マーケティングオートメーション導入の基礎講座

マーケティングオートメーションを導入する上で重要なのがフィールド項目(必要な見込み客情報)の検討です。SFAを導入している会社でよくある失敗は、ありとあらゆる情報を詰め込むがあまり、結果としてその情報を活用できないという状態に陥っていることです。
それらの情報はマーケティング活動において必要な状態になってはじめて活用できます。つまり、マーケティングにおけるフィールド項目の検討は見込み客を選別していくための大事な要素です。
そもそもマーケティングをオートメーション化するにあたって重要なのはパーソナライズ(個別最適化)です。
見込み客はこれらのフィールド項目によりターゲティングができるか?に尽きると思います。

マーケティング設計の基本のキ「STP」

誰に、何を、どのようにマーケティングを実行するのか?この考え方がSTPです。マーケターはまずこの基本を押さえていきましょう。

S:セグメンテーション

STPのSは、「セグメンテーション=属性情報」です。
大きな市場に対して細分化されたものがセグメントです。

BtoBの場合、セグメンテーションには二つの要素が紐づきます。
一つ目は、企業や組織のセグメンテーション。
二つ目は企業や組織に所属する個人に対するセグメンテーション。
これらのセグメンテーションを洗い出し、どのセグメンテーションを採用し、収集していくかがポイントとなります。

T:ターゲティング

次にSTPのTは、ターゲティングです。
細分化された市場に対してどこを狙うのか?狙った市場は大きすぎないか?No. 1を目指せるか?逆に小さすぎないか?などを考慮する必要があります。
マーケットがあまりに小さいと商売も小さくなりますし、どこを占有していくかがターゲティングのポイントです。

P:ポジショニング

最後は、STPのPがポジショニングです。細分化されたセグメンテーションに対して狙うべき場所をターゲティングし、その場所でどういった戦略、戦術で実行するかがポジショニングです。もちろん、細分化が大きいとその分、競合は発生します。その競合に対してどのような差別化を図り、競合と対峙していくかを検討するのがポジショニングです。

フィールドの選択項目を決定する

STPの概念がわかったところで、フィールド項目を検討します。
誰(どの企業)に対してアプローチしていくのか?そして、誰(どの企業)にアプローチしないのか?その基準や条件を決めていくことが重要となります。
例えば、企業規模ならば、売り上げや従業員数、あるいは資本金なども該当します。
その他の項目としては、上記の規模のほか、都道府県などのエリア情報、業種などもそこに加わるでしょう。これらのフィールドと選択項目を決定したら使い続けましょう。

この条件はWebサイトのフォームだけに適用される項目ではありません。
例えば、展示会のアンケートなどオフラインのマーケティング活動にも利用しましょう。ここが揺らぐとデータとしては使えなくなってしまいます。時間をかけてじっくり考えておきましょう。

マーケティング活動の接点は見込み客に紐付く

すでにSFAを導入しているところなら、営業活動での顧客の接点は見込客毎にログを取得しているかと思います。しかし、マーケティング接点の管理をSFAで管理しようと思うと同じようにはいきません。

マーケティングオートメーションは、その接点管理を見込み客単位で行うためのツールです。つまり、マーケティングオートメーションとSFAを導入、連携することで、見込み客単位でマーケティング接点と営業接点、すべての接点を管理することができるのです。

すべての接点を管理することで顧客の有効性を図る準備が終わります。いくらリードナーチャリングを実行しても、この接点管理がしっかりできていないと、行動の詳細を追えず、適切な選別ができません。

選別の目安としてのスコアリング

見込み客単位で接点を管理することの重要性を説いてきたが、数千、数万件ある見込み客リストの中から御社にとって有効なリストの見極めの判定をしていくには、一件一件の見込み客リストを閲覧していく必要があります。
そこで見込み客の見極めにスコアリングが有効な手段です。見込み客の行動や属性をもとにその有効性を確認していくための機能として、スコアリングを実施しましょう。これを実装することで、数多ある見込み客リストの中から、優先順位をつけることできます。
スコアリングの設計については、
リードスコアリングで見込み客の有効度を見極め商談率アップをはかる方法」の記事をご参考に。

リードの定義を設計する

スコアリングの設計ができたら、見込み客の定義を決定しましょう。
そこでのポイントは、定義を複雑かつ曖昧にしないことに限ります。

またパージリスト(除外リスト)以外の見込み客リストに対して、誰か(営業またはマーケター)が常に何らかの手段でアプローチできていることが重要であり、これらを明確にしていくためにも見込み客の定義が必要です。
つまり、どのような条件でマーケティングが担当し、どのような条件ならば、インサイドセールスが担当するのか、あるいは営業がアプローチする対象は?というように条件を決定することです。

この条件の中で必要となる項目は冒頭で設計したSTPの取り決めがポイントになります。場合によっては非対面で効率よく販売していける商材などもあるかもしれません。あるいは、明らかにアプローチしてはダメなパターンもあります。

あとは見込み客のライフサイクルも重要です。例えば、ある一定の期間にマーケティング接点が全くない場合は、スコアを自動的に低減してしまいます。
もしくは商談の過程で失注したなど、そういった場合はリードの定義においてどの位置まで戻すかを規定します。つまり、見込み客は捨てずに買うまで追跡する仕組みを作ることが必要です。

コミュニケーションの質を変える

リードの定義が完成したら、その定義に対してどのようなコミュニケーションを実施していくのかをプランニングしましょう。

定義の中でまだ初期フェーズであれば、情報もゆるいコンテンツが良いでしょう。中期ならばどのようなコンテンツを出すと良いかなど、ここはマーケティング担当者だけではなく、営業部門の責任者などを交えながら考えていくとスムーズになります。
お客様のタイミングで、お客様の欲しいコンテンツを的確に送っていくことで、エンゲージメントは向上していくことを理解しておきましょう。

マーケティングオートメーションへの実装

マーケティングオートメーションはあくまでもツールです。

これまで設計してきた情報をマーケティングオートメーションに設定し、自動化するための便利なツールであるのは間違いありませんが、設計図が適切でないと効果を発揮することはなかなか難しいです。とはいえ、実施しないとその設計図が適切であるかは、分からないことが多々あるため、私はとにかく実行し、テストしていくことを推奨します。
もしかするとスコアがあまいかもしれないし、定義の条件に問題があるかもしれません。そこに気づくのもやはり、実行者でしか気づくことはできないからです。

マーケターは出口を見つける

マーケターにとっての出口は何か?を常に考えておきたいところです。
つまり、出口とはマーケターにとっての成果でもあり、売り上げに貢献する見込み客の創出であり、あとは何かの条件により売れることを指します。
出口の無い状態でリードジェネレーションはもちろん、リードナーチャリングを実施しても意味がありません。最後にクロージングをするのが営業ならば、営業がしっかりと動いて、そのフィードバックをもらっていく必要もあります。そして、リードの定義が適切かどうかを検討しましょう。これの繰り返しで精度を上げていくことができます。

何度も申し上げますが、マーケティングオートメーションはあくまでツールです。
オートメーション化がどこまで必要かも検討しましょう。
リソースを確保するという意味では、オートメーション化も有効ですが、効果を獲得するという意味ではオートメーション化されたコミュニケーションが、顧客ニーズの真をついたコンテンツにしていくために設計に手間がかかるのも事実です。
たかがメールマガジン、されどメールマガジン。
コミュニケーションの重要な部分を担うわけだから、マーケティングオートメーションの機能ありきで検討すべきではありません。

マーケティングオートメーションでタギング

最後にタギングの話です。
マーケティングオートメーションにより見込み客の行動をトラッキングするためには、マーケティングオートメーションツールのタグを各WEBサイトに貼っていく必要があり、そして見込み客に対してタグ付けしていく必要があります。もちろんこの状態では、匿名なので見込み客情報と紐付けが必要です。

その方法は以下の2つになります。

一つはマーケティングオートメーションにより生成されたフォームの通過。
そしてもう一つはマーケティングオートメーションにより配信されたメールマガジン内にあるリンクのクリック。
これらにより見込み客の行動をトラッキング開始します。

つまり、トラッキングが始めの第一歩です。いかに見込み客に対してタギングしていくか。それができていないと見込み客個人に対するオートメーションはもちろん実行できません。

マーケティングオートメーションを活用するファーストステップはメールマガジンのクリック促進、フォームの通過となります。そうとなると、展示会などで獲得した見込み客リストに対する考え方は変わるはずです。
そして、「タギングされるコンテンツを開発する」ことにフォーカスがいきます。
トラッキング後のあとは、エンゲージメントとドリップ。信頼関係を作る、そして絞る。これの繰り返しです。
とにかく実行し、検証し、改善する。この繰り返しを地道に行いましょう。

さらにマーケティングオートメーションに関するより詳細な情報を知りたい場合は、以下にある資料をお読みください。マーケティングオートメーションの理解がさらに深まることでしょう。

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