ユーザー行動の仮説をアクセス解析運用へ落とし込む方法 ~ダイアグラムシートですべて解決!~
2013/10/16|BtoBマーケティングラボ|中村 修一/アネモネ
・ワンマーケティングが考える「BtoBマーケティング」とは?
今回の記事は、全3回に渡り、アネモネ代表、中村修一氏に寄稿いただいた「アクセス解析運用がうまくいかない原因とその進め方」の第3部だ。
これまで、アクセス解析におけるユーザー行動を知ることの重要性、そしてユーザー行動を知るための具体的な方法を解説していただいたが、今回はそれらの内容を踏まえた上で、どのようにアクセス解析にユーザー行動を落とし込み、WEBサイトの改善策を導き出し、効果を計るのか、その具体的な方法を紹介していただこう。
今回の内容を実践すれば、御社のWEBサイトのアクセス解析運用をより効果的に実施することができるはずだ。
【第1部】アクセス解析運用がうまくいかない原因〜指標からではなく、ユーザー行動から考えなければならない〜
【第2部】簡単にできるユーザー行動の仮説方法~アクセス解析だけではユーザーの心理は予測できない~
ユーザー行動の仮説をアクセス解析運用へ落とし込むプロセス
前回の記事では、ユーザー行動の仮説を可視化(ダイアグラム)するために
アクセス解析(データ)とユーザーをよく知る人へのインタビュー(実情)の両面を掛け合わせて、ダイアグラムシートを作成しました。
このシートを基に以下のプロセスでユーザー行動の仮説をアクセス解析運用へと落とし込んでいきます。
1.ダイアグラムシートから課題を抽出
2.課題の整理と優先順位付け
3.Webサイトの役割定義とKPIへの落とし込み
では、具体的に各プロセスをみていきましょう。
1.ダイアグラムシートから課題を抽出
ダイアグラムシートの内容に沿って、現状の自社Webサイトや競合サイトを
観察して、以下のように課題をプロットしていきます。
このシートを使用せずに、例えば “製品検索が使いにくい”という課題のみを挙げて運用を考えた場合、それ自体に具体性がないため、その運用内容も漠然とした内容になってしまいます。しかし、上記の図のような方法であれば、どの課題がどのようなユーザーにどこで影響しているのか把握することができるので、運用内容もより具体的になります。
またダイアグラムの範囲によってはWebサイト以外の課題などもわかります。
2.課題の整理と優先順位付け
次に、抽出した課題を次の例のように整理して優先順位付けをします。
本来、この表に費用対効果予測も入れて優先順位を決定するべきなのですが、
これまでの実績がないため、この場合は予測することが難しいと言えます。
もちろん、課題によっては予測できるものもありますが、費用対効果予測をしていくためには基本、改善実施の中で何をやったらいくら上がった等の参考値や基準値が必要になります。
そういった側面からもアクセス解析運用の中で改善活動を数値として記録していく必要があります。
では、費用対効果の予測ができない場合、どうやって優先順位をつけるか?
これは当たり前ながら、単純に見込み顧客向けで実施難易度が低くコストが安い項目の優先順位が高くなります。営業と同じで見込み顧客から対応していく方が効率は良いです。
ただし、経営戦略として新市場への新製品の売込み等がミッションになっている場合はそれに貢献できる課題の優先順位を上げる場合もあります。
3.Webサイトの役割定義とKPIへの落とし込み
Webサイトの役割とKGI(重要目標達成指標)はダイアグラムを見ていただくと一目瞭然ですね。
Webサイトの役割
たくさんある製品の中から最適な製品を素早く快適に見つけてもらい、サンプル請求してもらうこと
WebサイトのKGI
製品検討ユーザーのサンプル請求率
こうして見ると、当たり前の役割とKGIに見えますが、プロジェクトメンバーにより強く認識してもらうためにも、あえて定義します。
メンバーと目標や意識をしっかり共有することは、プロジェクトを成功させるために非常に重要なファクターなのです。
また、「たくさんある製品の中から最適な製品を素早く快適に見つけてもらい」というと、製品検索を使いやすくすれば良いのでは?となりますが、素早く快適に最適な製品を探せるサービスとはっきりと定義しておくと他にも様々なアイデアが浮かんでくるはずです。(コンシェルジュサービス、閲覧履歴、お気に入り、レコメンド機能、比較表の見やすさの工夫など・・・)
では、いよいよ、KPI(重要業績評価指標)への落とし込みです。
これも以下のようにダイアグラムシートに沿って落とし込んでいきます。
※いくつかの改善を実施するという前提でプロットしています。
改善しない部分をKPIに掲げても、値は変化しませんので、基本、改善に合わせたKPIをKGIに対して設定します。
また、KPIに設定している値を数に設定すると、改善前や前月との比較が季節変動等で難しくなりますので基本、比率で設定します。
プロットしている以外にも全体の集客→製品検索→製品検討→ゴール別のユーザー数や各転換率等もサマリーとして運用していき、改善内容が全体にどう影響しているのかも観察していきます。
さらに、KPIに影響する指標があれば、それも測定していき、改善に役立てていきます。
そして、KPIが改善しても値がほとんど変化しなくなった場合は、その課題はクリアということになりますので、次の課題へ移行します。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
このようにダイアグラムシートがあれば、アクセス解析運用も明確になります。
アクセス解析運用がうまくいかない大半の原因はユーザー行動が整理できていないことにあります。
さて、これで「アクセス解析運用がうまくいかない原因とその進め方」は終了となります。最後までお付き合いいただいた方々、誠にありがとうございました。
最後にこの記事が皆様のWebサイトやビジネスにお役に立てればなによりです。
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