【速報レポート】The Marketing Nation Summit 2017~Keynote~

顧客の心に響くマーケティングとストーリーテリング

4月25日のKeynoteセッションは、米マルケト社のCMOのChandar Pattabhiram氏が最初に登場。Chandar氏は要所要所に事例や、ビデオコンテンツなどを盛り込みながら下記のポイントを熱く語った。

Chandar氏は冒頭に、GreenFig University と提携してMarketo Universityの設立及び、Next Generation of Marketersというマーケティングに関する無料のトレーニングコースのリリースを発表した。

Chandar氏はまずKeynoteの参加者に、簡単ないくつかの単語を紹介し、それらの単語からどの企業を想像するかというクイズを行った。参加者は与えられた単語から即座にアップル社、ナイキ社、テスラ社を回答に挙げた。氏は、これらの企業を例に挙げたのは顧客の心を掴み、そしてアイコンの役割を果たしているからだと言う。

ではどうやって、それを実現することができるのか。Chandar氏はArt of Storytelling(優れた会話、物語の技術), Adaptive Engagement(エンゲージメントへの適応性), Advocacy (アドボカシー)の3つのAがポイントになると強調した。

1)The Art of Storytelling

Chandar氏はエンゲージメントはまずストーリーから始まり、顧客を掴むには心を掴まなければならないと語る。技術の目覚ましい発展により、サイエンスを重視したマーケティングが語られるが、効果的で適切なコミュニケーションの技術、そして、素晴らしい物語を語ることに及ばない。

「Engagement begins with storytelling.」

「感情は数字やデータを超える。そして自社のブランド、商品やサービスを、見込み客や顧客にビジュアルで、しかも心に響かせる。結局は彼らと心で繋がる方法で、価値のある何かを提供すべきだ」といい、感情に訴えかけ、説得力のある物語を伝え、顧客と継続的な関係を築くことが重要であると力説した。

さらに創造性のあるStorytellingを作り出すにはどうすればいいのか。その3つのポイントはBe Interesting (好奇心をそそれ)、Be Authentic(模造ではなく本物であれ) Be Relevant ( 関連性のあるものを)だと説明した。

2)Adaptive Engagement

従来のマーケティングはマーケターが提案したもの(ブランド)を、顧客が聞くというものであったが、今日では顧客が語り、ブランドが聞き入れる時代になっている。このような状況の中では「Listen→Learn→ Engage→Listen」というプロセスを構築し、そのプロセスをいかにスケールさせられるかがエンゲージメント構築におけるポイントであるという。もちろん早急に始めれば、顧客のことをよく学べるし、深い関係性を築くことができる。Chandar氏はNetflix社がいかに早い段階で顧客の声を聞くサイクルを取り入れ、顧客とエンゲージメントを築き、そしてスケール化することに成功したかを説明した。

また、エンゲージメントで大切なのは、カスタマーライフサイクルに沿って、ただ語るのではなく、Acting(演出)しなければならないと話した。パナソニック社を例に出し、パナソニック社がライフサイクルの全てのポイントでいかに顧客と関係を築き、適応し、顧客と共に進化を成し遂げているかを語った。

3) Advocacy

最後のAはアドボカシーである。Chandar氏は航空会社のカスタマーロイヤリティプログラムなどを例にとり、「loyalty (ロイヤリティ)とAdvocacy(アドボカシー) とは2つの違うものだ。」と語った。最近の航空会社の相次ぐトラブルなどで嫌気がさしているが、ロイヤリティプログラムがあるから仕方なく、15年近くも同じエアラインを使っているという。アドボカシーとはそのブランドに夢中になるほどパッションを持つことであって、氏によるとこのような関係はアドボカシーではないという。

「Build brand advocacy inside out.」。幸せな社員が自社の企業や自社のブランドにパッションを持つように、ブランドアドボカシーも外からではなく内側から構築するべきであると語った。

カスタマーライフサイクルの全てのポイントで適切なメッセージを。そしてエンゲージメントを

次に登場したのが、Chandar氏が例にもあげたパナソニック社から、BtoBマーケティングディレクター(パナソニックシステムコミュニケーションヨーロッパ)のStephen Yeo氏。Yeo氏は今年のMarketo社の「Marketing Executive of the year」を受賞している。

氏は冒頭に現在のパナソニック社の75%の商品は、非消費者向け製品であると述べた。

Yeo氏はパナソニック社はカスタマーライフサイクルを細かく分析し、全てのポイントにおいて、エンゲージメントを構築できるようにしていると語った。これにより、顧客に最適な方法、最適なタイミングで、最適なメッセージ、そして最適な商品を送ることができるとし、これらを異なる22の言語で行っていると述べた。

例に挙げると、カスタマーウエルカムプログラム、カスタマーケアプログラム、リテンションプログラム(商品乗り換えを防ぐための維持を推進するプログラム)、ウインバックプロモーション(戻ってきた顧客へのプロモーション)などの他、様々なプロモーションをカスタマーライフサイクルの全てのポイントで提供している。2012年には88のキャンペーン、現在は1500ものキャンペーンを持っているという。Yeo氏は、現在は一層細やかなセグメンテーションが要求されており、それに見合ったキャンペーンの必要性を述べ、顧客のカスタマージャーニーを通して、よりきめ細やかなエンゲージメントが求められる時代であると語った。

CMO3.0(CMOのフューチャー)

次のKeynoteではCMO3.0(CMOのフューチャー)と題して、Adweek社のエディトリアルディレクターJames Cooper氏がホストとして登場。4人のトップマーケターとして活躍するパネリストを迎えて、彼らの体験談なども混ぜながら、目覚ましく変化するマーケティングの役割を熱く語った。

どんな時も前向きに失敗から学ぶ

Keynoteの最後に登場したのはラップ歌手としてグラミー賞を受賞、女優としても映画『シカゴ』でアカデミー賞助演女優にノミネートされたクイーン・ラティファである。歌手、女優業以外にも執筆活動も行っている。Marketoのシニアバイスプレジデント兼法律顧問のMargo Smith氏に紹介されクイーン・ラティファが登場した際は会場中が大きな歓声に包まれた。

彼女は、自身の育った環境がいかに人生に影響を与えたか、早くから自分の価値、そして自分らしさ(オーセンティシティ)の重要性に気づいていたことが、いかに今の自分の成功につながったかなどを語った。歌手としての最初の成功は、自分の直感を信じ、自分がどうなりたいかを見極め、早くから決めた自分のブランドに沿った仕事を選んだものによるといい、自分の周りにいる人を選ぶことも重要であると語った。

マイノリティの女性として多岐に渡る分野で成功を収めた彼女は、「常に学び続けるべきよ(Be a Constant Student!)。恐れを受け入れ、変化を恐れず、どんな時も前向きに立ち向かう、そして、もし失敗してもその失敗から学ぶの。失敗したからって怖いものはないでしょう?それから又立ち上がり、新しいやり方で再度トライするの。」と人生のレッスンをたくさんのユーモアを交えて語った。スピーチの最後は参加者からのスタンディングオベーションで幕を閉じた。

まとめ

今回のKeynoteのポイントはやはりストーリーテリングの重要性にあるかと思われる。テクノロジーが目覚ましく進化し、データや数字を使った様々な手段を駆使したマーケティングが行われているが、Chandar氏が今回のKeynoteで強く語ったように、データや数字に加え、マーケティングの原点として心に響くストーリーを語る重要性を認識した。

更に特記すべき点は、今回のKeynoteで頻繁に使われた単語Authenticity(オーセンティシティ)であること。エンゲージメントにおいて、このオーセンティシティを追及することこそが新しい時代をリードしうる鍵であることを認識した。

次回以降もセッションの内容を紹介していきたい。

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