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一から学ぶBtoBサイトでの「分析×継続改善」の実現 第2回:3種類のKPI設計方法を学ぶ

何故KPIが必要なのか?

目標さえ設定していればKPIは必要ないのでは?と考える方もいるかもしれません。しかし、筆者は「目標をより確実に効率よく達成」するためにKPIは必要と考えています。山登りに例えてみましょう。「富士山を登る」というのをゴールとしましょう。では、富士山を登るために、どういうルートで登っていくのかを決めずにとにかく登ろう…これは失敗する可能性が高いと思いませんか?あるいは失敗しなくても無駄な労力を使ってしまう可能性が高そうですね。

ビジネスゴールを達成する上でもこの考え方はあてはまります。大切なのは「どういうルートや作戦で登っていくのか(=戦略を考える)」という内容と「その作戦を実現するためにどういった準備などが必要なのか(=戦術を考える)」という内容になります。この戦略を考えるところがKPI設計にあたり、戦術を考えるところが、KPIとゴールを達成するための具体的な取り組み(=施策)を決めるという事になります。

また、KPIを設計することで「現在の立ち位置や進捗が確認しやすい」「行っている施策がビジネスゴールに貢献しているのかを直接的・間接的に計測できる」という側面でも、KPI設計は価値があります。

では、これらKPIを設計するための 3つの方法を見ていきましょう。

分解法とは

ビジネスゴールは方程式で表すことができるという考えが分解法の基本になります。

例えばECサイトであれば「売上=訪問×購入率×購入単価」という式です。

BtoB サイトの場合はオンラインで購入が完了しないことが多いと思いますので、式としては

(期待)売上=訪問(企業数)×お問い合わせ率×アポイントメント率×成約率×平均売上

というような少し長い式になりますが、分解して表すことが可能かと思います。方程式で表すのが難しい場合は、ツリー形式の要素に分けるという方法もできます。特に新規サイトを立ち上げるというような場合は、こちらのほうがまずは考えやすいですし、例えば「採用人数を増やす」とか「社内の働き方を変える」とか「自分の成長を考える」といった用途にも使うことができます。

後はゴールを達成するためには、それぞれの分解された要素のボリュームを増やせば、ゴールに近づくという単純な考え方になります。しかし、ここで最初に分解した「訪問」「お問い合わせ率」などは実はKPIではありません。

KPIはここからもう一段階分解したものを設定することになります。例を見てみましょう。

上記のように、それぞれを増やすための項目を洗い出していきましょう。訪問であればどのような方法が考えられるのか、購入率であればゴールにたどり着くまでにあるステップを洗い出すという形になります。ツリー形式であれば、以下のような考え方もできます。

そして、このように洗い出しが終わったら、どの内容に注力するか(= Key )とするかを決めていきます。大きな会社でリソースも潤沢であれば全て実行することも可能かと思いますが、それでも優先順位を決めておく必要があるでしょう。では、どのように優先順位を決めるのか?このためには「 SMART 」という考え方を適用しましょう。

SMART とは「Specific 」「 Measurable 」「Actionable 」「 Realistic 」「Time-bound 」の頭文字をとったフレームワークの略称です。上記で洗い出した内容に対して、これら 5 つの視点から優先順位をつけるというものになります。

この5つの中で特に大切なのは「 Actionable 」の項目です。いくら良い施策を思いついてもそれが実行できなければ意味がありません。ですので、まずはアクション出来る見立てがあるのか(人・物・金・技術的に可能なのか)を基準に考えてみましょう。

ここで選んだ重要なアクション項目が「KPI」となります。例えば「検索エンジンからの流入数」「カートから決済プロセスを開始する割合」「同時購入点数」「ホワイトペーパーのダウンロード率」「セミナー集客数」などが候補となりえるでしょう。

戦略が決まれば後は、具体的な戦術(施策)を洗い出していくという事になります。この洗い出し自体は「SMART」のプロセスでも洗い出しているかと思います。ここで施策が出てこないという場合は、KPIとしての設定は不適切という事になり、再度検討が必要となります。

ビジネスロードマップとは

ビジネスロードマップとは、「ロードマップ」という名前の通り、図を使ってKPIを設計していく方式になります。基本的な考え方としては、顧客が皆さんのサービスとの接点を持ち、最終的なゴールにたどり着くまでのプロセスを図示化したものになります。

イメージをつかんでいただくためにも、図を先に紹介いたします。

こちらは、 □ と⇒ を使って人の動きを表しています。 □ は人が集まる場で、 ⇒は次のステップへの遷移を表しています。この図を作るためには大きく3つのステップがあります。

ステップ1

最初のステップで、まずはプロセスを描くという事になります。オンライン・オフライン関わらず、最初の接点からビジネスゴールまで描きます。

ステップ2

各 Step にアクセス解析ツールや CRM ツールなどから取得出来る限り、数値を入れていきましょう。例えば1年間の目標と KPI を設定する場合は、直近1年あるいは前期の数値などを入れておきましょう。

これが現在のユーザーの動きを可視化したものになります。現在の数値以上の目標設定が行われる場合、その数値を達成する考え方は2つしかりません。1つは □ の数値を増やすという考え方。主に流入などを増やすアプローチです。もう1つが、 ⇒ の遷移率(次に進む割合)を増やすという考え方です。図を見るといろいろな箇所が改善できることがわかります。分解法の時と同じで、どれを改善するかという優先順位を決めましょう。

どのように優先順位を決めるのか?これは分解法と一緒で「 SMART 」の観点で決めることをオススメします。ここで優先順位を高くしたものが KPI という事になります。

ステップ3

最後に決めた KPI に対して、数値目標を設定する場合はステップ 3 にも取り組みましょう。ここでは、具体的に今ある数値をどこまで増やせばよいかを決めるという形になります。数値の決め方はいろいろありますが、オススメするのは少し高めに数値を設定しておくということです。

上記の例では、「商談数」を1900件に今年度は増やすという目標設定にしました。現在からの差分は830件となります。また設定した 3つのKPI は「セミナー参加人数」「コーポレートサイトからのお問い合わせ率」「業種別サイトの訪問数」になります。ここでは、それぞれの数値がいくつになったら415件商談が増えるか?という計算をしました。つまり 3つのKPI が目標達成すれば、差分の830 件ではなく、 1245件の達成となります。

数字としては超過しますが、リスクヘッジのために高めに設定することは有効です。その理由は2つ、1つ目は「計算をするときに他の遷移率は変わらない」という前提で計算していますが、これが下がる可能性も考慮してのことになります。

もう1つの理由は、何かしらの理由でどれかの施策が出来なくなったり、思ったほど成果が出なかったりしても、他の施策をしっかり達成させれば、全体のゴールが達成できるという余裕や安心感を持つためになります。

分解法と違い、図を描いたり、数値を計測したりという観点で難易度は上がりますが、具体的な設定をする場合、過去の数値がある場合、ビジネスロードマップは有効な手法です。

参考までにもう1サイト事例を貼っておきます。

コンセプトダイアグラムとは

「コンセプトダイアグラム」は清水誠氏が提唱している図解方法です。この手法を利用してKPIを設計するという内容になります。

□ と⇒ を使って行動を図解するという観点では「ビジネスロードマップ」と似ているのですが、ユーザー視点と態度変容を元に図を作るというところが大きな違いになります。

既に KPI を決めて運用されているサイトが改めてKPIを見直したい、あるいは、新規にサイトやサービスを立ち上げる際に向いている手法になります。

以下は友人などにプレゼントを発送するサービスを提供しているサービスのコンセプトダイアグラムの例になります。

このように、ユーザーの観点で構造を図解していくことを行います。そしてサイトにいる訪問者が、どのユーザーに属するかを分類します。

その上で、どのユーザー群を増やすか(そもそものボリュームを増やすか、あるいは該当ユーザー群への遷移率を上げる)を決めて改善を進めていくという形になります。こちらも「SMART」の観点で候補を絞り込みましょう。選んだユーザー群をKPIとして設定します。

それぞれのユーザー群の数値を計測するためには、各ユーザー群を「定義」する必要があります。例えば、「商品検討ユーザー」であれば、「3個以上商品を見ている」「フリーワード検索を利用している」などが考えられますし、「購入直前ユーザー」に関しては、「送料を見ている」「予定到着日を見ている」「カートには入れたけど購入には至っていない」といった具合です。ユーザー群を定義し、アクセス解析ツールなどでそれらを「セグメント」として定義すれば計測が可能になります。

他の手法とは違い、改善施策の考え方として「どうやって利用者の態度変容を起こすのか」という観点が必要になってくるため、今までとは違った改善案が出てくるというのも大きな特徴です。

まとめ

KPIの必要性と3 つの方法を紹介いたしました。 KPI設計はビジネスゴールを達成する上で非常に大切な考え方になります。しかし、それを決めて実行することは必ずしも簡単ではありません。今回紹介したような手法を使って個人的に KPI を決めたとしても、会社としての合意プロセスや、それを達成するために日々の運用や改善が必要になってきます。

設定することより、それを実行して達成を目指すことが最も大切ですので、まずは設定して柔軟に見直していくという考え方も大切です。天候や状況によって山登りのルートを変えるのと一緒です。大切なのは指針を決めて最初の一歩を踏み出すことです。KPI設計をされている方もしていない方も、改めてKPIというものと向き合ってみましょう。より良い、実行性があるKPIはないか?という意識を持つことは大切です。

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