【セミナーレポート】営業売上をアップするマーケティング実践法 前編

1.インサイドセールスとは

「インサイドセールス」とは一体何を指しているのか?インサイドセールスの言葉の意味や誕生した背景、組織体制イメージの説明からセミナーはスタートしました。

従来の営業業務の切り分け

インサイドセールスとは、営業業務を分業化し、内勤化することを指します。

従来の営業部は「リードから受注に至るまでのアクション」の全てを担当していました。

しかし、インサイドセールスでは、営業マンの業務をさらに細分化し、直接訪問が必要な部分のみ営業マンに一任。それ以前の“リード獲得”や“テレアポ”などの工程をインサイドセールスで担当するといった形式を取ります。

つまり、従来の営業業務にメスを入れ、“切り分け”を行うことを意味します。

インサイドセールスが米国で広がった理由

もともとインサイドセールスはアメリカで発展した考え方です。国土が広いアメリカでは、大企業は各大都市に広がっています。そのため、営業マンが簡単にクライアント先には訪問できません。

そういった国土的な特性から、「インサイドセールスで確度を高めておき、営業マンが出向くときにはプレゼンや受注につながる状態にしておきましょう」という考え方のもと発展しました。

米国では優秀な従業員をインサイドセールスに配置し、インサイドセールスの体制を固めています。2013年時点では、既に営業リソースの52.7%がインサイドセールスに割かれているほど、戦略的に取り組まれています。

2.インサイドセールス=戦略的営業手法

“切り分け”と表現すると、インサイドセールスをコスト削減のための単なる業務アウトソース(テレアポ外注・テレマーケティング・リストクレンジング)と捉える方も少なくありません。しかし、森谷氏は「インサイドセールスはその逆である」と明確に提唱します。

さらには、「インサイドセールスは戦略的営業手法である。戦略的営業手法とは、①科学的、かつ、②組織的であることを指す。そういった戦略的営業活動を行うための、1つの契機になるのがインサイドセールスを含んだ組織体制の構築になる」と続けました。

“科学的”な営業とは

科学的な営業とは、以下の3つが揃っている状態。

1.各行動のログが記録され、成果が数字で図れる。
2.各行動と成果の因果関係が数理ロジックで仮説検証できる。
3.再現性がある。(ロジックで同じ結果が再現できる)

この再現性があるという部分が最も重要です。

“組織的”な営業とは

組織的な営業とは、下記の2つが揃っている状態を指します。

1.各個人、各部門の取得した情報が組織内で全体共有され活用可能な状態になっている。
2.チームの営業成果が特定の個人に依存していない (主体が変わっても条件を満たせば同様の成果を再現できる)

誰かが抜けても、同様の成果を発揮できる組織体であることが重要です。

3.行動ログと受注金額方程式

インサイドセールスには3つのメリットがあります。

1.商談数や商談精度の向上による受注数増加

営業業務の分業化により、機能が最適化されます。インサイドセールスと営業それぞれの職務領域に集中できるため、営業マンの商談数や商談鮮度の向上に繋がります。

2.数値管理がしやすくなる

営業マンが訪問する前にインサイドセールスという機能が入ることで、ログが取りやすくなります。

3.行動ログと受注金額方程式の作成が可能

受注に至るまでの過程のログを残して分析を行います。受注までの方程式が立てば、戦略的に課題解決できるようになります。

ここではインサイドセールス導入にあたって、特に重要な「3.行動ログと受注金額方程式」について詳しくご説明いただきました。

反響型と新規開拓型インサイドセールス

インサイドセールスは大きく反響型インサイドセールスと新規開拓型インサイドセールスの2つに分類でき、方程式も同様に2つに分類されます。

反響型インサイドセールスは、インバウンド型の問い合わせが多い企業向きです。リスティング展示会やWebメディアなど全ての流入経路からのログを残していきます。

一方、新規開拓型インサイドセールスは、主にアウトバウンド型の営業をかける企業向けです。電話やメールなどの全ての流入経路のログを残していきます。

このようなログを残しておくことで、流入件数のボリュームから発生する受注数の目処が立つ方程式が完成します。この方程式があれば受注の成果が上がらない場合に、フローのどこに問題があるのかに気づけるようになり、戦略的な対応ができるようになります。

どちらの方程式を作成するかは企業の特徴によって異なりますが、反響型か新規開拓型どちらかの片方だけの場合もあれば、反響型と新規開拓の両方を設計する場合もあります。自社にあった設計を行いましょう。

各商材のファネルが可視化される

ログを残し方程式を作成することで、商材ごとにファネルの形に落とし込むことができます。これによりBtoBマーケティングやインサイドセールス領域のログを体系的に保管でき、さらに効率的に状況を分析できます。

特に重要なことは、「キーマンの情報取得」から「興味関心あり」までの層をインサイドセールスが取りこぼさないことです。キーマンの情報を取得したら必ずフォローを行い、興味関心ありの層まで醸成していきましょう。

方程式作成にはExcelかITツールを利用する

方程式作成は、リード母数が少なければExcelでも十分に管理できます。しかし、「管理すべき顧客数が多い」「商流が複雑かつ一人一人の相手の動きのトラッキングをする必要がある」などの場合は、 MAツールやCRMツールを活用した方がいいでしょう。

4.インサイドセールスを設計するアプローチ

最後にインサイドセールスを設計するにあたって重要なポイントを3つ解説いただきました。インサイドセールス導入にあたって確認すべき具体的なポイントをまとめて頂いています。実際のインサイドセールス導入にあたって外すことのできない内容となっていました。

上流から設計し逆算する

設計には6つのSTEPがあります。重要なことは、最終的なゴールから逆算していくことです。

STEP1:インサイドセールス施策で出すべき、目標売上金額を設定する。

STEP2:目標売上金額を達成するために必要なターゲット企業数と目標受注数を決める。

例)
ターゲット:売上規模100億円〜1,000億円の中堅メーカー
受注数:20件

STEP3:目標受注数を達成するために必要なアタック母数を算出。

例)
売上規模100億〜1,000億の中堅メーカー全2,800社

STEP4:売上達成のロジックが成り立つか仮説検証する

例)
ターゲット母数:2,800社(全国の中堅メーカー売上100億~1,000億)
目標受注件数20件
想定リード獲得率10% → 280社
訪問からの想定提案率40%→112社
提案からの想定受注率40%→44社
目標受注数の20件を超える44社の受注見込みになる。

STEP5:投入リソースに対しての費用対効果が十分か仮説検証する。

例)
商品価格を1社あたり1,000万円、粗利率40%とした場合。
44社の受注 → 4億4,000万円の売上、粗利1億7,600万円。
2,800社分へのインサイドセールス用投入リソース500万円(1名1ヶ月300社 約10人月)
280社を3回訪問する営業リソース:1,050万(1名1ヶ月40訪問、280社を3回訪問=840訪問 → 約21人/月)

投入費用1,350万円で4億4,000万円の売上、1億7,600万円の粗利獲得。
十分な費用体効果が見込むことができる。

STEP6:営業、マーケティング、インサイドセールスの担当領域を決める

初期コンタクトから受注に至る営業プロセスにおいて、発生する仕事を洗いだし、切り分けます。そして、「どの部門がどこまでやるのか」「誰が」「何の実行」に「責任を持つのか」明確に定めます。

データベースに記録すべき情報を決める

企業から得る情報は大きく3層に分かれています。

1層目は社員数や売上など、調べればわかる情報。

2層目は予算や検討時期など、インサイドセールスによる一歩踏み込んだ情報。

3層目は人事異動や大きく予算が作られる領域など営業でないと聞けない情報。

インサイドセールスでは、2層目までに確認すべき情報を営業とすり合わせることが重要になります。聞くべき内容が明確になっていることで、営業の初回訪問の確度向上に繋がっていきます。

どの時点で、どこまでの情報を取得するか決める

商材単価によって必要な情報の深さが異なります。受注単価が安ければ必要な情報量は少なくなり、受注単価が高ければ必要な情報量が多くなる傾向にあります。おのおのの商材特性によって、どの時点でどこまでの情報を取得する必要があるのか、を定めておきましょう。

森谷氏はインサイドセールスを設計し、語学学習事業で大手600社を開拓した実績をお持ちです。その際には、役員を含む、全ての従業員とターゲット企業キーマンとの接点ログを残していたそうです。

そして、今でもABM(アカウントベースドマーケティング)の発想の下、インサイドセールスに取り組み続けていらっしゃいます。

是非今回ご紹介した内容を基に、実際にインサイドセールスに取り組んでみましょう。

※森谷様のセミナー講演資料については、以下よりご確認いただけます。
具体的なインサイドセールス実施の解説はもちろん、実際に設計するためのシートもご用意いただいておりますので、是非ご活用ください。

Download

資料無料ダウンロード

法人営業のデジタル化を加速し、売上最大化につなげる!セールス・マーケティングDX実践書

法人営業のデジタル化を加速し、売上最大化につなげる!
セールス・マーケティングDX実践書

【以下の方におすすめ】
・今の売り方に限界を感じており、法人営業の改革が必要と考えている方
・営業との連携に課題を感じているマーケティング担当者
・社内でDXを推進していきたいが何から手をつければいいのかわからない方

Service Plan

マーケティング支援について

ワンマーケティングは、「案件創出」「売上の向上」という成功へ向かって、
ひとつながりのマーケティングフローを構築。
マーケティング戦略設計からMA導入・運用、セールス支援、コンテンツ制作まで統合的に支援しています。

サービスの詳細はこちらから