モビリティ業界に、デジタルマーケティングを。SmartDrive大里紀雄さんの挑戦 #03 大規模カンファレンス 〜 マーケターとして大事なこと 〜 次のアクション

モビリティ業界に、デジタルマーケティングを。SmartDrive大里紀雄さんの挑戦 #03 大規模カンファレンス 〜 マーケターとして大事なこと 〜 次のアクション

ワンマーケティングが考える「BtoBマーケティング」とは?

「移動の進化を後押しする」。そんなビジョンを掲げ、世界中の誰もが使えるようなモビリティデータのプラットフォームを築こうとしているSmartDrive。

そこで活躍するマーケター、大里紀雄さんは、入社からわずか1年数ヶ月の間に、MAのリプレイスやデータの整備、WEBサイトの改修、オウンドメディアによるコンテンツ発信、PR、チームづくり、大規模なカンファレンスの成功など、いくつものアクションを同時併行で繰り広げてきました。

社内だけでなく、モビリティ業界全体を見つめて、デジタルマーケティングで新しい風を吹き込もうとしている大里さん。そのインタビューには、マーケターとして大切なことがたくさん詰まっていました。

大里 紀雄 氏
株式会社スマートドライブ
マーケティング/PR

大手Web制作会社にてチーフデータアナリストとして、DMPの構築および活用支援、広告運用の業務に従事。その後、マルケトにてシニアビジネスコンサルタントとしてマーケティングオートメーションツールの導入支援を行う。業種を問わず、大手企業から中小企業まで、コンサルティングを経験。現在はスマートドライブにてマーケティング責任者として「移動の進化を後押し」するため、日夜奮闘中。

#01 マーケティングとの出会い 〜 マルケトでのコンサルティング経験
#02 データ整備 〜 WEBサイト 〜 コンテンツ 〜組織づくり

コラボレーションできる世の中が来ないと、ビジネスが始まらない

——— 大里さんはMobility Transformationという大規模カンファレンスを手がけ、2019年にはオフラインで有料にも関わらず約1500名もの参加者を集め、2020年4月には、オンラインで総視聴者数7700名以上もの集客をされています。入社して間もない頃に、自ら社長に直談判して始められたそうですね。その動機について、教えていただけますか?

▼Mobility Transformation 2019 カンファレンス会場の様子

▼Mobility Transformation 2020 特設サイト

大里:モビリティ業界は、スーツをお召しになる方々がすごく多くてですね(笑)。デジタルマーケティングの人たちが集まるイベントとは雰囲気がまったく違って、勉強会に行くと重厚な空気が漂っている。マーケターたちのような横のつながりやコラボレーションもそれほど無くて、「おお、○○さん!」と社外の人同士で声をかけ合う場面も少ない。自分がこれまでいた業界とは、あまりに違うなと驚きました。
でも、MaaS(Mobility as a Service)やスマートシティのプロジェクトを進めようと思ったら、1社単独では完結できない。データを取得する企業、アプリをつくる企業、インフラをつくる企業や自治体など、いろいろな方々が力を合わせないと成立しないのですが、果たしてこのままの状態でコラボレーションは円滑に行われるのであろうか?と感じていました。
いろいろなところで実証実験のプロジェクトが進んでいるのですが、その事例がマーケティング業界のようにちゃんと伝わっていない。セミナーの記事を読もうと思っても有料だったりして、資料そのものが少なく行き渡っていない。

——— まったく違う業界に飛び込んだことで、課題が見えてきたのですね。

大里:弊社は、モビリティデータをより簡単に、より多くの方々に使ってもらいたいと思っていますので、業種や業界を超えてコラボレーションできる世の中が来ないと、私たちが世の中に対して提供できる価値が広がっていかないと考えています。
だからまず、様々な業界の方々が集まれる場としてカンファレンスをやりたい。みんなが知りたい情報や事例を発表して、その内容も後で全部読めるようにしてナレッジをシェアしたい。そんなことを実現させたいという想いがありました。

どこにも属していないからこそ、広がりをつくれる

大里:モビリティという大きな概念で捉えたときに、移動が進化したら、保険も進化していかなければならない。自動車も、インフラも、町も進化していかなくてはならない。想像以上に多くの業種がコラボしていく必要があります。

大里:私たちは、どの系列にも属していないからこそ、いろいろな自動車メーカーの方をお呼びすることができるので、不動産や金融、エンタメ、宇宙のスペシャリストも呼ぼう!というかたちで自由に発想を広げていくことができます。私たちだからこそできるカンファレンスを開きたいと考えました。
入社して1ヵ月ほど経った頃、食事の場で社長にその想いを直談判したところ、もともと社長もそういうことをしたいという想いを持っていて、それをやり切るのはすごくパワーがいることだけど、「こいつだったら途中で投げ出さないだろう」と思っていただけたみたいで。本当はその後、何度も投げ出しそうになりましたけど(笑)

——— (笑)。あれだけのカンファレンスを実現されるのは、相当ハードなことでしょうね。

大里:1000人以上を集客する規模のイベントは初めてのことで、手探りでドキドキしながら進んでいきました。途中で「もういやだ!」って何度も挫けそうになりましたけど、結果的にはだんだん良いものができていって、有料にも関わらず1500名の方に参加していていただけるカンファレンスになりました。

——— すごいことですね。

セッションごとに内容を調整し、コンテンツにこだわり抜く

——— カンファレンスの中で、特にこだわったのはどこでしょうか?

大里:コンテンツです。業種・業界を超えたコラボレーションって、やり過ぎると際限がなってどこまでも広がっていってしまう。反対に、絞り過ぎると本来やりたかったコンセプトとずれてしまうので、全セッション2人以上の方に登壇していただくかたちをとりました。もっと言うと、ほとんどのセッションは3人以上のパネルディスカッションを中心に構成しています。登壇者の調整とコンテンツ決めがすっごく大変でしたけど(笑)。
50名以上の方に登壇していただいていますからね。「モデレータは誰にお願いしようか」「どんな風に話を回してもらおうか」「このメンバーだったら、このテーマの方がいいかな」「いや、それだとこのセッションと被るから変更しなきゃ」ということを、登壇者のみなさんと無数にやり取りを重ねながら考えていきました。

——— 50名以上の方を探されて、内容までしっかり調整して、大変じゃないですか?

大里:大変でしたよ。登壇者ありきで進めてしまうとブレていってしまうので、あくまで「こういうテーマでいきたい」「このカンファレンスはこうあるべき」というところは自分たちで考えて、そこから一人ひとり丁寧に説明して登壇のお願いをしてまわりました。

——— ジャガー・ランドローバー・ジャパンの社長が登壇されたり、ウサイン・ボルト氏がサプライズ登壇されたり、すごいイベントですよね。

大里:いろんなミラクルが起きました。ボルト氏は当日まで来られるかどうか分からなかったのですが、来日中の忙しいスケジュールの合間を縫って会場に駆けつけてくれました。

ビジネスとエンジニアが、ひとつにつながった瞬間

——— カンファレンスの手応えについては、どのように感じていらっしゃいますか?

大里:実際にやってみて、そこから私たちの会社に対する見方も変わったし、案件の大きさも一気に変わって、様々な企業とのコラボレーションが生まれていきました。実際に案件も生まれて、ビジネスにもつながっていますが、そこは副次的な効果だと思っています。

——— マルケト時代も、スケールがまだできない10数名のタイミングでカンファレンスをされていましたよね。そこでの教訓も生きていますか?

大里:そこで学んだことを、そのまま踏襲しています(笑)

——— ドーンと存在感を植えつけるというか、マルケトのカンファレンスにはインパクトがありましたよね。

大里:まさに、あの体験をつくりたかったんです。1社では解決できないような大きな課題に対して、横のつながりをつくって、実証実験で終わるのではなく、しっかりビジネスとして成立させたい。そんな想いを伝えいくことが重要だと思います。

——— とても大きな意味を持つカンファレンスだったのですね。

大里:カンファレンスを通して、社内でも変化を感じられる場面がありました。今回のカンファレンスは私一人でできたわけではなくて、エンジニアも集客してくれたし、全セッションを文字起こししてレポートとして読める状態になっているのですが、その文字起こしをしてくれたのもエンジニアのメンバーたちです。当日の案内のオペレーションは総務の人が担ってくれましたし、会社一丸となって、全員でつくり上げたカンファレンスでした。
「変わったな」と思った瞬間は、エンジニアのみなさんがカンファレンスに来ていて、彼らのテンションがすごく上がっていたことです。「自分たちが日々書いているプログラムの一行一行が、こういう世界につながっているんだ」。会社の外と中、ビジネスサイドとエンジニアとが、シュッと1本につながる瞬間を目の当たりにしました。

大里:エンジニアも、営業も、一生懸命集客してきて、当日エンジニアのメンバーが「すごい!」と高揚している。さらに後日、カンファレンスがメディアにも掲載され、私が言うのもおこがましいのですが、会社として次のステージに踏み出したと感じることができました。

全社一丸となって、成功体験を生み出せた

——— カンファレンスを通して、会社のみんながひとつになっていったのですね。

大里:もともとの風通しの良い社風のおかげもあったと思います。ただ、ここまで種を蒔く期間が長くあって、自分たちのやってきたことが、ビジネスとして展開していく。あの小さなオフィスで20代にして創業した社長が、スーツを着て1500人の聴衆の前で話している。ようやく日の目を見た、という感覚が既存社員の中にあったのではないでしょうか。

——— 感慨深いですね。

大里:「自分たちはやっと、このステージまで来たんだな」そんな場面を、社内外のみなさんにも見てもらえたというのはすごく良かったと思います。
「全社一丸」となって取り組めたということがとても重要で、私一人だけでやっていたら、「マーケが何だかでかいお祭りをしてるぞ」で終わってしまっていたかもしれません。

——— 2020年Mobility Transformationは、オンラインカンファレンスとして開催されていますね。

大里:コロナの自粛期間がつづく中、マーケティング業界はノウハウもあるし、横のつながりがあってオンラインでのセミナーや交流が活発に行われているのに、モビリティ業界はセミナーがピターッと止まってしまった。その状況に歯がゆさを感じていたんです。
Schooさんかと話をしていくなかで、「こんな大変な時期だからやった方がいい」と言って主張を押し通しました。

——— 「今だからやった方がいい」と。

大里:外に出られない。業界の取り組みを知ることもできない。オンラインセミナーが盛んに行われていなかったので、あえてやった方が露出するという意味もありましたが、やはり「みんな移動ができずに、学びの機会が減ってきている今だからこそ、モビリティの最新情報を届けたい」という想いがありましたので、自粛期間の真っ最中にやるからこそ意味があるのではないかと考えたんです。最終的に、会社のほうも「そこまで言うなら…」と主張を受け入れてくださって、「ありがとうございます!」と準備に取りかかることができました。
結果として、7700名もの方にご視聴いただけたのですが、それはあくまで結果だと思っています。

人を動かすことを、大事にしたい

——— 大里さんは、ご自分のことをどういう強みを持ったマーケターだと思いますか?

大里:データに強い。コードが書ける。文章が書ける。英語が話せる。あと何だろう?あっ、酒に強い。

——— (笑)。

大里:それから、いちばん大切にしたいのは「チームを巻き込める」力です。チームを巻き込むにしてもベースになるのは、コードが書けるとか、そういうところだったりします。コードが書けないとエンジニアと深いレベルで話せなかったり、文章が書けないと広報とプレスリリースを詰めることができなかったり、データが見られなかったらデータサイエンティストとPDCAを回せなかったり。ベースとなるものがありつつ、人を巻き込んでいくというところが、自分の持ち味なのかもしれません。

——— この記事を読んでくださる若手のマーケターや、これからマーケティングに関わるみなさんに向けてアドバイスを贈るとしたら、マーケターとして何が大事ですか?

大里:私もまだまだですが、「人の動かし方」を学ぶのがいいと思います。マーケティング界隈って、わりと、テクニック論みたいなところが語られることが多いですよね。テクニック論の良いところは、明日から使えるんです。「開封率を上げる件名の書き方」みたいな記事を読めば、明日からなんとなく使えるんですけど、これは潰しが効かなくてトレンドや業界が変わってしまえば使えない。マーケティングっていう大きなものの一部でしかないんですね。
でも、みんな早く結果を出したいから、このテクニック論をつまむ。それだと限界が来るんです。結局、「一人じゃ無理だ。チームで動こう」となっていく。そして、チームに対しても、お客様に対しても、人をどこかで動かさなくてはいけない。だから、「人を動かす」ということから逃げてはいけないと思います。

大里:もちろん私はその道の専門家ではないので詳しくは語れないのですが、「誠意を持って話す」といったような人間として基本的なところだと考えています。
ただ、そこをないがしろにしたまま、テクニックだけつまみたいという人も残念ながら少なからずいて、まずはテクニックではなくて、「人」に目を向けてもらいたいと思います。

——— デジタルマーケティングという言葉が出てきたことで、特にテクニックに偏る考え方が増えているのかもしれませんね。みなさんショートカットしたいのかな。

大里:そういう気持ちも分からなくはないですけどね。

モビリティ業界に、デジタルマーケティングの力を広げたい

——— これからの目標がありましたら、教えていただけますか?

大里:あります!ここまで1年と少しの時間をかけてSmartDriveのマーケティングを加速させ、いろいろなことをアウトプットしてきました。次は、さらに広く業界全体に目を向けていきたいと考えています。

大里:モビリティ業界は、まだまだデジタルマーケティングが浸透していないと感じていて、WEBサイトもうまく活用できていないケースも散見されます。私たちの会社にはマルケト出身者がいたり、DXの中で生まれ育ったような若手メンバーたちがいるので、自動車産業が大きく変わろうとしている中、自分たちのノウハウをさらに広く活かして、スマートドライブという会社だけでなく、業界全体に行き渡るようにデジタルマーケティングを広げていけたらと思っています。モビリティ業界は日本の基幹産業ですから、DXがモビリティ業界全体に広がっていくことで社会に大きな力が生まれていくと考えています。
たとえば、マルケトのユーザー会とモビリティ業界の会合をぶつけてみる。Tシャツとスーツのみなさんがぶつかる。気づけばスーツの方とTシャツの方が、世代や業界を越えて前向きに未来のモビリティ社会について熱く話し合ってる。そんな謎の会をやってみたいと妄想しています(笑)

——— 面白い場になりそうですね(笑)。今日は、とても有意義なお話をありがとうございました。

大里:ありがとうございました。

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