マーケティングにおけるエンゲージメントとは、顧客との強い関係性により売上向上につなげるための指標です。マーケティングを行ううえで、エンゲージメント獲得のための施策に悩むマーケティング担当者もいることでしょう。この記事では、エンゲージメントとは何か、必要性や成功事例などを紹介します。今後のマーケティング施策の参考にしてください。エンゲージメントとは?マーケティング分野におけるエンゲージメントとは、関与度・愛着・つながりなどを意味する用語です。対顧客のエンゲージメントを意味する場合には、「顧客エンゲージメント」として区別されることもあります。2004年ごろアメリカで広告効果を上げるために分析・評価要素にエンゲージメントを加えたのが、この考え方の始まりとされています。エンゲージメントマーケティングとは?エンゲージメントマーケティングとは、顧客との継続的で強いエンゲージメントを獲得することで売上向上を目指すマーケティングのことです。見込み客のエンゲージメントを分析して、効果的な営業や商品開発を行うことなどが含まれます。エンゲージメント率とは?エンゲージメント率とは、顧客・ユーザーの愛着度など、エンゲージメントの高さを客観的な数値で算出したマーケティング指標の1つです。たとえば、マーケティングオートメーションツールなどを活用してSNSの見込み客が取ったクリックや、「いいね」などの特定のアクションを計算して求めます。エンゲージメントマーケティングが必要な理由エンゲージメンジマーケティングの必要性が高まっている理由は、消費行動の変化と顧客を囲い込むことの重要性が増していることがあります。消費行動の変化従来の典型的な消費行動はテレビCMや新聞・雑誌の広告を見た消費者が商品を認知して購入するというものでした。しかし、この一方的な情報発信はインターネットの普及により双方向に変わっています。消費者はオンラインで能動的に情報を取得したりSNSで意見交換したりするようになりました。そのため、企業と消費者の関わり合いを強めるエンゲージメントマーケティングが不可欠となっています。ナーチャリングとの関連性ナーチャリングとは、直訳すると「育成すること」です。マーケティングでは見込み客の育成施策のことを指し、見込み客に対して適切なアプローチをすることで見込み度合いを高める施策です。顧客の囲い込みが重要度を増すなかで、ナーチャリングに対する関心が高まっています。顧客生涯価値の向上において、ナーチャリングの過程でエンゲージメントを高めることが重要です。エンゲージメント率の測定方法ここでは、エンゲージメント率の測定方法を紹介します。自社のマーケティングに取り入れる際の参考にしてください。アンケートによる測定エンゲージメント率測定のために最も活用されているのはWebアンケートです。その中でも測定の精度を高める方法に、NPS(ネットプロモータースコア)があります。これは「○○を友人に紹介したいと思いますか」などの設問に対して10段階で答えてもらう方法です。見込み客を推奨者、中立者、批判者に分類できることから、多くの企業が採用しています。アンケートの頻度の目安は、月1回から半年に1回程度が一般的です。SNSでの測定SNSのユーザーが増えたことで、SNSでの測定も可能になりました。SNSでの測定には企業アカウントへの反応が使われます。企業が投稿した内容に対するユーザーの各アクションの総数から算出し、エンゲージメント率を測定します。詳しい測定方法や確認方法については、次の段落から紹介します。SNSでのエンゲージメント率とはここでは、代表的なSNSでエンゲージメント率を測定する方法を解説します。確認方法も紹介するので、参考にしてください。TwitterTwitterにおけるエンゲージメント率の定義とは、Twitterが集計しているエンゲージメントの総数をインプレッションの総数で割った数値です。エンゲージメントTwitterでは、の5つのアクションにより、エンゲージメントをカウントします。「クリック」「リツイート」「返信」「フォロー」「いいね」などそれぞれのアクションを合計したものが、エンゲージメントの総数として計算されるのです。インプレッションインプレッションとは、ツイートが見られた回数です。同一のユーザーが複数回見れば、その都度カウントされます。エンゲージメント率の確認方法Twitterの管理画面にある「アナリティクス」を見れば、エンゲージメント率を確認できます。インプレッションが多いツイートの情報なども知ることができます。FacebookFacebookにおけるエンゲージ率は、エンゲージメントの数を投稿がリーチした人の数(投稿を見た人の数)で割って算出したものです。エンゲージメント「いいね」「シェア」「コメント」「クリック」の4つのアクションが、エンゲージメントとしてカウントされます。このようなアクションが多いほど、エンゲージメント率が高くなります。ユニークユーザーFacebookのエンゲージ率は投稿がリーチした人の数で割った値です。エンゲージメントとしてカウントされるアクションはアクション数ではなく、アクションをしたユニークユーザーの数としてカウントします。そのため、正確な数値の算出が可能です。エンゲージメント率の確認方法Facebookでエンゲージメント率を確認するには、管理画面(インサイト)の「投稿のエンゲージメント」をクリックします。投稿ごとにエンゲージメントやアクションの内容、リーチ数などがわかります。エンゲージメントの獲得方法エンゲージメントの獲得方法を2つ紹介します。エンゲージメントを高めるための施策として参考にしてください。マーケティングオートメーションによる獲得方法全ての見込み客に対して同じアプローチをしていては、見込み客の心をつかんだり顧客の満足度を高めたりすることはできません。マーケティングオートメーションを活用すれば、設定したペルソナに応じたメール配信設定やマーケティング施策の効果測定などを自動化することができます。さらに、カスタマージャーニーマップに基づくシナリオに沿ったメール配信も可能です。カスタマージャーニーマップの活用カスタマージャーニーとは、商品・サービスの認知から購入に至るまでのプロセスを旅になぞらえたマーケティング用語です。このカスタマージャーニーを図にしたのがカスタマージャーニーマップであり、見込み客の行動を時系列で把握できます。設定したペルソナが辿ると考えられるシナリオを基にしたアプローチによって、エンゲージメントを高めることが可能です。SNSでのエンゲージメント獲得方法SNSでエンゲージメントを獲得するのは、ユーザーとの関係を強くするために重要です。ここでは、SNSでエンゲージメントを獲得する方法を解説します。ペルソナを意識した投稿内容や回数、投稿する時間などのポイントを押さえましょう。Twitter投稿内容投稿内容でポイントとなるのはハッシュタグと写真です。ハッシュタグを使用する大きなメリットはトレンドに乗って拡散されやすいことと、関連情報を収集しやすいことです。また、写真は投稿内容の印象の9割を決定づけるといわれています。投稿回数ユーザー側のタイムラインに自社の投稿が埋もれないようにするには、ある程度の投稿頻度が必要です。ランキング上位企業の1日当たりの投稿回数の平均は約4.6回で、1日あたり1回の頻度で投稿している傾向があります。投稿時間Twitterの場合はシェアされやすい投稿時間が朝5時頃です。ただし、これは一般的にBtoCの場合です。BtoBでは会社のパソコンのTwitterがアクティブである平日の勤務時間を選ぶなどの配慮も必要となります。投稿文の長さ100字以内の簡潔な内容で投稿すると、エンゲージメントが高まるという調査結果があります。写真などを用いて、直感的に理解できる印象的な投稿にすることが効果的です。内容が多くなる場合は、細かく分けて投稿する必要があります。Facebook投稿内容Facebookの場合、ユーザーの参加意欲を高める投稿内容が、エンゲージメントを高めるために効果的です。たとえば、問いかけをしたり、意見を募集したりする方法があります。ただし、こればかりでは逆効果になるため、通常の投稿とバランスを取りましょう。投稿時間・頻度Facebookの投稿頻度で最も効果的なのは週1~4回といわれています。Twitterに比べて投稿頻度が低く、頻繁に投稿しすぎるとエンゲージメントを高めにくくなる可能性もあります。投稿時間Facebookで情報がシェアされやすいのはランチタイムであり、それ以外の時間帯でも就業時間以外に情報が共有されやすいという結果が出ています。しかし、これはあくまで全ユーザー数でみた場合のデータなので、目安として考えておきましょう。投稿文の長さFacebookには文字制限がないため、ユーザーの傾向について解析を行い、投稿文の長さを決定することが必要です。統計的には50文字程度の簡潔な投稿に対して、エンゲージメントが高まる傾向があります。エンゲージメントを高めた事例を紹介ここでは、エンゲージメントを高めた事例として、ザッポスとスターバックスの事例を紹介します。ザッポスザッポスは靴の通販がメインのアメリカの企業です。コールセンターにおいて1名の顧客に何時間も電話対応するなど、採算度外視の姿勢でリピート率を高め、高い顧客エンゲージメントを獲得しました。地道な手法でエンゲージメントを高めることで、リードナーチャリングに成功した事例ともいえます。スターバックススターバックスの魅力として挙げられるのは、マニュアルでは実現できない従業員によるフレンドリーな接客と店舗の雰囲気です。また、Webサイトによる企業と顧客の活発な双方向コミュニケーションにより、エンゲージメントを高めてきました。これらを支えているのは従業員の高い帰属意識です。つまり、従業員と企業をつなぐ「従業員エンゲージメント」を高めることで、結果として顧客エンゲージメントも高めることに成功した事例です。まとめエンゲージメントはマーケティング分野においてはつながりなどを意味する用語です。企業と消費者の関係が双方向になったこと、ナーチャリングの観点からも、エンゲージメントの重要性が増しつつあります。しかし、BtoBマーケティングを成功させるには、考え方だけでなく蓄積されたノウハウやスキルも不可欠です。「ワンマーケティング」なら、マーケティングオートメーション(MA)導入支援やコンサルティングだけでなく、MAの設定やコンテンツ制作まで丁寧に支援し、課題を解決します。ノウハウが詰まった資料も提供しているので、ぜひダウンロードしてみてください。「ワンマーケティング」の資料ダウンロードはこちらからマーケティング支援についてワンマーケティングは、「案件創出」「売上の向上」という成功へ向かって、ひとつながりのマーケティングフローを構築。マーケティング戦略設計からMA導入・運用、セールス支援、コンテンツ制作まで統合的に支援しています。・マーケティング支援サービスの詳細を見る