特定電子メール法特定電子メール法とは?特定電子メール法とは、いわゆる迷惑メールを規制する法律です。2001年頃に迷惑メールが社会問題化し、総務省において翌年2002年4月に成立、7月に施行されたのがこの特定電子メール法で、正式名称を「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」といいます。その後、2回改正され、現在に至ります。対象は「特定電子メール」、すなわち「広告宣伝メール」であり、主に次のようなルールが定められています。●原則として、あらかじめメール送信の同意を得た人以外への送信は禁止●メール本文に送信者の氏名もしくは名称、電子メールアドレスなどの表示義務●送信者情報を偽った送信の禁止●送信を拒否した人への送信は禁止罰則もあります。例えば、送信者情報を偽って送信した場合や、送信者が総務大臣及び消費者庁長官の命令に従わない場合には、「1年以下の懲役または100万円以下の罰金(法人の場合は、行為者を罰するほか、法人に対して3,000万円以下の罰金)」に処せられるとされています。(参照:迷惑メール相談センター)展示会、セミナー、名刺で集めたリードにメルマガを送る前に確認しておくべきことメルマガ担当者になれば、展示会やセミナー、営業名刺などで集めたリードのリストに対して、さまざまな理由でメルマガを配信することになるでしょう。そのメールは、特定電子メール法の対象となる特定電子メール(広告宣伝メール)に該当するため、法律に基づき対応していく必要があります。主に事前に確認しておくべきことをみていきましょう。・事前承諾はされているか ~「オプトイン」について原則として、広告宣伝メールを送る際には、受信者による事前承諾が必要です。この事前承諾を得ることを「オプトイン」と呼びます。オプトインは義務なので、「メルマガを送ってもいいですよ」と受信者が意思を示さないまま勝手に送ると法律違反になります。例えば、展示会参加者のリストへメルマガ配信を行う場合、展示会申し込みのメールフォームなどに「メルマガ配信を希望する」などのチェック項目を設ける必要があります。また特定電子メール法のガイドラインでは、チェックボックスにあらかじめチェックが入っていない状態が推奨されています。・表示義務の内容を記載しているか ~「オプトアウト」についてメルマガ本文には、表示が義務付けられている項目がいくつかあります。●送信者などの氏名または名称●受信拒否の通知ができる旨の内容「配信停止手続きはこちらから」など●受信拒否の通知を受けるための電子メールアドレスまたはURL●送信者などの住所●苦情・問い合わせなどを受け付けることができる電話番号、電子メールアドレス、URL【メルマガ本文のサンプル例】※参考:一般財団法人 日本データ通信協会(JADAC)迷惑メール相談センター上記の図には記載していませんが、「特定商取引法上の販売業者などと送信者などが異なる場合」は、次の項目の表示も義務付けられています。●販売業者などの氏名または名称●相手方が電子メール広告の提供を受けない旨の意思を表示するための電子メールアドレスまたはURL表示義務の項目のうち、配信停止手続きができる旨や、「もう受信したくない」という「オプトアウト」の意思の通知を受信者から受け付けるための、メールアドレスや配信停止フォームへのリンクなどの方法を明示する必要がある点は、よく覚えておきたいところです。個人情報保護法個人情報保護法とは?展示会やセミナー、名刺などで得たリードの情報は、個人情報保護法によって守られるべきものを含んでいます。よって、メルマガ配信する際には、リードのリスト管理には十分注意しなければなりません。2017年5月30日からはすべての企業に適用されています。個人情報保護法とは、個人情報の権利と利益を守ることと、個人情報のビジネス活用などの有用性とのバランスを図るための法律です。個人情報の定義は、「生存する個人に関する情報で、特定の個人を識別することができるもの」つまり、氏名、生年月日と氏名の組み合わせ、顔写真などとされています。メルマガ配信においては、氏名とメールアドレスが個人情報に該当します。展示会、名刺、セミナー集めたリードの情報管理の注意点とポイントでは展示会、セミナー、名刺などで集めたリードの情報をもとにメルマガ配信を行う場合の注意点とポイントをご紹介します。·メールアドレスの利用目的はメルマガ受信者に伝わっているか展示会への申し込み用メールフォームなどへメールアドレスを入力してもらう際に、そのメールアドレスをメルマガ配信で利用したい旨を、事前に直接本人に伝えるか、ホームページ上に掲示する必要があります。メルマガ配信は、展示会受付とは明らかに異なる目的であるためです。提示した以外の目的では個人情報を利用してはいけません。·取得した個人情報の管理は万全か個人情報を取得したら、事業者は情報漏えいを防ぐために、安全に保護しなければなりません。よって万全のセキュリティ体制を整える必要があります。電子ファイルであればパスワードの設定、管理するパソコンなどの端末へウイルス対策ソフトなどの導入が必要です。紙媒体で管理する場合は鍵のかかる場所へ保管する必要があります。また、プライベートで勝手に利用するといったことも禁止です。著作権法著作権法とは?次は、メルマガのコンテンツの中身についてです。制作時に十分注意しなければならないことの一つに、そのコンテンツが著作権法に抵触しないか、ということがあります。著作権法とは、著作物や著作者とそれに隣接する権利を保護することが定められた法律で、1970年に制定され、1971年に施行されました。著作物とは、小説や音楽や絵画、写真、映画などのアート作品はもちうろん、WEB上の文章やイラスト、プログラムなどにまで及びます。制作したメルマガに記載するテキストや画像などもすべて著作物となります。これらの著作物を創作した人を「著作者」といい、この著作者に与えられる権利を「著作権」といいます。著作者が持つ著作権は著作権法によって守られています。メルマガ本文に載せるテキストや画像については、他人が制作したものを引用の範囲を超えて、そのままあたかも自分が作ったかのように、著作者への断りなく転載するなどの著作権侵害をしないようにしなければなりません。著作権を侵害した場合、著作者は損害賠償の請求することができます。また、著作権侵害は犯罪であるため、告訴されると処罰されます。著作権を侵害すると、10年以下の懲役または1,000万円以下の罰金となります。ただし、要注意なのは、法人が著作権などを侵害した場合は3億円以下の罰金となることです。メールに記載するテキストや画像の注意点会社として配信しているメルマガに記載するテキストや画像はすべて著作権侵害にならないようにしなければなりません。次のことに注意してコンテンツ作成を行いましょう。いくつか注意点を示します。·書籍やホームページから勝手に文章やイラスト、写真などを載せていないか他人が書いた書籍やホームページなどの著作物から、文章やイラスト、写真などを勝手に利用してメルマガに載せると著作権侵害に相当します。勝手に載せることを「無断転載」と呼びます。どうしても載せたい場合には著作者に許可を取るか、もしくは引用に規定に沿って掲載する必要があります。·引用する場合、引用の範囲を超えていないか引用とは、他の著作物から一部を掲載することです。引用の条件を満たしていれば、著作者の許可なくメルマガ本文に掲載できます。引用の条件とは、内容、分量共に、引用する記事よりもオリジナルの記事が「主」になっていること、出典元を記すこと、変更・削除をしないこと、引用であることが明確に分かるように「」などで囲まれていること、引用の必要性があることなどがあります。【メルマガ本文における引用例】まとめ展示会、セミナー、名刺情報などから集めたリードへメルマガを配信し、リードナーチャリングを行うBtoB企業の担当者にとっては、今回ご紹介したメルマガ制作・運用にかかわる3つの法律については必ず確認しておく必要があります。リード情報の管理、及び制作物の権利の侵害など法的に違反していないか十分意識しましょう。メルマガを大量、または定期的に制作・配信するという場合には、チェック体制をきちんと整えておくことも必要になります。