MOpsと標準化がカギ BtoBマーケティングにおける効率化の最大化

2023年7月21日に、弊社代表の 垣内が書籍『「売れる営業」を創出するBtoBマーケティングの「型」』を出版いたしました。

これを記念して、2023年7月26日に、『マーケティングオペレーション(MOps)の教科書 専門チームでマーケターの生産性を上げる米国発の新常識』の筆者であるゼロワングロースの丸井氏をゲストに迎え、対談講演「MOpsと標準化がカギ BtoBマーケティングにおける効率化の最大化」を開催しました。

本記事では、セミナーでの対談をまとめました。「BtoBマーケティングの標準化」をテーマに、MOpsにおける分業体制のポイントや、マーケターにとって必要なスキルなど、ご紹介いたします。


丸井 達郎氏
ゼロワングロース株式会社 代表取締役


垣内 良太
ワンマーケティング株式会社 代表取締役社長

戦略設計が成功のカギ

垣内:

丸井さんには、こういう場でお話ししていただきたいと思っていましたが、なかなかタイミングが合わずでしたが、本日はありがとうございます。

丸井氏:

こちらこそありがとうございます。垣内さんの記念すべき時に、お声かけいただいて大変嬉しく思ってます。

垣内:

丸井さんがMarketoに入社されたのっていつ頃でしたでしょうか?

丸井氏:

2015年頃だったと思います。入社当初は、Marketoをご購入して頂いたお客様に対して、コンサルタントとして導入支援を担当していました。入社して割とすぐに、当時の上司から、「これからMarketoのパートナーになってくれる垣内さんという方がいらっしゃるので、是非1度お会いしてください」となったのが初めての出会いでしたね。

垣内:

この業界、どこかで花開く時がくるので、10年頑張りましょうね、という話をしましたね。やはり当時は丸井さんも相当苦労されていたんだなと思いますし、私も試行錯誤していた時でした。丸井さんのブレイクスルーは、やはりアメリカのStrategic Serviceのメンバーに入ったことですか?

丸井氏:

完全にそうですね。Strategic Serviceという当時グローバルでまだ6名しかいない戦略コンサルティングチームの一員に迎えていただいて、最初のトレーニングにいく機会がありました。私自身も元々事業会社のマーケターでしたし、お客様からもマーケティング施策やTIPSを聞かれることが多いので、効果的なメール配信やランディングページの活用などいろいろ”施策”に関する質問を持って行ったのですが、実際にそこで話されているものは想像していたものとは全く異なるものでした。施策ではなくマーケティング戦略や戦術、特に戦術設計についての会話が中心で、マーケティング戦略をいかにして組織的に実行に移すか?というテーマです。システム開発でいうと要件定義のような部分です。もしこのチームに出会わなければ、今のような考え方にはなってなかったなと思いますね。

垣内:

やっぱりそういうきっかけって、誰しもありますよね。

丸井氏:

はい。Strategic Service のメンバーは勿論Marketoの事を熟知したコンサルタントですが、組織内のコニュニケーションプラン、リーダーシップ、ガバナンスモデル、役割と責任などのマーケティング組織デザインから自動化されたプロセスの実現に向けたテクノロジー・データのマネジメント方法などもトレーニングの中で学びました。私がトレーニングで聞こうと思っていた”施策”に関する事前質問集のレベルの低さが恥ずかしくなりましたし、レベルの差に愕然しました。

THE MODEL の実態

垣内:

前置きが長くなってしまいましたが、1つ目のトークテーマに移りましょう。テーマは「THE MODEL の実態」です。私もこの福田さんの本にかなり影響を受けました。福田さんは、当社がMarketoを導入してパートナーを選定するタイミングから存じ上げていましたが、書籍を読んで、私が理想として考えていたことが非常に具体的に書かれていて、改めて素晴らしい本だなと実感しました。「THE MODELを構築したい」、「THE MODELの体制を作りたい」というお問い合わせも非常に多くいただいています。

しかし、早々にうまくいってるケースは少ないのかなと思っていますし、THE MODELの体制を協議したが、なかなか実践されない企業も非常に多いのではと感じています。丸井氏さんの中で、うまくいくケースとうまくいかないケースの違いをお伺いできればなと思いますが、いかがでしょうか?

丸井氏:

確かに、最近よく”THE MODEL型”というお話を聞きますね。質問の回答になっているかわからないのですが、やはりビジネスによりますよね。

例えば、既存の重要顧客からの売り上げ創出を担当しているアカウント担当の営業組織に対しては、アカウントごとにパーソナライズされたキャンペーン実施やオンライン・オフラインを横断した購買体験や利用体験の改善など、確実にアップクロスセルに繋げる為に何をするべきか?という発想が重要でしょう。このような営業活動を行っているところに、機能的にインサイドセールスを置いて”THE MODEL型”として語られるデマンドジェネレーションを部分的に実践しようと社内で提案してもなかなかうまくいかないように思います。むしろ既存のお客様の対応だけでも多忙な営業チームから反発を受ける可能性すらありますよね。

THE MODELはSaaS製品のマーケット拡大をテーマとした、フェーズ毎に最適な組織モデルとマネジメントのケーススタディであり、ベストプラクティスだと思います。急速な成長に伴い組織の中に変化する成長ドライバーの見極め、そしてボトルネックへ対処する福田さんの采配を、組織の一員として体験できたのは今でも宝物だと感じます。

ビジネス状況に合わせた適切な組織やオペレーションモデルを考えていくことが、THE MODELで語られる本質的な部分なのだと思いますが、プレイブックとしてTHE MODELが存在することは、0から試行錯誤するよりも何年間分もショートカットができると感じますし、今でもベストセラーとして多くのファンを抱える所以なのではないかと思います。

垣内:

ありがとうございます。やはり型をつくることが前提にあるように感じますね。

丸井氏:

そうですね。マーケティングに関してはその基本となる型は何パターンもあるのですか?と聞かれると、正直数パターンしかないと思っています。あくまでも基本の型を知り、それをどうアレンジするかが重要で、複数年かけて自社の状況に合わせてオペレーションを改善していくことが大切だと思います。

垣内:

そうですね。ありがとうございます。

弊社でもこのTHE MODEL型でやっていますが、今でも試行錯誤していますよ。パッとすぐ成果がでることって本当になくて、ずっと悩み続けて色々試して少しずつ改善しています。ただやみくもに営業していくのではなく、MQLを創出し、そのMQLに対してアプローチしてみてどうだったかということを指標として取り組んでいます。指標があると改善する点が明確になるので、これから取り組んでいく皆様も、まず指標をしっかりと見極めていく必要があると思います。

丸井氏:

あと、目標や方針を明確にすることはとても重要ですよね。よく「アジャイルにやろう」って言われますが、決める事を決められていない曖昧な状況で便利に使われているような気がすることがあります。例えば、私たちはマーケティングオペレーションの構築支援を行っていますが、そこでは必ずプレイブックを成果物として納品しています。そのプレイブックには現在の姿と将来なりたい姿が方針や目標として書いてあります。将来なりたい姿と現在のギャップがある中で、そのギャップを埋める部分を試行錯誤、アジャイルにやろうよと。これはその通りだと思うのですが、方針もなく、ゴールがあるだけで、アジャイルにやるのは難しいと思いますので、やはりそこは明確にしておくべきかと思います。

マーケティングの分業体制

垣内:

続いて、2つ目のテーマ「マーケティングの分業体制」についてです。先ほどのTHE MODELの話にも直結する内容かなと思います。私の書籍の中でも、フィールドマーケティングとMOpsという分業体制についてお話しています。しかし、多くの企業が新型コロナウイルスの影響を受けて、勝手にフィールドマーケティング側とオペレーション側という体制へ、自然発生的に分業化している印象があります。

弊社のお客様でも、設定側、つまりオペレーション側と、実際に施策を実行したりディレクションをしたりする事業者側、と自然的に分業体制が生まれているなと感じます。実際にMOpsという言葉ではなくて、マーケティングとして分業化されつつあるという状態について、いかがですか?

丸井氏:

昔からマーケティング組織が大きい企業では自然的にそうなっていますね。なぜなら、一般的な学問でも文系と理系に分けられるように、分野が全く異なるからです。クリエイティブに長けた人やプランニングが得意な人が、必ずしもデータやテクノロジーが得意というわけではないですよね。なので、ここをひとまとめにマーケターとすることに限界があると思います。

いいクリエイティブを作る作業は簡単ではないですよね。少なくとも創作の段階では何がベストかわかりませんよね。一方でMAやSFAなどのツールはそれぞれに開発思想があり、ベストプラクティスをモデル化した最適な活用方法を提案しています。ツールやテクノロジーを活用する時は、まずはベンダーが提案する標準的な活用方法をしっかりと理解することが大事です。これができていないと、自社のプロセスにツールを当てはめていくことになりますよね。そうするとツールを導入する以前にあった課題解決から遠ざかってしまうように思うのです。

垣内:

確かにコロナ禍前よりは圧倒的に施策の数が増えている印象で、むしろMAがないともう回らないという企業も多いのではないかと思うんですよね。ですが、MOps側のデータベースを見ると、かろうじて繋がっているという企業も多い印象があります。分業はできたものの、ツールベンダーが提唱している、いわゆる標準に則って対応している企業はまだまだ少ないのかなと思いますが、どう思われますか?

丸井氏:

私が知っている狭い世界だけの話でいうと、結構厳しい状況になっているケースが多いと感じています。例えば、Salesforceで言えば標準の「リードまたはコンタクト」オブジェクト、「商談」オブジェクト、「キャンペーン」オブジェクトはマーケティングオートメーションの収益マネジメントにおける”必須機能”ですが、これらを正しく利用されている企業は多くないと感じます。

色々な観点がありますが、Salesforce活用の大きな魅力の1つとして、世界最大の3rdPartyエコシステムAppexchangeにアクセスできることだと思います。連携開発もせずに世界の様々な優れたテクノロジーとサクッと連携できるこのインパクトは相当なものだと思います。

せっかくSalesforceを利用しているのに、標準オブジェクトを使ってないため、この巨大なエコシステムにアクセスできないという企業が多数存在することです。契約上は利用できる権利を持っているのにです。

マーケティングオートメーション含め、多くの3rdPartyベンダーは標準オブジェクトとの連携をベースに設計されていることが多いです。グローバルだと、標準の機能で使用しているケースが圧倒的に多いですが、日本では独自の使い方をしているケースが多いのが現状です。これは相当な機会損失です。なぜならば開発や構築している期間、ベストプラクティスを学習する期間、スクラッチで失敗プロジェクトを生み出す頻度、これらを計算すると相当な金額の損失が生まれているように感じるのです。今、多くのSaaSベンダーがジェネレーティブAIを活用したオブションの提供を開始しています。ここでも同じく、基本的には最もユースケースの多い、標準的な活用方法が最初のターゲットになります。つまり、ここでも同じことが起きるのではないかと危惧しています。生産性の面ではさらに遅れていくことが想定されます。

垣内:

弊社では、標準の型を使わずに過度なカスタマイズをしているお客様に対して、改修して立て直す機会も多いのですが、「これは無理だ」という場合はどういう判断をされていますか?

丸井氏:

改修できる範囲であれば改修すればいいと思いますが、1からやり直した方が早いと判断するケースもあります。その場合はCRMやMAの再導入を提案します。なぜなら、標準的な型を使う場合はカスタマイズをそれほどしなくて良いので、やり直しにかかる時間を短縮できるからです。自分たちのやりたい型に全て当てはめようとすると、膨大なカスタマイズをしなければならず、設定に長期間かかってしまうので、やり直した方が早いというケースです。

垣内:

2020年頃ですが、弊社のお客様の大手企業でも、システムの中が非常に雑然とした状態でした。対処法に苦慮していた矢先に、インスタンスが変わるということになりました。インスタンスが変わったら中身がとても洗練されたものになっていました。やり直した方が早いというのは、こういうことですよね。

丸井氏:

そうなんです。これはサーベイでも明らかになっていますが、コロナ禍に、多くのCMOがMOpsの構築に非常に力を入れていたので、インスタンスが刷新された会社も多かったのかもしれません。今年のGartnerの調査でも同じようにプログラムやテクノロジーの合理化に多くの予算が割かれるとされています。

しかし、気をつけないといけないのは、よく見るとそこまで悪くない状態なのに、全く別のツールに乗り替えてしまうという勿体ないケースもありますよね。

垣内:

ありますよね。勿体ないですよね。

丸井氏:

むしろよくできているのに、というケースですよね。

垣内:

日本でも、ツールを乗り換えるというケースは、今後増えてくる可能性はあるかもしれないですね。

丸井氏:

そうでしょうね。そういう企業が増えてくるのではないかなと思います。

また、毎日のように使用するツールもあれば、導入しているけれどほとんど使ってないツールもあると思います。今後もアプリケーションは爆発的に増えると予測されている中で、アプリケーションを管理するという仕事が重要になってきます。サーズ・スペンド・マネジメントという領域がありますが、この分野はここ数年で加速的に伸びるだろうと想定しています。

垣内:

そうですね。

丸井氏:

MOpsは、アプリケーションを管理する役割ですから、非常に重要です。色々なアプリケーションが増えていく中で、使用していない、つまりは無駄なアプリケーションが存在しているわけです。ここに新しいアプリケーションが増えていくと、管理がより重要になります。

垣内:

アプリケーションの管理という職種や業務も増えてくるので、それをMOpsが対応する必要がありますよね。

問題はMOpsだけか?

垣内:

先ほどのお話にもありましたが、問題はマーケティングオペレーションの部分だけでもないのかなと思っています。未だに大企業でも、圧倒的にマーケティング人材は不足していると言われていますし、セールオペレーション側の体制も非常に重要かなと思っています。特に、SFAを管理している部門が、圧倒的にSFAを理解できていないと感じています。

丸井さんが以前にMAはSFAのアドオンだと仰っていた記憶がありますが、そういう観点でいくと、やはりセールスオペレーションも重要ではないかという認識です。先ほど「標準」がなかなか使い切れてないというお話がありましたが、実際問題どうでしょうか?

丸井氏:

MAの価値を発揮するためには、SalesforceやMicrosoft DynamicsのようなSFAがしっかりと運用されているということが必要です。そのため、マーケティングだけで解決できる問題が少ないっていうのは、その通りだと思います。

垣内:

最近弊社のお客様の中でも、特にSFAに関する問題を抱えているマーケティング担当の方がすごく増えてきた印象です。「リード」や「キャンペーン」、「商談」が使えないなど、そういう話題が増えてきたなと感じています。そのため、マーケティング部門はSFAの標準的な使い方への理解が深まっているように思うのですが、どう思われますか?

丸井氏:

結局そうならざるを得ないのです。MAをしっかり運用しようと思うと、SFAの問題に必ず波及するので、そのような問題が増えてきているということは、非常に良い傾向だと捉えています。

垣内:

マーケティングの方が、その問題に気がついたんですかね。

丸井氏:

マーケティングにとって、SFAとの連携はMA活用の高度化や収益効果マネジメントを強化において避けられない課題ですので、チャレンジされる方が増えてきていますね。

垣内:

SFAを管理している部署は、マーケティングとは別の部署というケースが多いと思います。それによって、マーケティングが思っている方向に向かないケースも多いと感じています。それを実現するために、マーケティング部門としてやるべきことを伝えるテクニックってありますか?

丸井氏:

そこがマーケティングの1番の仕事だと思います。やはり社内にツールの必要性を理解してもらい、他部門の人たちも巻き込んでプロジェクトをやりきるということが非常に重要です。この「調整力」がマーケターには必要になるだろうと思います。逃げずに戦うところは戦い、仲間を増やす、つまりソフト面のスキルはすごく重要だと感じます。

垣内:

SFAをマーケティング部門で管理していくケースは増えていますか?

丸井氏:

現状では、SFAの管理者とMAの管理者が話し合っているだけだと思います。しかし、協力してもらうためには、話し合いだけでは足りません。営業組織のトップの方や役職をもっている方々に対して、SFAのあるべき姿を全員で話し合って、レベニュー組織全体の課題として合意形成をして進めていく必要があると思います。マーケティングがより高度化することは、レベニュープロセス全体にとって、必ず良い影響があることですよね?そのために必要な協力を得る、投資対効果を最大化するために必要なことです。きちんと収益効果が説明でき、セールスやカスタマーサクセスなどの組織にも良い影響があると理解してもらえれば逆に止める理由を探す方が難しい領域だと思いますが、この巻き込み、説明が本当に大変ですよね。

垣内:

なかなか難しいテーマですね。

丸井氏:

はい、本当にそうですね。しかし最近、この合意形成がボトルネックにならないケースも出てきています。それはコロナ禍で多額のDX投資をした企業や生産性向上待った無しの企業では、以前より強く収益効果の証明をトップから求められるようになったからです。

急ピッチでDXを進めていく企業が増えましたが、その成果はどれだけでているのかが不明瞭なケースが多いように感じます。DXを進めていくために膨大な費用を投資したので、やはりどれだけ成果がでているのか経営として気になるのは当然です。「メールを何通配信しました」「Webサイトのトラフィックが何倍に増えました」という報告はできるものの、どれだけ売上が上がったのかを把握できていない企業が多いのではないでしょうか。

MAで管理できるのはマーケティング活動にかかったコストで、成果となる売上を管理しているのはSFAの商談オブジェクトです。MAで管理しているコストとSFAの商談データを掛け合わせてROIを算出する仕組が収益効果分析の基本ですが、これが現状仕組みとしてできていないので改修が必要だ、とミドルマネジメントはもちろんのこと、経営層が判断しているケースが増えてきている印象です。

トップから現場に指示を出さないと変わりません。現場だけで課題をもっていても、トップの理解を得られなければ解決は難しいでしょう。そのため、経営者や役職者の方々が、マーケティングの重要性を理解してもらう必要があります。

垣内:

やはり現場の方もそのような問題に対して、然るべき立場の方に提案をしていくということが非常に重要ですね。弊社のお客様でも、MAを導入して施策はたくさん実施していて、何らかの形で営業と繋がっているが、データとして取れていない、と問題に挙げている方が多いです。SFAのシステムや営業の運用に問題があったり、やはりSFAがネックになります。そのため、MAとSFAの連携をしっかり行うことがMAの価値に繋がるので、MOpsだけではなく、SalesOpsもつなぎ合わせて考える必要性があります。

マーケターとして重要なこと

垣内:

最後のテーマは「マーケターとして重要なこと」です。先ほどのお話にもありましたが、セールスと繋がっていくこと、組織としてマーケティングの重要性を伝えていくということも非常に重要だと思います。

様々な重要ポイントがあると思いますが、丸井さんの立場で今後マーケターとして特に重視していかないといけないことは何でしょうか?マーケターとしての心構えについてもお伺いできればと思います。

丸井氏:

スキルの面でいうと、やはりデータやテクノロジーなど新しい技術について理解を深め、新しい情報を探して内容を理解していくとことが重要です。世界で見ると、日本語で書かれている文献は1~2%程度だと言われているので、海外の文献を読むことも重要です。翻訳ソフトも素晴らしい精度ですし、どんどん海外の文献にはアクセスするべきだと思います。

今後データやテクノロジーの進化は何段もギアが上がってくると思います。先日あるAIスタートアップが開発したAIインサイドセールスのデモを見ましたが、かなり近い将来、プッシュ型のコミュニケーションは大きく価値を下げるなと感じました。一方でAIエージェント経由のプルは強化され、そしてAIに学習させるデータセットが主要なマーケティングチャネルとなる話をきいて、なるほどなと感じました。

AIに負けないスキルを持つことも重要ですが、社内調整力など「人間らしさ」により一層価値を見出すと考えています。例えば、新しいシステムを導入する際に、「こういうシステムを導入するので、ここを改善してください」と伝えるのではなく、チーム全員が「そうだね、これやらないといけないよね」と理解してもらえるよう、日頃から関係者間でコミュニケーションをとることが大切です。

スキルは代替されますし、模倣されますので、スキルだけに頼ってしまうと、最終的には価値がなくなります。やはり、より良い人間関係をつくるなど、泥臭い活動が普遍的な価値として残っていくのではと思います。

垣内:

そうですね、マーケティングのスキルというところも必要ですが、組織を動かしてやっていかないといけないとなるとやはり人間力が重要だと、改めて感じました。社内間のコミュニケーション力が、連携力や影響力につながりますよね。

まずは学問としてスキルを学んでいただくところが重要ですが、熱量をもって人を巻き込む力も必要ですね。

丸井さん、本日はありがとうございました。

 


この記事の著者

ワンマーケティング Web編集チーム 監修

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