【EXPANSION TALK】営業はマーケへ、マーケは営業へ キャリアエクスパンション実践者たちのインタビュー #02 HubSpot 伊田聡輔さん 後編

【EXPANSION TALK】営業はマーケへ、マーケは営業へ キャリアエクスパンション実践者たちのインタビュー #02 HubSpot 伊田聡輔さん 後編

ワンマーケティングが考える「BtoBマーケティング」とは?

営業は、次のキャリアの選択肢にマーケターを加えてほしい。そしてマーケターは、営業の現場にもっと目を向けてほしい。

現在、HubSpot日本法人のセールスディレクター/共同事業責任者として、営業という立場から多くのマーケターを支えている伊田聡輔さん。Dellでのマーケティングチームのリーダーを経験した後、Google Adwords eで営業部長に就任し、そこから再びセールスとして活躍されています。

キャリアエクスパンション実践者たちのインタビュー #02 HubSpot 伊田聡輔さん 前編

営業とマーケター、どちらの立場も知る伊田さんのお話には、これからのキャリアを描く上でヒントとなるようなお話が詰まっていました。

伊田 聡輔 氏(写真右)
HubSpot Japan株式会社
共同事業責任者/セールスディレクター

小関 貴志(写真左)
ジャパン・クラウド・コンサルティング株式会社 シニアディレクター
ワンマーケティング株式会社 アドバイザー

事業の全部に責任を持てる人を、目指したかった

小関:マーケティングを9年されてきて、マネージャーまで務めた伊田さんが、なぜ再び営業になり、Googleに移ったのでしょうか?

伊田:「マーケティングだけでは仕事は完結しない」という考えがずっとありました。それまで営業を経験したと言ってもDellのスタート時に1年半というキャリアでしたから、一つの事業を通して全体の責任を持つ立場になりたいと思った時に、「マーケティングのことしか分かりません」と言ってしまうと、事業部門全体のビジネスをうまく推進する人間になれるイメージが湧かなかったんです。

伊田:マーケティングチームのマネージャーを突き詰めていけばCMOのような道もあったかも知れません。でも僕は、事業全体の責任を持つゼネラルマネジメントを目指したいと考えました。
ゼネラルマネジメントは、全部見ます。マーケティングも、営業も、カスタマーサクセスも、ファイナンスも、人事も。その仕事を任されるためには、「マーケティング+何か」がなければと思ったんです。全部をやる必要はないけれど2本か3本は柱を持っておいた方がいいのだろうなって。その柱が「営業」だと考えました。マーケターの後を見る立場であり、お客様を見る立場ですから。「では何の営業をするのか?」と考えた時、「マーケターとしての経験を生かして、マーケティングのみなさんが買うものを売ってみたい」と考えて、Googleに移りました。

小関:なるほど。実際にやってみて、営業はすぐできるようになりましたか?

伊田:できなかったです。自分も同じマーケティング経験者としてお客様のことは知っているつもりでしたし、多分、商談でも話が合う場面は多かったと思います。そこに対して自社の製品でこういうものがありますという提案も、ある程度はできていたと思っています。でも、営業ってその後のことだと思うんです。「だとしたら、うちの製品はあなたにこのように役立ちます」って、自分ある程度主導権を持ちながら、お客様の結論を後押しするスキルは、営業特有だと思っていて、これはやはりすぐにはできなかったですし、今でもそこはがんばっている所です。

小関:最後にちょっと、背中を押してあげることができるか。

伊田:そうです。ジェントルに背中を押すって大事ですよね。

誰も手が回っていない仕事を、自分から拾いに行く

小関:HubSpotでは今、営業をされていますよね?

伊田:完全に営業です。僕がセールスディレクターで、もう1人マーケティングディレクターがいて、ともに日本法人の事業責任者も務めています。

小関:キャリアを広げる方法はいくつかあると思うのですが、伊田さんの場合は、営業とマーケターの両方を経験して今のポジションがあるわけですね。その経験から、マーケターの方や営業の方に、メッセージをいただけませんか?

伊田:はい。一つはやはり「仕事は拾ったほうがいい」ということです。

伊田:たとえば、営業をしていてマーケティングに移りたいと思った時、社内を見わたせばマーケターが本当はやりたいけど手が回らない仕事がいっぱい転がっていると思います。ですから、ポジションを先に取るのではなくて仕事を先に取ること。その仕事をしていれば、「この人はマーケティングを任せても大丈夫だ」と社内のいろいろな人が思ってくれるようになります。仕事を拾うことから、道が拓けていくはずです。

小関:私もこれまでの経験から思うことは、全くやったことのない仕事や、今やってもいないことで抜擢されることは無いですよね。

伊田:はい、まず無いと思います。もう一つ、「自分はマーケティングの専門じゃないし、知識もないしなぁ」と思っている営業の方がいるとしたら、あなたがマーケティングの専門家だと思っている方は多分、営業であるあなたを尊敬していると思います。なぜなら、マーケターである自分には無いものを持っているから。
ですからやはり、自分の持っていないものを見てチャレンジを諦めるのではなくて、相手が持ってないものを考えたほうがいいと思います。「今うちの会社のマーケティングには、こういう知識を持った人がいないな」という考えで自分を客観視すると、「あっ、自分のこの知識が必要かも」と気づけるかも知れません。

マーケティングと営業の境目が、曖昧になっている

小関:営業だと「ハンター(狩猟型)orファーマー(農耕型)」のように典型的なタイプ分けがあると思うのですが、伊田さんは、ご自分をどのようなタイプのマーケターだと思われますか?

伊田:マーケターとしての業務を離れてから7年経っているため、直接的にはお答えしにくいのですが、ただ営業を1年半、マーケティングを9年、そして営業のマネジメントを7年経験してきて今思うのは、「マーケティングと営業の境目が曖昧になっているな」ということです。

営業の経験を生かしてマーケティングの仕事を広げているようにも感じるし、今の仕事はマーケティングで培ったものから営業に必要なものを広げている感じがします。自分はマーケティングの専門家でもないし、営業の専門家でもない宙ぶらりんな状態かも知れない。でも、もしかしたらマーケティング一筋という方よりもお客様の過程を広い範囲で見ているかも知れない。そんな感覚があります。

小関:このインタビューは伊田さんで3人目になるのですが、みなさん表現の仕方は違っても、共通して「お客様のことを知ろう」とされている姿勢を感じます。会社が違ってもお客様を知ろうとする姿勢は生きてきますものね。

伊田:本当にそうだと思います。

キャリアは、ポーカー。どんな“役”を仕上げたいのか

小関:ところで周りにマーケターになりたいという方って、あまりいませんよね?

伊田:いないですね。

小関:なぜでしょうね?「もったいないな」と思ってしまいます。

伊田:僕は、キャリアは“ポーカー”だと思っていまして。

小関:ポーカー? 面白いですね。

伊田:たとえば、インサイドセールスをやりました。中小企業向けのアカウントエグゼクティブをやります。ミッドマーケット向けのアカウントエグゼクティブをやります。次にやるべきは大企業向けの営業。そして次は、営業マネージャー。そうするとポーカーの役でいうと”ストレート”みたいなキャリアができあがります。

小関:色を合わせていくのか、順番に並べていくのか。

伊田:そうです。2、3、4が来たら次は5が欲しくなりますよね。これって正当なキャリアだと思うんです。そして、営業である程度の経験を積んできた方が「今さらマーケもなぁ」と思うのは、色も順番も揃わないからだと思うんですよ。

小関:そうか。組み合わせの手数が限られているというか、営業の中で「この業界を担当していました」「この役職を経験しました」という位のバリエーションで考えてしまっている。

伊田:多分、営業からマーケターのカードへ変えようと思っている方は、イメージしている“仕上がりの役”が違うと思うんです。一般的なストレートやフラッシュではなくて、「違った数字のペアを複数組み合わせて、「フルハウス」つくろうとしている人間だと思うんですよね。

小関:そうか、確かにそういう感覚なのかも知れませんね。

“マーケター”がいない会社も、マーケティングをしている

小関:中堅中小企業にはマーケティング部門というものが無かったり、ご本人が知らず知らずマーケターのような仕事を受け持ったりしている場合も多いのではないかと思います。HubSpotのセールスディレクターとして日々さまざまなお客様と対峙されていて、その辺りで何か感じることありますか?

伊田:「マーケター」と呼ばれる人がいない会社は、マーケティングを一切していないのかと言うと、みなさん何かされています。たとえば、「見本市に展示ブースを出しています」であったり、「そこでいただいた名刺をデータ化してメルマガを送っています」であったり。今の世の中で、マーケティングの仕事を全くしていない会社というのは珍しいと思います。

小関:そうですよね。お客様に知っていただくこと、お問い合わせを頂戴すること、エンゲージメントを育むこと、どれもマーケティングにつながっています。

伊田:はい。「その活動を社内的にどう定義しているか」ということになると思います。販売促進部や販売推進部という部署がそれを担っていたり、営業が担当していたり。それこそ僕たちも営業の自動化につながるソフトウエアを販売しているのですが、それを使いこなせば一人の営業が自分の担当している500件のアカウントに対してお客様ごとの状況や興味・関心に沿ったメールをカスタマイズしてたを発信することもできます。でもこれって、マーケの仕事ですよね。10年前だったら。

小関:言葉が存在することで、行動の幅や言動の幅が狭まってしまうこともやはりあって、さっき伊田さんが言われたようにセールスとマーケティングの垣根はもう有るようで無いような状態で、成果を出されている方ほど領域侵犯をしているというか、職種に関わらず仕事を取りに行っているように見えます。私たちマーケティングに関わる人間が「マーケティング」という言葉の使い方を間違えてしまうと、「うちにはマーケターがいない」という会社が増えていってしまう。

伊田:そうおしゃっている会社は、たくさんありますね。

小関:「マーケと営業の壁」という言葉もよく使われますが、その辺りの言葉遣い一つから見直していくべきなのかも知れません。

伊田:本当にその通りだと思います。

プロサッカーでは、領域侵犯しながらゲームをつくっていく

伊田:たとえばサッカーだと、子どもがサッカーをすると全員でボールに集まって、フォワードもディフェンダーもなく全員がボールを奪い合いますよね(笑)

小関:ポジションなどなく(笑)

伊田:少し大人になってくると、君は守る人、君はパスをまわす人、君はシュートして点を決める人という役割分担ができます。それが一流のプロになると、たとえばディフェンダーが守って相手のボールを奪った瞬間に、その人が起点になって攻撃が始まります。フォワードがシュートを打って外れて相手にボールが渡った時、最初に守備をするのはフォワードです。攻撃の始まりがディフェンダーであり、守備の始まりがフォワードになる。ですから専門的な役割分担はした上で、ゲーム全体が勝てるように個々が領域侵犯をし合えるというのが本来在るべきかたちだと思うんですよね。

小関:一つ営業の方に言えるとしたら、「自分で境目をつくらない」ということが大事ですよね。

伊田:はい。ここまでが自分の仕事だと決めてしまうと、今の時代は特に、やれることが狭まると思います。本当はもっと、大きなことができると思います。

小関:営業のハイパフォーマーになるほど、カバー領域が広いように見えます。

伊田:そうですね。営業のハイパフォーマーこそマーケティングの理解がありますし、あと自分たちの後工程を担ってくれるサービスやサポート部隊の仕事にも見通しが効く人が多いのではないでしょうか。

Go To Market———— マーケティングは、もっと広い

小関:最近私が学んだ言葉で、「Go To Market」という言葉があります。結局、営業かマーケかという話ではなくて、「マーケットに出て行こう」「お客様を知ろう」というメッセージを汲み取ることができて、味わい深い意味合いを持った言葉だなと思っています。

伊田:「Go To Market」って、良い言葉ですね。マーケティングのイメージを広げてくれる気がします。そもそも「Marketing」という言葉も、「Market」と「ing」が合わさっていて、言葉が持つ本来の意味は「Go To Market」に近いですよね。マーケットに身を置くこと。

小関:市場をつくるという意味もありますね。

伊田:はい。でも今、実務として捉えられているマーケティングって、もっと狭い領域に感じませんか?

小関:感じます。私も最初はマーケティングを小さく捉えてしまい、展示会やメルマガ、WEBといったタクティクスに習熟することがマーケティングだと考えてしまっていた時期もありました。

伊田:あるいはもう少し広げてもAIDMAのAとIの途中までだけを指すという見方もありますよね(笑)。でも本当は多分、もっと広い。

営業としての強みに、新しい使い道を見つけていく

小関:私がもともとこの連載を考えた時は、今まで営業をされてきた方に、「もっとマーケティングの仕事に目を向けてみてほしい。営業が大事にしてきたことは、みんなマーケターにとっても大事なことだから」という想いから構想をスタートしました。

小関:もし、営業の方で「この先のキャリアをどうしようか」と考えている方がいて、マーケティングを勧めてあげるとしたら、伊田さんだったらどんな声をかけますか?

伊田:「僕、営業できないけどマーケならできるかな」という発想ではなくて、「僕、営業やっていてこれが強みだと考えています。これって他に使い道ないでしょうか?」という考え方ができる方なら、マーケターをお勧めしたいと思います。

伊田:たとえば、お客様に誰よりも効果的なe-mailを打つことができるとしたら、それを生かしてメルマガをつくればマーケティングに活かせますよね。誰よりも低いディカウント率で高い売上をあげていたとしたら、「君、ディスカウントの天才だよね?プライシングやってみたら?」という話になりますよ。営業で500社の担当を持って、その500社に対して上手くいった経験がありますという方だったら、それを全社的に広げて1万社に対してやればいい。

営業としての自分の中に、強みとできない部分があるとして、「その強みを全社的に使うとしたらこの使い道だよな」というものが見つかると、もしかしたらマーケティングになるかも知れません。

小関:なるほど。ありがとうございます。

伊田:そして、これからマーケティングをやりたいなと思う方はぜひ、HubSpotを使ってください(笑)

小関:Marketoもオススメです (笑) 。:今日は、ありがとうございました。こういう話あまりしないですよね、普段は。

伊田:そうですね。

小関:これ辛いよね~とか言って(笑)

伊田:(笑)。この前一緒に麻婆豆腐を食べた時の話ですね(笑)。こちらこそ、今日はありがとうございました。

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