マーケティング活動を自動化するマーケティングオートメーション(MA)ツール。HOTな見込み客の創出やマーケティング施策の可視化などを目的に導入を検討している、あるいは、既に導入しているが結果が出ていないというお悩みを抱えているなど、そんな方は多い現状が続いているのは不思議だと思いませんか?本記事では、なぜMA導入が失敗するのかについて5つの理由に絞ってわかりやすく解説いたします。MA活用状況の実態マーケティングオートメーション(以降、MA)の導入企業は2022年8月時点で10700社(FORCASよりタグ挿入済企業数を算出)が既に導入しているといわれています。特に年商1000億円以上の大企業に至っては、18.9%が導入しており、コロナ禍の背景を受けて、ますますこの流れは拡大するものと考えられます。MAの導入目的としては、マーケティングと営業の分業体制を作ることで、従来では取り組めていなかった見込み客(以後、リード)へのアプローチを実施することができ、限られた営業リソースで売り上げの最大化を実現できることが挙げられます。しかし、導入してみたものの期待以上の効果を上げられていないのが多くのMA導入企業の悩みです。では、どのような課題があり、結果MAが効果的に使えず導入が失敗しているのでしょうか。MA導入における5つの失敗理由ここからは具体的にMA導入における5つの失敗理由についてご紹介いたします。1. ホットリードがホットでない営業とマーケティングの分業体制を敷いても、『マーケティングがホットリードをいくら創出しようが、営業が見向きもせず放置状態になっている』、といった部門間の溝が多くの企業で存在しています。なぜ、このようなことが起きるのでしょうか。営業とマーケの溝の発生理由の多くが、ホットがホットでないことや、ホットリードの定義が営業と握れていないことに起因します。MAツールはマーケティング部門で導入され、マーケティング部門のみで完結していることが多いです。マーケティング部門が使うべきツールではありますが、一方でマーケティング部門のみならず、営業部門との協業は欠かせません。なぜなら、MAでホットリードを創出し、そのリードに対して営業がアプローチしなければならないからです。そのためにも、ホットリードの定義は営業とマーケティングとで充分に協議されていなければなりません。今一度、マーケティング部門だけではなく、営業部門とホットリードの定義を協議してみると良いでしょう。2. リードが循環する仕組みができていないホットリードが営業と定義していないままにMAが導入されるとどうなるでしょうか。結論、リードは放置されたままになります。放置されたリードの中には、見込顧客が含まれているかもしれません。しかし、放置されれば、その状況すらわからずじまいとなります。放置された結果、ホットリードであるはずが、時とともにホットではなくなります。そのため、リードの放置がされない仕組みづくりに加えて、ホットリードの判別が重要です。良し悪し含めてリードを循環させていく仕組みが必要です。営業のバイアスによる判定ではなく、アプローチの結果によるものとして、ホットであるか、そうでないかの判別していく必要があります。3. 効果測定ができていないホットリードに対して営業からアプローチが行われないと、どの施策からどれくらいの商談が創出されたかわかりません。結果として、マーケティング費用対効果(ROMI)が見えなくなります。MAを導入して、その効果がすぐ可視化されるわけではないです。営業による後続の連携がないと効果測定すらもできないことを理解しておきましょう。4. 施策毎の目標が曖昧MA導入の成功の鍵は、マーケティング部門がホットリードを作ることです。そのホットリードに対して営業部門がアプローチし商談を作り、その商談から案件を作り出し受注へと繋がります。これらをシームレスに繋ぐ役割として施策があります。つまりリードにも段階(リードステージ)があり、その段階に合わせて、施策とコンテンツが必要となります。MA導入の失敗原因の一つとして、リードステージを決めていないことが挙げられます。リードステージを決めていたとしても、形骸化している施策をステージにリンクできていない、あるいは施策の目標が設定できていない場合も同様にMA導入が失敗する恐れがあります。まずは、『リードステージに合わせて施策と施策ごとの目標を決められているか?』を確認してみましょう。5. 目標が曖昧なため改善が断続的MA運用・マーケティング施策を実施するうえで、売り上げや獲得リード数など目標を基にPDCAを回すことはとても重要です。ただし、目標となるKGIが明確に決まっていなければ、当然ながらPDCAを回しようがありません。結果、メールの開封やクリックの良し悪しで、「あーでもない、こーでもない」となりがちです。そのクリックはリードステージにどのような影響があるのかを見極めたうえで議論する必要があり、表層的なPDCAでは時間の無駄といえるでしょう。マーケティング部門もリソースに限りがあります。ゆえに、全てにおいて意味がある活動に集約しなければなりません。各活動の目標をつなげることでゴールに近づくのであれば、どこをチェックし、どこを改善すべきかが明確になります。限られたリソースで最善の策を推進するために重要ではないでしょうか。全ての根源は営業部門とマーケティング部門のアラインメントアラインメントという言葉をご存知でしょうか。アライメントは日本語で「調整する」などの意味をもちます。多くのBtoB企業の売り上げ構成の大半は、営業部隊によるものです。最終的に商談をクローズするのは営業のため、マーケティング部門は営業との連携・調整を欠かすことができません。しかし、コロナ禍の影響を受けて思ったような営業活動ができない環境下であることも事実です。リアルな接点は徐々に減少していく一方で、買い手はデジタルによる情報収集がますます進んでいます。マーケティング部門はいまこそ、営業に代わって情報提供をしていき、営業ではタッチできないリードにアプローチすることが求められています。そして営業と共に、売り上げに貢献していくことが求められています。マーケティング部門の意識を変えるマーケティングが営業ではタッチできないリードへアプローチするためには、マーケティング部門の意識を変えていくことが重要です。「営業がどうのこうの」と文句をいったところで、やはり売り上げ数字を持っているプロフィットセンターとお金を使うコストセンターの違いのようなものです。では、どうすべきでしょうか。私たちはマーケティング部門もプロフィットセンターの一部になるべきだと、考えています。マーケティングコミュニケーションではなく、マーケティングをしなければならないということです。つまり、ドラッカーが言う「顧客の創造」です。そのためには、マーケティング部門も営業と同じく数字の意識を持つ必要があり、営業にフォーキャストがあるように、マーケティングにも売上につながるフォーキャストが必要ではないでしょうか。