
VAIO様 特別講演 レポート前編 事例講演『VAIOが実践したBtoBマーケティング』
目次

VAIO株式会社 マーケティング室 マーケティングプランナー 日高 康成 氏
2016年、VAIO株式会社に入社。VAIOのBtoBビジネス強化を牽引するメンバーの
一人。MA/SFAの社内導入から運用までBtoBマーケティングの全般を手がける。
BtoBビジネス強化へ。法人に特化したマーケティング機能を、垂直立ち上げ
20年の歴史をもつVAIOブランド。ソニー時代は主にコンシューマー向けPCとして世界へ販路を広げていました。2014年にVAIO株式会社が設立されてからは、長野県安曇野市を拠点とした「メイド・イン・ジャパン」品質を強みに、まずは国内市場へシフト。さらに、「法人」を向いた営業へと舵を切りました。

VAIO は、2015年に法人営業チームが発足したのを皮切りに、直販EC、インサイドセールスをわずか半年で立ち上げ、2016年にBtoBビジネス強化プロジェクトを始動。BtoBに特化したマーケティング機能の強化をはかります。
そこから、SFA/MA、コンテンツマーケティングを垂直的に立ち上げ、日次・週次管理で徹底したKPIマネジメントを行ってきました。
結果、デジタルマーケティングを起点とした売上を創出し、大きなインパクトを生み出すとともに、現在もPDCAサイクルを回しながらマーケティング活動を次々と進化させています。

なぜVAIOは、ここまでスピーディに、かつ徹底してBtoBマーケティングに取り組んできたのでしょうか?その背景には、コンシューマー向けPCの市場とは異なるBtoB特有の商習慣がありました。

法人向けPCとしての活用・認知を広げたい。そのためには、顧客・見込み客を管理する基盤をつくり、営業リソースの効果を最大限に高める役割をマーケターも担っていく必要がある。
こうした状況のもと、VAIOでは、集客から管理・育成・選別までを一気通貫できるBtoBマーケティング機能をつくり、新たな販路を切り拓いていきます。

集客だけでなく、営業につながるすぐ手前までをマーケターが担い、さらに、ロングテールの小口案件に対しては販売パートナーやECへと送客を行う。こうした仕組みをつくることで、営業はホットな大型案件の商談のみに専念できるようになり、限られたリソース内での「直接営業」が可能になりました。
「働き方改革」というコンテンツテーマを発掘し、潜在ターゲットを獲得。
BtoBビジネスの強化に向けて、VAIOのマーケターたちは「潜在層」の開拓に着目しました。

これまでは法人向けよりも、コンシューマー向けのイメージが強い状況。法人向けの選定のタイミングは数年に一度しか巡ってきません。その前段階でアプローチをかけ、潜在層を獲得していく。これが、法人向けPCビジネスの強化も進めるVAIOがとった戦略でした。
法人向けPCを将来購入するかもしれない、あるいは、購入検討のキーマンになり得る「潜在ターゲット」。さまざまなペルソナを設定しながら、コンテンツを設計していきました。

VAIOは、こうしたペルソナをもとに「働き方改革」というテーマを導き出します。そして2016年7月、オウンドメディア「Work × IT」を立ち上げ、コンテンツマーケティングを開始。「フリーアドレス」や「テレワーク」など、ターゲットの検索ニーズに紐付けて、次々とコンテンツを発信していきます。

このメディアでは、VAIOの宣伝はまったく行われていません。潜在ターゲットが興味をもつ話題に特化して、コンテンツの質と量を高めることに注力しています。
その結果、インターネット検索からの流入は、広告に一切頼らずとも増加し続けています。

メディアにはコンテンツに関連するダウンロード資料も用意して、リード情報を取得します。

その情報をMAツールと連携させることで、次々と新規リードを獲得できる状況が生まれています。
あらゆるデータを集約し、マーケティング行動を可視化する。
コンテンツマーケティングの受け皿となるのが、SFA/MAを中心とした顧客基盤です。VAIOではオウンドメディアの立ち上げと併行して、このシステムを構築しました。

直販ECの受注情報や基幹システムの製品情報、FORCASの企業データベースとも連携し、集客から売上創出までのすべての情報がMarketoとsalesforceに集まってきます。このためインサイドセールスや営業は、常にリフレッシュされた新しい情報をもとに顧客へアプローチすることができます。
顧客管理の基盤が整うことで、見込み客のステージを可視化できるようになり、フェーズごとのマーケティング行動も可視化できるようになりました。

オウンドメディアのコンテンツも、見込み客の態度変容につながったコンテンツを分析し、資産として整理・活用しています。
ABMを実施し、見込み客の情報をリッチにする
次のステップとしてVAIOのマーケターが着目したのが、ABM(アカウント・ベースド・マーケティング)です。

従業員数や業種などのアカウント(企業)情報を取得し、個人のデータと紐付けることで、「リード情報をリッチにする」。そして、営業やインサイドセールスが生かせる情報を増やしていく。

さらに、ABMを活用することで、VAIOと相性の良い企業を抽出し、より効果的な「ターゲットの絞り込み」や「シナリオ設計」を行えるようになると期待されています。
MAとABMを連携させ、企業情報DBから攻めるべき企業を絞り込み、能動的に「ターゲットをつくっていく」。そこからホットリードを抜き出し、個人の行動と企業情報が見える状態で、インサイドセールス・営業へエスカレーションしていく。
戦略強化後、商談の案件化率は大きく向上し、営業の無駄打ちもかなり減ってきたといいます。
最小の力で、最大限の売上を
VAIOの営業・マーケティングは、小規模な組織で運営されています。そんな中、わずかな期間で法人ビジネスへのシフトをはかり、着実に成果を上げられています。


「マーケティング機能を持つことで、小さな組織であっても、最小の力で最大限の売上を目指すことができます」。
VAIOのマーケティングプランナー日高さんの言葉は、多くのBtoB企業に力を与えてくれるのではないでしょうか。

後編では、VAIO株式会社のマーケティング室 ダイレクター 福島嗣雄氏も交えたパネルトークの模様をレポートいたします。ぜひ、あわせてご一読ください。
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