改善に繋がるWebサイトレポート作成術 第5回:適切で分かりやすい表とグラフを作成するための6つのTIPS
2017/07/18|BtoBマーケティングラボ|小川 卓
・ワンマーケティングが考える「BtoBマーケティング」とは?
本連載の最終回は「定点観測レポート」と「改善提案レポート」のどちらのレポートにも欠かせない「表」や「グラフ」を作成する上でのポイントを6つ紹介いたします。これらを意識することで、より正しい内容が伝わりやすい良いレポートになりますので、ぜひ取り入れてみてください。
目次
第1回:2種類のレポートと良いレポートの5つの条件
第2回:定点観測レポート作成手順を学ぶ(1)
第3回:定点観測レポート作成手順を学ぶ(2)
第4回:「改善提案レポート」の作り方を学ぶ
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ポイント1:桁区切り、単位、適切な桁数の設定
理解をする上で「多すぎる情報」そして「わかりにくい表示」は理解力と信頼度を下げます。代表的なものとしては「桁区切りがされていない」「不必要に桁数が多い」「単位がついていない」が挙げられます。
■変更前(上)と変更後(下)
これらの内「不必要に桁数が多い」に関しては正解があるわけではありませんが、筆者のガイドラインとしては、2桁パーセントの場合は「小数点無しあるいは第一位」、1桁パーセントの場合は「小数点第一位あるいは第二位」とし最大でも3桁の数値になるように意識しています。
売上に関しても、厳密な数値が必要な場合は正確な値を入れますが、百万円以上の単位になると「\6,841,532」と1の位まで必要な事は少なく、「684万円」のような形でまとめることもあります。大切なのは伝えたいことを伝わりやすくするために、不必要な情報を減らすという考え方です。
なお、表を右寄せから中央寄せにしていますが、これに関しては正直意見が分かれる部分です。大切なのは、資料全体を通して複数パターンのレイアウトを混在させないことだと筆者は考えます。
ポイント2:重要なポイントをわかりやすく伝えるための工夫
伝えたい事をより伝えやすくするための工夫も大切です。以下の2つの表の違いを見ながら、オススメの方法を3つ紹介いたします。
■変更前(上)と変更後(下)
1つ目は「線」を極力減らすことです。必要な部分のみ線を入れ、後は背景色で行をわかりやすくするなど工夫すると良いでしょう。表において最も重要ではないのが線です。
2つ目は「グルーピングを行う」ことで理解を促進するという考え方です。変更後の表の「流入」や「サイト内」がこちらに該当します。列や行が多くなってくると、どういった固まりで見ればよいかわかりにくくなるため、グループ化を意識しましょう。
3つ目は、「重要な情報をハイライトする」ということです。表の下に気付きを入れる際に、変更前の表だと、どの数値を指しているのかを探すのに時間がかかってしまいます。気付きと連動して、重要となるポイントや伝えたい事をハイライトするとよいでしょう。
ポイント3:適切なグラフを選択する
グラフは見せ方も大切ですが、まずは適切なグラフを選ぶことから始めましょう。
何を伝えたいのか、項目数はどれくらいあるのかによって最適なグラフは変わってきます。
以下は、筆者の著書「ウェブ分析論:増補改訂版」の中で紹介している、グラフを選択するための図です。グラフ初心者~中級者の方はぜひ参考にしてみてください。
ポイント4:グラフも不必要な情報を減らし、ハイライトを行う
表と同じでグラフにおいても、最も伝えたい情報を伝えるため、不必要な情報を無くし、重要な箇所を強調することが大切です。
■変更前(上)と変更後(下)
上のグラフは不必要な情報が多くなおかつ伝えたいことが分かりません。人によって得られる気づきが変わってきてしまいます。ある人は「2016年度の3月が最も訪問者数が多かった」ということに注目し、別の人は「ここ3か月訪問者がほぼ変わっていない」ことに注目するかもしれません。
下のグラフでは不必要な情報はなくし(罫線と必要ないラベルを消し)、必要な情報を強調(棒の横幅を広げる・色でハイライト・吹き出し追加)しています。
グラフを見た時に、伝えたいことがグラフからちゃんと伝わり、人によって解釈が変わってしまうことがないか?を共有や報告前に確認するようにしましょう。
ポイント5:凡例は要注意!わかりにくければ自分で直接記入
以下の2つのグラフは凡例の悪いパターンです。棒グラフも円グラフもどの色が、どれに対応しているかを把握するのが難しいです(左右の目線移動が増えてしまいます)。特に折れ線グラフの方は、最新の年で見ても、最古の年で見ても、順番が一致しません。
折れ線グラフであれば、最新の年の横に凡例を自分で作ってしまうのが良いですし、円グラフであればラベル部分に凡例を入れるほうが良いかもしれません。
変更後をご覧ください。
ポイント6:円グラフは「比率」を表すためのグラフ。%表記が必須
さて、目ざとい方は既にお気づきかもしれませんが、先程から出てきている円グラフには絶対にやってはいけない事を1つしています。それは表示が「実数」であるという事です。これでは円グラフの意味をなしません。
円グラフの割合は全体のおける比率を把握することです。例えば上記のグラフであれば「2016年の訪問者の比率」がわかりません。パーセンテージを円グラフでは必ず使い、母数に関してはタイトルに入れることをおすすめします。
円グラフは以下の例のような見せ方が良いでしょう。
■変更前(左)と変更後(右)
まとめ
表やグラフを作成する目的は、それを見た人に何かを伝えるためです。伝えやすさを実現するために重要なのは以下の3つの考え方です
1:不必要な情報は極力減らす
2:必要な情報を強調する(あるいは直接文章を書く)
3:見る上での負(見にくさ・わかりにくさ)をなくす
表やグラフを作った後に、改めて上記3つの観点からチェックする事を忘れないでください。悪い表やグラフのせいで素晴らしい気付きや結果が伝わりにくくなってしまっては、もったいないです。
全5回でレポート作成について紹介をしてきました。ぜひ本連載を参考に、レポートの最適化・効率化を目指し、自分なりのレポート作成術を身に付けてください!
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