MA選定のコツ4選!成果を上げるツール選びのポイントを徹底解説

MA(マーケティングオートメーション)を導入する企業が増加するにともない、その機能や価格、そしてMAツールの種類も年々多様化しています。そんな中、どのMAを導入すればよいのか、選定にお悩みの方も多いのではないでしょうか。本記事では皆様のMA導入を成功に導くため、MAの役割や選定のコツを厳選して解説致します。

MAの役割とMAに求められる4つの必須機能

MAの役割や求められる必須機能を考える上で、まずはセールス・マーケティング組織が直面している課題とその解決策について解説したいと思います。

多くの企業で、マーケティング部門が集客を担当し、残りの大部分を営業が担うという体制が見受けられますが、実はこの体制には大きな問題があります。多くの場合このような体制では、営業側のリソースが足りず、購入をイマスグには考えていない検討初期の見込み客と接点を持つことや、見込み客と中長期的に接点を持ち続けることが困難です。結果、見込み客が購入を検討しているタイミングで接点を持てず、せっかくの提案機会を損失してしまうという問題を引き起こしてしまいます。

このような状況を脱して売上という成果を出すためには、下図のように、従来の集客・営業に加えて「育成」「選別」「リサイクル」というステージを構築する必要があります。

リードライフサイクル
リードライフサイクル

【育成ステージとは?】

BtoB企業には「獲得リードの大半がイマスグ検討ではない」「営業と接点を持つ前に購入先候補を絞っている」という傾向があります。

育成ステージでは、検討が本格化する前の段階から適切な接点を持ち続けることで、購買意欲の醸成や、検討を開始したタイミングで声を掛けてもらえるような信頼関係の構築を行います。

【選別ステージとは?】

営業の人的リソースの限界をカバーするために、営業が直接接点を持つべき受注確度の高まった見込み客を選別するステージです。

【リサイクルステージとは?】

BtoB企業には「一度アプローチに失敗しても、再検討する可能性が高い」という特徴があります。

リサイクルステージでは、営業アプローチが成功せず未案件・失注したリードを再度育成のステージに戻し、将来的な再検討のタイミングを逃さないための循環を生み出します。

多くのセールス・マーケティング組織は「提案機会を逃してしまう」という問題に直面しています。

そしてこの問題を解決するためには、集客・育成・選別・営業・リサイクルと、各プロセスをステージとして設計・管理し、ステージ毎に適切な施策を実施していく仕組み作りが必要です。

このような仕組みの必要性が高まる中で、注目を集めているのがMA(マーケティングオートメーション)です。

ステージの設計やステージ毎の適切な施策の実施といっても、人力だけで見込み客一人一人をステージに振り分けたり、そのステージに応じて一人一人に適切な施策を実施していくことは、現実的ではありません。

MAは、事前の設定に基づき、ステージの管理や運用、施策実行を自動化することができるツールです。

さらに、多種多様なレポーティングの機能も搭載されており、限りあるリソースをどこに投下すればいいのかという、課題解決をサポートする機能も備わっています。

以上のようなセールス・マーケティング組織の直面している問題やMAの役割を踏まえると、以下4つの機能を搭載しているMAを選定することが必須条件となります。

  1. ステージ設計・管理機能
  2. 育成ステージに対する施策の実行機能
  3. 選別ステージに対する施策の実行機能
  4. レポーティング機能

※MAに求められる本質的な役割や、ステージ設計・育成・選別の重要性については、『実はあまり知られていない!?マーケ担当者が知るべきMAの本質的な役割』でも詳細を解説していますので、ぜひご覧ください。

MA選定のコツ1.ステージ設計・管理機能

ここからは、各機能について具体的なチェックポイントを解説していきます。

まずは、ステージ設計に関する機能の選定ポイントです。

集客から受注までの各プロセスをステージとして設計し、管理を徹底することで、営業の対応漏れや放置リードの発生を防ぐことができます。ステージによる管理の具体的なイメージは、下図の通りになります。

ステージ設計・管理
ステージ設計・管理

集客に成功した方は「リード」、その中でもマーケティングや営業の対象になるのは「育成対象」とし、受注確度が高いと判断されれば「HOTリード」とします。

営業アポ獲得となれば「案件」、最終的に契約となれば「受注」となります。逆にアプローチがうまくいかなかった方は「リサイクル」ステージに入れ、再度「育成対象」に戻します。

これはあくまで一例ですが、このように各プロセスを棚卸しして管理をしていくのがステージ設計・管理の機能です。

多くのMAにステージの設計・管理機能は搭載されてはいるのですが、中には以下のように機能が限定的なツールも存在します。

  • デフォルトのステージしか設定できず、自社にあわせたカスタマイズできない
  • リサイクルのようなステージを戻すという機能がない
  • リード一人一人のステージの変更を手動で行う必要がある

上記のような機能の制限がある場合、導入するMAとしてはあまりオススメできません。

まず第一に、セールス・マーケティングのプロセスは各社によって多種多様です。

製品やサービス、ターゲットも異なれば、営業・マーケティング組織の人員やスタイルも異なります。もとからあるステージを無理矢理当てはめても、対応漏れや放置リードの発生を防ぐことは難しいでしょう。

また、アプローチが上手くいかなかったリードも、BtoB企業では将来的に検討を再開する可能性が高いので、リサイクル機能は必須です。アプローチ中断後の放置を無くし機会損失を防ぐには、リサイクルして再度育成対象に戻すというプロセスが必要です。リサイクルの設計ができないMAでは成果を出すのは困難でしょう。

最後にリードステージの変更についてですが、この作業を手動で行うとなると、人力での確認なので抜けもれが発生することがあります。

さらに、確認が終わるまでの時間も掛かるので、確認者のリソースによっては「たった今HOTになったリード」を営業に引き渡すのに2〜3日掛かってしまうことも考えられます。ステージの変更を手動で行うというのは、現実的ではありません。

これらを踏まえると、ステージ設計・管理機能に関する具体例な選定ポイントは以下のようになります。

  • ステージを自社にあわせてカスタマイズできるMAを選定すること
  • リサイクルを実装することができるMAを選定すること
  • ステージ変更を自動化することができるMAを選定すること

MA選定のコツ2.育成ステージに対する施策の実行機能

次は、育成ステージに対する施策の実行機能に関する選定ポイントの解説です。

BtoB企業には、「獲得リードの大半がイマスグの検討ではない」「営業と接点を持つ前に購入先候補を絞っている」という特徴があります。

育成施策によって検討初期のリードから一人一人に応じた適切な接点を持ち続けることで、購買意欲の醸成と信頼関係の構築を行い、購入先候補に選定してもらえるようにします。

MAの育成機能について情報収集する際にはまず、企業中心型と顧客体験中心型と、どちらの育成施策が実行できるのか、という観点で機能の比較をします。

企業中心型とは、企業側で事前に育成シナリオをスケジュールしておき、そのスケジュールにそって決まった施策が自動的に行われていくというものになります。

例えば下図では、資料請求という行動があったリードに対して、1通目の御礼メール、2つ目は関連資料の紹介、3通目は事例紹介・・・のように、事前に設定した内容にそって施策が動いていきます。

このように、リードの反応に関係なく決められたものが動いていくという育成施策を、本記事では企業中心型とよんでいます。

企業中心型育成施策の例
企業中心型育成施策の例

一方、顧客体験中心型では、スケジュール通りに動く企業中心型とは異なり、メールのリンククリックといった反応・行動にあわせてシナリオの出し入れをしていくという特徴があります。

顧客体験中心型育成施策の例
顧客体験中心型育成施策の例

例えば左側のエンゲージメント型シナリオでは、検討の段階に応じてリード一人一人に合った施策やコンテンツ配信を中長期に実施していきます。

検討初期向けのグループには初期向けを、検討中期向けには中期向けを実施します。その中にいくつか次のフェーズに該当するものを忍ばせておき、そこに反応があれば次のフェーズに移動させ、逆にずっと反応がなければ前のフェーズに戻します。

このようにリードの反応に応じてシナリオを出し入れし、検討段階に応じた適切な接点を持つことができるのがエンゲージメント型シナリオです。

右のドリップ型のほうは、分岐型で比較的短いスパンで実施するシナリオです。

資料ダウンロードをしたリードに対し、さらなるお役立ち情報をお送りし、さらにそこに反応があればサービス紹介・商品説明のようなコンテンツをお送りし、一気に購買意欲を醸成していきます。

逆に反応がなければ、施策を止めて離脱させていきます。短期間で一気に購買意欲の醸成を行っていくのが、ドリップ型シナリオの特徴です。

エンゲージメント型シナリオとドリップ型シナリオの設定画面
エンゲージメント型シナリオとドリップ型シナリオの設定画面

リードの興味関心にあわせて適切な接点を持っていくという観点では、顧客体験中心型育成施策の実行機能が必要です。

また、年間を通じては中長期的なエンゲージメント型を実施し、購買フェーズが一定の段階まで達したリードに対してはドリップ型を実施するというように、2つをうまく組み合わせることが育成施策成功のコツです。

MAを導入する際にも、顧客体験中心の育成施策を実行でき、かつエンゲージメント型とドリップ型の両方を実装できるMAを選定することがポイントになります。

MA選定のコツ3.選別ステージに対する施策の実行機能

選別施策の実行機能では、営業がアプローチすべき受注確度の高まった見込み客を選別します。

営業のリソースには限界があり、全リードにアプローチするのは困難です。選別によってリードに優先順位をつけて、営業の限りあるリソースを有効に活用し、売上UPを目指していくということになります。

選別にあたっては、スコアリングという機能を活用することになります。スコアリングとは、リードの行動や属性に応じて点数を付け、優先順位を可視化する機能のことです。

例えば下図のように、協賛イベント参加で1スコア加点、メルマガクリックで3スコア加点、製品ページ閲覧で5スコア加点・・・のように、様々な条件によってスコアの配分をします。そして事前に設定しておいた基準値、例えば100点を超えたら「受注確度が高まっている」と判断し、営業に引き渡していきます。

選別ステージに対する施策とスコアリング
選別ステージに対する施策とスコアリング

多くのMAにスコアリングの機能は備わっていますが、BtoB企業向けセールス・マーケティングにおけるスコアリングという観点だと、以下3つの機能を有していることが選定のポイントになります。

  1. リードの行動を軸にしたスコアリングができる
  2. リードの属性を軸にしたスコアリングができる
  3. マイナスのスコアリングができる

1.については、行動にスコアをつけることで「検討度」をはかることができます。

検討初期向けコラムを閲覧しているリードは、本格的に検討を開始するタイミングではないだろうと考えスコアの配分を低めに設定しますし、逆にサービス詳細や価格表を閲覧していれば、本格的に購入を検討していそうなのでスコア加点を多くします。行動スコアリングによって、本格的に検討をしているリードを選別することができます。

次の「2.リードの属性を軸にしたスコアリングができる」ですが、これはBtoB企業向けのセールス・マーケティングで特有の必須の機能です。

BtoB企業がターゲットの場合、リードに対して「所属企業の規模や業界」「職位」「部門」といった、行動とは別の「属性」という観点でのスコアリングが重要です。

自社の製品・サービスと相性がいい業界の企業や、決裁権を持つ職位のリードには高いスコアを加点し、逆に属性的に優先度が低い場合は、属性スコアは低いままにしておきます。

営業による提案は、リードとその先の企業を相手に行われます。属性を軸にしたスコアリングによって、より精度の高いHOTリードの選別ができます。

最後の「3.マイナスのスコアリングができる」は、スコアリングでよく起きがちな「チリツモスコアによるHOT化」を防ぐために必要な機能です。

チリツモスコアによるHOT化とは、検討度の計測には影響のなさそうな、あまり重要ではない行動スコアが蓄積しHOT化してしまう現象のことです。例えば、検討初期向けコラムを閲覧する度に1スコア加点される設定をしていたとします。

すると、何年掛かったとしても100回の閲覧があれば基準値の100点を超えてHOT化されます。しかし、何年間も初期向けコラムしか閲覧していないリードがHOTだとは考えにくいため、本来ではこのようなHOT化は避けたいところです。

そこで、「一定期間行動がなければスコアをマイナスする」のようなマイナススコアリング設定ができることで、チリツモスコアによるHOT化を防ぐことができます。

その他にも、「採用ページを訪れたら行動スコアをマイナスする」「ターゲット部門外のリードは属性スコアをマイナスする」など、確度の高いリードの選別につながりにくそうな事柄に対しては、マイナススコアリング機能を活用することになります。

スコアリング設定画面
スコアリング設定画面

選別機能の比較をする際には、「リードの行動を軸にしたスコアリングができる」「リードの属性を軸にしたスコアリングができる」「マイナスのスコアリングができる」の3つができることを導入基準としてください。

また、ステージ管理や育成施策の実行機能と同様に、スコアの加点減点を手動で行うのは運用面で現実的ではありません。スコアリングを自動化できるMAを選定してください。

MA選定のコツ4.レポーティング機能

最後のコツでは、レポーティングに関する機能比較方法についてお伝えします。

MAにはメールの開封やクリック率、Webサイトの訪問解析、施策毎の成果の分析等、多種多様なレポーティング機能が備わっています。

多様なレポーティング機能の中でも、売上という成果に結びつけるために必要な機能とは、どのようなものなのでしょうか。

BtoBセールス・マーケティングで成果を出していくという観点では、集客・育成・選別・営業・リサイクルと、これらのステージ毎の数字をレポーティングできる機能が必須になります。

ステージ毎の数値が見えることで、マーケティングと営業プロセスのどこに課題があり、なにを改善すべきかが明確になるので、適切な課題解決を行うことができるからです。

下図はステージ毎のレポーティングを実施した例です。

ステージ毎のレポーティングを実施した例
ステージ毎のレポーティングを実施した例

育成対象に対して20%しかHOTリード化しておらず、このステージが課題という想定ができます。

このように課題がわかったら、「育成対象をHOTリードにするための施策は、今は何をどれくらいの頻度で実施しているのか?それぞれの施策の結果は?改善点は?」のように、原因と解決策について議論をしていくことができます。

ステージ毎のレポーティングができることで、売上という成果に結びつけるための課題解決を実施することができるのです。

もう一点機能面で注意しなくてはならないのは、営業領域のステージのレポーティングができるかどうかです。

営業領域はMAではなくSFA(Sales Force Automation)というツールの領域になりますので、SFAとの連携が容易なMAを選定する必要があります。よく、「API連携で開発すれば問題ない」という考えもお聞きしますが、当社としてはオススメしておりません。

というのも、API連携だと連携項目が限定されてしまったり、開発にかかる工数やコストが膨大になってしまったりということが起こりえます。

開発にばかり手間やコストが掛かってしまうと、肝心のマーケティング活動にリソースを割けない、かつ使い勝手も限定されたツールを使用しなくてはならないというリスクが発生します。API連携ではなく、SFAと容易に連携ができるMAを選定することが重要です。

SFA導入は検討しておらず、MA導入しか考えていないというケースもあると思いますが、MAをより活用していくためには、SFAとの情報連携は重要な要素です。

もし今はSFAは考えていないという状況でも、将来的に会社としてSFAを導入することはあり得ると思います。その際、SFAと連携しずらいMAを導入してしまっていると手遅れです。

まとめ

MAとは、営業部門の人的リソースの限界を補い、受注確度の高い見込み客を創出することで売上を最大化させるためのツールです。

BtoB企業の購買活動の特性を考えたときに、従来の集客・営業の仕組みだけでは確度の高い見込み客を取りこぼしている可能性が非常に高く、育成・選別・リサイクルという仕組みを構築する必要があります。

これらの仕組みの構築に必要なのがMAであり、「ステージ設計・管理機能」「育成施策の実行機能」「HOTリードの選別機能」「レポーティング機能」と、4つの項目が選定における重要ポイントでした。

これらの機能を搭載するMAを導入することがMA導入成功への第一歩となりますので、選定をする際には必ずチェックをして頂くといいかと思います。

また、HubSpot・Marketo・Account Engagement(旧Pardot)の3つのMAは、必要とされる機能が搭載されたMAとなりますので、MA導入を検討しているのであれば、ぜひ一度情報収集してみてください。

ワンマーケティングが推奨するMA
ワンマーケティングが推奨するMA

以下の図は、本記事で解説したMA選定のコツをチェックリストにしたものです。

クリックして頂けると、フォーム登録の必要もなくPDFをダウンロードして頂けますので、よろしければ選定の参考にして頂ければ幸いです。最後までお読み頂き誠にありがとうございます。

MAに必要な機能チェックリスト
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