PR(Public Relations)の意味PRとはPublic Relationsを略した用語で、以下に述べるようにプロモーションや広告、広報とは異なりますが、使用シーンによっては混同されることもよくあります。ここでは、PR・プロモーション・広告・広報の概要について解説します。PR=Public Relations(パブリック・リレーションズ)PRはアメリカから戦後に導入された概念で、組織とステークホルダー(組織を取り巻く全ての利害関係者)とのよい関係づくりを目的とする考え方および行動のあり方を意味します。導入当時、行政では「広報」、民間においては「PR」と呼称されていました。その後、「広報」「PR」は本来の意味から離れた使われ方をするようになったため、用語として意味がわかりにくくなっています。この点については後述します。プロモーションの広義と狭義プロモーションとは、4P(Product/何を・Price/いくらで・Promotion/どうやって・Place/どこで)から成るマーケティングミックスのひとつです。プロモーションの範囲は広く、メディアを介した間接的なものから消費者に直接アプローチするものまで、企業と消費者のコミュニケーション全てが該当します。プロモーションは、さらに、プロモーションミックスに細分化されます。プロモーションミックスとは、Advertising(広告)、Sales Promotion(販促)、Public Relations(パブリックリレーションズ)、Personal Selling(人的な販売)などです。つまり、広告もPRもプロモーションの一部といえます。狭義として、Sales Promotion(販売促進)の意味で使われることも少なくありません。広告の定義・特徴やPRとの違い広告とは、商業上の目的で有料のメディアや広告媒体を使用し、商品やサービスなどの宣伝を行うことを意味します。タレントのキャスティングやコンテンツ(クリエイティブ)の制作、露出するメディア枠の確保やデジタルマーケティングなど、多岐にわたる工程と巨額の資金が必要です。広告は基本的に企業の意向に沿って制作されるため客観的な情報とはみなされず、消費者から信頼されにくい場合もあります。一方、PRを行った結果としてマスコミなどに紹介される情報は報道機関による客観的な情報と見なされ、消費者からの信頼を得やすいことが特徴です。広報の定義・特徴やPRとの違い広報とPRを同じ意味で使ったり、「広報PR」「広報・PR」とされたりするケースが多く、PRを行う部署を広報としている企業もあります。広報では情報の価値(新しい、感動する、おもしろいなど)によって記事に取り上げられるケースが多く、媒体予算がかからない点が広告と異なります。広報が企業から一方的に行う情報発信であることに対して、PRは企業と関係するさまざまな人々と双方向のコミュニケーションを取るものとされます。PR・プロモーション・広告・広報の定義まとめPRはプロモーションの一部で、組織とステークホルダーとのよい関係づくりです。双方向のコミュニケーションであることが特徴といえます。プロモーションは狭い意味では「販促活動」、広い意味では企業と消費者の間で交わされるコミュニケーションの全てです。広告とは有料メディアや広告媒体を使用した商品・サービスなどの宣伝を指します。広報はPRと同じ意味で用いられる場合と、「組織からの一方的な情報発信」としてPRと区別される場合とがあります。マーケティング用語の使い方はケースバイケースPR、プロモーション、広告、広報が意味する内容は、言葉が使われる文脈や話し手によって異なる場合がある点に注意しましょう。お互いに誤解が生じないように、「どういう意味でその用語を使用しているのか」を、必要に応じて確認したほうが間違いありません。マーケティング会社に外注するメリット現代のPRの活動範囲は、より広く専門的になっています。以前のPRはマスメディアに情報を提供して取り上げてもらうパブリシティ活動が主でしたが、SNSが普及した現在はそれだけでは足りません。広く情報発信することに加え、どの伝達ルートで、どの情報を誰に向けて届けるかの計画と実行が必要です。それに伴い、PRを社内の広報担当者だけで対応することが難しくなっているため、PRを請け負うPR会社やマーケティング会社の需要が高まっています。PR業界全体の売上高(2016年度)は1,000億円を超えました。マーケティング会社に外注する主なメリット3つについて、以下で解説します。※参考PR業売上高(2016年度)は1,016億円~前回調査(2015年)に比べ7.2%の伸び~|公益社団法人日本パブリックリレーションズ協会1.客観的な視点を採用できるPRにおいては、客観的な視点で企画を立て、メディアに提示するスキルが必要です。社内の広報担当者は自社よりの発想に縛られがちで、自社製品やサービスを客観するのが難しい場合が多くあります。マーケティング会社に相談すれば、第三者の視点から企画のアドバイスが得られます。2.PRに必要なリソースの提供を得られる社内の広報部署がPRに必要となる能力や経験、マスメディアとのコネクション、人員確保をするには時間を要しますが、PR会社なら、上記のリソースをすぐに提供できます。広報に十分な社内リソースを割けない場合は、PR会社がPRの企画から実行まで、総合的に推進することも可能です。その場合、社内の広報担当者は情報提供や取材などのスケジュール調整などを行います。3.PRのノウハウを学べる人事異動で社内の広報担当者が変わった場合、ノウハウの引き継ぎが困難な場合もあるでしょう。マーケティング会社とPR事業において提携していれば、社内の引き継ぎが十分にできない場合でもマーケティング会社が情報を掌握しているため、スムーズに対応できます。PRの事例紹介ここでは、PR事業を行った事例として、Apple、ユニリーバ社の2社を以下で紹介します。AppleAppleは商品CMの際に一切商品を載せず、会社のブランディングイメージのみを「Think different」というキャンペーンとともに打ち出しました。商品発表時に当時CEOだったスティーブ・ジョブズが「我々は世界に風穴を開けるためにこの会社を作った」と語るなど、ストーリーによるPRを行ったのです。また、新製品発表会にインフルエンサーを招待して、SNSによるPRを狙いました。ユニリーバ社(ダヴ)ユニリーバ社の有名ブランド「Dove(ダヴ)」は、2013年にPR動画「リアルビューティー スケッチ | あなたは自分が思うよりもずっと美しい」を公開しました。公開後、1週間弱で全世界での視聴者数は1,500万人以上に上り、日本だけでも約252万回(2020年11月現在)再生されています。製品の紹介はせずに消費者の共感を獲得することに成功した好例です。他社でも、商品やサービスの紹介は最小限に留め、消費者の感情を動かすことに重点を置いたPRがよく行われています。PR会社の選び方と活用のコツPR会社にはそれぞれ対応する範囲やPR手法の違いがあります。また、PR会社を決めた後も、活用するためのコツがあるのです。PR会社の選び方や活用法について、以下で解説します。PR会社の対応範囲をチェックするPR会社には、全ての業種に対応する会社と、特定の業種やPR手法に対応する会社があります。また、全業種対応のPR会社でも、PR方法や強いメディアなどはそれぞれです。PR会社のサービス形態には、長期にわたってPR事業支援を行う「リテーナー」と、単発あるいは短期間の支援を行う「スポット」があります。複数のPR会社を比較したうえで、どの会社が自社にあっているかを判断するとよいでしょう。企業の課題に対しベストな戦略を立案してくれるかPRにおける目標は、「市場創出」「認知度向上」「ブランディングやリブランディング」「ステークホルダーからの信頼獲得」など、企業によって異なります。企業それぞれのPR課題に対し、最適な戦略企画を立てて確実に実行してくれるPR会社を選びましょう。戦略がないまま、さまざまなメディアへの露出ばかりを提案してくるPR会社は、長い目でみると不適当かもしれません。マーケティング会社との信頼関係を築くPRの成果を上げるためには、広報担当者がマーケティング会社と信頼関係を構築することが重要です。マーケティング会社を単に「メディアに自社情報を露出させるための業者」と考えていると、PRがうまくいかない場合が多いです。PRにおいてパブリシティは重要ですが、単に露出を増やせばよいわけではないのです。PRやメディアへ露出する「目的」を明確にする必要があります。これからのPRに取り入れるべきポイントとはPRで消費者に伝えるべき内容には、時代性を反映させることが大切です。高度成長期のキーワードは「大量生産」、その次は「豊富な選択肢」でした。現代のキーワードは「認識」といわれています。認識の時代にマッチするPRのポイントについて、以下で解説します。企業のストーリーへの共感を獲得する前述のAppleやユニリーバ社のように、企業のストーリーに対する共感を獲得することが、現代のPRにおいて重要です。企業ストーリーへの共感が購買意欲につながります。消費者の感情を動かす共感だけでなく、驚きや危機感など、消費者の感情を動かすPRにも販促効果が期待できます。意外性、笑いや感動などを喚起した後で、企業名や商品名などを最小限に見せるPR方法も増えています。商品・サービスの訴求だけでは購買動機につながりにくいため、消費者の感情を動かすことによって、身近に感じさせる必要があるのです。消費者インサイトを言語化する消費者インサイトとは、消費者の潜在的ニーズです。消費者が自覚していない状態で購買行動に至らしめる本質的要因ともいえます。消費者インサイトは、企業のマーケティング活動において、消費者を調査・分析することで発見が可能です。企業や消費者が潜在的に持っていながら意識していない欲求を掘り下げ、言語化することによっても、共感や購買意識をそそることができます。まとめPRとは企業がステークホルダーとよい関係をつくるための施策です。これからのPRには消費者を感動させたり、消費者インサイトを言語化したりすることが大切といえます。以前よりも専門性が求められるため、PR会社を活用することがおすすめです。BtoBマーケティングサポート事業を行うワンマーケティング株式会社では、MAの導入から運用まで支援できます。支援やコンサルティングだけでなく、MA運用に必要なMA設定、コンテンツ・制作まで伴走支援できるのは当社だけです。ぜひ、詳しい資料を無料でダウンロードしてお役立てください。ホワイトペーパーダウンロード