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成果につなげるデータ分析活用の本質 第4回:「データ分析」って難しいんです~仮説構築に求められるロジカルシンキング

良い仮説と悪い仮説は何が違うのか

確かに”分析作業“そのものは、かつて人手で行っていたものを機械が肩代わりすることで、より速く、しかも正確にこなせるようになりました。その意味では、もうすでに分析作業を人間が新たに学んで行う機会は無くなっているのかもしれません。
しかし、どんなに優れた最先端の分析ツールであっても、そのツールにインプットするデータは何で、それによって何を達成したいのか、という部分は人間が考える必要があります。

この「機械が行える部分」と「人が考える部分」を明確に切り離して認識しないと“データ分析”の本質を見失いかねません。

その「人が考える部分」の中で、課題や目的設定に次いで重要なのが仮説構築です。
データ分析や課題解決を行いたい、そのスキルを身に付けたいと考える多くの人にとって、「仮説の構築の仕方」というのは大変興味を持たれるポイントであると同時に、だれもが「難しい」と感じるようです。

仮説は目の前にあるデータに基づくのではなく、“論理(ロジック)”に基づいて構築すべきです。なぜ、“目の前のデータ”ではないのかについては前回の記事を参照頂くとして、”論理(ロジック)“が必要な理由とそのエッセンスについて紹介します。

まず、データを見ながら、行き当たりばったりで仮説を作りつつ作業を進めると、どのような結論(ストーリー)になるかを見てみましょう。

最初に目にしたデータAから気づきを得て、それに基づいてデータBを新たに入手し分析します。その結果から、更に分析を進めるためにデータCを入手し、最終的にデータA,B,Cから結論を導き出します。一見、データA~Cの範囲においては筋の通った結論が得られます。

ところが、この方法だと、最初の入り口が「たまたま手にしていた」データAであるために、分析自体がデータAが示す範囲を超えることがなく進みます。当然そこから導かれた結論は、その範囲に限ったものであり、必ずしも課題に対する“最適解”かどうかは分からないのです。仮にこの作業の中から見落としていたデータDを見ることがあれば、データA~Cから導かれた結論よりも、より本質的な最適解が見いだせたかもしれません。
分析者であるあなたが欲しいのは、目の前にあったデータA~Cをつなぎ合わせてできた狭い範囲での結論でしょうか。それとも、大元の課題に対する最適解でしょうか。
ビジネス実務の世界で必要なものがどちらなのかは明白ですよね。

では、最初の段階で仮説として広く分析の範囲や使うべきデータをロジカルに検討したプロセスを見てみましょう。

最初に見るべき範囲(データ)を広く設定することで、分析範囲自体が広くなり、見落としのリスクが減ります。設定する範囲が広い分、作業量は増えるかもしれませんが、最適解に至るためにはある程度仕方ないことだと思います。

もちろん、この図は理想形であって、実際にはこのように進めても分析途中で結果を見ながら再度仮説を作り直したり、その結果として新たなデータを追加したりという行為は発生します。大事なことはその手戻りの有無ではなく、いかに分析とデータの範囲とバリエーションを広く押さえておくかということです。それには、

1.この問題はどのような範囲のデータが必要なのだろうか
2.それらのデータはどのような切り口で見るべきなのだろうか

という論理思考に基づいた仮説構築が必要なのです。

視野を広げることが分析の幅を広げる

例えば、職場での残業削減問題にデータ分析で取り組むとしましょう。ある人が、この問題は「職場の人の能力」と「仕事量」の両面で分析すべきだ、と(思い付きの)仮説を持ったとします。
それらに関するデータから何かしらのヒントが見つかるかもしれません。

一方、同じ問題に対してロジカルに思考を広げた結果、更に「顧客」についても調べるべきだと仮説を持つ人がいるかもしれません。

この違いは、顧客のクレーム対応などで残業が増えている可能性があることを思い付いたか否かということです。つまり、この問題を「従業員」「仕事量」「顧客」という3軸に整理して、全体像を俯瞰、分類することで分析の範囲と切り口が広く明確に出揃ったことになります。

では、どうすれば目の前の課題に対する適切な範囲と切り口をできるだけ漏れなく思い付けるのでしょうか。多くの人が悩み、知りたがるポイントです。

ズバリ、魔法の答えはありません。

何となく思いつくのを待つのでもなく、唸り続ければ出てくるものでもありません。

その中でも最善のアプローチが「ロジカルシンキング」だと私は考えています。私の言う「ロジカルシンキング」とは、問題を構造化して整理しながら考えることです。

例えば、先の残業問題にしても、分析やデータ収集を行う前の段階で、次のような問題の構造化ができるでしょう。(赤色部分が構造化によって新たに気づいたもの)

すると、「仕事の量」の問題だけでなく、仕事の割り振り方や内容など「仕事の質」の問題も見るべきことに気づくかもしれません。同じく、「人の能力(質)」の問題だけでなく、人数など「人の量」にも問題があるかもしれない、という仮説が立てられます。

単に、思いついたものを次々と箇条書きにリストアップして唸る・・・このアプローチとは圧倒的に違う結果が生まれるのではないでしょうか。

構造化して整理することで、パッとの思い付きでは閃かなかったことにまで気づく可能性が高まります。また、「どうしてそのデータを使って分析したのか」という問いに対しても論理的に説明ができます。

「データ分析が難しい」のは、理論や手法とは本来関係ない

では、この構造化に基づいたロジカルシンキングスキルはどうやって習得できるのでしょうか。

当然ロジカルシンキングの基本を勉強することが最初の一歩だと思いますが、このスキルは内容やテクニックを理解しただけではほとんど使い物になりません。何度も試行錯誤しつつ、自分の引き出しと発想力、経験値を広げていくことが求められます。

また、そこには「正解」もないため「答え合わせ」をすることもできません。このような理由で、多くの人が”難しい“という感想を抱きます。

「なんだ、データ分析っていうから、人間があまり考えなくてもツールがその答えをサラッと出してくれると思ったのに・・・・」
と思われるかもしれません。残念ながらツールが解決してくれるのは、課題設定や仮説構築が終わった後の、分析作業の部分です。

それゆえ、今でも「データ分析って難しい」のです。

「正解のある問題を如何に速く正確に解くか」にこだわる日本の教育にどっぷり浸かってしまっている人ほど、気持ち悪さ、分かりにくさ、難しさを強く感じる傾向があると私は感じています。

でも特に今、そしてこれからの時代においては、このスキルを身に付けて、機械やツールでは成し遂げられないことができて初めて人として付加価値を発揮できるのではないでしょうか。そしてその付加価値の大きさはとても大きいものだと思います。

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