にしていないため、一般的には教育的で軽いコンテンツがこちらに該当します。

関係性の維持と購買意欲醸成のバランスを保つ「411ルール」
ここまでで、購買意欲を醸成するコンテンツと関係性を維持するコンテンツの整理が完了しました。
次は、これらのコンテンツをどのようにリードに提供していくことが望ましいのかという点について、「411ルール」という考え方をご紹介させて頂きます。
411ルールは、Content Marketing Institute社のジョー・プリッツィ氏によって提唱された考え方です。
下図のように4つの教育的で軽いコンテンツに対して、第三者による評価等の弱めのプロモーションを1つ、そしてデモやサービス告知といった営業色強めのプロモーションを1つという割合で使用することで、お役立ち情報と売り込みやプロモーションのバランスを保つことを目的としています。
このルールを守ることで、役に立つ情報を提供し信頼関係を構築しつつ、購買フェーズも動かすことができるとされています。

リードの購買意欲の醸成と関係性の構築を目的としているナーチャリング施策を設計する上で、「誰にどんなコンテンツをどれくらい提供すればいいか」は非常に重要なポイントです。
各フェーズのリードに適切なコンテンツを適切な割合で提供することで、ナーチャリング施策は効果を発揮します。
ここまで解説してきたような、「ペルソナと購買プロセスの設計・コンテンツの設計・411ルール」を参考にすることで、「誰にどんなコンテンツをどれくらい提供すればよいか」が明確化されるので、まずはここから取り組みを開始してみるといいかと思います。
選別-リードクオリフィケーション-
選別の目的
育成(ナーチャリング)の解説が終わりましたので、次は選別(リードクオリフィケーション)のお話になります。
リードクオリフィケーションフェーズでは、ナーチャリング施策で購買意欲が醸成された状態の、いわゆる「ホットリード」を見極めることが目的となります。
営業部門ではすべての見込み客にアプローチをするリソースが足りないため、営業があたるリードを選別することで営業効率化をはかり、売上最大化を目指すのがこのフェーズです。
スコアリングという考え方
選別を実施する上では、スコアリングという考え方が有効です。スコアリングでは、リードの行動や属性に応じて点数を付与し重み付けを行い、購買意欲が高まっているリードの選別を試みます。スコアリングを実施する上では、「行動」と「属性」という2つの観点から重み付けの検討をします。
「行動」を軸にしたスコアリング
コラムの閲覧や資料ダウンロード・デモへの登録など、その名の通りリードの行動に点数を付与していくのが行動スコアリングです。デモ登録やサービス資料のダウンロード等、検討が後期段階であろうリード起こす行動には高い点数を、逆に初期段階であろう行動には低い点数を付与するのがポイントです。
行動によるスコアリングの例
-影響大 15~20点
・サービス資料ダウンロード
・価格詳細ページ閲覧
・デモ/無料トライアル登録
・お問い合わせページ訪問
-影響中 6~14点
・検討後期向けウェビナー登録
・ホワイトペーパーのダウンロード
・ebookのダウンロード
・動画コンテンツ視聴
-影響小 1~5点
・メールの開封
・お役立ちコラム閲覧
・web訪問
「属性」を軸にしたスコアリング
どんなに行動スコアが高いリードであっても、ターゲットとしたい属性から離れていては営業としては確度の高いリードとしてアプローチすることはできません。
属性スコアリングでは、決済権がありそうなのか、自社製品やサービスとの相性はどうなのかといった営業提案への影響度をもとに、点数を付与していきます。
属性によるスコアリングの例
-影響大 10~15点
・職位が部長以上である
・競合サービスを利用している
・売上高が500億円以上
-影響中 5~9点
・職位が課長以上である
・ターゲット部門に所属している
・売上高が100億円~499億円
-影響小 1~4点
・自社と相性のいい業界である
・年間売上が100億円未満である
営業がアプローチする基準値の設定
ここまで説明してきたような行動と属性の両軸を掛け合わせることで、下記の図のように営業へ引き渡す選別の基準(ホットリード化)を明確にしていきます。

例: 業界的に自社製品と親和性が高い企業で、ターゲットとする部門の決裁権を持っているであろう部長職のリードは属性スコアが高いので、低い行動スコアでもホットリードにする。
属性スコア:20点
行動スコア:40点
例: 契約実績のない業界の企業で、ターゲット部門外の一般社員のリードは属性スコアが低いので、行動スコアが高くなったらホットリードにする。
属性スコア:5点
行動スコア:80点
スコアリングの精度をあげるためのポイント3選
スコアリングの精度を上げるにはいくつかのコツがあります。ここでは厳選した3つのポイントをご紹介いたします。
- 行動スコアが半分以上を占めるようにする
営業に引き渡す基準をスコア100点とした時に、半分以上の50点は行動スコアが占めるようにすると良いと一般的には言われています。どんなに属性スコアが高くても、行動があまり見られないリードは購買のタイミングではないことが多いからです。 - 成功パターンは一気にホットリード化する
「製品詳細ページ閲覧→価格ページ閲覧→導入実績閲覧」のように、特定の行動を起こし購買のタイミングだろうと考えられるリードは、一気にホットリードと判断するのも有効な手です。 - マイナススコアの有効活用
役職が一般社員だったら、ターゲット部門以外の所属だったらといったケースで属性スコアを-5点する。もしくは、3ヶ月以上全く行動がないリードの行動スコアをゼロにリセットするなど、マイナス加点のスコアリングをうまく活用することで、ターゲットリードが本当に購買のタイミングにあるかを選別することができます。
リサイクル
リサイクルの目的
選別のフェーズでホットと判断されたリードに対しては営業部門からアプローチが開始されます。
しかし、すべてのリードが案件化し受注に結びつくことはありません。
「案件化に至らなかった」「案件化はしたが、受注には至らなかった」等、営業部門によるアプローチがうまくいかないケースも考えられます。
リサイクルフェーズでは、アプローチがうまくいかなかったリードを下図のように再び育成のフェーズに戻すことで、中長期なアプローチの仕組みを整えることが目的になります。
BtoB企業の購買活動の特徴と攻略のポイントの章で前述したとおり、BtoB企業では購買に関与する関係者が多いため、購買活動が何度も繰り返し長期化する傾向にあります。
一度接点を持ったリードのうち、実に8割が2年以内に自社もしくは競合から製品やサービスを購入しているとも言われているため、本当の購買のタイミングを逃さないために、リサイクルのフェーズが必要になります。

リサイクル理由に紐づくナーチャリング施策の組み立て
リサイクルを経て再度育成フェーズに戻すにあたっては、リサイクルの理由に応じてナーチャリング施策の内容を検討するとよいでしょう。
下図は、リサイクル理由に応じたナーチャリング施策設計の例です。

・連絡が取れなくてリサイクルになった「未接続」リードには、認知を上げて連絡が取りやすくする下地を作る
・課題認識もなく検討がないという「ニーズがない」リードには、購買意欲を醸成するナーチャリング施策を実施する
このように、リサイクル理由に応じて再育成の内容を検討することで、リサイクル後のナーチャリング施策の質も向上し、再ホット化して案件化、そして受注までつながる可能性がアップします。
デマンドジェネレーションを実現するツール
ここまで、デマンドジェネレーションに必要な「集客・育成・選別・リサイクル」の構築について解説をしました。
デマンドジェネレーションを構築することで、BtoB企業の攻略に必要なポイントを押さえ、営業効率化による受注数や売上の増加を目指せます。
しかしながら、リードのフェーズに応じたナーチャリング施策の実施やスコアの管理といった作業をすべて人の手で行うと大変な工数がかかってしまいます。
HubSpot・Marketo Engage・Pardotのような MA(マーケティング・オートメーション)は、ナーチャリング施策やスコアリングを自動化することが可能で、手動よりもずっと少ない工数でデマンドジェネレーションの実現と運用ができるツールです。
MAは受注確度の高い顧客をセールスへ送客し案件を創出する仕組みづくりに不可欠な存在となりつつあり、国内145万社のうち、MAを導入している企業はおよそ1万社にものぼっています(2021年1月時点)。
本章では、デマンドジェネレーションの構築に欠かせないMAの機能について、重要な機能を厳選して紹介できればと思います。
集客を強化する機能
WEBサイト にリードからのアクセスがあった場合 、そのリードに適切なコンテンツをオススメして、フォーム入力といったCV(コンバージョン)、つまり新規リードの獲得を推進することができます。
リードの情報を獲得するためのLP(ランディングページ) もカスタマイズでき 、コンバージョン率を向上させることができます。
ナーチャリング施策の自動化機能
MAでは下記のようなリードの行動を可視化し、リードの興味や関心、どの購買フェーズにいるのかといった情報を管理することができます。
可視化できる行動の例
・自社サイトのどのページにいつアクセスしたのか
・どのメルマガを開封、クリックしているのか
・どの資料をいつダウンロードしたのか
・どのウェビナーにいつ登録したのか
MAにはナーチャリング施策の自動化機能が搭載されているので、蓄積されるリードの情報を活用することで、興味関心や購買フェーズに合わせたコンテンツを自動的に配信することができます。
スコアリングの自動化機能
MAでは、蓄積されるリードの情報を活用することでスコアリングによる選別も自動化することが可能です。
頻繁にメルマガを読んでいるリードは自社への認知が高まっていると考えられますし、製品やサービス説明のページに何度も訪れている方は購入検討を開始したと考えられます。
リードの行動に対して何点付与するのかを事前にMAに設定しておくことで、行動スコアリングを自動化することができます。
また、行動情報に加えて職位や部門といった情報もリードに付与することで、行動スコアリングに加えて属性スコアリングも同様に自動化することができます。
デマンドジェネレーション実践事例
最後に、デマンドジェネレーションを構築したBtoB企業の事例をご紹介いたします。
MAとSFAを導入しデマンドジェネレーションを構築。toC主軸からtoB主軸への逆転|PC製造・販売事業
世間一般的にはBtoCイメージの強かったこちらの会社は、toCからのPC需要が減少していくことを見越し、toB領域 の販売を強化する方針になりました。
法人営業では当初アウトバウンドコールが中心で集客と営業のフェーズしかありませんでしたが、営業効率化を考えた結果、デジタルマーケティングの開始を決意。
コンテンツマーケティングやWEB広告、展示会出展等でリード獲得施策を実施すると同時に、MA・SFAを導入し「集客・育成・選別・リサイクル」のデマンドジェネレーションの仕組みを一気に構築しました。
MAによるナーチャリング施策の自動化とスコアリングを用いた選別、さらにインサイドセールス部門も立ち上げることで育成と選別の精度を高めることに成功。集客したリードを育成してホットリード化し、選別して案件を創出し営業に引き渡すまでの一気通貫の流れをつくりあげました。
集客・育成・選別・リサイクル・営業のそれぞれのフェーズの強化に取り組んできた結果、リード数は当初の3000件から4万件へ増加、案件化率も大きく向上し、最終的にはtoB領域の売上がtoC側を逆転しました。
スコアリングによる選別でインサイドセールスの新規アポ獲得率95%達成|半導体製造業B社
半導体製造業を主軸としているこちらの企業では、自動車と産業機器の2大領域を中心に事業拡大を図るため、デジタルの活用が必須だと考えました。
コーポレートサイトとは別にオウンドメディアサイトを立ち上げWEBコンテンツを定期的に配信、セミナーも定期的に開催することでまずは集客を強化しました。
さらに、MAの導入による育成と選別の実施、インサイドセールス部隊の立ち上げによる各フェーズの強化など、徐々にデマンドジェネレーションを構築していき、「集客・育成・選別・リサイクル」のフェーズが整っていきました。
検討段階に応じた適切なコンテンツ配信によるナーチャリング施策と、スコアリングでは製品ページを訪問した方への加点を重くすることでホットリードを抽出。
ナーチャリングとスコアリングを経て創出されたホットリードに対するインサイドセールスの新規アポ獲得率は95%を記録しました。
まとめ
BtoBのマーケティングやセールス活動において、リード獲得のみで終わってしまい売上への貢献ができていないという課題をお持ちの場合、デマンドジェネレーションの仕組みを構築することは非常に効果的です。
また、デマンドジェネレーションを実現するためにはMAのようなツールが非常に効果的で、MAを用いることでナーチャリング施策やスコアリングの自動化等が可能になり、仕組みの構築と運用が容易になります。
マーケティング活動による売上への貢献を目指している方は、デマンドジェネレーションの仕組み構築のための概念に加えて、仕組みの実現に必要なMAについても情報収集するとよいでしょう。
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Service Plan
ワンマーケティングは、「案件創出」「売上の向上」という成功へ向かって、
ひとつながりのマーケティングフローを構築。
マーケティング戦略設計からMA導入・運用、セールス支援、コンテンツ制作まで統合的に支援しています。
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