アジャイル型インサイドセールス実践法 ~テレアポから脱却し、SaaS時代に適応したプロセスを構築する~ 【第7回】KPIでは語れないインサイトの重要性

アジャイル型インサイドセールス実践法 ~テレアポから脱却し、SaaS時代に適応したプロセスを構築する~ 【第7回】KPIでは語れないインサイトの重要性

ワンマーケティングが考える「BtoBマーケティング」とは?

こんにちは。グローバルインサイト代表の水嶋玲以仁です。前回のテーマ「評価」と「プロセス」に関連し、第7回のテーマは「インサイト」を取り上げます。KPI偏重のマネジメントではすくい上げることのできない、リードの温度変化にまつわる重要な観点です。

【第1回】“誤解”が迷走を招く10大課題
【第2回】連続性と持続性なしに変革はあらず
【第3回】今こそインサイドセールスが求められる理由
【第4回】“量だけ”のKPIにサヨウナラ~小さな組織から生まれるクリエイティビティ
【第5回】インサイドセールス人材に必要な素養とは
【第6回】パフォーマンス評価に直結するインサイドセールスのプロセス定義

リード情報の量は購買行動と直結しない

前回の連載では、KPIとセールスプロセスの設計について取り上げました。売上、アポイント数、BANTなど、目標の設定や確認する項目、プロセスの粒度が荒いと質の担保が難しい、またこれからのビジネスモデルとの親和性に疑問が残るという内容です。

記事を読んだみなさんは、「電話でヒアリングする内容を段階化しよう」「“BANTの確認”はもっと細かく項目分けしよう」、と考えたかもしれません。でもちょっと待ってください。プロセスを細分化しさえすれば、顧客と良好な関係を築くことができるのでしょうか。

リードナーチャリングとは、商材の購入に向けて顧客の行動を促すことです。
例えば興味の段階から購入に向けて予算を獲得する、決裁が下りるように上長にプレゼンするというように。しかし詳細なリード情報を獲得できたからといって、それ自体がリードの購買意欲を高めることに作用しているわけではありません。電話やメールの回数についても同じで、頻繁にコンタクトを取ることと、リードの購買行動を促すことは必ずしも一致しないのです。

単純に情報を集めているだけでは、テレアポと何ら変わりはありません。つまりプロセスの細分化といっても、目的をはき違えてしまってはまったく意味がないのです。
ぜひここで一度、自社のインサイドセールスについて振り返ってみてください。あなたのチームでは、リードの温度感をどのように測っているでしょうか。リードをフィールドセールスに渡す基準を情報の“量”で設定している場合、それは本当にリードの行動が変わっていると判断するにふさわしい指標なのか、よくよく検討する必要があると思います。
扱う商材がそれほど高くない、期待できる効果も企業規模や業界、業種によって左右されないというのであれば、テレアポに毛が生えたくらいでも何とかなるかもしれません。けれども複雑かつ高価な商材になればなるほど、画一的なやり方は通用しなくなるはずです。

セールスからリードへ語り手を変える

となるとインサイドセールスは、リードとどのようにコミュニケーションするべきなのでしょう。ここではBtoBビジネスを基本に考えていきたいと思います。ぜひリードの気持ちになって、考えてみてください。

あるtoB向け商材があったとします。この商材は先進的である反面、非常に高価であり仕様も複雑です。それでもリードが商材の性質を理解し購入するとなった場合、そのリードは商材にそもそも何を期待しているのでしょう。

具体的な部分は商材や企業の持つ課題によってさまざまでしょう。けれども購入を投資と考えたとき、企業の期待は次の2つにだいたい集約されると思います。

① 売上を伸ばす
② 効率化による固定費の削減

言うなれば、利益を増やすための手段として企業は商材を購入するのです。ということは、商材の導入が利益をもたらすまでのストーリーをリードに想起させることが、重要になってきます。

例えば、オフィス向けの情報共有ツールの場合、機能性をいくら訴えても相手の想像力を刺激できないのであれば、それはセールスとはいえません。ツールを取り入れることによって社内のコミュニケーションの仕方がどのように変わり、一人ひとりの働き方や仕事ぶり、また組織にどのような影響を与え、利益にどのようなインパクトを与えるのか。セールスはこの流れをリード自身が描けるように、働きかける必要があります。

言い換えればリードにインサイトを与えることが、重要な役割なのです。

そしてインサイトを与える際に重要なのは、リードが“自ら”ストーリーを紡ぐのを導くという点です。セールスは物語の糸口を提示したとしても、作者になるべきではありません。

リードが購買行動を起こす時というのは、ストーリーを描くと同時に何かしらの感動が生じています。そして感動というのは、非常に内面的なものです。周りから感動を押しつけられると、心はかえって醒めてしまうもの。商材を取り入れることで自分自身や組織、そして取引先が成功する姿を想像し、理念の実現に近づくことを信じることができたとき、リードは自発的に動くようになります。
そしてこの瞬間に起こるのは、語り手の変換です。セールスがリードに商材を勧めていた段階から、リードがセールスに商材を求めるようになるのです。「事業(あるいは組織)が理想の状態に近づくには、この商材が必要だ。実現のために力を貸してほしい」と、リードのほうから働きかけるようになる。この状態をセールスはめざすべきではないでしょうか。

セールス人材にも必要なインサイト

今の話を踏まえ、もう一度冒頭の話について考えてみましょう。特にリードの温度感と取得する情報の関係についてです。
インサイトがもたらされた瞬間リードはどのような反応をするのか、みなさん想像できるでしょうか。おそらくは、「ああ」と深くうなずく、「そうだ!」と何かをひらめくなど、感情の変化を見ることになるでしょう。予算や決裁者、時期といった情報とはまったく毛色の違ったものです。つまりインサイトは、非常に定量化しにくいことが分かります。

ここにもしKPIの理論を持ち込んだとしたら、深いうなずきやひらめきの態度などは、評価の際にすべて削ぎ落とされてしまいます。ここからも、KPIが決して万能ではないことがお分かりいただけると思います。

しかしながら現実は、KPI信仰の強いインサイドセールスがいかに多いことか! 数値目標の設定は確かに大事ですが、それだけでは人間にしか理解できない大切なものを見落としがちです。もし成果のすべてをKPIで語れてしまえるのなら、インサイドセールスは近い将来、AIが肩代わりすることになるでしょう。

本来のインサイドセールスは、相当に高度でクリエイティブな仕事です。リードの感情に寄り添う豊かな感性と、顧客に対しストーリーを導く戦略的頭脳を必要とするわけですから。そのためプロセス設計や評価は画一的なものではなく、定量的な観点と定性的な観点の双方をバランスよく盛り込むことが大切になってきます。

それは育成の方向性でも同じことがいえます。仮に処理の精度や量でその人の能力を測るとしたら、インサイトは無視され続けることになるでしょう。そして数字で測るとどうしても比較がつきまといます。優秀な人は集団の中で優位性を保つために、周りを助けることに目がいかなくなるでしょう。特に共創がカギとなるアジャイル型組織では、同僚は敵だという考えは機能に支障をきたしがちです。

ではクリエイティビティを刺激するには、何が必要なのか。私は“哲学”だと考えます。自分の仕事の意義を、根本から考えることです。「仕事が楽しい」と感じるのに報酬も要素のひとつですが、それだけではないはずです。誰かの役に立つ、社会に貢献するなど、容易には測れない部分にも及ぶのは、古今東西共通の認識だと思います。日常でいえば上司や同僚、顧客から承認され、信頼のもと周りを喜ばせている状態といえるでしょう。“同僚は敵”というのとは真逆の考えです。
こうした部分は個々で対処すべきと考える日本の企業は多いですが、少々放任過ぎる気がします。価値観を押しつけるのではありません。考える機会を設けるのです。もし一人ひとりが仕事の意義を見出せた暁には、どうすればリードや周りの上司や同僚、つまりは組織に貢献できるのか、想像力をめぐらせ自発的に動くようになるでしょう。それは、セールスにインサイトが生じた状態とも言い換えることができます。
KPIでは測ることのできないインサイト。リードと組織を成功に導くうえで、欠かせないものなのです。

グローバルインサイト合同会社 代表 水嶋 玲以仁
https://globalinsight-japan.com/

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