MA運用におけるPDCAサイクルのポイント

マーケティングオートメーション(以下、MA)を導入している企業は年々増加しています。(参考:<2021年1月 国内58万社 MAツール実装調査> ©Nexal, Inc.

加えて、コロナ禍という情勢もあり、オンラインを活用したデジタルコミュニケーションに取り組まざるを得なくなった企業も多いのではないでしょうか。
そういった背景からMAを導入したものの、メール配信しか使っていないなど、活用には至っていないというケースは珍しくありません。

本記事ではBtoB企業でMA導入を検討しているが運用のイメージがついていない方やMAを導入したが使いこなせていないという方に、運用におけるPDCAサイクルのポイントをご紹介します。

MA運用における課題

まずMAを運用していく上で活用に至れていない場合に考えられる課題を2つご紹介します。

1.  KPIの設定ができていない

KPI(Key Performance Indicator)の設定は非常に重要です。ここでお伝えしたいのはメールの開封率やCTRといった施策単位のKPIだけでなく、マーケティング、営業プロセス全体でのKPIです。

KPIとは?設定の手順やコツ・KGIやOKRとの違いまで詳しく解説

そもそも皆さんは何を目的にMAを導入するのでしょうか。それはデジタルを活用した営業プロセスの効率化によって収益を上げることです。
組織には売上というKGI(Key Goal Indicator)があり、この点については営業、マーケティングともに共通の目標です。
しかしそれ以外に営業、マーケティングで共通の指標が決まっていないことがMA運用において大きな課題となっています。

マーケティング部門はマーケティング活動がどれだけ売上に貢献しているのかを説明できなければいけません。そのためにはリードを獲得してから受注するまでの全体プロセスを設計し営業、マーケティング間で合意形成することが重要です。
全体プロセスの中で明確な数値目標ができることで、マーケティング活動の成果も可視化されます。

2. 運用体制が整っていない

運用していく上でまず必要なのはリソースです。リードデータ管理、メール配信、効果測定などの業務に必要なリソースを確保する必要があります。
社内だけで確保できない場合に新たに人を採用するのか、または外部に委託するのかも検討しましょう。ミニマムでスタートすると、リソースが限られた人に集中してしまい属人化しやすいので注意が必要です。
また、決めておくべきこと(先述のKPIなど)を決め、マーケティング設計をしていないと、ただMAを導入しただけで機能を使いきれていないという状況に陥りかねません。

MA運用のPDCAとは

PDCAを回すためには設計が大事

MAの運用において重要なのはMAを活用する設計ができているかです。 必要な設計を3つご紹介します。  

1. リードライフサイクルの設計

MAを活用する上で肝といっても過言ではありません。リードライフサイクルとは自社における獲得から受注までのプロセスを分解して、リードステージとして定義を決め、各部門の役割を明確にしてリードを管理していくための考え方です。
リードライフサイクルを決めることでステージに応じた施策の実施、各ステージにいるリード数からプロセスの状況把握、リードの受け渡し管理も実現できます。各ステージの遷移状況をモニタリングして、どこにボトルネックがあるのか可視化することが重要です。  

2. バイヤージャーニーの設計に応じた施策の整理

バイヤージャーニーとはBtoBにおいて顧客が商品・サービスを購買するまでのプロセス(購買プロセス)を定義したものです。
リードライフサイクルが自社目線であったのに対し、こちらは顧客目線で購買にいたるまでのステップを考えます。自社に合ったバイヤージャーニーの設計が必要ですが、大きくは認知、検討、決定の3段階で考えることできます。

バイヤージャーニーの意味は?基礎知識や活用例・メリットも紹介

例えば認知段階にあるホワイトペーパーの目的は顧客情報を獲得することです。そうであればフォームの入力数(獲得数)が見るべき指標になりますし、さらにターゲットかどうかも重要であればターゲット数も見ないといけません。

このように各段階で顧客がとる行動(解決策)に対して必要な情報をどうやって届けるのかを整理します。施策はバイヤージャーニーを次に進めるための手段なので、この整理をすることで各マーケティング施策の目的が明確になります。目的が明確になれば施策ごとに計測する指標もおのずと見えてきます。

3. KPIの設定

最後にKPIの設定です。先述の通り、営業、マーケティングが共通で見るべき指標を持てていないことが大きな課題です。売上をKGIとした場合、KPIをどう設定すべきでしょうか。売上は次のように考えられます。
売上=受注数×単価、受注数=商談数×受注率、商談数=アプローチ数×商談化率・・というように売上の要素を分解していくと、各プロセスにおいて必要な数字が見えてきます。
つまり、リードライフサイクルで決めた受注までのプロセスを定義したステージこそが営業、マーケティング共通のKPIになります。

改善のために見るべき指標

ここまででリードライフサイクルを設計し、バイヤージャーニーと施策の整理を行い、リードライフサイクルのステージを営業、マーケティング共通のKPIとして設定しました。そこからPDCAをまわすためのポイントと考え方をみてみましょう。

1.リードライフサイクルに基づくプロセス管理<

下図のケースを例に考えてみます。  

10,000件のリードから14件の受注を獲得しているとします。しかし目標は20件だった場合にどうするのか。現状の転換率で考えるとそもそも獲得数が足りていないことが分かります。この差分を埋めるために新たな獲得施策を検討する必要があるかもしれません。
あるいは、転換率の向上を図るのもよいかもしれません。育成対象、ホットリードはそれぞれ20%の転換率ですが、ここをそれぞれ20%ずつ改善して24%にできるとアプローチ中の数は460件となり現状のリード数でも実現可能になります。
このように各ステージのリード数、転換率から改善点を探しましょう。転換率の改善を検討する際は改善後のインパクトが期待できる母数が大きい所に注目するとよいでしょう。
まずはリードライフサイクルを基にどこにボトルネックがあるのかを分析しましょう。

2.施策の振り返り

全体のプロセスでボトルネックを分析した次に施策の振り返りです。育成対象からホットリードへの転換率を20%改善しようとした時に、現状の施策の成果を確認する必要があります。  

例えばウェビナーを実施しており、ウェビナーから多くのホットリードを創出できているのが分かれば、注力すべき施策なので実施回数を増やそうと考えます。効果のあったコンテンツは何なのかをウェビナーごとに比べてみましょう。また、回数を増やすためにはリソース確保も必要になるので、ウェビナーの運用方法を見直すことも必要になってくるかもしれません。

まとめ

全体プロセスの設計を行い、営業、マーケティングで共通のKPIを設定することが重要です。決めるべきことさえ決まってしまえば全体プロセスのKPIからボトルネックを分析し、施策レベルまでブレイクダウンして改善策を検討することができます。
こうしたプロセス設計をした上で、運用していくことがMAを活用していくための一歩ですので、まずはそのための運用体制を構築しましょう。また、社内リソースだけで実現が難しい場合は、外部リソースも選択肢の一つなので検討してみてはいかがでしょうか。

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