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【EXPANSION TALK】 営業はマーケへ、マーケは営業へ キャリアエクスパンション実践者たちのインタビュー #01 ブライトコーブ 大野耕平さん 前編

大野 耕平 氏(写真右)
ブライトコーブ株式会社 マーケティング マネジャー

小関 貴志(写真左)
ジャパン・クラウド・コンサルティング株式会社 シニアディレクター
ワンマーケティング株式会社 アドバイザー

映像、飲食店、エンジニアを経て、20代後半で営業へ

小関:「営業からマーケターへのキャリアエクスパンション」というテーマなのですが、「あっ、この方、そういえば昔営業されてたな」っていう方をいろいろ思い出して声をかけさせてもらいました。

大野:まさに僕のことですね。

小関:ある日突然マーケへ、でしたね。

大野:しかも結構キャリア的には遅め、でしたね(笑)

小関:そのあたりの話をお聞かせいただく前に、まずは改めて、これまでのお仕事の経歴を教えていただけますか?

大野:はい。僕は1997〜2000年、シドニーオリンピックが始まるちょっと前まで、オーストラリアにいました。映画が好きで、スターウォーズやマトリックスがオーストラリアで撮影されてこともあり、、憧れて勉強しに行ったんです。まだフィルムカメラが主流で、たった5分の映像をつくるのに100万、200万のお金が必要となる時代でした。

小関:自分で映画をつくろうとしてた。

大野:そうすると映像の技術よりもまず、スポンサーに「こんな映画つくるから、お金出してください」というスキルが求められるんです。そんなの海外でムリだわと思って、諦めてしまいまして。
帰国後は、大阪の北新地にあるクラブで5年働いていたんですよね。月~金はカフェバー営業で、土日はイベントをして有名なDJの方を呼んで、どれだけ集客できるかという世界でした。

大野:その当時は家に帰るのがだいたい朝7時。9時ぐらいに朝のワイドショーを見ながら寝て、午後3時くらいに起きたら夕方のワイドショーがやってる(笑)。25歳を目前に、そんな生活がキツくなってきて、心配してくれた親切な友人が、「今はIT業界だと、何かしら仕事に就けるよ。ネットワークとか、データベースとか、そっちのエンジニアを目指したらいいよ」とアドバイスしてくれて。
「データベースって何ですか?」という所からスタートして、1年間、夜間の専門学校に通って、シスコ技術者認定のCCNAやオラクルマスターのSilverを取ったら、ちゃんと就職できたんですよ(笑)。1年ほど富山県にある半導体の工場でネットワークエンジニアとして働きました。

小関:はじめはエンジニアとして就職したんですね。

大野:そうです。CCNAを取って。

小関:CCNAとオラクルのSilver取ってますって、脈略があるようでないような(笑)。

大野:ないんですよ(笑)。とにかくC言語だけ分からなくて、3つも1年で覚えられないから、その2つにしたんです。それで1年間エンジニアとして働いて、大阪に戻る時に前職の富士ソフトという会社に拾ってもらえたんです。「技術経験1年での中途採用は厳しいけど、君しゃべれるから営業なら採用できるよ」と言われて。(営業が嫌だから技術を勉強してたのに営業か……)と思いながらも、こんな自分でも一部上場の会社に入れるんだって。そこで10年間、営業を経験しました。

管理よりも、もっとテクニカルに、売ることと向き合いたかった

大野:営業6年目を迎える頃、初めてクラウドというものに出会いました。海外からさまざまなサービスが入ってきて、富士ソフトがGoogle Apps(現G Suite)日本初の代理店になり、「面白いなこれ」と感じたのを覚えています。
それまで請負でSEやプログラマーを集めて開発サービスを提供する仕事だったのが、「こういうこともソリューション営業でできるんだ」って世界が広がったんです。その中で、ブライトコーブの製品を顧客に販売することがあって、縁もあり2016年にブライトコーブへ入社しました。

小関:営業職ですね?

大野:営業です。

小関:営業は、実際にやられて、「向いてる」と思ってましたか?

大野:思ってました(笑)

小関:ブライトコーブさんに入社した時は、キャリアについてどう考えていましたか?

大野:前職では、第二新卒のような形で入社したこともあり、出世は同世代よりも遅かったのですが、気づけは課長職の一歩手前ぐらいまでにはなっていました。だけど、自分は人を管理するのはまだ早いなと思って。もっとテクニカルな、このソフトをどう入れてもらうかっていうのを考えるほうに行きたいなと思っていました。それからSIerとしてではなくて、自社の製品を売ってみたいという気持ちもありました。

小関:そういた想いをお持ちの方は多いかもしれませんね。2016年に入って、しばらく営業を?

大野:3年、営業をやってました。

小関:確か、マーケターになったのは、希望ではないですよね?

大野:そうなんですよ。「マーケティングへの異動は自分から希望したことですか?」って聞かれたら、答えは「No」なんです。

営業のつもりで、もともと全部やっていた

小関:「マーケティングをやってくれ」と言われた時、どう思いましたか。

大野:ちょっと経緯がありまして。営業3年目の頃、営業成績が良くなかったのですが、「これで一発逆転だ」という大きな案件があり、すごく良い所まで行ったんです。でも、それが結果的に失注になってしまい、自信を完全に無くしたことから、自ら会社を辞めると上司に言いました。「すみません。僕、数字も出せてないし、このまま居続けるのも申し訳ないんで、辞めます」って。

大野:そしたら当時、マーケティングの方々が次々離職して、その上司がそこへテコ入れに入ろうとしていた。「だからお前も一緒に来い」って言われて、それでマーケへ行ったんです。一回辞めると言った手前、すこし迷いましたけど。

小関:上司の方は、なぜ大野さんを誘ったのでしょう?

大野:営業の時から、セミナーを自分で企画して調整したり、登壇しなきゃいけない場面があったり、手が空いた時にブログの記事を書いたりしてたんですよ。別にマーケとかそういうのは意識していなくて、「みんなに役立てばいいか」と、そういうことをやっていました。

小関:営業のつもりでやっていらした?

大野:営業のつもりです。今でこそリストを集めてきて、電話して、商談に行って、クローズしたらカスタマーサクセスの人がいて……と分業制になっているけれど、僕が今まで所属してきた会社は、全部1人でやらないといけない環境だったので、別にそこが苦じゃなかった。自分自身の案件を創出するためにやっていました。

小関:数字を上げるために必要なことを、数字を必要としている人がやりますといった感じでしょうか?

大野:そうそう(笑)。まさにそんな感じです。

ちゃんとMBAの資格持ってるの?

小関:やってみてどうでしたか?マーケのお仕事。

大野:2019年1月、営業にいた上司と僕がマーケの手伝いをすることになりました。しかしアメリカの本社から、「いやいや、あなたたちマーケティングの経験ないよね?」と。

小関:「手伝いって何できるんですか?」と。

大野:そうなんです。アメリカではマーケティング・ディレクターはすごく高尚なお仕事でして、例えば日本だと技術課長が営業課長になるとかって結構ありますよね。そんなの許されないんですよ。「あなた、ちゃんとMBAの資格持ってるの?」って。

小関:「どこでマーケの経験を積んできたんだ?」などと聞かれましたか?

大野:そうなんです。ただ日本ではマーケティング・ディレクターも辞めていて、そんなことも言っていられない状況の中、僕たちはまず、「マーケは今まで何をやっていたのだろう」ということを一から調査していきました。どのくらいの予算が使われていたのかということも。

小関:こんなに予算使ってるのかって思ったでしょう?

大野:思いました!(笑)「広告とかすごく使ってるな」「でも得られてるコンバージョンこれだけ?」みたいな所から始まって、セールスフォースのデータも見て、結果的に、マーケの施策がほぼSQLにつながっていなかったことが分かったんです。
僕も営業だったので、展示会やセミナーなどで名刺交換をして、いきなりSQLになることもありました。その時は「良いイベントだったな」って思うんですけど、まったく定量的じゃないですよね。

小関:一営業の視点からだと、自分の見えているサンプルの中で、全体を評価してしまう。

大野:僕もそうだったのが、ちゃんと数字を見ていくと、「全くSQLや受注につながっていない。これだけのROIしか出せてないのか」ということが各施策ごとに見えてきたんですよね。あとセールスフォースの入力ひとつとっても、外資系は入力ルールやシステムが整備されているじゃないですか。

小関:「キャンペーンを紐づけなさい」とか(笑)。

大野:入力ルールはあるのですが、日本では全くルール通りに運用されてなくて。そこをまず整理するところから始まりましたね。そうしたら、だいたいフローが分かってきた。

スクールの課題に、自社の数字を全部当てはめてみた

小関:営業的な目線で、まず全体像を掴んでいったのですね。マーケターとしての経験が無い所をキャッチアップするために、何かしたことはありますか?

大野:1~3月までは調査にあてて、それと併行して土日にマーケティングの基礎を学べる人材育成スクールに通いました。

小関:BtoBマーケティングを学べるスクールですか?

大野:どちらもなんですけど、BtoB、BtoCで言ったらほとんどBtoBの内容でした。

小関:それは、珍しくないですか?

大野:珍しいです。僕たちが一期生みたいなかたちで入学して、2ヵ月にわたって基礎知識を学びました。スクールで課題が出るのですが、その課題を自社の数字で全部埋めていったら、スクールで学べることと、実際の業務がリンクしてすごく良かったんです。

大野:受講生の半分は、「これからマーケティングをやります」という方たちでした。僕の場合は「今やってる」立場だったので、調査して出てきた数字を全部当てはめていって、こういうキャンペーンをしたらこういうリターンが得られるっていう計算の仕方をそこで学んでいきました。

営業だけが、持っている知識がある

小関:スクールで学べた一番のスキルって何でしょうか?たとえば今、営業の方が「あなたマーケティングやって」と言われたら、「いや私、マーケティングやったことありません」とか、「マーケティングのスキルはありません」と言う。そこでの足りない“スキル”って何なのでしょうね。

大野:反対に、営業だけが持っている非常に大事な知識があると感じました。市場の知識だったり、製品がどういう理由でお客様に買われているのかだったりを、営業が一番知っている。ただ、マーケを含む営業以外の人は、それを正確に理解していなかったりする。
「なんでうちの製品を買ってくれてるんだろう」って、そこが理解できないと、ペルソナもつくれないし、カスタマージャーニーもつくれないし、何にもつくれないんですよ。
これをずっと机上の空論のまま、理解しないまま始めると、まったくズレた方向に行ってしまう。ここがまず、営業の強みなんですよ。
その代わり、営業はお客さんがいて、見積もり出して、受注するまでのフローは知ってるんですけど、その手前で「なぜWebに問い合わせが来たのか?」「なぜうちの会社に電話してきたんだろう?」という所は、ぼやーっとしか見えていません。広告にしても、SEOにしても。

小関:リードになるまでの所。

大野:そうです。そういうことを理解する必要があるんだなっていうのが、マーケティングを学んでみて、すごく良く分かりましたね。

小関:でもそれが、すごく緻密な世界で、システマチックに動いてると勘違いしている人たちも多いかも知れません。

大野:今、特にそう見えるでしょう。

小関:その結果、必要以上にハードルが高くなっているのかも知れませんね。では、「やってみたら意外とできた」っていう感覚はありましたか?

大野: 1月~3月は調査にあてていたので、問い合わせの数は大きく変わりませんでした。ただ、Web上のコンテンツを増やすことや、点と点を結ぶ施策を実施することで徐々に増えてきました。現在までも問い合わせの数は右肩上がりです。ですから、「意外とできた」と言えば意外とできました。
でもそれはすごく基本的なセオリーをやっただけです。何か特別なことをやったとは思ってないです。

一番のキャッチアップは、人から教わること

小関:マーケの経験が無い所をどうやってキャッチアップしたかという話でいうと、他に何がありますか?私は大野さんを見ていて、いろんな方と話をして、積極的に知識を吸収されていた印象を持っていますが。

大野:あります、あります。たとえば書籍もすごくたくさん読みます。本だけじゃなくて雑誌、あとセミナーにもできるだけ顔を出すようにしています。ただ、そこで学べることって、あくまでも体系や理論なので、実際の作業をしていると「あれっ」と行き詰る時があるんですよ。
たとえば、いわゆる認知、検討、購買みたいなファネルがありますよね。僕たちがマーケに入った時には、まずは認知を増やすことに取り組みました。ハウスリードが少なかったので、展示会に出展して、どんどんリードを集めようっていうのをまずやったんです。そしたら突如、数千件のリードが生まれて(笑)。最初は「わー!すげー!!」とか言ってたんですけど、「えっ、これどうすんの?数千人にメール送るの?」という話になって。こういうことって、本に書いてないじゃないですか。「○千人のリードが来たらこうしてください」なんて。

大野:しかもそのリードの中には、1ミリもブライトコーブの展示ブースに来てないような人も入ってるから、結局「現場の人に聞く」しかないんですよね。「これどうしたらいいんですか?」ってアホな質問かもしれないけれど、様々な方々に教えてもらいながらやってきました。

小関:それは私も思います。営業からマーケへ行った人に限らず、変なプライドを持たず、素直に聞けるというのは重要ですよね。

大野:本当に重要なスキルです。僕の経験にはなりますが、「いや、それは教えられないね」みたいな人はいないですね。

最も効率が良いのは、ランチミーティング

小関:マーケターのユーザー会を見ても、競合さえ関係ないことすら感じます。競合の方同士で教え合っていらっしゃる。

大野:そうですね。これも個人的な意見ですが、一番効率が良いのは「ランチミーティング」だと思ってます。夜も夜で楽しいんですけど、第一線で活躍されてるマーケターの皆さんってお忙しい方や、比較的お酒を飲まない方が多いんですね。一緒に飲んでくれる方も勿論いらっしゃいますが、4時間ぐらいダラダラお酒を飲んでたりしたら、「何か教えてもらったけど忘れちゃった」となりかねない。でも昼だと時間もタイトだし、その間に聞かきゃいけないという意識があるので、すごくピンポイントでお話ができて、理解もできるんです。

小関:人に聞くというのは、勉強になりますよね。

大野:今はコロナ禍で在宅のため、Web会議システムなどでランチミーティングを実施していますが、コロナ前は少し困ったことがあれば、出向いてランチミーティングをしていました。1時間ぐらいの移動時間はありましたが、全く無駄にならない話が聞けるので。

目指すマーケターの共通点は、「データ」「体系化」「カレー?」

小関:マーケターになられて1年半。大野さんから見て、目指しているマーケターはいますか?

大野:すごく参考にさせてもらっている人が、何人もいます。みなさんメディア上でもアウトプットされてますし、セミナーでも登壇されています。BtoBのマーケターの方は、比較的具体的な話をされる方が多かったり、具体的なフローが記事の中に図として書いてあったりするので、それを読むだけでもすごく助かる時があります。

小関:みなさんの共通点はありますか?

大野:結局みなさん、「データ、データ」って言ってますね。データをすごく重視していて、それから自分たちのやっていることを体系化して分かりやすく伝えるということに、みなさんすごく長けている。あと共通してるのは、みんなカレー好き(笑)

小関:マーケターはカレー好き説を唱えてみますか?(笑)

大野:唱えたかったのですが、あまり共通項がなく挫折しました(笑)。あと、僕が尊敬しているあるマーケターの方は、「市場をどう良くしていけるか」とか、「取引先をどう儲けさせるか」とか、市場が上手くいったらみんなが儲かるはずだという近江商人的な「三方よし」の考え方をすごく体現されています。ふつうのマーケターだと会社のMQLやSQLをどうやって上げようかぐらいで考え方が止まっちゃうんですけど、そこまで見ているっていうのはすごいなって思います。

二人の対談は、さらに続きます。後編は、大野さんが営業からマーケターに移って良かったことなどを聞いていきます。

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