アジャイル型インサイドセールス実践法 ~テレアポから脱却し、SaaS時代に適応したプロセスを構築する~ 【第4回】“量だけ”のKPIにサヨウナラ~小さな組織から生まれるクリエイティビティ

アジャイル型インサイドセールス実践法 ~テレアポから脱却し、SaaS時代に適応したプロセスを構築する~ 【第4回】“量だけ”のKPIにサヨウナラ~小さな組織から生まれるクリエイティビティ

ワンマーケティングが考える「BtoBマーケティング」とは?

こんにちは。グローバルインサイト代表の水嶋玲以仁です。第4回は縦割り型組織に見られる連携不足とその理由について、またその解決策としてのアジャイル型組織について紹介していきます。

【第1回】“誤解”が迷走を招く10大課題
【第2回】連続性と持続性なしに変革はあらず
【第3回】今こそインサイドセールスが求められる理由

【第5回】インサイドセールス人材に必要な素養とは
【第6回】パフォーマンス評価に直結するインサイドセールスのプロセス定義

縦割り型組織に見るKPI設定の落とし穴

前回の連載では、アジャイル型インサイドセールスの必要性を、消費者の購買行動やサービス開発の変化の観点から解説しました。しかし理由はそれだけではありません。旧来型の運営で起こりうる問題点を解消するうえでも、アジャイル型の導入は重要だと考えます。

旧来型の運営とは縦割りの構造で、学校のクラスのように部署が分かれている状態。隣のクラスが何をしていようと関係なく、自分のクラスだけですべて完結する状態です。

しかしながら、マーケティング・セールスの成否は連携にあります。縦割り組織によって、コミュニケーション不全に陥っていませんか? さらに「成約数が伸びないのは、マーケティングがいいリードを作らないからだ」などと、他部署のせいにはしていませんか? こうなってしまっては、もう連携どころの話ではありません。互いの信頼関係は崩れ、それぞれの部署が勝手な動きをしてしまいます。

なぜ旧来型の組織では、それぞれの部署の“独りよがり”が勝ってしまうのか。さまざまな理由が挙げられますが、ひとつにKPIの設定ミスが考えられます。

これまで多くの企業からインサイドセールスについて相談を受けてきましたが、“コール数”や“アポイント数”をKPIに設けているところがほとんどでした。この2つは組織の縦割り化を助長させる危険をはらんでいます。というのも両方とも“量”を見る指標であり、“質”の部分が完全に抜け落ちてしまっているからです。

量偏重のインサイドセールスに起こる負のスパイラル

量の指標は何度も電話をかけたり、無理に商談を設定したりと強引な行動を招きます。この状態でリードをフィールドセールスに渡しても、商談は徒労に終わりがちです。さらにリードの峻別を行えていないため、マーケティングに有益な情報を提供することができません。周りの部署のインサイセールスに対する信頼度は下がってしまいます。

何より、雑なアプローチを受けた顧客の心象を考えてみてください。マイナスイメージのある会社からは、どんなに優れた商材でも買う気にはならないでしょう。特にBtoB商材では顧客の絶対数には限りがあります。使い捨てのような扱いをしている場合ではないはずです。

そしてもうひとつ、量を重視する組織の多くは大きな誤解をしています。それはインサイドセールスが、営業経験の浅い人もできる仕事だと考えている点です。確かにインサイドセールスは単位時間当たりのリードとの接触回数も多く、効率的に営業の基本を学べる側面があります。電話越しのやり取りは、対面以上に気を遣うものです。業界知識だけでなく、豊かな想像力も求められます。インサイドセールスはテレアポとは違い、スクリプトどおりに質問を進めればいいわけはありません。果たして、社会人経験のほとんどない新入社員やインターンに務まる仕事なのでしょうか。

実際にインサイドセールスの現場では、若手が定着しないという悩みを耳にします。しかしその前に考えてみてほしい。土台がおろそかなまま現場に送り込んでも、成果は望めません。KPIのプレッシャーを抱え込んで五里霧中に陥る、そして顧客や周りの部署とも関係が悪化し、仕事の意義を見出せずに会社を辞めてしまうのです。

小さなサイクルでクリエイティビティが生まれる

ではアジャイル型インサイドセールスを取り入れれば、これまで述べてきた課題は一掃されるのか。結論を言えば、そう簡単な話ではありません。縦割りのマインドセットのままでは、アジャイルがうまく機能するはずはないからです。

けれども業務ではなく達成したい目的別に集められた小さな組織なら、設定するKPIも変わってくるはずです。成約率を20%アップさせることを命題とした時に、フィールドセールスだけが死にもの狂いになるわけではないということは、もうお分かりでしょう。その上流にあたるインサイドセールスやマーケティングが、どのようにしてリードの関心を温めるのかをデザインすることが大事になってきます。

そして小さな組織の場合、短いサイクルでKPIを見直すことができるのも強みです。例えば展示会に出展した時と自社セミナーを開催した時では、直後のリードは量も質も異なります。当然インサイドセールスのコール数も、セールスにパスできるリードの割合も変わってくるでしょう。そうした状況を鑑みながらKPIを設定するのです。確かに最初のうちは失敗もあるでしょう。けれども小さな組織での試みなら損害も小さく済み、貴重な学習経験にもなります。前例のない取り組みも挑戦しやすくなるのです。また一連のプロセスは誰かの命令に従うものとは違い、メンバーが考えながら行うことになるでしょう。業務にクリエイティビティが生まれ、働きがい向上にもつながります。


その他のメリットとして、孤立の抑止が考えられます。インサイドセールスの業務は場所を選ばないので在宅勤務を取り入れやすい反面、一人作業になりがちです。けれども小さな組織ではフィールドセールスやマーケティングと共にミッションを乗り越えていくことになるので、オンラインコミュニケーションの密度も高くなります。育児や介護など、ライフイベントに伴う働き方の変化にも対応しやすいといえるでしょう。

アジャイル型は腰を据えて取り組む組織変革

けれどもアジャイル型インサイドセールスにはデメリットもあります。

最大の欠点は、今の段階では「こうすればいい」という絶対的なフレームワークが存在しないことです。商材やメンバー、課題によっていろんなやり方があるでしょう。ひとつ言えることは、アジャイル型の運用は組織改革であるということ。定着には時間もかかりますし、すぐに目覚ましい成果が得られるわけでもありません。途中の失敗も含め、何が正しいのか分からなくなる時もあるでしょう。

つまりアジャイル型インサイドセールスの導入には、変革への強い意志と経営層の理解が必要になってきます。アジャイル型が定着し一定の成果を上げるまで、数年かかることも考えられます。それだけの時間をかけられる組織としての体力や、周囲の反発を乗り越える覚悟を要する取り組みだと認識しておくべきです。

また運営上の課題として、旧来型以上にメンバーの自立と信頼構築が重要なポイントとなります。前回アジャイル型の小さな組織を、ロックバンドに例えて説明しました。実際の音楽シーンでは、音楽性の違い、メンバーの確執、パワーバランスの崩れが、バンドの解散につながるケースも珍しくありません。

実は小さな組織も同じで、メンバーの距離が近く、それぞれの組織に与える影響力も大きくなるので、歯車が噛み合わなくなると混乱を招く場合があります。特に若手中心の組織では、個人を集中攻撃したり大きな亀裂が生じたりするおそれも。アジャイル型組織の運営は、人としての精神性を問われる側面も大きいといえます。

今回は組織マネジメントの観点から、アジャイル型インサイドセールスのメリットや注意点を解説してきました。アジャイル型の組織は、市場や商材の特性、顧客動向の変化の大きい分野で適応力を発揮します。社会のスピードがどんどん速まる今の時代は、アジャイル型が向かない業界のほうが珍しいのではないでしょうか。

ぜひ現実に目を向けて、アジャイル型の組織変革にチャレンジしてもらいたいものです。

グローバルインサイト合同会社 代表 水嶋 玲以仁
https://globalinsight-japan.com/

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