インターネットがBtoBマーケティングの世界に与えた影響慶應義塾大学大学院 経営管理研究科教授である余田拓郎氏の基調公演からカンファレンスはスタート。「BtoBマーケティングの世界でインターネットが与えた変化」から始まり、現時点で多くの企業が抱えるマーケティング課題についてご説明いただきました。グローバル化や顧客接点の拡大、BtoB企業の利益率の低下によって、BtoB企業はPush型の営業からPush型とPull型営業の組み合わせによる効率化が求められていること。そして、Pull型営業を強化するにはカスタマーリレーションシップの構築と強化、つまりABM(アカウントベースドマーケティング)の概念が必要不可欠であることを指摘。ABMを実践することにおいて、インターネットが果たす役割が大きくなっていること。また同時に、インターネットの持つ可能性がまだまだ広がっていることを認識させられました。公演の終盤で語られた「(マーケターは)デジタルマーケティングの可能性を狭めてはいけない」という言葉が非常に印象的。マルケトのコンセプトは「エンゲージメントマーケティング」続いて、マルケト代表取締役の福田康隆氏によるオープニング挨拶。「マルケトのコンセプトはエンゲージマーケティングという言葉に尽きる」と、冷静に淡々と語っていらっしゃった姿が印象的。“エンゲージメントマーケティングの世界の実現”を果たすために尽力していく意気込みを、確かに感じさせられる短くも濃厚な時間だったように感じられました。全てのタッチポイントで顧客の期待を上回る次に、マルケト社の副代表であるMatt Zilli氏による“Engagement Economy”に関する公演。顧客のブランドに対する期待が向上している状況を踏まえ、BtoBマーケティングにおいても顧客とブランドの結びつきを意味する“エンゲージメント”が重要になってきていることを力説。「全てのタッチポイント(顧客との)で期待を上回る必要がある」と、Engagement Economiyにおける成功法則を示しました。アメリカにおける最新の事例やデータを知れるチャンスもあり、各企業のマーケターがABMに取組む熱意を高める公演となっていました。マルケト社が考えるBtoBマーケティングマルケト社代表取締役・福田氏による“マルケト社が考えるBtoBマーケティング”の公演。各企業のマーケターが抱える誤解をピックアップして、それぞれの誤解を解きほぐしていく形式で始まりました。「日本は欧米に比べて遅れているのか?」「アカウントベースと個人ベースは別物なのか」を始めとした誤解を1つ1つ解消していく中で、マルケト社の考えるBtoBマーケティングのあり方が浮かび上がってきました。公演の最後にはABMを実現するための「Marketo ABMプラットフォーム構想」のイメージを公開。冒頭のオープニング挨拶で述べられた通り、本気でエンゲージメントマーケティングの世界実現を目指す姿勢が伺えました。パネルディスカッション1:アカウントベースドマーケティングパネリストにアクセンチュア株式会社の槇隆広氏・株式会社東京商工リサーチの弓削正範氏・株式会社ユーザーベースの佐久間衝氏の3名。モデレーターにマルケト社の鈴木仁氏を加えた4名によるパネルディスカッションを開催。テーマである“ABM”について、日本におけるABMの浸透具合やどのように取組むべきかについて各パネラーの意見が飛び交いました。ディスカッションの中でにあった「ABMをどのような企業が、どこから着手すべきか」という問いに対して、次のように解答した佐久間氏の解答が印象的でした。「全部の企業。効果に差こそあれけれど、全部の企業がやるべきこと」「やりたいと思ったのであれば何かをすぐ始める。とにかくアクションすることが大事」この言葉は、悩むマーケターの背中を強く後押しする言葉になったのではないでしょうか。パネルディスカッション2:BtoBマーケティング最前線パネリストに株式会社コンカーの柿野拓氏・Sansan株式会社の石野真吾氏・富士通株式会社の駒村伸氏の3名。モデレーターにマルケト社の小関貴志氏を加えた4名によるパネルディスカッションを開催。テーマは“BtoBマーケティング最前線”。実施している内容は各社それぞれ異なるにも関わらず、共通して認識していることがありました。それは「マーケターとの会話の中に自社で行うべき施策のヒントが眠っている」こと。規模や商材の異なる企業のマーケター達が実施したBtoBマーケティングの考え方や取り組み、抱えている課題など、時間をかけて蓄積してきた知恵やノウハウがたくさんシェアされる場となりました。まとめ今回のカンファレンスも非常に学びが多いものとなりました。過去から現在までのBtoBマーケティングの変遷を理解し、現在から未来に向けてのBtoBマーケティングの在り方を考える良い機会になったことでしょう。ABMが広まりをみせた背景として、マーケティングオートメーションというツールが発明されたことは明白です。ただし、「ツールをいかに活用していくか」「社内に浸透させていくか」は企業によって千差万別。早い段階でテクノロジーを導入し、リソースを割きながら各企業における成功パターンや黄金則を探すことが重要になるのは間違いないでしょう。少なくとも、パネルディスカッションに登壇し、成果を出している担当者の方々はみなテクノロジー利用の必要性を強く感じていらっしゃるようでした。マルケト社が目指すエンゲージメントマーケティングの世界がこれからどのように進んでいくのか、これからも目が離せません。