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『THE MODEL』出版記念 Marketo 福田 康隆 氏 インタビュー 〜THE MODEL の今とこれから〜【後編】

2019/03/25

Author:BtoBマーケティングラボ編集部

『THE MODEL』出版記念 Marketo 福田 康隆 氏 インタビュー 〜THE MODEL の今とこれから〜【後編】

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2019年1月、マーケティングやセールスの新たな実践の書となる『THE MODEL』を出版された、Marketoの福田康隆さん。お忙しい時間の合間を縫って、インタビューの機会をいただきました。
後編は、福田さんが考える人材やマネジメント、リーダーシップの考え方について、さまざまな話を聞かせていただきました。

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福田 康隆 氏(写真右)
アドビ システムズ 株式会社 専務執行役員 マルケト事業統括

垣内 良太(写真左)
ワンマーケティング株式会社 代表取締役社長

『THE MODEL』の構成に影響を与えた、ビジネススクールでの経験

垣内: 『THE MODEL』では、プロセスから戦略、そして、人材・組織・リーダーシップへとつながり、読み進めるほどに「人」の話にウエイトが移っていきます。個人的にも、Marketoさんがどのように人材や組織を育んでこられたのか、とても興味があります。

福田:この本の構成については、昔アメリカのビジネススクールで学んだ経験に影響を受けています。プログラムの前半はケーススタディで、毎日徹底的にいろんなフレームワークを当てはめて、このビジネスはどうかって分析する方法を教えられるんですよ。

それをずっと繰り返し、繰り返しやるという。そうすると「あっ、このパターンだとこのフレームワークをはめて、こう分析したら、このビジネスを解説できますね」という風になって、みんな分かった気になるんですよね。

ところが、フレームワークを覚えたところから突然、マネジメントの倫理観であったり、リーダーシップであったり、「人がなぜそう動くか」というところに集中していくんです。

垣内:フレームに当てはめて答えを出せないような問題ですね。

福田:そうです。たとえば、私が印象に残っているのは、「ある製薬会社の危機管理の対応に関するケーススタディです。自社の販売する薬に毒物が混入し死亡した」という事件です。

原因ははっきり究明できておらず、外部の悪意をもったものによる犯罪かもしれない。そのような状況の中でもう少し公表を控えて調査をした方がいいのか、まだ調査の途中だけど早く発表した方がいいのか、取締役会で意見がわかれた。「その時あなたはどうする」という問題を突きつけられて、そこではプロセスも何もないわけです(笑)。

垣内:とても難しい問題です。

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福田:結局、現実はそういうことがたくさん起こるという事実をどんどん提示されて、「やっぱり経営って簡単じゃない」と思い知らされるっていう(笑)。そこで人間として一皮剥けるというか、やはり「人」に重きを置かなきゃいけないってことが分かってくるのですけれど、後半を先にやってしまうと、それも違うかなと。前半に徹底したフレームの理解があって、そこから人を学び、初めて全体が回ってくるという。そういった経験から本の中でも前半にプロセスを語り、後半に戦略や人材へと話を寄せています。

成功している経営者たちは、「現場」を大切にしている

垣内:福田さんがマネジメントを手がけるうえで大切にされているのは、どんなことですか?

福田:やはり現場で話をしたりとか、表情を見たりとかしないと、その人がどう感じているか分からないですよね。どう感じているのか分かれば、どう動くかも分かってくる。ですから、「現場の近くにいること」が本当に大事だと感じています。

ふり返ると私は、ジャック・ウェルチやスティーブ・ジョブズ、ウォルマートのサム・ウォルトンとか、そういった経営者たちがすごく好きで、よく彼らの本を読んだのですけれど、例外なくみんな現場を大切にしています。

突然工場に行って、現場の人に矢継ぎ早に質問をしたり、店舗に行って従業員から話を聞いたり、やはり成功している経営者ってそういう人が多いのかなと思います。もちろんハイレベルな意思決定もしなくてはならないけれども、現場から得られる発見が一番多い。それを自分も実践しているということですね。

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垣内:福田さんも社内を歩いて、突然社員の方に話しかけられたり?

福田:そうですね。そういう意味では、Marketoはまだ100名程度の人数なので恵まれています。

過去に、役員が横並びで座るフロアで仕事をしたことがありますが、自分の横に他の担当役員がいて、部屋を出たら秘書の人がいて、それ以外の社員の様子はまったく見えない状態でした。例えるとプールの中に入ってゴーグルをつけない状態と言いますか、視界がぼやけて、状況がわからない感じです。

そんな状態でいくらレポートで数字を見ても、ビジネスって分からないですよ。やっぱり現場を見て、どんな会話しているかとか、どんな動きをしているかということが見えて、それと数字やレポートがセットでなければ、ビジネスは分からないと思います。大きな会社であっても、現場を歩きまわることは必要なのかなと思います。

部門や階層を超えて、円と円の結節点を、いかに増やせるか

垣内:どんどんビジネスがスケールしていくと、人も増えて、トップが全員に対して目を行き届かせるということは難しくなります。そうするとやはりマネージャーの育成が大切になると思うのですけれど。

福田:そうですね。

垣内:マネージャーにも同じような感覚を持ってもらえるように、やはり育成をしていくということでしょうか。

福田:おっしゃる通りですね。あと、やはり組織は大きくなるにつれて階層型、縦割り型になっていくと思うのですけれど、会社ってインフォーマルというか、違うグループもありますよね。部門ではなく横のつながりで動くこともありますし、たとえば、同期入社というグループもその一つです。そういう円が重なるポイントを強化するということがすごく大事かなと思っています。

階層だけでやっていると、そこしか見えなくなる。そうすると分業の弊害ばかりが出てきます。マネージャーの人たちは、いかに円をつなげる人たちになるか。いかに円と円の結節点を増やせるかということが組織を大きくしていく時のポイントだと考えています。

なぜ、マネージャーになりたいのか。そこを突き詰めること

垣内:なるほど。ちょうど私たちもマネージャーの育成について考えているところで、とても参考になります。マネージャー候補の方を選ぶ視点って、どのような基準で選んでいらっしゃるんですか?

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福田:本の中にも書いたのですけれど、仕事の能力が高いというだけでは駄目だと思っています。稀に仕事がものすごく速いけど、他の人にやらせるより自分が速いみたいな動きをする人がいるので、そういう人はまずマネージャー向きではありません。

プレイヤーでいる時は、自分が成長することや、自分がスタープレイヤーになることが一番ですし、それでいいと思うのですけど、そうじゃなくなった途端、やっぱり「部下の成功が自分の成功」ということになります。つまり、自分にはスポットライトが当たらない。それを耐えられるかどうか。意外とそういう切り替えができない人って多いと思うんですよね。やっぱり自分を認めてもらいたいっていう承認欲求があって、それ自体は誰でもあると思うのですが、そこが強過ぎるような人は私たちの組織においてはマネージャーには向かないと感じています。

垣内:プレイヤーからマネージャーへと意識を切り替えられるかが重要なのですね。

福田:マネージャーを目指す人に私がよく質問するのは、「なぜマネージャーになりたいのか」ということです。そこを突き詰めていくと、やっぱり年齢的にも役職もそろそろ付かないと恥ずかしいとか、この年になったらマネージャーになりたいという、そういう感覚の人がいるのも事実です。

役職が付くことが自分のキャリアが成功していることの証だと思う人が多いんですよね。しかし役職はあくまでも役割にすぎません。マネージャーと専門職に優劣はないと思います。実際にアメリカでは、営業やコンサルティングのスペシャリストは、もう50才になっても60才になっても個人プレイヤーで、圧倒的な存在感を放っています。私の周りではマネージャーになりたくないという人も多かったです。

垣内:マネージャーの方が偉いというような感覚がイメージとしてありますね。

福田:給与体系も、マネージャーだから給与が高いわけではなくて、個人で活躍してる人は相応に高くてもいいと思いますし。「本当にマネージャーになるってこういうことなんだよ」ということを理解してもらえるかどうか。その上でキャリアを選ぶということが大事だと思います。

垣内:言ってみれば、マネージャーという役割も、ひとつの職業みたいなものかもしれませんね。

福田:はい、おっしゃる通りですね。

「これをやる」という軸を、自分で決めること

垣内:福田さんご自身が、プレイヤーからマネージャーへと意識が切り替わったのは、どのようなタイミングでしたか?

福田:私はそもそも若い頃にマネージャーになりたいと思っていなくて、ここまで自然な流れでやってきたというのが本音です。(笑)。ただ、振り返って良かったと思うのは、営業をしたことがないのにいきなり営業のマネージャーになったので、「今いるメンバーのやり方を見て勉強しよう」というところからスタートできたんです。これはすごく良かったと思います。

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福田:ふつう成功体験があると「俺のやり方を」って押し付けるじゃないですか。もう分からないから、「この人たちのやっていることを学ぶしかない」という気持ちで、それがまずすごく良かった。自分にとってラッキーだったかなと思います。

ただやっぱりマネジメントをしたこともなければ、営業もしたことないので、自信がないですよね。だから、業績が良い時はまだいいんですけど、ちょっと落ち込んだ時に「どうしよう」って簡単に迷ってしまう。退職したいっていう人が出てきたりとか、「福田さんのマネジメントに不満がある」って言われた時に、不安になったこともあります。

その頃、人事の担当者に、自分が聞くと本音を言ってくれないだろうから、ぜひ自分の代わりに聞いてほしいという話をしたら、その人から「福田さん、そういう時に話を聞いても建設的な意見は出てこないし、それに対応してたらキリがない。福田さんが軸を決めて、これをやるっていう方針をきっちり出すっていうことの方が大事だと思うよ」ということを言われて、「ああ、確かにそうだな」と思いました。

垣内:決めることが大事。そうですよね。

福田:上が不安そうにフラフラしてることほど、怖いことないですよね。その人がちゃんと自信持って言ってるか、不安そうにしてるか。そういうことをメンバーたちは見ていると思いますので。

いろいろな立場を経験して、全体を大事にするバランス感覚を

福田:マネージャーを務める人には、自分の部署だけでなく「全体が大事だ」というバランス感覚も身につけてもらいたいですね。そのためにキャリアパスとして、それぞれのロールを経験することができれば理想的だと思います。

これも自分がラッキーだったと思うのは、最初SE、プリセールスの側からスタートして、それから営業に行ったことです。プリセールスの時は「営業はいい加減な人たちだな。結局提案書も全部自分たちが作ってるじゃないか」みたいな思いもありましたが、いざ営業の仕事をすると「あっ、営業ってこんなに大変な仕事を裏でやっているのか」ということに気づきました。

だから営業をしている時に「プリセールスの人たちは、きっとこういう風に思っているだろうな」という気持ちが分かるので、コミュニケーションが取りやすくなる。同じことが営業とマーケティングの間でも多分あって、両方をちょっとでも経験して相手側の立場になってみると本当にいろんなことが分かるので、そういう人が上に立つと理想だと思います。

垣内:『THE MODEL』に書かれている内容も、どの立場の人にも偏ってないんですよね。だから営業の方が読んでもいいし、マーケの方が読んでもいい。もちろん経営者の方にも読んでもらいたい本ですよね。

自分の考えを発信し続けることで、企業の文化が育っていく

垣内:本の中では、福田さんご自身が影響を受けたリーダーについても書かれていますね。

福田:最初に勤務した日本オラクルの社長だった佐野さんからは、本当に多くのことを学ばせてもらいましたが、その一つが「文化をつくる」ということですね。自分の考えを常に発信し続けるということで、そこからしか企業文化とか価値観って醸成していかないと思うんですよね。佐野さんは会社が大きくなってからも、全体会議で全社員を集めて、自分の考えを毎回伝え、終わった後も懇親会をやってみんなでコミュニケーションを取ろうとしていました。社内報も毎月手書きで、1ページを埋め尽くすような長文を綴り、自分の考え方を伝えていました。

ですから今、自分も、社内報を書いたり、毎週全員を集めてその週に感じたこと、考えたことを話すということを続けています。

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垣内:社員のみなさんにとっても良いことですよね。そうやってトップの話を聞けるのは。

福田:そうですね。話せることは可能な限りオープンに話をするように心がけています。

垣内:現場をずっと見てらっしゃるから、毎週いろいろ話すことも出てくるのではないでしょうか。

福田:もちろん目を配れてないところもありますけど、ちょっとした会話で聞こえてくることとか、そこでの発見はみんなで共有したいなと思うことがたくさんあります。

コンセプトを共有できるパートナーと、お客様の成功をめざしていく

垣内:Marketoさんとは2014年からのお付き合いになり、私たちのビジネスもMarketoありきで成り立っています。当時は、福田さん自らデモをしていただきましたね(笑)。

福田:我々がスタートした直後にお声かけをいただいて、当時は数人しか社員がいませんでした(笑)。

垣内:当時のことは鮮明に覚えています。私たちとしては、Marketoを通じて現在のビジネスのベースになる柱のようなものを教えてもらいました。「あっ、こういう思想がビジネスにつながっていくんだな」と、ツールの背景にある思想を共有できることがまず大切だと思いますし、我々もお客様に対してこうした考えを伝えていければと思います。

福田:「Marketoってこういうコンセプトでつくられたんだな」ということを理解していただいて、「こういう会社であれば合う」「こういう風に使った方がいい」といった指南ができるパートナーさんとは良いビジネスができると思いますし、それだけそのお客様がプロジェクトで成功する確率も高まってくると思うので、そこを本当に広めていきたいなと思いますね。

これから益々ラインナップも増えてきますし、ワンマーケティングさんと一緒により良いかたちで成功事例を増やしていきたいなと思います。ぜひ、よろしくお願いします。

垣内:今後ともよろしくお願いします。本日は、ありがとうございました。

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