ABMは進化し続けている!ABM=Leadership Development最初に紹介するのは、SirusDecisions社、VP of Researchの Megan Heuer氏の「SirusDecisions Reveals Six Rules to Play the ABM Game Better Than Anyone.」(SirusDecisions社が明かす、ABMゲームを誰よりもうまく操る6つのルール)と題したセッション。ABMはBtoB企業にとっていかに重要か?Sirius Decisions社が、BtoB企業にアンケート調査で「ABM(アカウントベースドマーケティング、以後ABM)は自社が成功するのにどれぐらい重要だと思うか?」を聞いたところ、2016年には87%だったのに対して、2017年1Q時点で92%の人が「非常に重要」もしくは「重要である。」と答えたという。また、ABMを採用した企業の中で、2016年の試験導入での成功により、そのうちの62%の企業が2017年にはABMの本導入に至っていると語った。Heuer氏は、この結果はABMが単なる一時的な流行ではなく、企業に成果をもたらすことができるものであることの証拠であり、企業がABMで失敗してしまうのは、間違ったゲームプランで実行したり、正しいルールを知らないからだと語った。ABMを駆使するための6つのルールとは?Heuer氏は更にABMを有効に使用するには6つのルールがあると述べた。1.Choose Your Game(自社にあったゲームを選択する) -ABMで何を達成する必要があるのか?ABMを採用するにあたっては、まず「ABMは自社にあったマーケテイングなのか?ABMで何を達成する必要があるのか?」を考えなければならない。また、「どのようなデマンドを作り出すか?どの程度の潜在的ニーズを探り出すか?どれぐらいセールスとアカウント(ターゲット企業)を共有すべきか?」などを、開始時に計画することが必要であると語った。2.Define the Field of Play(フィールドを設定する) -どのモデルのABMが結果をもたらすか?ABMではアカウントの獲得・育成において、下記の3つのモデルを使用する。そして、異なるピラミッドの層ごとに、セールスと連携して市場を獲得する戦略を立てていく。SirusDecisions社が考える3つのABMモデル・Large Account ABM―少数で、既存もしくはターゲティングした大規模アカウント (このモデルにおけるピラミッドの最上層)・Named Account ABM―比較的多数で、既存もしくは特定できているターゲティングした中規模アカウント (ピラミッドの真ん中の層)・Industry ABM―比較的多数の、同じ業界、もしくは特定セグメントにおける、新規または既存の中規模アカウント (ピラミッドの一番下の層)3.Learn the Rules(ルールを学ぶ) -ABMを実現するために最適な方法はなにか?ABMで結果を残している企業は、インサイト、組織、コミュニケーション、そしてテクノジーインフラの確固たる基盤を作り、プロセスを実施している。4.Define How to Keep Score(計測の方法を決める) -ABMが自社のビジネスにどのような影響を与えるか?ABMで成果を上げるにはマーケティング、セールス、プロダクトチームの機能を横断してお互いが協力できる評価指標を定め、実行にあたり連携することが大切である。SirusDecisions社が調査したABMの評価指標で、2015年と2016年を比較して、最も変化のあったトップ5。5.Get the Right Equipment (正しい設備を整える)-ABMを実施し、拡大していくにはどのようなテクノロジーやツールが必要か?テクノロジーには下記2種類がある。・Foundation(ABMにおいて、既に活用され基盤となっているテクノロジー)具体例としては、File sharing and collaboration, Finance ERP, Sales Account planning, Marketing automation, Sales force automation, Business intelligence, Social media intelligence, Web analysis など。・Emerging(これから導入されるであろう新しいテクノロジー)具体例としては、Learning management, Intent monitoring, Predictive, Customer journey mapping, BI for ABM, Customer success management, Value actualization, Integrated DM, Value actualization など。これらのテクノロジーをPreparation (準備)→Prioritization (優先順位付け)→Planning (計画)→Execution(実行)→Measurement (計測) のどのプロセスに位置づけるかを決めていく。6.Choose the Right Team (チーム作り)―ABMに必要な人材の確保。Heuer氏は、最後の6つ目のルールとして、人やチームが、ABMの成功において非常に重要であると語った。SirusDecisions社がABMを既に投入している企業に、「現在のABMを行うチームは成功に必要なスキルがあるか?」という質問を行ったところ、2015年には53%だったのに対して、2016年では62%に増加していた。また、「ABM専任の十分なスタッフがいるか?」という質問に対しては68%から71%に増加し、更に「マーケティング予算全体の11%~30%をABMに当てているか?」という質問には、2015年には19%だったのに対し、2016年には27%に増加していることがわかった。この数字が表すように、BtoB企業のABMにおいて、予算やリソースの増加が顕著に見て取れる一方、「マーケティングとセールスが協同で、アカウントに対する目標や計画作成に取り組んだ」と話したマーケッターは、2015年の73%から2016年には68%に減少しており、マーケティング以外の部門、特にセールスとの連携の重要性を再確認させられる結果となった。なぜ、ABMはトップマーケッターたちに人気なのか?ABMはリーダーシップ開発!Heuer氏は、ABMが以下の5つの理由でリーダーシップ開発のプログラムになるため、才能のあるトップマーケッターたちは、ABMの必要性を認め、チャレンジしたがっていると語った。・セールス部門のリーダーたちと一緒に働くことができる。・顧客のニーズを理解できる。・より細かく、そして数字でマーケティングの貢献度の目標設定ができる・データやインサイトに基づいて、戦略を変更できる。結果として、拡大を促してくれる・継続的で確かな方法でマーケティングの貢献度を示すことができるまとめHeuer氏は、Sirius Decision社で独自に取得したデータも取り交ぜ、独自のフレームワークをもとに、ABMが単なる一過性の流行ではなく、今日、マーケティングのトップで活躍する人たちが率先して取り入れ、成功を収めていると語った。今回紹介した6つのルールを、ABMを正しく理解する上でとても重要になるだろう。SirusDecisions社による、マーケティングオートメーションの最新事情次に紹介するのは、同じくSirusDecisions社、VP of Client-Facing TechnologyのJay Famico氏。セッションは“SiriusDecisions Unveils New “State of Marketing Automation” Research …and What it Means for YOU!”(SirusDecisions社が明かすマーケティングオートメーションの最新事情と、それが持つ意味)と題して行われた。Famico氏はまず冒頭に、「マーケティングオートメーション(以後MA)は企業にとって、贅沢品ではなく重大なミッションになっている。今日のMAはテクノロジーを駆使し、新しい機会を創出し続けている。特にBtoB企業においては様々な価値を生み出している」と述べた。2016年度のマーケティングオートメーションの現状(企業規模、国、年数)MAを導入している企業を規模別に見ると、売上が$2B以上が 21%、$751M-$2Bが 22%、$251M-$750Mが 20%、$51M-$250Mが20%、そして、$50M以下の企業が17%となっている。地理別では、本社が北米のある企業が 84%、ヨーロッパにある企業が15%、そしてアジア・パシフィックにある企業は1%となっている。導入年数は10年以上の企業が7%、6年から10年が25%、3年から6年が26%、そして3年未満の企業が28%となっている。MAを使用している目的企業の利用目的は、Demand Creation(デマンドの創出)-83%、Sales Enablement (営業活動改善のための一連の取り組み)―73%、Customer Lifecycle (カスタマーライフサイクル)―70%、Reputation (評判)―67%、Influencer(インフルエンサー)―59%、Internal Employee Comms(社内コミュニケーション)―53%、Partner Lifecycle(パートナーライフサイクル)―51%であった。MA導入による不満足の理由はFamico氏は、企業が、MAに不満を持つ主な理由は、必要な時に的確な回答が得られないなど、MAベンダーの技術的なサポート体制が整っていないことであると述べた。「今後ベンダーを変える予定があるか?」という質問に対し、BtoB企業の50%が、12か月以内に他の環境やバージョンに移行する意思があるという結果が出たと言う。リード育成91%もの企業がリード育成にMAプログラムを使用しているという高い普及率が示された。SirusDecisions社の考える5つのプランニングと実行のメソッドとは?ビジネス成果を効果的に導くデマンド創出を行うには、1.Program goal(プログラムの目標)-目的と内容を決める2.Program requirement (プログラムの必須事項)-目標を叶えるために何が必須かを決める3.Program design (プログラムのデザイン)-どうやって見込み客と関係を構築するかのアプローチ方法を設定する4.Tactic deployment(戦術展開)-プログラムのパフォーマンス測定を行いながら、展開する。5.Program Diagnostics (プログラムの実態分析)-最適化できる箇所を特定する。スコアリング革命One-size-fits-all(全ての顧客に同じことを行う)アプローチから、データサイエンスを駆使し、モデルやスコアリングを設定するアプローチが主流になりつつある。・89%がリードスコアリングを活用。・72%が統計分析を使用し、モデルを設定・70%がルールに基づいたアカウントモデルを使用・67%が複数のモデルを使用(18%は4つ以上のモデル使用)・62%はスコアリングに関して、Predictive(予測分析)を使ったベンダーを使用。また、分析ツールを使用しているユーザーのうち、70%は外部(専門)の高度なアナリティクスプラットフォームを使用しているという結果であった。まとめ今回のセッションでは、SirusDecisions社の調査結果に基づき、MAをBtoB企業がどのように使用し、価値を見いだしているかなどの最新動向が多く語られた。特に現在のMAにおいて、データサイエンスを駆使したスコアリングの重要性が強調されていた。