MA導入~運用までのタイムマネジメントのコツを解説

MAを導入する際、ツールの選定、ナーチャリング定義の検討など、様々な検討が必要です。実際に導入したら、メール配信やセミナー開催、コンテンツ制作など、日々の運用が始まります。

MAの運用では、複数の施策が並行して動くためスケジュール管理が非常に重要です。
今回は、導入から運用におけるタイムマネジメントのコツをご紹介します。

MA導入時のタイムマネジメント

MAの導入には4か月程度必要です。
最初の1か月で、自社の方針に見合ったツールの選定を行います。社内承認に時間を要する可能性を考慮しておきましょう。
ツールを選定したら、ナーチャリングの定義や購買プロセスの整理など、MA設定に必要な定義を検討します。マーケティング活動の肝となる部分なので2か月ほど確保し、関係者内でしっかり議論しましょう。
最後の1か月で、検討した定義をMAに設定し、設定テストを行います。テストが問題なければ導入の初期設定が完了します。

MA導入における検討事項

最適なMAツールを選定

MAには海外ベンダーのツールから国産のツールまで数多くの種類が存在します。
BtoB向けかBtoC向けか、メール配信以外のリード管理が容易か、など他システムとの連携が可能か、MAの特徴は様々です。そのため、自社の課題解決に合ったMAを選ぶことが必要です。
費用だけで決めるのではなく、計画しているマーケティング活動が実現できるMAを選びましょう。

リードライフサイクルを定義

リードライフサイクルとは、リードの獲得から受注までのプロセスを定義したものです。
このプロセスは、『マーケティング施策を通してリードをナーチャリングし、確度が高いリードをインサイドセールスが選定し、営業につなぐ』といったマーケ・IS・営業の三部門のつながりがあります。
関連部門全体で共有定義を持つことで、部門間の引き渡しがスムーズになり、効率的な営業活動にもつながります。

以下のような項目について、共通定義を持っているとよいでしょう。
1. インサイドセールスに引き渡すホットリードの条件は?
2. 営業に引き渡すリードの条件は?
3. マーケティング対象外は?

ナーチャリング対象のリードの中身も、無関心・興味関心・比較検討など顧客の関心に基づいてセグメント化するのも良いでしょう。
それぞれのセグメントに合わせたコンテンツ配信やセミナー開催などによって、顧客フェーズ毎のニーズを満たす施策の実施が可能となります。

マーケティング施策の整理(チャネル)

現状行っている施策、これから実施予定の施策を洗い出し、それぞれのステータスを定義しましょう。
ステータスとは、 各施策の状況のことです。
例えば、セミナーの場合は「申込」「参加」「不参加」「アンケート回答」、
メール配信の場合は「開封」「クリック」等がステータスにあたります。

設定したステータスの中で、「成功」の定義を設定します。
メール配信の場合、クリックをしてもらうことが施策のゴールとなるのであれば、クリックを成功と定義します。これによって、施策の効果を可視化できます。
施策を整理することで、各施策ごとの効果を可視化し、分析が容易になります。
また、不足している施策や実施すべき施策を検討することにも役立ちます。

スコアリングの検討

スコアリングとは、リードの属性や行動を点数で表すMAの機能の1つです。
スコアリングを設定することでリードの状況を可視化し、優先的にアプローチすべきリードを区別します。スコアが高いリードの創出、アプローチを中断すべきリードの選別など、マーケティング活動を自動化することができます。

スコアリングは、自社の商品やサービスの対象となるリードの属性に対してスコアリングする「属性スコア」と、W 閲覧や資料ダウンロードなどリードの行動に対してスコアリングする「行動スコア」を掛け合わせて設定すると良いです。
購買につながる可能性が高い属性や行動を高得点にする、直近で行動がないリードは減点するなど、リードのを洗い出しスコアを検討します。

▼スコアリングについて詳しく解説した記事はこちら
https://www.onemarketing.jp/knowledge/word/scoring

顧客の購買プロセスとペルソナの整理

購買プロセスとは、顧客が商品・サービスに興味を持ち、他社と比較検討し、購入するまでのプロセスのことです。
当プロセスは リ ードライフサイクルとも関連し、どのプロセスで営業アプローチが必要なのかも見極める材料となります。また、購買プロセスの作成と 合わせて、ペルソナを整理すると良いでしょう。

ペルソナは、どのような担当者が、どのような目的で導入を検討し、購買する際にどの情報を重視するのかなど、自社の顧客になりうる、リード像を具体的に表したものです。
ペルソナを複数設定することで、今後制作が必要なコンテンツや重視するターゲットの絞り込みに役立ちます。

▼購買プロセス(バイヤージャーニー)やペルソナについて詳しく解説した記事はこちら
https://www.onemarketing.jp/knowledge/word/buyer-journey

MAに定義を設定

前述で検討したリードライフサイクルやスコアリングなどの条件をMAへ落とし込みます。
設定したら関係者内でテストを行い、想像している動きとなるか複数名で検証します。MAによっては設定が難しいものもあるため、それぞれの機能を確認して設定を進めましょう。

導入までのおおまかなスケジュール

MAを導入するまでに、MAツールの選定、リードライフサイクルの定義、マーケティング施策の整理、スコアリングの検討、購買プロセスとペルソナの整理、MA設定・テストといった、が必要となります。
社内協議に時間がかかることを想定しておいてください。
導入までの期間はリードライフサイクル、スコアリングなどはマーケティング活動の全体に 関わる設定のため、しっかりと関係者で議論しましょう。
マーケティング部門だけで決めるのではなく、インサイドセールスや営業など関連部門とも協議をし、共通認識をもつことが今後のマーケティング活動を円滑に行うポイントとなります。
ただし、期限を設けておかないとずるすると後ろ倒しになってしまうため、運用開始予定日から逆算して事前にスケジュールを立てておくことをおすすめします。
定義がなかなか決まらなかったり、設定不可で再検討が必要だったり、思わぬアクシデントに備え余裕を持ったスケジュールを心がけましょう。

<おおまかな導入スケジュール例>

MA運用時のタイムマネジメント

導入準備が整ったら、実際にMAを運用していきましょう。
各施策に合わせたタイムマネジメントのポイントをご紹介します。

MAからメール配信

メール配信 する際、HTMLメール、テキストメールの2種類の形式があります。
HTMLメールの場合はコーディングが必要となるため、配信まで8営業日程度、テキストメールの場合は5営業日程度、 確保しておくと良いです。
このスケジュールは、運用支援会社に制作を依頼することを想定しています。自社内で制作する場合は、もう少しスケジュールが短縮できます。

▼メルマガ配信について詳しく解説した記事はこちら
https://www.onemarketing.jp/lab/lead-nurturing/mailmag-html-text_157

メール配信の目的と配信ターゲットを整理

メール配信を行う際は、メールの種類を検討します。月1で配信するニュースリリース、セミナー開催前に配信する集客メール、製品カテゴリごとの商品紹介、など直近のメール配信計画をたてましょう。
やみくもに配信すると、1週間に何通も配信してしまいオプトアウトが増加してしまったり、配信間隔が定まっていないことで自転車操業になる可能性があります。
メール を整理したら、次は全リードに配信するものなのか、セグメントしてターゲットを絞るのか、など配信ターゲットを明確にします。セグメント配信の場合は、どのような条件でターゲットを絞るのかを検討する必要があります。

原稿の用意とメールアセットの設定

メール原稿を用意する際には、メールの配信目的を意識すると良いでしょう。
特に、メール配信で最も重要なのが「件名」で、リードが開封するかどうかを決める判断材料となります。メールの内容を簡潔にまとめ、「読みたい!」と思わせるような興味をひく工夫が必要です。
HTMLメールで配信する場合、キービジュアルなどの画像やリンク先へのボタンの配置などレイアウトを検討しましょう。リンクのクリックを促すためにボタンを上部に配置する、本文を見てもらうために画像は小さくするなど、メールの目的に合わせて調整すると良いでしょう。
原稿が確定したら、MAに設定していきます。HTMLメールの場合は、コーディングが必要となるため、余裕をもって5営業日ほど確保しておきます(担当者のスケジュールに合わせて調整が必要です)。
テキストメールの場合は、マーケティング担当者が自身で設定するため3営業日程度あれば問題ないでしょう。

テストメールと配信設定

メール設定が完了したら、関係者宛にテストメールを配信し、本文やリンク先を確認して適宜修正を行います。大幅な修正が発生する可能性を考慮し、配信の2営業日前を目安に行うと良いでしょう。
関係者内で承認がとれたら、メールの配信日時を設定して配信予約を行います。配信日 の当日だと「早く設定しないと」と焦りが出てしまいミスにつながる可能性があるため、配信の前日に完了しておくことが望ましいです。

CTA となるホワイトペーパー(WP)の制作

CTAとは、Call to Actionの略で、Webサイトに訪れた方を具体的な行動に誘導することを指します。例えば、資料ダウンロードのフォーム登録を目的としている場合、ダウンロードページへ誘導するボタンを設置します。
資料ダウンロードで使用する「資料」のことをWP (ホワイトペーパー)と呼びます。WPとは、顧客が抱える課題解決に関する情報やノウハウをまとめた文章を指しており、W ebサイトに掲載してリード獲得を促す手法で活用されます。
制作期間は、内容や分量にもよりますが、原稿制作、デザイン制作、Webサイトへの掲載準備などの工程を考慮して2~3か月 を確保しておくと良いでしょう。

▼ホワイトペーパーについて詳しく解説した記事はこちら
https://www.onemarketing.jp/knowledge/word/whitepaper

▼CVについて詳しく解説した記事はこちら
https://www.onemarketing.jp/knowledge/word/cv

コンテンツを整理し、不足しているコンテンツの洗い出し

まずは既存のコンテンツを整理します。導入時に検討した購買プロセスとペルソナを各コンテンツに当てはめていくことで、不足しているコンテンツが見える化できます。
サイトに既にWPを設置している場合は、そのWPの内容に偏りがないか、内容が購買プロセスに沿っているかを判断し、不足している部分を補います。
WPを設置していない場合、まずは最も獲得したい層に向けたコンテンツを 制作するなど、優先順位を検討すると良いでしょう。また、WPが潜在層向けの内容であった場合、製品やサービスに興味がない方がダウンロードされる 場合もあるため、潜在層の獲得にも有効です。

制作目的とターゲットを整理

この部分が制作の枠組みとなるため、関係者内で整理が必要です。ターゲットを明確にしておかないと、サイトでの導線や、リードへのアプローチ方法が変わってきます。
新規リード獲得だけではなく、既存リードに向けたナーチャリングに活用したり、営業ツールとして使用したり、様々な活用方法があります。自社が必要としているものは何か、しっかり整理してから計画を立てましょう。

原稿執筆とデザイン制作

目的とターゲットが明確となったらいよいよ制作に取り掛かります。

まずは、WPの構成を検討していきます。章立てを行い、それぞれにどのようなことを記載するのかをざっくりと整理し、全体の構成をてていきます。

構成が固まったら、原稿の制作を行います。1人だと見落としてしまう可能性があるので、複数名でレビューし、 内容を詰めていくと良いでしょう。

原稿が校了したら、デザインの制作を行います。内容によって、シンプルなのか、挿絵を使ってポップにするかなど、レイアウトを検討します。ある程度レイアウトが決まったら、全ページの制作を行います。

構成が固まったら、原稿の制作を行います。1人だと見落としてしまう可能性があるので、複数名でレビューし、 内容を詰めていくと良いでしょう。

MAでフォーム を用意し、サイト掲載

資料が完成したら、ダウンロードポイントとなる入力フォームをMAで作成します。
PDFを直接ダウンロードさせる方法でも良いのですが、フォームを用意することで新規リードを獲得することができます。フォーム入力の画面で離脱されないように、必要最小限の項目を設定することをお勧めします。
入力後のサンキューページ、自動返信メール、マーケティング担当者へ通知メールなどを設定し、挙動テストが問題ないことが確認できたらWebサイトへ掲載し、ホワイトペーパーダウンロードの設定が完了です。
サイト掲載日から逆算して制作スケジュールを計画することが重要ですが、「必ずこの日までに必要」というデッドラインがある場合は、スケジュール優先で内容の質が下がってしまうと勿体ないので、通常より早めに制作に取り掛かりましょう。

セミナー/ウェビナーの開催

セミナー/ウェビナーは、MAの設定や登壇者とのやり取りを同時並行で行うため、スケジュール管理が非常に難しい施策の一つです。
開催規模にもよりますが、企画から実施まで最低でも2か月程度確保しておくと良いでしょう。開催日を決めて、その日から逆算してスケジュールを立てましょう。

セミナーテーマの企画、選定

まずはセミナーを企画します。潜在層向けの基礎的なもの、サービスの内容をメインとしたもの、既にサービスを使用している方向けのもの、などセミナーの目的に合わせてターゲットを選定します。 顧客の購買プロセスに合わせて内容を検討しても良いでしょう。
ターゲットが決まったら、セミナーのテーマを検討します。過去開催した中で反応が良かったものを参考に決めていくと良いでしょう。実際のお客様の声を参考にするのも1つの方法です。
セミナーテーマに沿って、登壇者を選定します。質疑応答の対応も必要となるため、そのテーマの中身を理解している人が望ましいです。もしくは、登壇者を先に決めておき、その人の得意分野とターゲットに合わせてテーマを計画するというケースもあるでしょう。

Webサイト掲載の準備

セミナーの内容が決まったら、集客の準備を進めます。原稿準備やMA設定を行うため、2週間程度確保しておくと良い でしょう。
Webサイトに募集ページを掲載する場合、サイトに掲載するセミナータイトル、概要、タイムテーブルなど必要な情報を整理し、原稿を準備します。
併せて、参加申し込みを行うためのフォームをMAで準備します。入力後のサンキューページ、自動返信メール、マーケティング担当者やインサイドセールスへの通知メールなどを設定し、挙動テストを行います。
MAとWebセミナーのツールが連携されている場合は、問題なく連携されるかの確認も必要です。

集客開始、投影資料の準備

Webサイト に掲載したら集客が始まります。MAから集客メールを配信する場合、複数回集客メールを配信する、申込者向けにリマインドメールを配信するなど、メール配信スケジュールを計画しておきましょう。
競合企業はお断りしたい、関係者にはアラートメールは飛ばしたくない、など要望は事前にまとめておき、MAに設定しておく必要があります。

(例)
セミナーの2週間前:全リードに対してセミナー案内メール
セミナーの1週間前:未申込者に対してセミナー案内メール
セミナー前日:未申込者に対してセミナー案内メール

セミナーで会場の収容人数により募集人数に制限がある場合、フォームを閉じて申し込みを締め切るという対応が必要です。また、セミナーのスライドの作成や、当日の準備を集客と並行して行います。
ウェビナーの場合は、ツールの動作検証や、QAボックスや参加者のマイクオフなどの環境設定を行い、セミナーの場合は、当日配布する資料の準備や会場設営の段取りを立てておきます。

開催前リマインド、リハーサル

申込者に対して、申込からセミナーまで日程が空いてしまうため、開催前のリマインドメールを配信すると良いでしょう。集客開始を1か月前など早めに実施している場合は、1週間前と前日など複数回配信するのも効果的です。
開催前に事前リハーサルを行いましょう。決められた時間内で収まるのか、スライドの内容に誤りはないか、など関係者間で確認します。
特にウェビナーの場合は、ネット環境などのトラブルも想定されるため、事前にどのように対応するか決めておくと安心です。

セミナー/ウェビナー開催、事後フォロー

セミナーやウェビナーの終了後に、サンキューメールの配信など事後フォローが重要です。
対象の商品やサービスに興味を持ってくれた方には営業からアプローチをかけるなど、参加者の関心に合わせてアプローチ方法を分けることも最適です。特にウェビナーの場合は参加者の反応が分かりづらいため、アンケートを取って感想を確認すると良いでしょう。

まとめ

スケジュール管理を行うためには、導入時や運用時にどんなタスクがあるか、それにはどれくらいの時間がかかるのか、を理解する必要があります。
リリース日や施策の実施日を常に意識し、進捗状況を管理しましょう。
初めてだと感覚をつかむのが難しく、一度実施しないと分からないことも多いと思います。
その場合は、様々なケースを把握している当社のような支援会社に是非ご相談ください。
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