インサイドセールス成功の秘訣とは? 導入の手順と役割を徹底解説!

水谷博明

個人事業主、トランスフォーマー水谷として多くの企業のSaaS・データ活用、インサイドセールス立ち上げを支援。これまで広告代理店、Webコンサル、ITベンダーにて、営業を10年、Webマーケティング10年を経験。現在は、セキュリティSaaSベンダーにて、インサイドセールスの立ち上げ、デジタルマーケティング、CRM/MAの管理に従事。

(編注:下記の原稿は、水谷氏にインタビューを行った際の発言を編集した内容となります)

インサイドセールスの役割とは?

まずインサイドセールスの役割とは何か? 本来的な目的とは異なるかもしれませんが、個人的には「フィールドセールスがカバーできないところを、インサイドセールスが効率的にリカバリーしていく」に集約されると考えます。

その上でインサイドセールスの役割は、企業によって主にSDRとBDRの2つに分けることができます。

2種類のインサイドセールス

SDR(Sales Development Representative)

Webサイトやオウンドメディア、ホワイトペーパー、オンラインでの問い合わせから展示会やセミナーなどオフラインまでマーケティングが獲得したリードに対してアプローチする。インバウンド(反響型)の手法。

BDR(Business Development Representative)

アウトバウンドを主体とした新規開拓型のインサイドセールス。ホワイトリストから手がついていないリードに対してプッシュ型のアプローチをするアウトバウンドの手法。

ともにフィールドセールスをリカバリーしていることには変わりませんが、インサイドセールスが普及し始めた2〜3年前は、SDRが中心でした。その背景には、マーケティングが獲得した大量のリードにアプローチできない、リードが多すぎて商談につながるかわからない、というフィールドセールスの意見がありました。

ただ、現状では過去のSDRには限界がきていると考えます。一見オペレーション化するとアルバイトやアウトソーシングでもできそうなのですが、そうはうまくいきません。事実、そういう考えにシフトしている企業も多くなっています。

従来型のインサイドセールスは通用しない理由

SDRに必要なスキルは、これまでセールスがもっていた知識やスキルよりは、コールセンターで丁寧に働けるスキルの方がフィットしていました。しかし、最近ではSDRもよりセールスマインドが重要視されています。

インサイドセールスの会社内の価値や、インサイドセールスをおこなっているメンバーのキャリアパス、そしてオンライン商談をメインとしている企業などではインサイドセールスのスペシャリストを育てたいという考え方もあります。つまりオペレーションよりの立ち位置だったのが、よりフィールドセールス側へシフトしています。

SFAやCRM、MAを使いこなさなくてはいけないし、トークや嗅覚もフィールドセールスに近いものを身につけないといけません。こういった変化のひとつは、SFA、CRMが一般的になるなど営業がデジタルシフトしていき、MAの活用によってマーケティングチャネルが増えてきたこと。そして、インサイドセールスの受け手側の変化を挙げられます。

丁寧でやっていたオペレーショナルなインサイドセールスは、受け手側にすればかえって雑に映ってしまうのです。サービスを理解していない、データも見ていないなど、事務的なアクションが多い。以前はそれでも一定の効果があったかもしれませんが、現在ではインサイドセールスがその程度だと機能しません。

インサイドセールスが成功する組織とは?

では、インサイドセールスが機能している、成功している組織はどのようなものか、を紐解きながら、インサイドセールス導入の手順を解説します。

条件① 旗振り役は必ず営業にコミットしているメンバーを

立ち上げ時では、経営側がインサイドセールス組織の旗振りをするケースもありますが、良くありません。例えば、社長が営業部長も兼任している場合は良いですが、大手企業になればなるほど社長は現場のことを理解していません。そのため職位でいえば、営業部長や営業担当役員あたりが限界でしょう。
そして、営業として数字にコミットしているメンバーがやらなければいけません。でなければ失敗します。

ベストは、トップセールスマンがインサイドセールスのマネージャーになることでしょう。しかし、フィールドセールスのメンバーは、インサイドセールスをやりたくないというのが本音ですし、営業部長もインサイドセールスに有能なメンバーを取られると困るので、実現は難しい。

マーケティング側が旗振り役になるケースもありますが、注意が必要です。営業経験があるマーケターが携わるのなら別ですが、マーケティングがインサイドセールス組織を立ち上げると、従来のSDRになりがちなのです。

あとはできるだけ若い層に参画してもらうことも重要です。ITリテラシーやマーケテイングとの接点などを考慮すると、シニアだと機能しない事例をよく聞きます。

条件② マーケティングとセールスの部門間をつなぐKPI設定

インサイドセールスができると、マーケティング部門とのコミュニケーションが円滑になっていきます。BtoBのマーケティングは、必ず獲得したリードを売上にまでつなげることを厳しく言われています。フィールドセールスはフィードバックしてくれないことも多いので、インサイドセールスがリードの質が良くなかったなどの課題を共有してくれるのはマーケティング担当者にとってもありがたいのです。

導入初期は、フィールドセールスとは軋轢が生じるケースが多いです。これは冒頭でもお伝えしましたが、インサイドセールスがオペレーション的な役割となってしまい、フィールドセールスと同じ目線を持っていないことが要因です。そのため、インサイドセールスの役割をフィールドセールスに理解してもらうことが大切となります。条件①の通り、営業にコミットしたメンバーが旗振り役だとこういった齟齬を最小限に抑えることができます。

そのため、KPI設定もマーケティングとフィールドセールスと運命共同体になるように設定する。フィールドセールスが最終的に受注しないといけない予算から逆算して、インサイドセールスは商談数・アポ数を作る。そのためにマーケティングがどのくらいリードを創出する必要があるのか、をKPIに設定します。

マーケティングもインサイドセールスの活動も売上につながらないと、経営から見たらコストにしかなりません。マーケティングはリード数、インサイドセールスは商談にフォーカスする、これだけで部門間で綺麗に流れていくようになります。

条件③ インサイドセールスのキャリアパスを構築する

インサイドセールスを導入したら、同時にキャリアパスも検討しなくてはいけません。クロージングまでをおこなうインサイドセールスならスタープレーヤーも生まれますが、基本的には商談を生むのが使命です。そのため、外資系企業以外では年収が高いインサイドセールスは耳にしません。企業がしっかりとキャリアパスを描く必要があります。

わかりやすい例では、インサイドセールスを育成の登竜門にすることです。インサイドセールスの経験は、CS(Customer Satisfaction=顧客満足)、フィールドセールスとマーケティング、ITの素養も得ることができるので、他の部門にも接続しやすくなります。

インサイドセールスとフィールドセールスに序列をつけない方が良いという意見もあるかもしれませんが、インサイドセールスからフィールドセールスへの流れがあった方がスムーズです。特に立ち上げ時にインサイドセールスが社内で市民権がないケースのほうが多い。声を大きくしていくのは効果が出てからにしましょう。

インサイドセールスの立ち上げはセールスがコミットする

これまで解説してきたようにインサイドセールスの立ち上げには、フィールドセールスのコミットが不可欠です。

インサイドセールスのメリットは、営業の効率化、マーケティングとの連携、機会損失の低減など多くありますが、最大の目的は売上につながらなければ意味がありません。

オペレーション化したSDRでも効率化を図ることができますが、BDRのようにより攻めのインサイドセールスをつくることが、メンバーのキャリアパスにもなり、売上にも直結します。

インサイドセールス組織の立ち上げには今回解説したことを参考にしてみてください。

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