
MOps(マーケティングオペレーション)とは?専門性の高いチーム構築の導入メリットから課題、役割まで解説
昨今、マーケティングにおけるDX化の推進によって、マーケティング部門の業務範囲も多岐に渡る広がりを見せています。テクノロジーの増加に伴い、マーケターが必要なスキルやノウハウの習得に追いつけず、苦労するケースも少なくありません。
そんな中、米国を中心にマーケティングプロセスをシステムで統合、最適化しようとするMOps(マーケティングオペレーション)に注目が集まっています。
本記事では、MOps(マーケティングオペレーション)について、役割や注目されるようになった背景、MOpsの広がりとともに見えてきた課題までご紹介します。
MOps(マーケティングオペレーション)とは何か?
MOps(マーケティングオペレーション)とは、人材や業務プロセス、テクノロジーなど様々なデータ等を横断的に統括して効果的な販売促進を担うマーケティング組織のことを指します。
日本ではまだまだ馴染みのない言葉ですが、米国では大企業を中心に、専門のMOpsチームを持つ企業が6~7割にのぼるともいわれています。
MOpsの体制を導入することで、複雑で多岐にわたるマーケティング業務をチームで適切に管理し、今まで以上に部門全体の生産性を高める役割を担っています。
MOpsが注目されるようになった背景
MOpsが注目されるようになった背景を知るには、まずBig Ops(ビッグオプス)について理解する必要があります。
Big Opsとは、複雑で膨大なビッグデータを有効的に活用するための仕組みを指した言葉です。
※Big Opsについて詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
▷Big Ops(ビッグオプス)とは?ビッグデータの活用と注目される背景や導入メリットを解説
MarTechやSalesTech分野においてBig Opsの重要性が高まってきた背景には、いくつかの要因が挙げられます。その中でも最も大きな要因のひとつが、数年間でビッグデータの量が増大しデータの管理が困難になった、ということでしょう。
従来の手法では管理しきれなかった膨大なビッグデータもBig Opsの導入により効率的な管理、処理を行うことが可能となりました。
他にも、ビジネスの競争力を高めるためにビッグデータの管理・運用が必要不可欠となったことや、クラウドやコンテナ技術が進化しているといったことも考えられます。
上記は一例に過ぎませんが、このような要因が重なり、海外を中心にBig Opsが大きな注目を集めています。
そしてBig Opsの発展に伴い、その一角となるMOpsも急速な進化を遂げています。
MOpsの中でも、Content OpsやAd Opsのようにレベニュープロセスに関わる様々な部門やチームが、それぞれにデータを管理、運用しオペレーションフローを構築していく過程で、モデルの細分化が進んでいます。
では、MOpsが注目されるようになった背景はどのようなものがあるのでしょうか。
主な要因としては、以下のようなことが挙げられます。
デジタルマーケティングの進化
デジタルマーケティングの発展に伴い、マーケティング施策の種類や媒体、マーケティングツールの種類も大きく様変わりしています。

上記の図は、2022年のMartechMapです。数年前までは数えるほどしかなかったマーケティング関連のツールも、ここ数年の間に激増し、今では数え切れないほどのツールがひしめいています。
引用:Marketing Technology Landscape 2022
これにより、今まで以上にマーケティングプロセスが複雑化してしまったため、マーケティングの最適化を目指すMOpsが注目されることになりました。
また、以下サイトの調査によると、国内でのMOpsの認知度は約73%、MOps体制や組織がある企業は9%というデータも出ています。米国ほどではありませんが、国内においてもMOpsの重要性は徐々に高まってきているといえそうです。
データマネジメントや分析の重要性
ビッグデータやAIなどの技術の進歩により、マーケティング施策におけるデータマネジメントや分析の重要性が高まっています。
マーケティングチームは、今まで以上に膨大なデータを収集し、管理・運用、そして分析していく必要があるため、効率的なプロセスの構築が求められます。
マーケティングチームの生産性の向上
前述したように、デジタルマーケティングの進化に伴いマーケティングチームは今まで以上に多様なタスクをこなす必要があるため、チームの生産性向上が求められています。
MOpsの導入によって、タスクの自動化やマーケティングプロセスの最適化が可能となりました。これらもMOpsが注目された背景のひとつといえるでしょう。
このような要因から米国を中心にMOpsの導入が進んでいます。
MOpsの役割・メリット
アカウントベースのマーケティングを得意とするDemandbase社の調査レポートによると、マーケティングオペレーション向けソフトウェアの利用率は過去10年の間で228%も増加しており、MOpsの専門家にあたる数も約66%増加していることがわかっています。
これらのデータを見ればMOpsへの関心が大きく高まっていることも理解いただけるでしょう。
参考:Demandbase(The State of Marketing Operations Talent:2022)
ここではマーテック、セールステック分野におけるMOpsの役割やメリットをいくつかご紹介します。
マーケティングDXのさらなる加速化
多くのBtoB企業において、マーケターがイベントの企画からMAの設計、運用、そしてWebサイトの管理に至るまで、多くのタスクを担っているケースが散見されます。
このような属人的なマーケティング体制となってしまうと、組織にノウハウは蓄積されないどころか、再現性のないチームになってしまいます。
MOpsは、多岐に渡る様々なマーケティングプロセスの設計、運用、管理を担うブレーン的な役割となります。
各オペレーショナルモデルの役割が明確に定義され、それぞれに必要なデータを適切に管理、運用できる仕組みを作ることで、施策の効果の最大化や再現性のあるマーケティング活動につながり、マーケティングのDXも推進します。
データ分析の効率化
MOpsの導入はセールス・マーケティングデータの分析においても役立ちます。
施策を企画、実行するフィールドマーケターとは異なり、MOpsチームはマーケティングデータの分析やプロジェクト管理、最適なシステムの導入など、マーケティングプロセスを社内に浸透させる役割を担います。
リアルタイムにデータを収集、分析するだけでなく、ツールを活用したデータの可視化や分析結果の共有も容易になるでしょう。
プロジェクト管理の改善
MOpsの体制を構築するためには、各部門や関係者の役割を明確にし、適切な人員を配置する必要があります。
プロジェクトの進行に必要なタスクを適切に割り当てることで、チーム全体の進捗状況の把握やコミュニケーションの改善ができ、タスクの重複や見落としを防ぐことにつながります。
チームの生産性向上
MOpsの導入は、ツール導入による業務プロセスの自動化も実現します。
メンバーの業務負荷を軽減し、チームメンバーは今まで以上にやるべき業務に集中することができるようになるでしょう。
また、ツール等を導入するということは、社内で標準化された運用方法を確立していくことにもつながります。
活用、運用のノウハウが蓄積されるだけでなく、チーム内外において情報の比較分析も容易にできるようになるため、効率的にベストプラクティスがたまっていくのも大きなメリットのひとつです。
MOpsの広がりとともに見えてきた課題
MOpsの概念は米国だけでなく国内にも広がりつつありますが、まだまだ課題もあります。
たとえば、MOpsはマーケティングとITの両方に精通した人材不足が課題となっており、とくに日本では教育や研修も不十分で専門の人材を確保することが難しい状況にあります。
また、MOpsの導入に伴い様々なプロセスが複雑化するため、チーム全体でのマーケティングの理解や適切なシステムの導入が必要となります。
適切なシステムを導入するにはやはり専門的な知識が必要なことに加え、選定が不適切である場合は、プロセスの複雑化や生産性の低下につながりかねません。
とはいえ、テクノロジーとデータの駆使が必須となる現代のマーケティングにおいて、MOpsによるオペレーションモデルの構築は必要不可欠であり、これからの企業のマーケティング活動を左右することは言うまでもないでしょう。
まとめ
本記事では、MOpsの役割やメリット、注目される背景等について解説しました。
MOpsは、マーケティングチームに必要なデータ管理やプロセス改善などの業務効率化を図るための取り組みであり、これからのマーケティング活動に欠かせない体制です。
MOpsの導入によってマーケティングチームは、より効率的かつ効果的な業務を実現することが期待されます。今後も、MOpsの進化に大きな注目が集まっていくことは間違いないでしょう。
本記事が、貴社のマーケティング活動の参考になれば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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