セールスイネーブルメントの事例を第一人者である山下貴宏さんが解説

セールスイネーブルメントの事例を第一人者である山下貴宏さんが解説

ワンマーケティングが考える「BtoBマーケティング」とは?

セールスフォース・ドットコム、マイクロソフト、アマゾンなど名だたる海外企業が導入したことで日本でも注目を集めるようになった「セールスイネーブルメント」。営業組織のマネジメントでもっとも注目を集めるこのキーワードを第一人者である山下貴宏氏にお聞きする企画の最終回です。

これまでに「セールスイネーブルメントとは?」「セールスイネーブルメント導入の5フェーズ」をテーマに山下氏に解説していただきました。

今回は、数々の企業をコンサルティングしてきた山下氏に「セールスイネーブルメントの成功事例」を紹介していただきます。

(編注:以降は、山下貴宏さんにインタビューした内容をまとめたものになります)

第1回:セールスイネーブルメントとは?
第2回:セールスイネーブルメント導入の5ステップ

山下貴宏さん
株式会社R-Square & Company代表取締役社長/共同創業者。

法政大学卒業、米国Baylor University奨学金派遣留学。大学卒業後、日本ヒューレット・ パッカードに入社し、法人営業を担当。その後、 船井総合研究所を経て、外資系人事コンサルティングファームであるマーサージャパンで人事制度設計、組織人材開発のコンサルティングに従事。その後、セールスフォース・ドットコム入社。セールス・イネーブルメント本部長として、日本及び韓国の営業部門全体の人材開発施策、グローバルトレーニングプログラムなどの企画・実行を統括。イネーブルメント部門の規模を4倍に拡張し、グローバルトップの営業生産性を実現。2019年同社を退社し、セールス・イネーブルメントに特化したスタートアップ、R-Square & Companyを立ち上げる。

セールスイネーブルメントは企業規模に関係なく「やるべき」

セールスイネーブルメントについて解説をしてきましたが、「セールスイネーブルメントは企業規模に関係なく実現できるのか?」というご相談もよくいただきます。

最終回でセールスイネーブルメントの事例を紹介するにあたり、最初にお伝えしたいのは「できます」ということより「やるべき」であることです。

もちろん企業規模ごとにリソースも資金も異なります。ですので、ベンチャー企業などが取り組む規模は最低限でいいでしょう。それでも効果を実感することができると思います。

今回は、セールスイネーブルメントの事例と構築の指針を、ベンチャー企業、中堅企業、大企業(エンタープライズ)に分けて解説します。

Sansan株式会社の事例から学ぶベンチャーが取り組むイネーブルメント

ベンチャー企業がセールスイネーブルメントを取り入れて、成長を加速した好事例がSansan株式会社です。

同社がまず着手したのは、SFAデータの再定義と再整備です。これは第2回でもお伝えいたしましたが、セールスイネーブルメントを実現するためにもっとも重要なポイントとなります。

当時、同社はSFAを導入して間もないことから、まずデータ入力を定着させることから始めました。その後、営業プロセスを顧客視点に変更しました(第1回を参照)。

ベンチャーはオンボーディングに焦点を当てる

Sansanに限らず、ベンチャー企業はオンボーディングにテーマを絞るのがいいでしょう。ベンチャー企業のテーマは、いかに企業規模を大きくするか、です。そのためには採用を進める。そのためキャリア採用で入社した営業社員がどのくらいの期間で前線に立てるか、ここはもっとも重要なテーマとなります。

Sansanのキャリア採用は、入社1カ月間ほぼ缶詰で20のプログラムを受けます。インプット系の動画プログラムとテスト、ロールプレイングなど育成コンテンツは多岐にわたります。最後は営業部長に対して、ロールプレイングをおこない、合格しないと現場に出られなくなっています。

Sansanはオンボーディングに焦点を絞ったセールスイネーブルメントのベストプラクティスと言えるでしょう。

中堅企業が取り組むべきマネージャー育成

ベンチャーやスタートアップからから少し規模が大きくなった中堅企業の課題は、「マネージャーの育成」ではないでしょうか。

私の支援経験からも非常に多い課題です。組織が大きくなったことで背景が異なるマネージャーも増えますし、プログラムやトレーニングが整備した後に営業組織の底上げや平準化ができてくると、次の課題としてマネージャー育成のステップに入ります。

全社共通のコンピテンシーやサクセッションは人事部門の領域ですが、実務に近いところはイネーブルメントチームでおこないます。具体的にはマネージャー候補や新任マネージャーに対して、伴奏してコーチングをします。

半年間くらい同じレイヤーを集めて、1カ月ごとにテーマを決めながら成果と課題をプレゼンするなど手法は様々ですが、育成サイクルが回るような仕組みを構築します。

営業マネージャーは“売る”ことに関してはプロです。しかし、育成に関しては必ずしもプロではありません。ですので、イネーブルメントチームがマネージャーの右腕となって、次世代マネージャーの育成をします。

メンバー育成とマネージャー育成。このサイクルができると、これにより現場と管理職層に育成サイクルが出現し永続的なオペレーションがエクセレントした状態になるので、常に成果に向けて学び続ける文化が醸成されていきます。

NTTコミュニケーションズに学ぶ“科学する”営業組織

NTTコミュニケーションズ株式会社は、国内の大企業ではセールスイネーブルメンが成功している稀有な事例です。

大企業では、すでに確たる事業領域があります。既存事業には営業の知見やナレッジが蓄積されている場合が多いので、新規領域に課題が生まれます。つまり「営業スタイルのチェンジ」がイネーブルメントのテーマとなります。

NTTコミュニケーションズも同様で、複雑化した新しい商材を売ることを明確な目的として定めました。同社は企業規模も大きくサービスも複雑でしたが、SFAもMA、インサイドセールスやABM(アカウントベースドマーケティング)などフルパッケージでセールステックを活用していました。データ収集と整備には時間はかかりましたが、その分だけ必要なデータが高い精度で揃えることができました。

そのうえでイネーブルメントの担当部署を設立し、シェアリングサクセス(成功事例の共有)からスタート。誰もが参加しやすく学びやすい入り口をつくり、データドリブンかつメンバーが率先して参加したくなるラーニングカルチャーを構築しました。

セールスイネーブルメントのその先へ

セールスイネーブルメントによって、社内でラーニングカルチャーが構築されます。私は3年くらいの期間が必要だと考えますが、その結果として半永続的に仕組みとして営業成果にコミットできる人材育成が可能になります。

セールスイネーブルメントの「イネーブル=有効にする」という言葉は、現在海外ではさらに拡大しています。

例えば、「レベニューイネーブルメント」という概念があり、CRO(チーフ・レベニュー・オフィサー)と呼ばれるポジションが増えています。これは営業の後のカスタマーサクセスや受注後の更新率やアップセル、クロスセルなどカスタマーフェイシング部門も「イネーブルメント」の対象となっています。また「パートナーセールスイネーブルメント」や営業が効率よく動けるための報酬設計や人事評価精度など領域は広がっています。

日本では「セールスイネーブルメント」という言葉がどうしても一人歩きしていますが、重要なのは「イネーブルメント」です。今後は営業部門以外でもデータが取れる分野はすべて「イネーブルメント」の対象になるかもしれません。

まだイネーブルメントの動きは始まったばかりですが、少しでも皆さんのお役に立てると幸いです。

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