
デマンドウォーターフォールはBtoB企業向けの進化系ファネル
目次
デマンドウォーターフォールとは
ここではデマンドウォーターフォールとは何か、活用する目的などを解説します。
デマンドウォーターフォールはBtoB企業向けのフレームワーク
デマンドウォーターフォールとは、シリウスディシジョンズ(SiriusDecisions)社が提唱しているBtoBマーケティング・セールスのためのフレームワークです。汎用的なファネルでは、「認知→関心・興味→比較検討→購入」というフェーズで漏斗状に見込み客数が減っていくモデルでビジネスを捉えます。このファネルを発展させ「見込み客獲得→見込み客選別→商談化→受注」というフェーズで捉えるのがデマンドウォーターフォールです。
デマンドウォーターフォールを活用する目的
デマンドウォーターフォール活用の目的は、見込み客(リード)開拓から受注までの流れを各フェーズに分割して分析してマーケティングプランを作成するためです。また、業務を整理して見直すことで、集客や営業活動などの課題や問題点をみつけるために用います。
「シリウスディシジョンズ」社とは
シリウスディシジョンズは、デマンドウォーターフォールの提唱によって知名度を獲得した企業です。現在、欧米において、デマンドウォーターフォールはフレームワークのスタンダードとして定着しています。また、BtoBのビジネスをマーケティング部主導の「MQL」と営業主導の「SQL」に分割する考え方を広めたことも評価されています。
デマンドウォーターフォールは4つのフェーズで構成される
デマンドウォーターフォールは以下の4つのフェーズで構成されます。
Inquiry:リードを獲得するフェーズ
MQL(Marketing Qualified Lead ):マーケティング部門がリードを分類し、営業部門に渡すフェーズ
SQL(Sales Qualification): 営業部門がセールスを行うフェーズ
Close:案件を受注するフェーズ
なお、このデマンドウォーターフォールはシリウスディシジョンズが2012年に公表したバージョンです。
Inquiry
Inquiryはリードを獲得するフェーズです。大きく分けると、リードから問い合わせがあるインバウンドと、企業側からアプローチするアウトバウンドに分けられます。インバウンドで主流になっているのは、SNSや自社サイトを経由したリードからのアクセスです。アウトバウンドには、リスティング広告や展示会、テレアポなど、さまざまな方法があります。
MQL(Marketing Qualified Lead )
MQLとはマーケティング部門がリードの購買意欲やニーズなどを分類・選別して営業部門に渡すまでのフェーズです。デマンドウォーターフォールのフレームワークでは、メールマガジンの登録者にセミナー参加を呼び掛けたり、ターゲットを絞ってDMを配ったりするなどの営業活動を含むことが特徴です。
ただし、これらはマーケット部門が行う活動に限られ、主にアポを取ってリードを営業に渡すまでのフェーズです。
SQL(Sales Qualification)
SQLは営業部門がセールス、商談を行うフェーズです。マーケティング部門から引き継いだ顧客の営業訪問などを行います。また、顔なじみの客先から相談があるなど、営業部門が独自に引き合いを受けた案件もSQLです。このような案件をSGL(Sales Generated Lead)と呼び、マーケット部門経由の案件であるSAL(Sales Accepted Lead)と区別する場合もあります。
Close
Closeは商談を詰めて案件を受注するまでのフェーズです。このフェーズでは営業部がメインになりますが、商談の規模によっては経営陣に協力を求める場合もあります。
デマンドウォーターフォールがBtoB企業で活用される理由
デマンドウォーターフォールがBtoB企業に活用されている理由は何でしょうか。3つのメリットを紹介します。
マーケティングと営業をワンチームにするために役立つ
デマンドウォーターフォールの大きな特徴は、MQLとSQLを2つのフェーズに分割していることです。これにより、マーケティング部門と営業部門の役割分担が明確になります。営業部門とマーケティング部門との連携を強化して、効率的な受注につなげることも可能です。
マーケティング担当者の役割を明確にできる
BtoBビジネスにおいても、電話や客先訪問などが中心だった営業の一部がWebやメールなどのインターネット経由に移行しつつあります。マーケティング部門が営業を兼ねる場合が増えたため、集客から受注に至るまでの総合的な見地から業務を整理する必要が出てきました。デマンドウォーターフォールは業務フローや役割分担を見直すために有効なフレームワークです。
フレームワークの更新が早い
この記事で紹介しているデマンドウォーターフォールは、認知度が高い2012年モデルです。しかし、2017年には大幅なバージョンアップが行われました。このバージョンでは4つのフェーズがBtoBビジネスの現状に合わせて7つに分割されています。ベースは変わらないため、デマンドウォーターフォールを導入しておけば、今後もビジネス状況に対応して自社業務をアップデートできる可能性が高いでしょう。
デマンドウォーターフォールによる分析でわかること
デマンドウォーターフォールによって業務を分析すると、どのようなことがわかるのでしょうか。
従来の営業手法の限界
デマンドウォーターフォールは売上目標の達成に必要なリード獲得数を逆算しやすいことがメリットです。この分析によりInquiryのフェーズにおいて十分な数のリード情報(電話番号やメールアドレス)が収集できているかどうかがわかります。
営業人材の不足により、リードとの接点を十分に作れていないと悩む企業は少なくありません。マーケティング部主導による集客の割合を増やすなど、業務の改善点がみえてきます。
商談化につなげられているか
MQL・SQLを分析して商談化率などを調べると、マーケティング部門が主導した案件が成果に結びついているか、リードの優先度判断は正しかったかなどが判定できます。シリウスディシジョンズ社の有名な調査結果には「営業が見込みなしと判断した顧客の8割以上が2年以内に競合他社から製品を買う」というものがあります。
営業部とマーケティング部が連携すればこうしたボトルネック解消にもつなげられます。
各プロセスを連携できるようになる
デマンドウォーターフォールは集客から受注までをファネルで捉え、業務フローを可視化できることが特徴です。営業部とマーケティング部門の垣根を越え、集客や顧客育成、顧客の選別、営業など、あらゆるプロセスを売上につなげられます。
営業とマーケティングを連携させるにはリード情報の共有が欠かせません。そのため、顧客情報を一眼管理できるMAの導入が必要です。
デマンドウォーターフォールを活用するためのポイント
ここではデマンドウォーターフォールを活用するための具体的なポイントを紹介します。
ホットリードをみつけるためのスコアリング
マーケティング部門が行うMQLで重要なのはリードのスコアリングです。スコアリングとは商談化や受注につながる可能性が高いリード(ホットリード)を抽出する作業です。たとえば自社サイトでの行動履歴やDMに対するアンケート結果などを数値化してスコアリングを行います。
営業とマーケティングが緊密に連携するためには、リードのニーズや企業情報などの共有が重要です。
インバウンドとアウトバウンドのバランス
リードからの行動を待つインバウンドは質の高いリードを獲得しやすい一方、企業側からの積極的な営業活動はできません。一方、アウトバウンドは自社がアピールしたい内容を伝えやすく受動的なリードには有効な反面、営業コストがかかります。
インバウンドの需要が高まっており、成果が出ていない場合、Inquiryにおけるインバウンドとアウトバウンドのバランスを見直すことが必要です。
「リードジェネレーション」と「リードナーチャリング」のプロセスの違いを意識する
リードジェネレーションは見込み客を探す活動であり、Inquiryのフェーズに属します。一方、リードナーチャリングは「見込み客育成」などと呼ばれる購買意欲を高める活動で、MQLに含まれます。
リードの状態を細かく分けるデマンドウォーターフォールでは、コンテンツ作成やセミナー開催なども、どちらのフェーズの施策なのか明確にしてから実施することが求められます。
自社に合ったフレームワークを選ぶ
デマンドウォーターフォールはフレームワークのひとつに過ぎません。ファネルの進化系は他にもあります。たとえばウルサス(ULSSAS)はSNSの行動把握に特化しており、SNSマーケティングに適しているフレームワークです。また、アー(AARRR)は、獲得した顧客の活性化と継続化に着目したワークフローで、サブスクリプション型のビジネスに活用されています。
自社にあったフレームワークを選びましょう。
まとめ
デマンドウォーターフォールはファネルを進化させたフレームワークであり、特にBtoBビジネスに適しています。リード獲得から受注までのプロセスを分析してマーケティングに活用したり、自社の営業の課題を発見するために活用できます。
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