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【EXPANSION TALK】営業はマーケへ、マーケは営業へ キャリアエクスパンション実践者たちのインタビュー #03 トランスフォーマー 水谷博明さん 前編

営業は、次のキャリアの選択肢にマーケターを加えてほしい。そしてマーケターは、営業の現場にもっと目を向けてほしい。

ワンマーケティングのアドバイザー 小関貴志が連載したコラム
30代、営業からマーケターへのキャリアエクスパンション』は、多くのみなさんから反響をいただきました。

このコラムに続くシリーズとして、営業からマーケターというキャリアエクスパンションを実践されている方へのインタビューを連載しています。

今回ご登場いただくのは、営業で10年、マーケティングで10年にわたってキャリアを築かれてきた水谷博明さんです。水谷さんは、セキュリティSaaSベンダーでさまざまな部門の仕組み化を推進しながら、2020年に「トランスフォーマー」としての個人事業もスタートされています。

トランスフォーマー 水谷 博明 氏(写真右)

小関 貴志(写真左)
ジャパン・クラウド・コンサルティング株式会社 シニアディレクター
ワンマーケティング株式会社 アドバイザー

アルバイト先でも、いかに売れる環境をつくるかを考えていた

小関:いろいろな会社の方とお話をする中で、「社内にマーケターがいない」「探すこともなかなか難しい」という話がよく出てきます。その一方で、すごくいきいきと活躍されているマーケターの方もいらっしゃって、みなさんの共通点はどこにあるのかと考えた時、社内を動かし、調整して、いろいろな人を巻き込みながら活動している方が、いきいきと楽しみながらマーケターとしての結果も出されているような気がしています。

小関:さらに、その方たちがどのような仕事をしてきたのかをふり返ってみると、営業をされてきた方が多いことに気がつきました。水谷さんもまさにその一人だと思い、今回インタビューをお願いさせていただきました。

水谷:お声かけいただいて、ありがとうございます。

小関:講演やインタビュー記事でお見かけする水谷さんのプロフィールにも、営業10年、マーケティング10年と書かれているのですが、これまでどんなお仕事をされてきたのか教えていただけますか?

水谷:はい。僕の社会人としてのスタートは、営業からでした。

小関:広告でしたよね?

水谷:広告代理店です。しかもデジタルではなくて、チラシや雑誌広告を一枠から扱う紙媒体の世界で、飛び込みやテレアポをしながら泥臭く数字を取りに行くようなスタイルの営業でした。

水谷:さらに遡ると、もともとアルバイトをしている頃から「物を売る」ということに興味があり、特に、一見売りにくいものを売ることができた時の達成感が好きでした。ある携帯キャリアの販売員をしていたのですが、あまり動きのない携帯端末をどう売っていこうかといろいろ試行錯誤を重ねていました。店長さんと相談して良い売り場を確保してもらったり、給料日後の一番良いタイミングに合わせてキャンペーンをさせてもらったり、交渉を重ねながら、「いかに売れる環境をつくるか」ということをしてきました。

小関:アルバイト時代から仕組みづくりのようなことをされていたのですね。

水谷:その結果幸いにして、ある携帯端末を千葉県で一番売った販売員という実績もついてきました(笑)

小関:本当ですか!?すごいですね(笑)

デジタル領域へ移り、すぐにジョイントベンチャーの立ち上げへ

水谷:自分が取り組んできたプロセスが結果になって、まわりからもそれなりに評価されるようになり、これをもう少し突き詰めたいなという想いが自分の中に芽生えてきました。そこで「営業」という選択肢が頭に浮かび、タイミング良く先輩の会社から声をかけていただいて、広告代理店の営業になりました。

4年間、飛び込みやテレアポも経験して、メンタル面でもかなり鍛えられました。そこでも結果を出して、売上もあがっていたのですが、もう少しじっくりお客様と向き合える仕事をしたいと考え、広告制作会社に移りました。

在籍期間は1年ほどでしたが、営業兼プロデューサーとして、ナショナルクライアントの大きな仕事に携わることができ、世の中の大手企業がどのように仕事をしているのかを肌で学びました。

水谷:ただし、業界でさらにキャリアを積もうとすると、年功序列もあり、良い大学を出た人しか上へ行けないという会社も多く、これ以上続けていくべきか疑問を感じていました。僕は大学を中退して20代半ばまでバンドでプロを目指していましたから、学歴に関わらずチャンスを掴める業界がいいなと。

小関:本当ですか。それも知りませんでした。

水谷:次は何がいいかと考えた時、デジタル領域が選択肢として挙がってきました。広告制作会社でWEBサイトの制作にふれた経験があったことと、デジタル領域はまだ歴史も浅く、これから可能性があるのではないかと考えたのです。
そこからWEBマーケティングのコンサルティング会社に入り、デジタルの駆け出しにも関わらず、すぐにジョイントベンチャーの立ち上げを任されたのです。

WEBマーケティングの用語も全く分からない状態から、PL管理も営業も、イベントやセミナーの開催も、受注したお客様へのコンサルティングも、あらゆる仕事を回していきました。そして、WEBのアクセス解析やアナリスト、SEO、WEB制作のコンサルティングなど、WEBマーケティングのノウハウが、全部そこに集約されていました。

データから、人の動きが見える。アクセス解析の面白さを体感

水谷:さまざまな仕事を同時に経験させてもらえた中で、特に魅せられたのがアクセス解析でした。アクセスログを見てWEBサイト上でのお客様の行動を分析し、それをWEBサイトの改善につなげていく。「データから人の動きが見える」ということを体感して、さらにCookieというものを使うとより正確に一人ひとりの振る舞いが分かることを知り、データからさまざまなことを見つけ出す仕事が、次第に面白くなってきました。

小関:アクセス解析からマーケティングの面白さにのめり込んでいったのですね。

水谷:それからもう一つ幸運だったことは、たまたま当時、BtoBのお客様が多かったのですが、BtoBは営業的な要素もあって楽しく、自分とは相性も良いと感じていました。次のキャリアとしても、BtoBの世界でマーケティングに携わりたい。そして、請負で複数社のマーケティングをコンサルすることも良い経験になったけれど、今度は一社に対してもっと深く入り込んでマーケティングをしたいという考えがあり、事業会社へ行こうと決めました。こうした中で縁あって出会ったのが、今の社社セキュリティSaaSベンダーでした。

ここではまず、WEBマーケティングの部隊を立ち上げることから始まりました。そこから派生して、インサイドセールス部隊の立上げやSalesforceやMarketoなどのSaaSを活用した業務とどんどん拡張してきたというのが、これまでの一つのキャリアです。

デジタルの力で、企業や働き方をトランスフォームしたい

水谷:それから、もう一つの展開として、「トランスフォーマー」という個人事業も動き始めています。その背景としては、おかげさまでセミナーへの登壇や、取材を受ける機会を通じて、自分たちが培ってきたノウハウを世の中に伝えていく機会も増えてきたのですが、登壇や取材という限られた時間では、やはり伝えられることに限りがありました。「もっと深く入り込みたい」「自分の持っているノウハウを活かして、誰かの会社の売上があがったり、効果が出るところまで貢献してみたい」という想いからスタートした活動です。

個人事業としての軸は2つあります。一つは、セールス&マーケティングという軸で、日本の企業をITの力でさらに発展させていくということ。そして2つ目は、自分のまわりの働き方を変えていくきっかけになれたらと、こうしてキャンピングカーに乗っています。リモートワークの場所として人に貸したり、自分でも使ったり、仲間と働きながら新しい環境をどんどんつくっていきたいと考えています。

小関:お客様や働き方をトランスフォームするということもあるでしょうし、自分自身もトランスフォームしていくような活動ですね。

水谷:はい。「DX号」と名付けたこのキャンピングカーに乗って仕事をして、ここまで働き方を柔軟にしても生きていけるということを子どもたちにも見てもらいたいですし、そこでちゃんと生きていくためのスキルとして「デジタルを体感できる場」もつくっていきたいと考えています。

水谷:このキャンピングカーが、ある時は学びの場になり、マスコットキャラクター的な存在にもなって、さまざまなトランスフォームを起こしていけたらと考えています。

より深く物事に携わり、より細やかに数字と向き合っていく

小関:水谷さんのお話を伺っていて、もともとビジネスへの興味を強く持っていらっしゃって、商売の仕組みであったり、お客様の動き方であったりを突き詰めていくうちに、自ずと上流へ辿り着いたという印象を受けました。

水谷:「より深く物事に携わっていきたい」という想いがあって、それはもうずっと昔からそうですね。

小関:営業からマーケターの仕事を始められた頃の感触を、覚えていらっしゃいますか?「意外とできるな」なのか、「全く世界が違う」なのか。

水谷:マーケターへの“向き不向き”という観点から言うと、今営業をされている方でも、細かい作業が好きな方は向いていると思います。僕はたまたま細かいほうだったので、昔からアクセス解析の数字を見ることも楽しく感じていましたし、自然とのめり込んでいきました。

小関:「細かい」という表現を別の言葉で紐解くとしたら、どのような営業の方がマーケターに向いていると思われますか?

水谷:やはり数字を見て現状を把握しようとする方や、自己分析のために自分の活動量などをExcelで数値として可視化して、それをもとに次のアクションを組み立てられるような方は向いているのではないかと思います。

小関:携帯の販売をしていた時も、こうしたことを考えていたのですか?

水谷:今思うと、考えていましたね。

水谷:目の前のお客様だけを見て猪突猛進するのではなく、俯瞰した視野を持つように心がけていました。創意工夫をいろいろ重ねて、まわりの環境を変えながら売りにいく。そのスタンスもマーケティングに近いのかなと思います。

ストーリーをつくれる人、妄想する人がマーケターに向いている?

小関:指定されたテリトリーの中で、前任と同じように仕事をするだけでは見えてこないところかも知れませんね。

水谷:自分から可動域を広げていける方は、マーケターに限らず活躍できるのではないかと思います。

小関:たとえば、都内のある一区を自分の営業担当エリアとして任された時、「どうやって攻めていこうか」と楽しみを覚えられる方だったら。

水谷:エリアによって全く企業属性も違えば、攻め方も違います。こうした特性を理解しながらストーリーを組み立てられる人は、マーケターに向いているかも知れません。

小関:難しいことではなくて、「このビルは上から回ったほうがいいか、下から行ったほうがいいか」というような小さなことでも、考えながら動くと全然違いますよね。

水谷:「この会社はどうして、このビルに入っているのだろう?」「なぜ、この業種の会社が、このエリアにいるのだろう?」というような背景を想像して、いろいろなストーリーを考えていくと、「このお客様にはこういう営業アプローチが良いのではないか」というイメージが湧いてきます。妄想する人はマーケターに向いている、ということも一つ言えるかも知れませんね。

小関:マーケターの場合、その妄想を試すチャンスが数多くありますよね。

水谷:ABテストもできますし。

自分からアクションを起こせば、その分だけ経験を積める

小関:営業の方が、それまで経験の無かったマーケターの仕事を始める時、いろいろなことを学び、キャッチアップする必要があると思います。水谷さんご自身は、分からないことがあった場合、どう動いてキャッチアップしていきますか?

水谷:僕の場合は、どちらかと言うと調べる前に現場でトライ&エラーを重ねていくタイプです。分からなければお客様に聞くこともあるし、アクションを増やせればそれだけ経験を積むことができますから、自分から動いていきます。はじめは、お客様から「そんなことも分からないのか」と言われるかも知れないけれど、それでも実になるものがあるのであればハングリーに行動する価値はあると感じています。

小関:私がマルケト時代にお世話になった方も、「考えても分からなければ、お客様に聞きなさい」という話をされていました。マーケターにとって「お客様に聞く」ということの一つにテストがありますね。「このWEBサイトどちらがいいかな」「広告はどちらがいいかな」と考えるのもいいのですが、お客様に聞いてみる。つまり、ABテストによってお客様のフィードバックを得て、それを繰り返していく。そんな方法を学びました。

小関:今もし、社内の営業の方が、水谷さんに「マーケティングをしてみたいのですが、どうやってマーケのことを勉強したらいいですか?」と尋ねてきたら、どんな風に答えますか?

水谷:そうですね。営業職に就きながらできるマーケティング活動はいろいろあると思います。たとえば、お客様に向けた提案資料のストーリーを組むことも、一つのコンテンツだと思います。メールを配信する時も、自分の考えたストーリーで送ってみて、その反応を見て「こういうコンテンツのほうが刺さるのか」と気づき、それを営業に活用していく。今は、ライトなところからいろいろ試せる時代なので、「まずはやってみる」ということを絶対におすすめします。

小関:そのポジションに就かないとできない、ということではなく、今できることはきっとありますよね。

二人の対談は、さらに続きます。後編は、水谷さんが考えるマーケターの特性や役割について、お話を聞いていきます。

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