ユーザー行動の整理には可視化(ダイアグラム)が有効前回の記事では、ユーザー行動がわからないとアクセス解析のKPIや、そもそもWebサイトの役割自体もわからないという話をしました。では、ユーザー行動をどのように整理し、設計するのか?今回はそのノウハウをお伝えしていきたいと思います。ユーザー行動を整理して、それを元にWebサイトを運用していくためには、下記の図のようにユーザー行動を可視化(ダイアグラム)する手法が有効です。いかがでしょう?これさえあれば、簡単にプロジェクトメンバー全員がユーザー行動を把握でき、Web以外の重要な接点もわかってきます。当初、Webのリニューアル目的でユーザー行動を可視化(ダイアグラム)したところ、Web以外にKGIを達成するためのファクターがあったということも実際のケースとしてありました。そして、よくあるのが、年間運用をしていると、プロジェクトメンバーがついついミクロな視点で議論してしまい、判断に困ったり、当初の目的とはかけ離れた運用になったりするケースです。そんな時にもこのダイアグラムシートに立ち返れば、ユーザー行動に沿った判断や軌道修正ができます。ダイアグラムシートはどうやって作るの?では、このダイアグラムシートはどうやって作成するのでしょうか?アクセス解析から作る?担当者が予測で作る?前者はユーザーの心理やその背景までは多くの場合、分かりませんし、後者は思い込みが多く入ってしまう可能性があり、両者とも精度の低いダイアグラムシートを作成してしまう可能性があります。なので、ダイアグラムシートはアクセス解析(データ)とユーザーをよく知る人へのインタビュー(実情)の両面を掛け合わせて作成します。もちろん、これに加えて、精密な競合調査やユーザーインタビュー等をすれば、ダイアグラムシートはより精度の高いものになるでしょう。しかし、ダイアグラムシートにいくらお金や時間をかけても、100%の精度にすることは難しいですし、これでKGIを達成できるわけではありません。また、ユーザーにインタビューしても自身すらニーズを理解していない場合もあります。そういった観点より、コストをかけず、スピーディーに可視化(ダイアグラム)するこの手法をアネモネでは提案しています。アクセス解析からユーザー行動を探るコツ普通にアクセス解析をすると、社名での流入が60 %以上で、そのほとんどがトップページに流入し、品番検索をして、製品詳細を閲覧後に離脱・・・こんなケースが非常に多く見られます。これでは当然、何も分かりません。アクセス解析からユーザー行動を探るコツは、様々な条件でユーザーをセグメントし、その行動を比べることです。特にWebサイトには様々なユーザーが訪問してくるため、それらを細かく分類していくことが重要になります。例えば、以下のようにセグメントして比較します。これを見ると、新規製品検討ユーザーのみ生産拠点のページを気にしていることがわかります。この場合は、新規取引にあたり、生産拠点が何らか重要であるということがわかります。こういった分析を注意深く、研究するように行うことにより、ユーザー行動の片鱗が少しずつ見えてきます。ユーザーをよく知っている人は誰?ユーザーの事をよく知っている人は誰でしょうか?それは自社や販売代理店の営業マン、顧客サポートをしている人です。この方々は、日々、直接ユーザーと対面しており、ユーザーの言葉にできない想いやニーズの背景を理解して活動しています。この方々にユーザーのことを教えてもらうのが一番でしょう。アクセス解析をしたのち、その結果を見ながら、あらかじめ用意したインタビューシートを使い、反応を見ながらじっくりと質問をしていきます。例えばこのようなやり取りになります。Q)社名で検索するユーザーが多いですが、ユーザーはどこで社名を覚えられると考えますか?A)技術系の専門誌の広告かな。その広告からWebサイトを見て電話したという問い合わせが多いですよ。Q)新規のお客様は生産拠点を気にされてないですか?A)え?どうしてわかりました?そうです。新規のお客様のみは我が社の生産拠点から自社の工場までの搬入日数をすごく気にされます。あくまでも内容は例ですが、大抵、広告とWebサイトのトップページは内容が連動していません。また、生産拠点のページはそんなに力を入れていませんし、会社概要の奥深いところに設置されているケースは少なくありません。これだけでも明日、早速、改善しなければならないポイントがわかりました。このようにアクセス解析の結果からは到底予測できない有益な情報を得られる場合がよくあります。こういった情報のすり合わせによりダイアグラムシートを作成していきます。もちろん、初回に作成したダイアグラムシートは間違えている点もあるので、運用の中で知り得た情報を元に更新していき精度を高めていきます。この手法であれば比較的、簡単にユーザー行動をある程度の精度で整理できます。まとめアクセス解析の分析結果に血を通わせるのがユーザーをよく知る人へのインタビューです。また、ユーザーはWebサイトをもっと、こうして欲しいというのがあるのに、アクセス解析の結果は現状のWebサイトの構造に沿ってしまうため、それに気づけない可能生もあります。そういった側面からもアクセス解析だけに頼るのはリスクです。さぁ、次回はいよいよ、ダイアグラムシートからKPIやWebサイト運用に落とし込んでいく流れをご説明させていただきます。