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コアコンピタンスについて具体的に解説|自社の強みを経営に活かすには?

コアコンピタンスとは、他社にはとうてい真似できない自社独自のサービスや商品のことをいいます。競合他社から勝ち抜くためには、このコアコンピタンスを持ち続けることが大切です。

この記事では、コアコンピタンスの概念、コアコンピタンスを評価する要素などについて解説しています。経営戦略としてコアコンピタンスを活用したい人は、ぜひ参考にしてください。

コアコンピタンスとは何か

コアコンピタンスは、core(中核の)competence(能力、技能、適性)という言葉で、能力の中核という意味です。ビジネスの場では、「企業がもつ圧倒的な価値」「他社に比べ抜きんでて優位性がある強みの中核にある能力」という意味で使われています。ゲイリー・ハメル氏とC. K. プラハラード氏によりアメリカの経営学誌であるハーバードビジネスレビューで発表されました。

発表後、コアコンピタンスという言葉は世界中で注目され、30年経った今でも経営において重要な概念であるとされています。

コアコンピタンスの条件

コアコンピタンスに該当するためには、3つの条件に当てはまらなければなりません。どれか一つでも欠けていると、コアコンピタンスであるとはいえません。コアコンピタンスの3つの条件を説明します。

顧客に利益をもたらすこと

自社の強みである能力は、顧客にとっても利益があることが条件の一つです。いくら自社に莫大な利益をもたらす能力であっても、顧客にとってマイナスになるようなものではコアコンピタンスとはいえません。顧客満足度が低ければ、企業の圧倒的な強みとすることはできないからです。

競合他社に模倣されないこと

他社が模倣することができない能力という点もコアコンピタンスの条件にあります。再現性があり、他社でも簡単に模倣されたり再現できたりすると優位性は保てません。最初は圧倒的な強みであっても、すぐに凡庸な能力となってしまいます。誰にも真似できないような能力を確立できれば顧客が他社に流れるのを防ぎ、自社を守ることにつながります。

幅広く応用できること

ほかの商品やサービスにも応用できるかどうかも、コアコンピタンスとなる条件です。特定の商品にしか使えない能力は、その商品の需要が少なくなると同時に企業にとって必要ないものになっていきます。時代が変わっても需要が高いままである商品はないといっても過言ではありません。幅広く応用して使える概念であれば、長期間企業を支えられます。

なぜコアコンピタンスが必要なのか

企業はいつも激しい競争のなかにさらされています。サービスや商品の価値、技術開発などにおいて、企業のポジションは常に変わり続けているのです。そのようななかで、顧客を獲得し続けていくためには、他社が到底追いつけないような力が必要であり、他社と差別化をはかるためには、コアコンピタンスが重要となるのです。

コアコンピタンスの具体例

コアコンピタンスを定義したハーバード・ビジネス・レビュー誌の論文(1990年)では、実際の成功事例として複数の日本企業を挙げています。そのなかの一部を紹介します。

ソニー

ソニーのコアコンピタンスは、重くて高価な商品を「小さく軽くしたい」という思いから生まれました。社長の「小さくできないか?」という口癖から技術開発が行われ、競合他社に比べて圧倒的に小型化させる能力が高くなりました。ソニーは電化製品を小型化する力に特化し、他社から抜きんでた存在となったのです。

シャープ

シャープは当初シャープペンシルを生産する会社でしたが、電卓を製造することから液晶パネルの開発がはじまりました。そこから研究が重ねられ、「液晶といったらシャープ」という地位までに登りつめたのです。シャープの事業内容が大きく変わるとしても、将来性のあるものには力を入れるという能力が他社に比べ圧倒的であり、結果として液晶技術がコアコンピタンスとなりました。

ホンダ

1970年に法改正があり、車の排気ガス排出量を基準値以下にしないと販売できなくなりました。多くの自動車会社がこれに反発するなか、ホンダは低公害エンジンの開発に力を入れたのです。結果として、世界で一番早くに基準値以下のエンジンを開発できました。このエンジンは車だけではなく、トラックやバイク、芝刈り機まで応用可能であり、世界的に成功したといえます。

コアコンピタンスを確立する手順

コアコンピタンスを確立するためには、どのようにすればよいのでしょうか。順を追って説明していきます。

強みの抽出を行う

自社の強みはどこにあるのか、人材、能力、企業文化、理念、サービスなどからリストアップしてみましょう。現段階ですでに持っているものだけではなく、近い将来手に入れられそうなものでもかまいません。この段階では、多角的な視点から強みを探したほうがよいので、経営陣だけではなく、社員や取引先などさまざまな人の意見を参考にしてください。

強みかどうかは厳密に判定しなくても大丈夫です。思わぬものがコアコンピタンスとなるかもしれません。

強みの判定を行う

強みとして抽出したものが、コアコンピタンスの3つの条件にあてはまるのかどうか判定を行います。先ほども説明しましたが、コアコンピタンスの3つの条件とは、「顧客に利益をもたらす」「競合他社に模倣されない」「幅広く応用できる」というものです。

このなかのどれか一つでも欠けることがあるならば、コアコンピタンスとしての役割を果たせません。慎重に判定してみてください。

強みの評価を行う

最後にコアコンピタンスとしてふさわしい強みの評価を行いましょう。このときには、評価するコアコンピタンスが競合他社に比べてどの程度強いのかという点が重要となります。評価は、模倣可能性、移動可能性、代替可能性、希少性、耐久性の5つの要素で行います。それぞれの要素はどのようなものなのかについて説明します。

模倣可能性

その技術や能力、サービス、商品は、競合他社が模倣できるものかどうかを評価します。簡単に真似されるようなものであったら、他社から圧倒的に抜きんでることはできません。現段階では希少性があり、顧客に求められるような優れたものでも、模倣されれば価値はすぐに落ちてしまいます。どの程度真似されにくいのかを考えてみましょう。

移動可能性

移動可能性とは、一つのものだけではなく、他の商品やサービス、分野でも活用できるものということで、汎用性ともいえます。汎用性が低いものに力を入れたら、需要がなくなった時点で自社の魅力もなくなるでしょう。また、応用していくことにより、幅広い事業展開が可能となります。そのため、他社が追い付いてきたとしても、新しい方向から差を広げられる可能性が高いです。

代替可能性

自社の強みがほかの商品やサービスにとって代わられるのかどうかということが代替可能性です。競合他社が持っている強みではカバーできず、唯一無二の存在であるものは評価が高くなります。そういったものは、顧客を独占することが可能であり、自社にとって大きな武器となります。特異であればあるほど注目も浴びやすく、他社によっての脅威となるでしょう。

希少性

市場に出回っていない、今までにはないような珍しい技術やサービスであるかどうかを希少性として評価します。希少性が低いと、力を入れて優れたものを開発したとしても注目を集めにくく、他社から圧倒的優位性をもつことはできません。希少性が高ければ高いほど人の興味を集めやすくなり、他社と差をつけることが可能です。

耐久性

その強みは、時代や生活様式の変化に左右されず、人に必要とされ続けるものなのかどうかを考えましょう。耐久性が低いものは、一度大きな注目を浴び他社から圧倒的に優位にたったとしても、短期間で終了します。常に新しい機器やサービスが始まる世の中で、耐久性があるものをみつけ出すことは大変です。しかし、耐久性が高いものは、強い核として自社を支えてくれるでしょう。

絞り込みを行う

コアコンピタンスに該当する強みのなかから評価されたものを絞り込みましょう。ここでは、自社がどのような顧客をターゲットとしているのかを明確にし、その顧客にとってメリットがあるのかどうかなどを考えてみてください。また、将来的に参入したい分野にも応用できるのか、どのレベルまで目指すのかなども考慮に入れてみましょう。

コアコンピタンスとケイパビリティ

コアコンピタンスと関連してよく出てくる用語に「ケイパビリティ」というものがあります。ここでは、ケイパビリティについて説明します。

コアコンピタンスとケイパビリティの違い

ケイパビリティとは、capability(素質、能力、将来性)を意味する言葉です。コアコンピタンスと似ていますが、コアコンピタンスには競争力という意味合いが含まれています。ケイパビリティは企業がもっている能力そのものを指しているため、他社と比べる必要はありません。内的に能力を評価し、強めていくことを目的として使われる言葉です。

関連性

コアコンピタンスよりもケイパビリティのほうが扱う範囲が広い言葉であり、コアコンピタンスはケイパビリティのなかの一つです。ケイパビリティのなかで、他社との競合性において圧倒的に優れているという条件を満たすものがコアコンピタンスとなります。つまりは、コアコンピタンスとはケイパビリティのなかから選び抜かれたものといえるでしょう。

まとめ

コアコンピタンスとは、競合他社よりも圧倒的に優位な商品やサービスのことをいいます。企業として成功を収めるためには、コアコンピタンスの追及が重要となるでしょう。今回の内容を基にぜひ自社のコアコンピタンスを探してみてください。

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