展示会の成果はフォローで決まる

展示会の来場目的の94%は情報収集であるという事実

展示会の来場者数が年々減少傾向にある中、インターネットを中心とした情報収集の選択肢も多様化している。さらに展示会の来場目的の94%が情報収集である一方で、出展企業は多くの商談を獲得したいという思惑がある。

そのような中で展示会から商談があったとしても、それはたまたま見込み客の購入タイミングが、展示会に重なった可能性が高いということを出展社は認識しておく必要がある。ビッグディールだけを求めて展示会に出展するのは、止めなければいけない。

フォローはマーケティング部門が実行する

BtoBマーケティングラボの様々な記事でも紹介しているが、BtoBの購買プロセスは長期化する傾向にあり、いますぐの売上を優先したい営業マンだけでは、長期に渡り見込み客との接点を維持し、顧客化することが難しくなっている。

「来場目的の多くが情報収集であること」、「購買プロセスがより長期化していること」を踏まえた上で展示会の役割を考えてみると、会期中の商談ではなく、見込み客を獲得するための手段として徹するべきであろう。また、獲得した見込み客リストはそのまま営業に渡すのではなく、購買のタイミングがやってくるまでマーケティング部側でナーチャリングすべきなのだ。

事前にしておくべきフォローのための準備

展示会を実施することが目的になってしまっている企業は多い。そのため、フォロー施策に対して考えが希薄であり、予算すら付いていない企業も多い。展示会を見込み客獲得の機会と捉えるのであれば、展示会は始まりと考え、ぜひ二の矢、三の矢を射っていきたい。会期後にフォローの準備をするのではなく、アンケートの回答に対して、どのような行動をおこすべきか、すべてを営業に任せるのではなく、営業ではまだ早すぎる見込み客に対してどうフォローすべきかを事前に検討しておくことをお勧めする。

準備1:営業のリソース状況は?

まず考えるべきは、展示会後にすぐ商談に繋がりそうな見込み客に対して、即動ける営業人員のリソースはどれくらい確保できるかだ。

考え方の例としては、営業マン1人あたりの1日のフォロー可能件数を割り出し、その件数と展示会後1ヶ月にかけられる人員を掛けた数が展示会後に営業へ送客可能な件数となる。

例えば、1人あたりの1日のフォロー可能件数が2件ならば1ヶ月の件数は40件。その人員が5人いるならば200件のリード(見込み客)を営業へ送客することは可能である。1つの展示会で2,500件のリード獲得があったとすれば、アンケート結果などから優先順位を付け(※優先順位のつけ方は後述)、見込み度の高い上位200件を送客すれば良い。

あとの残り2,300件はマーケティング部門のナーチャリング対象となる。

準備2:データのフォーマット化

展示会で獲得した名刺やアンケートは会期後にデータ化する。

しかしそのデータフォーマットが展示会ごとに違うことはないだろうか?その場合、顧客データの持ち方自体をまず検討すべきだ。たとえば既に主体として使っているCRMがあるならば、そのフォーマットに合わせてデータ入力をすべきだろうし、もし無ければ共通のフォーマットを作るべきだ。

そして展示会毎に発生する個別のアンケートなどは、このフォーマットの中に入れるかどうかも検討すべきだ。入れる入れないかの基準は、『そのデータは1年後に役に立つ情報か?』だ。大抵は必要のない項目が多い。

準備3:スコアリングによる優先順位の決定

アンケート、ヒアリングシートを作成する上で盛り込むべきはBANT条件だ。以前に「展示会アンケートの作り方」に関する記事を書いたので、詳しくはそちらをご覧いただきたい。

おさらいするとBANTのBはBUDGET(予算)、AはAUTHORITY(決裁)、NはNEEDS(関心・必要性)、TはTIME FRAME(時期)だ。これらの設問をアンケートに盛り込むと良いだろう。ただし上記条件は、時間とともに変化する情報である。よって今時点において営業に送客すべきかの判断軸となる。

優先順位は各設問に対してスコアを付け決定する。マーケティングオートメーションを既に導入しているならば、これらのスコアはデータをインポートした時点で管理できるので非常に便利だ。

※スコアリング例

準備4:情報収集手段の確認

展示会で獲得できる情報収集手段の確認も事前にしておこう。アンケートや名刺データは、自社で準備、回収するため、先述したフォーマットの命名規則に沿ってデータ整理が可能だが、問題はバーコードデータだ。バーコードデータは、主催者のホームページから来場登録を実施するため、かなりデータが荒れる。また、項目の持ち方も出展主催者によりマチマチになるため、展示会後のクレンジングが必須となる。アンケートの項目が揃わない場合もよくあるので、その場合は、各項目のマッピングをし直す必要がある。予め対応策を検討しておくべきだ。

準備5:展示会後のフォロー策の検討

展示会後、営業はどのようにフォローするか、マーケティングからはどのように接点を持ちリードナーチャリングを実施していくか検討しておく必要がある。その際に、スコアリングの数値やアンケートの回答内容を閾値として、見込み度のランクをイマスグ、ソノウチ、イツカハに分け、イマスグの見込み客は営業へ。ソノウチはテレマーケティング、イツカハはナーチャリングというように分担していくのも良いだろう。

テレマーケティングも人的コストがかかるので、予算、リソースを考慮し、どこまで実施するかを決めたうえで検討していただきたい。

準備6:アフターフォローのコンテンツ検討

展示会後にサンキューメールを送る企業は多いが、ただそれだけでは全く効果が無い。見込み客は、一斉配信で送られてきた『来てくれてありがとう』という内容のメールを求めてはいない。たとえば、展示会に関連するセミナーやホワイトペーパー、パネルのダウンロードなど、次のアクションを促すためにも、見込み客にとって価値のある何らかの情報提供が重要だ。

特にマーケティングオートメーションを導入済みの企業にとって、送ったメールコンテンツをクリックしてもらうことは、獲得した見込み客情報と行動の紐付けを行う重要な機会の1つだ。
マーケティングオートメーションでのWebトラッキング(Web上での行動情報を収集)は、配信されたメールのコンテンツに対するクリックがキーとなり開始され、その時点で見込み客情報と紐づけされる。その後の見込み客とのタッチポイントや行動を管理するという観点からも、サンキューメールの内容、その後のフォローのコンテンツは非常に重要なのだ。

また、まだマーケティングオートメーションの導入がなされていないという場合でも、せめてメールをクリックしたユーザーが誰であるかはわかる配信ツールを選んでおきたいところ。ただあくまでもメールのクリック、そこからの流入は受け身の行動であり、見込み客の確度の高まりを示すのは、そのあとの能動的な行動だ。そのポイントを把握するためにもマーケティングオートメーションは導入しておきたい。

展示会のタイミングは見込み客のタイミングではない

見込み客のタイミングを掴むためには、やはり中長期に継続的な接点を作り続けることが求められる。展示会の効果は長い期間を経て、初めて効果が出るものだ。
イマスグの短期的な需要を掘り起こすためには、展示会におけるリード獲得の母集団を大きくすれば良いが、圧倒的に数が多いのは、やはりイマスグではないソノウチ、イツカハに該当する見込み客だ。この後者の客を活かすも殺すも重要なのは、営業ではなくマーケティング担当者なのだ。展示会のデザイン、企画に時間、コストを費やすのもいいが、フォローありきのプランニングを今一度考えてみると良いだろう。

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