営業DXとは?必要とされる理由や成功させるコツ、企業事例を解説

DX(デジタル・トランスフォーメーション)は今や、様々な業務領域で欠かすことのできない要素となっています。

その中でも、営業の現場ではDXの取り組みが急速に求められています。しかし、実際に推進できている企業はまだ多くありません。

本記事では、そんな営業DXが必要とされている背景から、推進する流れや成功のコツまで詳しく解説します。営業DXを進めたい、理解を深めたいという方はぜひ参考にしてください。

営業DXとは?

営業DXの4つのタイプ

営業DXとは、「デジタルを活用して、営業活動に関するデータを正しく収集・活用し、売上アップに貢献する体制とシステムを構築する」ことを指します。営業DXは大きく4つのタイプに分類されます。

デジタルイノベーション型:新たなテクノロジーやツールを積極的に導入し、既存の営業プロセスを革新します。

全社横断型:組織全体で営業DXを推進し、データや情報の共有を行いながら、営業活動の効率化と生産性の向上を図ります。

事業特化型:特定の事業領域に特化した営業DXを展開し、専門知識や顧客データを活用してニーズに応える営業戦略を構築します。

機能特化型:特定の機能やプロセスに焦点を当て、その領域における営業DXを推進します。例えば、営業プロセスの自動化やデータ分析の導入などが挙げられます。

営業DXはセールスDXとも呼ばれ、商品やサービスの提案、情報提供などの営業プロセスにおいて、様々なツールやIT技術を駆使することで、効率的かつ効果的な営業活動を行うことを目指します。

デジタル化との違い

営業DXは、単にデジタル化することとは異なります。デジタル化とは、お客様の情報や接点を単にデジタル化していくことを意味しますが、デジタル化しただけでは変革には繋がりません。

なぜなら、それらのデジタルデータは分断されていて統合されていない場合が多く、デジタルから得られる単体のデータだけでは活用が難しいからです。

では、どうすれば変革に繋がるのでしょうか?
その答えは、デジタルデータの活用にあります。

営業DXを実現するためには、お客様視点で考えることが重要です。お客様を中心に、お客様の周りにデジタルが関連し合うことで、お客様の態度変容を察知し、最適なアプローチを最適なタイミングで行うことができるようになります。このお客様視点の考え方こそが、営業DXにより変革をもたらすための第一歩となります。

営業DXが必要とされる理由

ここからは、営業DXの必要性が高まっている6つの理由について詳しく解説していきます。

理由1.パレートの法則

パレードの法則

パレートの法則(2:8の法則)と言われるように、BtoB企業においては売上の大部分が少数の限られた顧客から生み出されている場合が多くその中でも1社への依存度が非常に高くなっているケースが散見されます。

このような状況では、営業活動が主にルーティーンの受注や既存顧客からの受注に集中してしまいがちです。さらに、営業活動においては結果だけで評価される傾向があるため、受注に至るまでのプロセスがブラックボックス化してしまうケースも少なくありません。

この状況では、4K(カン・コツ・ケイケン・カンケイセイ)を頼りにしたムダ・ムラ・ムリな営業活動が増えてしまい、新しい売上を生み出すことが難しくなってしまいます。

ここで営業DXが重要な役割を果たします。デジタルを活用して営業活動に関するデータを正しく収集・活用することで、ムダな活動を削減し効率化を図ります。

理由2.個人商店化問題

BtoBの営業は孤立しやすく、標準化が難しいという特徴があります。営業活動のプロセス管理も個人で行われ、顧客情報が営業の頭の中にしか存在しないケースも少なくありません。このため、企業のマネジメント手法としても結果だけを重視する傾向が見られます。

このような問題を「個人商店化問題」と呼んでいます。

営業が孤立しやすい理由

営業活動の標準化は非常に困難であり、この差を教育でカバーすることも容易ではありません。営業マンのリソース不足や営業ノウハウの体系化が困難な状況も現実的な課題のひとつです。デジタル化により、営業データの共有や分析、組織全体でのノウハウの共有や営業プロセスの最適化を可能にする営業DXが重要です。

理由3.データ未整備問題

データが未整備の状態の図

営業に関連したデータは、営業担当者の頭の中やメールボックス、Excel、名刺管理ソフト、基幹システムなど、各担当者によって個別に管理されているケースは少なくありません。営業に関連するデータは多岐にわたる一方で、そのデータは「バラバラ」もしくは「限りなく少ない」という状態に陥っています。

このような状況では、データの分析や営業活動の標準化が困難になります。データが断片化されていたり、不十分な状態では、適切な分析や戦略の策定が行えず、効果的な営業活動の展開も難しくなります。

営業DXでは、データの統合と整備によって、営業データの一元管理や関連性の把握が可能となります。これにより、データ分析や営業活動の標準化が容易になり、売上の向上に繋がる戦略的な判断を行えるようになるでしょう。

理由4.マネジメントの効率化

従来の営業マネージャーは、営業担当者と顧客の関係を把握するために、営業現場への同行が必要不可欠でした。しかし、デジタルを活用することによって、オンライン面談の実施という選択も可能になりました。

オンライン面談による利点は、顧客オフィスへの移動が不要であり、営業担当者は自席から面談に参加できる点です。これにより、時間や労力を節約するだけでなく、柔軟なスケジュール管理が可能となりました。

さらに、顧客との会話をデータ化することで、関係者は商談内容を振り返り、次のステップの検討に役立てることができます。データ化された会話履歴や商談メモは、営業マネージャーが営業担当者の進捗状況を把握し、適切なサポートやフィードバックを提供するための貴重な情報源ともなります。

営業DXによるデータの収集・活用は、マネジメントの効率化に大きく寄与します。オンライン面談とデータ化された会話履歴を活用することで、営業マネージャーはより効果的に営業活動をサポートし、売上アップにつなげる体制とシステムを構築することができます。

理由5.生産性の向上

少子高齢化が進み、人口が減少するなかで、当然ながら営業パーソンの数も減少していきます。このような状況下では、より一層効率的な営業活動が求められます。

営業DXの推進は、従来の営業活動の「非効率な取り組みを見直す機会」となります。たとえば、マーケティングオートメーションを活用して見込み顧客を効果的に集め、インサイドセールスがリードを育成する、といったことも可能になります。

営業DXによる生産性の向上は、人手不足が深刻化する現代において、営業活動の持続可能性を確保するために重要なポイントとなるでしょう。

理由6.営業のリソース不足

どの企業でも、営業は多岐にわたる様々な業務を担当しています。その理由は、営業は本業以外の仕事に関わることが多いからです。限られたリソースの中で業務を行いひっ迫しているような状況下では、新しいお客様へのアプローチは難しく、既存顧客への依存度も高まってしまうでしょう。

新規顧客を獲得し企業として成長していくためには、営業DXによる「体制」と「システム」の整備が必要です。デジタルを活用したデータ収集や分析、効率的な営業プロセスの構築などを通じて、営業リソースの有効活用と業務の効率化を図ることが重要です。

営業DXが推進される分野・活用されるツール

ここからはより具体的に、営業DXが推進される分野や活用されるツールについて解説します。

営業活動の促進

営業DXの推進には、営業活動を効率化し生産性を向上させるためのツールが活用されます。主な活用ツールには、SFA(Sales Force Automation)が挙げられます。

営業促進を目的としたツールは、対応範囲が広く、様々な機能が付加されています。営業活動のプロセス管理や顧客情報の一元管理、タスク管理、商談管理、予測分析など、多くの機能が統合されているのが特徴です。

顧客管理

営業DXにおいて重要なツールの一つが、顧客管理ツールです。顧客データベースの構築と管理、プロモーション履歴の蓄積などを通じて、企業と顧客との関係性を見える化することが目的です。

このカテゴリーの代表的なツールとして、CRM(Customer Relationship Management)が挙げられます。CRMは顧客情報を一元管理し、営業担当者が顧客との関係を強化するためのツールです。顧客の連絡先情報や購買履歴、コミュニケーション履歴などがデータベース化され、営業活動に活かされます。

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カスタマーサポート

インバウンドセールスの効率化を図るためには、電話やメールなどのデータを分析し活用できるインサイドセールスシステムが挙げられます。

カスタマーサポートのツールには、顧客とのやり取りを音声だけでなくテキスト化して保存する機能や、顧客に最適なタイミングでメルマガを送付する機能などがあります。これらの機能を活用することにより、顧客とのコミュニケーションを記録し、適切なタイミングで情報を提供することが可能となります。

データ分析

営業活動によって得られるデータを最大限に活用するためのツールがデータ分析ツールです。データ分析ツールを活用することで、営業活動や顧客行動の傾向やパターンを把握し、効果的な戦略やアクションを立てることが可能になります。

データ分析のツールは、UIに優れたツールも多く、専門知識がなくても比較的簡単に利用できるようになっています。デジタルの活用により、ビジネス向けのデータ分析ツールが普及しており、グラフやダッシュボードを用いた直感的な可視化や予測分析が行えます。

顧客体験

顧客に適切な体験を提供するためには、お客様との接点や行動履歴のデータを正しく蓄積する必要があり、実現するツールとして重要なのがMA(Marketing Automation)です。

例えば、MAとSFAが連携されていれば展示会に参加した見込み客がメールを閲覧して、その後ウェブサイトにアクセスし、最終的にウェビナーに参加した場合、これらの接点と行動の履歴をSFA上で閲覧することができます。そうすることによって営業活動を行う際に、顧客の関心やニーズを把握し、適切なアプローチを行うことも可能となるでしょう。

最高の顧客体験を実現するためには、これらの履歴データが非常に重要な役割を果たします。履歴データを活用することで、個々の顧客に合わせカスタマイズされた情報の提供も可能となるでしょう。顧客は自身が興味・関心のある情報を適切に得ることで、より良質な体験を享受できるのです。

MAを活用することで、顧客に合わせたOne to Oneのメール配信やイベント管理なども実現可能です。また、ウェブ接客ツールや広告配信などの他のツールとの連携を通じて、より精度の高い顧客体験を提供することもできます。

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コミュニケーション

営業DXでは、お客様とのコミュニケーションの最適化が重要なポイントとなります。コールセンターシステムや顧客の電話内容を分析し、オペレーターにベストアンサーを提供するツールなどの活用も効果的でしょう。このようなツールを活用することによりお客様とのやり取りやインバウンド対応を効率化し、良質なコミュニケーションの実現につながります。

人材開発

営業DXにおいては、人材開発も重要な要素のひとつです。営業担当者の教育と育成を支援するためのツールも色々と活用されています。例えば、動画プラットフォームを使った教育資料やオンラインでのロールプレイングと、その評価が可能なツールなどが注目を集めています。これらの取り組みはセールスイネーブルメントと呼ばれ、営業組織の強化と改善に寄与します。

営業DXを推進する流れ

続いて、営業DXを推進する際の流れについて、4ステップに分けて紹介します。

1.プロジェクトチームを立ち上げる

営業DXを推進する上で、プロジェクトチームの設立は必要不可欠です。企業のDX推進は簡単な業務ではなく、組織自体の本格的な変革が求められます。例えば、部門間をまたいだ連携や調整も必要となるでしょう。
そのためには、リーダーシップを持ち、全体を最適化する視点を持つメンバーをリーダーとして選ぶことが求められます。

理想的なDX推進チームは、以下の要素を備えています。
第一に、経営陣から任命され、組織全体を横断する重要プロジェクトと位置づけられていること。第二に、各部門の責任者など、主要なメンバーが責任を持つ一方で、現場責任者の意見も積極的に反映できること。第三に、プロジェクトの方針が柔軟であること。そして最後に、企業の業績に直結するプロジェクトとして、その成果が人事考課に明確に反映されていることです。

DXを成功させるには、こうした専門的かつ組織的なアプローチが必要不可欠です。

2.現状の課題を棚卸しする

セールスマーケティングに関する現状の課題を棚卸ししましょう。自社の現状を把握し、課題を整理することで、効果的な改善策を見つけることができます。

その際には、複数の部門や異なるバックグラウンドを持つ社員から意見を集めることが重要です。多様な視点を取り入れることで、より具体的な課題の洗い出しや解決策の検討が可能となります。

3.営業DXのゴールをイメージする

やみくもにスタートするのではなく、まずは営業DXのゴールを明確にしましょう。DX化の目的が明確でないと、将来の経営戦略を立てることが困難になります。ゴールを明確にすることで、取り組むべき方向性や具体的な目標が見えてきます。

また、ゴールの設定においては、専門家の意見を取り入れることも考慮しましょう。ITや営業支援のコンサルタントなど、専門家に相談することで、より効果的なゴール設定や実現方法を見つけることができるでしょう。

4.最適なツールを導入する

最後に、営業DXを推進するためには最適なツールの導入が肝となります。その中でも欠かせないのがMAとSFAです。MAは、見込み客の発掘から醸成までのマーケティングプロセスを支援します。SFAは案件獲得やセールス活動を補完する役割を果たします。顧客管理にはCRMが関わります。これらのツールは相互連携し、組み合わせて活用することが重要です。

営業DXの成功には、適切なツールの導入とそれらをシームレスに連携させることが不可欠です。組織のゴールに合わせて最適なツールを選び、効果的に活用できる仕組みを整えることが大切です。

営業DXを実践するための体制づくり

各機能を分業化し、営業リソースを営業活動に最適化させる

営業活動は「見込客の発掘」「案件の獲得」「受注活動」「願客サポート」という流れで基本的には動いています。多くの企業の場合、見込客獲得・醸成・案件発掘・案件管理・顧客管理までをフィールドセールスが担当しているといったケースが多いのではないでしょうか。

正直なところ、一人のフィールドセールスで全てを完結させるのは不可能でしょう。たとえばメーカーの場合、受注活動や顧客サポートに時間を割かれ、新たな見込客を発掘するところまで手を付けられていないという状況もよく聞かれます。

この状況を改善するために大切なのは「分業体制」の考え方です。見込客発掘をマーケティングが担い、案件獲得はインサイドセールス、受注活動はフィールドセールス、顧客サポートはカスタマーサポートと分業して売上向上を目指す体制が理想的です。各機能を分業化することで、営業リソースを本来の営業活動に最適化することができます。

分業体制のイメージ図

このような分業体制を実践するためには、お客様の情報を部門間で受け渡していく必要があります。
その時に重要になるのがデジタルの力です。

購買プロセスに応じた体制をつくる

購買プロセスのイメージ図

分業体制を構築するためには、お客様の購買プロセスに応じた各部署の連携が重要です。

BtoBのお客様は、「現状維持・学習し、興味関心を持って、情報収集を行い、検討、選定・評価し、稟議・契約をして、導入・利用する」、という流れにそって購買に至ります。導入・利用して終わりではなく、再度「現状維持・学習」に戻り循環していくことがBtoB購買の特徴です。そして購買プロセスは1周するまでに時間を要するケースが多いことも特徴です。

もちろん、導入・利用の手前の段階で終わるケースもあります。たとえば現状維持・学習から、興味関心を持ち、情報収集まで進んだものの、購買候補先から外れてしまったケースなどです。この場合は、元の現状維持・学習に戻ります。選定・評価のタイミングで自社は選ばれず、他社が選ばれたという場合も同様です。

このようにお客様は、購買プロセスのサイクルを常に回り続けています。ここで大切なことは「いつかは購入する」ということ。そのことを意識して、体制を組む必要があります。

では、このプロセスに、各部門はどのように関わってくるのでしょうか。

図のように、購買プロセスに合わせて「マーケティング・インサイドセールス・フィールドセールス・カスタマーサクセス」というように体制を組んでいきます。現状維持・学習フェーズはマーケティング、情報収集のタイミングからインサイドセールスという形が理想です。

フィールドセールスもこのプロセスに沿って動き、それぞれの受け皿をつくっていくことが重要です。

リードライフサイクルステージの設計例

見込み客一人ひとりにあわせたステージをつくりKPIを定める

今までは購買までのすべての活動をフィールドセールスが1人で担当し、個々のタイミングで営業に行ったり、逆に営業に行っていない間に他社に取られたり、といったこともあったかもしれません。だからこそ、それぞれの部門が責任を持って対応していくという考え方が重要です。そこで、我々が提案するのが、リードライフサイクルステージの設計です。

リードライフサイクルステージとは、見込客一人一人に合わせてステージを作る考え方です。図のように見込客のステージを明確化しKPIを定めます。例えばマーケティング担当者は、有望見込客を出すまでが1つのKPIとなり、有望見込客のタイミングでインサイドセールスに受け渡すなどです。

見込客が各ステージを遷移する中で、有望でないと判断された見込客や、失注してしまった見込客も出てくるでしょう。だからこそ、フォロー停止や案件失注、案件停止などもステージとして組み込むことが大切です。今までは、育成から一度外れた見込客は放置されるケースも多く見られましたが、再度育成対象にリサイクルしていきます。

図のように、マーケティング担当者は有望見込客を出すところ、インサイドセールスは有望見込客が営業受領に至るところ、フィールドセールスは顧客になるところまで担当するといった分業体制を整えていきます。

営業DXを成功させるコツ8選

成功が難しいとされる営業DXを、上手く推進するための8つのコツを紹介します。

固定観念を捨て、DXの必要性を理解する

営業活動の固定観念として「営業は足で稼げ」という考え方がありますが、デジタル時代の現在では足で稼ぐのも限界があります。このような固定観念を捨て、営業DXの本質を理解し、デジタル活用を取り入れることで、営業活動を効率的に進めることが可能となります。各担当者がこの必要性を理解し、柔軟な発想と行動を持つことが営業DXの成功に繋がるでしょう。

ツール選定から始めない

営業DXを進める際に重要なのは、ツールの選定や導入に先立って全体の企画や設計を行うことです。ツール選定が目的になってしまい、具体的なDXの進め方や活用方法が不明瞭になると、ツールの導入自体が意味をなさなくなってしまいます。

まずは営業DXの目的や戦略を明確にし、その後に適切なツールの選定と導入を行うことが重要です。ツール選定はあくまで手段であり、全体の企画・設計をしっかりと行うことで、営業DXを成功に導きましょう。

顧客の購買プロセスを把握する

デジタル時代の昨今、顧客の購買行動は大きく変化しており、営業部門は自社都合ではなく、顧客の購買プロセスを理解し、それに合わせた活動を行う必要があります。バイヤージャーニーや購買プロセスを作成し、全体的なDXの構想を立てることが重要です。

購買プロセスを把握することで、営業活動の最適化や施策、コンテンツの改善が可能となります。また、マーケティング部門との協力も欠かせません。情報の共有や相互連携ができる仕組みを構築し、マーケティング活動とセールス活動を統合的に進めることが重要です。

顧客の購買プロセスを把握し、営業活動をそのフローに沿って展開することで、より効果的な営業DXを実現できるでしょう。

営業活動を細分化する

かつてはマーケティングとフィールドセールスを一括りにしていた時代から、年々、営業機能は細分化されてきています。営業活動を細かく分け、それぞれの機能ごとに適切なツールやデータ活用を取り入れることで、効率的で成果のある営業DXを実現することができます。組織内での役割分担や専門性の向上も促進され、より強力な営業体制の構築につながるでしょう。

営業課題を洗い出す

営業活動においては、常にSFAやCRMなどのツールを活用して、営業プロセス上での課題を洗い出すことが重要です。ツールを使って営業活動を可視化し、どこにどのような課題が生じているのかを把握することで、適切な対応策を検討して改善を進めることができるでしょう。

例えば、リードの獲得やフォローアップの遅延、コミュニケーション不足など、営業プロセス上での課題を明確に把握することができます。そこから改善策を検討し、効果的な施策を実施することで、営業活動の効率化や売上向上に繋げることができます。

役割を明確にして、最適なチームを作る

営業DXを導入する際には、導入前の準備や導入後のサポートを行うために「最適なチーム」を構築することが重要です。まず、営業DXの導入前には、どのような準備が必要か、どの部署や担当者が関与するかを明確にする必要があります。これにより、導入前の段階でのタスクや役割分担を明確化し、スムーズな導入を実現することができます。

また、営業DXの導入後には、サポートやトラブルシューティングが必要となります。最適なチームを構築するためには、DXやデジタルに精通した人材をチームに組み込むことが重要です。しかし、これらの人材は希少であり、特にBtoBの場合はなおさらです。そのため、既存のチームメンバーを教育・育成し、DXに関する知識やスキルを高める取り組みも必要となるでしょう。

営業人材を育成する

営業DX成功の鍵となるのは、人材の育成です。単に製品機能の紹介や顕在ニーズへの対応だけでは不十分といえるでしょう。高度な営業能力を持つ人材を養成し、未来の課題に対応可能な組織へと成長させることが求められます。デジタル力と営業力を併せ持つ人材を育てることで、売上向上への道を切り開きます。

定期的にプランを見直す

営業活動は常に変化する市場や競合環境に合わせて柔軟に対応する必要があります。そのため、定期的なプランの見直しは重要です。例えば、半年に1回などの頻度で計画通りに進んでいるのか、どこがストップしているのかなど、プランの見直しを行うことをおすすめします。

このタイミングで、顧客のニーズやマーケットの変化を分析し、営業戦略やターゲット設定を再評価します。必要に応じて営業手法やツールの改善も検討しましょう。

営業DXを実現している企業事例

営業DXを実現している企業事例について紹介します。

NTT東日本

NTT東日本は、2015年に新事業を開始する際に、デジタル技術を活用し営業活動の効率化を図るため、インサイドセールス部門を新たに立ち上げました。

インサイドセールス部門では、データの細かな分析を行いながらPDCAサイクルを回したり、顧客データや営業データを徹底的に分析し、効果的な営業戦略の立案や改善策の実施に活かしています。また、スタッフの教育や既存の営業部との調整にも力をいれています。ツールやデータの活用方法を熟知したスタッフを育成し、チーム間の連携や情報共有の強化を実践しています。

富士通

富士通は、営業の役割を見直し、新たな職種として「エバンジェリスト」や「ビジネスプロデューサー」を採用するなど、営業活動における変革に取り組んでいます。

エバンジェリストは、商品やサービスの価値、特長を顧客に伝える役割を担う職種です。富士通では、営業職の枠を超えてエバンジェリストを配置し、顧客とのコミュニケーションや課題解決に注力しています。ビジネスプロデューサーは、顧客の課題やニーズを把握し、適切なソリューションやサービスを提案する役割を担っています。

テスラ

様々な側面からデジタルを活用した営業活動を行い注目を集めています。2019年にはリアルの店舗を閉鎖し、オンライン販売に完全に移行しました。この戦略は、顧客の購買行動の変化やデジタルテクノロジーの進化を踏まえた結果でしょう。

デジタル活用に積極的に投資することで、「購入前の試乗」がないWebサイトからでも、抵抗なく車を購入してもらえる体制を作りました。

営業DXでよくある失敗

最後に、営業DXでよくある失敗パターンについて解説します。同じ過ちを避けるために戦略をしっかりと練った上で進めていくことが重要です。

全体の戦略設計をする前にツールを導入してしまう

営業DXの取り組みにおいてよくある失敗の一つは、全体の戦略設計をする前にツールを導入してしまうことです。ツールの導入そのものが目的になってしまい、具体的なDXの進め方が不明瞭なまま、ツールの導入を進めてしまうと、効果的な結果を得ることはできないでしょう。

営業DXを成功させるためには、事前に顧客の購買行動のヒアリングや営業現場の運用に関する検討を行うことが重要です。特にBtoBの場合は、戦略設計からシステムの設計、設定、コンテンツ制作、運用まで一貫して検討していく必要があります。断片的なツール導入では運用が破綻する可能性もあるでしょう。

全体の設計を行い、ツールの導入をその一環として検討することで、営業DXの効果を最大限に引き出し、結果的に売上の向上につながるでしょう。

部署間の連携が取れていない

次によくある失敗は、部署間の連携が取れていないことです。営業DXを推進するためには、経営企画や情報システム部門、マーケティング部門などさまざまな部署が協力して、チームを組むことが一般的です。しかし、各部署の立場や意識の違いにより、連携がうまく取れないことがあります。特に営業とマーケティングの間で対立が生じやすい傾向があります。

営業側としては、「リードの温度感が低いものばかり。マーケティング側は自分達のKPI達成のためだけにリードを集めているのではないか?」と感じてしまい、リードを放置してしまう傾向があります。一方、マーケティング側は「せっかく集めたリードを、営業側が何も対応してくれない」と、対応に不満を抱くことがあります。このような対立構造が生まれることで、営業DXの推進が妨げられる場合があります。

部門間連携の図

このような問題を解決するためには、【見込客を引き渡すポイント】を明確にすることが重要です。具体的には、マーケティングからインサイドセールスへの引き渡しや、インサイドセールスからフィールドセールスへの引き渡しのタイミングを明確に定める必要があります。こうした連携の改善により、顧客データの収集と営業活動のシームレスな連携が実現し、営業DXの成果を最大化することができるでしょう。

まとめ

本記事では、デジタルを活用して営業活動に関するデータを正しく収集・活用することで、売上アップに貢献するためのコツや、推進する流れについて解説してきました。

さらに、より具体的な実践方法やノウハウを詳しく知りたい読者は、ワンマーケティング株式会社が提供するホワイトペーパーをご覧ください。当社では10年以上にわたり、BtoBマーケティング支援に特化したサービスを提供しており、法人営業のデジタル化を加速し売上を最大化する方法等を提案しています。

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